「やせ願望」の精神病理
水島 広子
副題は、「摂食障害からのメッセージ」。
特集のテーマで取材しながら、とある書店で見つけた書。
「(特に女性は)やせているのが、美しい」という価値観は比較的最近のものである。
データでも男は中高年で肥満が目立ち、女は特に若い層でやせているのが目立つ。
1998年の国民栄養調査でも、20代と30代の女性はやせ続けていることが示されている。
また、女性では70代を除くすべての年代で2人に1人は「自分のことを太っている」と思っているそうだ。
この本は、副題が示す通り「摂食障害」がテーマになっている。
著者は、まだ日本には専門的な医療機関が少ないこともあり、「不治の病」という印象があるが、摂食障害は治ると言う。
スポーツの世界でも摂食障害は問題になりつつある。
直接スポーツ選手の問題を扱っているわけではないが、摂食障害とは何か、本人はどうすればよいのか、周囲の人はどう対応すればよいのかがわかりやすく症例とともに紹介されている。
水島広子著 新書判 250頁 2001年4月27日刊 660円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:PHP研究所
(掲載日:2001-11-25)
タグ:摂食障害 女性
カテゴリ 食
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「やせ願望」の精神病理
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女は女が強くする
井村 雅代 宇津木 妙子 五明 みさ子
シドニーオリンビックで多くの人に「鳥肌が立った」と言わせたシンクロの井村さん、ソフトボールの宇津木さん、シドニーでは団体5位に終わった新体操の五明さん。この3人の女性指導者に月刊スポーツメディスン連載中の山田ゆかりさんが取材、聞き書きというスタイルでまとめられたもの。
まず、このタイトルに「う~ん」とうなる人も少なくないだろう。
「そうだな」と思う人もいるだろう。でも、女が女として女を主張するという感じの内容ではない。むしろ逆か。
井村さんも「けれども、これからのスポーツ界は、女だから男だからということにとらわれてはいけないのではないでしょうか。両性の協力によって世界に立ち向かっていかなければならない時代に来ていると思います」と「まえがき」に記している。だが、女の指導者なんてという言われ方はまだある。もう男と女にこだわるのではなく、でも男と女とは何なのかと考えたい。
誤解のないように言うと、この本は女性指導者の姿をたんねんに話を聞きながら、やはり女性のライターがまとめたものである。
スポーツ界の人にとっては「コーチングとは何か」というテーマでも読める。
今の若い人への接し方の参考にもなるだろう。ビジネスでも活かされるだろう。でも、ここはストレートに、指導者が選手に、どう考えどう接しているか、その姿そのものを知ることに意味があるととっておきたい。3人の指導者みな魅力的である。強く、しかも誰もがやはり悩んでいる。スポーツをすること、そのスポーツを指導すること、それをもう一度考えることができる本。
井村雅代、宇津木妙子、五明みさ子著 四六判 208頁 2001年7月12日刊 1400円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:草思社
(掲載日:2001-11-29)
タグ:女性 指導 シンクロナイズドスイミング ソフトボール 新体操
カテゴリ 指導
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女性アスリート・コーチングブック
宮下 充正 山田 ゆかり
出産する身体
今年はオリンピック・イヤー。日本選手団における女子選手数は男子の数を上回り、いざオリンピックが始まればこぞって国民は女子の活躍を祈り、勝利に歓喜したことは未だ記憶に新しい。
そんな時代だからこそなのか、ここに「女性アスリート」に対するコーチングブックが登場した。著者の一人が“あとがき”にこんなことを書いている。「ところがまわりを見回しても、女性ならではの『からだとこころ』を解説するコーチングブックはこれまで存在していません。(中略)だからこそ、女性アスリートたちのよりよいスポーツ環境を目指すための本が、どうしても必要だと思ったのです。」そうだったのか。そう言われれば少ないのかなぁーと思いつつ筆者の拙い記憶を辿るに、女性とスポーツというテーマ自体はそれほど新しくもないことに気づく。とすれば、本書は何が“新しい”のか?
今回特に興味深く読ませていただいたのは「第2章こころ」の部分だ。というのは、従来の女性とスポーツのテーマは“からだ”の部分に主に焦点が絞られていて、その結果月経や妊娠といった女性の生殖機能とスポーツの関係はかなり一般的理解が得られるようになってきた。が、女性のこころ、特に社会的存在としての女性のこころの部分へのアプローチは十分とは思えないからである。実は、ここのところの問題解決が、女性アスリートをコーチングする際の鍵となることを本書は教えてくれている。「女性とスポーツの歴史をひも解いてみると、そこにはいつも『女性としての』あり方を問う声が充満していました。(中略)いずれにせよ、女性がスポーツをする際には常に生殖機能や外見・容姿に対する美醜の観点から捉えられてきたことがわかります。つまり、女性の身体はいつも『妊娠―出産する身体』としてみられ、スポーツは将来『母体』となる身体にダメージが及ばぬように禁止され」た歴史が長かったというわけだ。その一方で「『母体』となるからこそ身体を鍛えよと奨励もされてきた」のも事実であると本書は指摘する。ということは、この社会的呪縛から女性が真に解き放たれるときに新しい女性とスポーツとの関係が構築されると言えるが、ここのキーワードは実は“男性”なのだということにも強く気づかされるのである。性としての男女と社会的存在としての男女。それぞれにおける男女の役割分担は必ずしも一致しない。ことスポーツに関してはあくまでも社会的存在としての男女を基本として成り立つ文化であることを改めて理解する必要を読後に強く感じた。
弱者としての身体
もうひとつ女性とスポーツを考えるうえで大切な問題が存在する。それは「セクシャルハラスメント」である。本書は、サブタイトルに「コーチのモラルとマナー」と題して、この今日的問題に対して「男性コーチの女子アスリートに対するわいせつ行為やレイプ、セクシャルハラスメント行為は、『身体の接触をともなう』『精神性を重んずる』などの線引きがあいまいなうえ、絶対的な主従関係が被害の表面化を阻んでいます」と厳しく指摘する。これもいわば社会的存在としての男女という考え方への“男性側”の認識不足と人権に対する意識の希薄さを露呈している格好である。
オリンピックの余熱がまだ残る今こそ、スポーツが持つ社会的、文化的役割を社会全体で再認識するチャンスである。是非ともこのチャンスに多くの問題への取り組みがなされることを切に期待したい。本書の女性アスリート問題への取り組みは、スポーツ社会に限らず、一般社会の枠組みへの挑戦という意味でも斬新な切り口であると思う。
(久米 秀作)
出版元:大月書店
(掲載日:2004-11-10)
タグ:女性
カテゴリ 指導
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危ない!「慢性疲労」
倉恒 弘彦 井上 正康 渡辺 恭良
書名は「慢性疲労」だが、「慢性疲労症候群」についても詳しく述べられている。「慢性疲労」は自覚的症状が半年以上続いていても、日常生活には特に支障をきたさないもの。一方の「慢性疲労症候群」は疲労を併発する他の疾患がなく、日常生活を送るのが極めて困難な疲労感が6カ月以上続いているもので、1984年にアメリカ・ネバダ州で集団発生した原因不明の病態に対して命名された比較的新しい概念だそうだ。
これといった病気がないので、さぼっているとか、怠けていると思われることもあるが、元気で働いていた人が風邪を引いたあとにかかることもある。専門家でないと診断も難しいようで、「特に異常なし」と言われるものの極度の疲労感は続く。
日本では、1991年に厚生省の慢性疲労症候群研究班が発足、世界をリードする研究が行われてきた。特に、1999年から始まった本書の著者である渡辺、倉恒氏らの「疲労の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」はパイオニア的研究として国内外から注目され、2005年2月には日本で第1回の国際疲労学会が開催される予定である。厚生省疲労研究班が1999年に調査した結果では、疲れやだるさを感じている人は59.1%、そのうち疲労感が6カ月以上続いている人が35.8%だった。この本で基本的知識を持っておきたいものだ。
2004年10月10日刊、714円
(清家 輝文)
出版元:日本放送出版協会
(掲載日:2012-10-09)
タグ:疲労 慢性疲労症候群
カテゴリ 医学
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フィーメールアスリートバイブル
鳥居 俊
女性アスリートの診療やサポートに携わってきた早稲田大学スポーツ科学学術院の鳥居先生を始め、13人の執筆陣が書いた本。
日本のスポーツにおいて、指導者は以前として男性が多く、女性の身体をきちんと理解した女性の指導者はいまだに多くはないという現状もある。この本では、女性アスリートやその指導者、女子アスリートをサポートするすべての人に読めるような内容として、外科系、内科系、婦人科系などの医学面、精神医学を含めた心理面、体力科学面、栄養学面、さらに社会的側面、ジェンダー問題と幅広い分野を網羅している。
副題は『スポーツをする女性の健康のために』。鳥居氏が前文で「増加する女性アスリートのスポーツ医科学、社会的問題をきちんとまとめておくことは重要である」と記しているように、サポートする側も女性が置かれる環境、抱える問題を認識しておく必要がある。
2005年11月25日刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-10)
タグ:女性
カテゴリ スポーツ医科学
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変形性膝関節症の運動・生活ガイド 第3版
杉岡 洋一 黒澤 尚 武藤 芳照 伊藤 晴夫
副題は『運動療法と日常生活動作の手引き』。第3版には黒澤尚・順天堂大学教授が編者に加わり、97年に出版された第1版、99年に出版された第2版の内容を骨格としながら、最新の研究成果で得られた科学的根拠に基づく運動療法プログラムや健康情報への対応の仕方などをQ&A形式で解説している。
「日常生活の中で治していけますか」という問いについては、関節軟骨が磨り減っていくという原因を直接治す根本的治療法がまだないこと、変形性膝関節症が高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の1つであることに触れ、「自分でやれることは自分でやっていく」という心構えが必要であるとしている。そのやれること、注意点を示しているのが本書であり、痛みの出ない階段昇降や杖の選び方・使い方、日常様式の工夫など日常生活にすぐに活かせる事柄も取り上げている。
変形性膝関節症は適切な運動によって改善や進行を予防することにもつながるが、それぞれの人に適した方法で運動を行わなければ逆に症状を悪化させることにもなる。やれることをやる前に、まず本書を一読しておくとよいだろう。
杉岡洋一監修、黒澤尚、武藤芳照、伊藤晴夫編集
2005年11月1日刊
(長谷川 智憲)
出版元:日本医事新報社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:変形性膝関節症
カテゴリ 医学
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感受性を育む 現象学的教育学への誘い
中田 基昭
本書においては、神谷美恵子ほか、そしてサルトル、ブーバー、メルロ‐ポンティ、ハイデッガー、フッサールの思索を紹介しながら、段階的に「感受性」に迫っていく。
著者は教育実践の場に関わりながら、知的障害をこうむっている子どもたちの他者関係、あるいは小学校における教師と子どもたちの関係を現象学に基づいて解明するということを研究テーマとしている。先人の言葉を手がかりにしながら、意識とは何か、身体とは何かという問いを深めていくのである。この深みのある読みから導かれるものが、読み手として抱える問題と、うまくリンクした瞬間、読み手自身の立ち位置とそれを取り囲む構造が立体的に意識できるようになる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東京大学出版会
(掲載日:2009-01-10)
タグ:教育 感受性 現象学
カテゴリ その他
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変形性股関節症は自分の骨で治そう! 人工関節をえらぶ前によむ本
井上 明生 大川 孝浩 永井 良治
昨今、中高齢者による運動・スポーツへの愛好家が増えている。いつまでも若く元気でいたいという思いから、ウォーキングなどの軽い運動のみならず、山歩きといった本格的なスポーツまで楽しんでいる方も多い。しかし、その一方で、運動やスポーツをやりたくても膝や腰や股関節が痛くて歩くことも困難という人もいる。
本書は、変形性股関節症という股関節の痛みに悩んでいる方たちに向けて書かれている。医学技術が飛躍し、20世紀後半には「世紀の手術」と言われるくらい股関節疾患の患者さんたちに人工股関節置換術は恩恵をもたらしたと著者は言う。しかし、本書では人工股関節置換術をすすめているわけではない。著者の信念の1つは「移植医療は医療の敗北」だと言う。いかにして股関節における移植医療、すなわち人工股関節置換術を避けるかに焦点を置き、代わりに「キアリ骨盤骨切り術」という方法を紹介している。この手術の適応、治療成績、限界など、患者の立場にたって、大きな文字で書かれている。最終的には患者の判断によるものだが、移植医療以外の対応を知っておくことは大事なことではないだろうか。
2008年12月5日刊
(田口 久美子)
出版元:メディカ出版
(掲載日:2012-10-13)
タグ:変形性股関節症
カテゴリ スポーツ医科学
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柔軟性の科学
Michael J. Alter 山本 利春
500ページ近くにわたり、柔軟性について体系的に網羅したレビューとなっている。原著はScience of Flexibility。全19章を用いて取り上げられている範囲は非常に幅広い。たとえば、柔軟性に影響を及ぼす各因子について検討し、筋線維などの軟部組織の微細構造について、あるいは神経について概観している。さらには、腰と骨盤、ハムストリングスの相互関係(第17章7節)といった、運動学的な視点からの分析もある。柔軟性やストレッチングとの関連で危険性についても述べられており、リスク管理の手がかりにもなるだろう。
具体的なストレッチングの方法については付章「ストレッチングエクササイズ」として60項目がまとめられているが、本書の主眼はそこではない。柔軟性という身体の要素について考える基盤となる一冊である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:大修館書店
(掲載日:2010-08-10)
タグ:柔軟性 ストレッチング
カテゴリ スポーツ医科学
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やさしい変形性膝関節症の自己管理
鳥巣 岳彦
私が勤務する治療院には、膝の痛みを抱える高齢者が多く通院されている。そのほとんどが、「変形性膝関節症」と診断され、手術をするべきか悩んでいる方も多い。
本書は、実際に多くの方が悩んでいる変形性膝関節症について、発症のメカニズムから対処法まで、一般の方や高齢者の方にもわかりやすく書かれている。カラーのイラストを多く使い、文章は簡潔にわかりやすく、難しい専門用語は使われていないなど、一般の方にも読みやすい読者思いの書籍である。
変形性膝関節症に対するアプローチとして膝周辺の筋力強化があり、私も患者さんに膝周囲の運動を指導しているが、その重要性や有効性をなかなか伝えきれないのが悩みであった。そのため、自宅での継続した運動が行えず、運動の成果も表れにくかったのだが、患者さんに本書を読んでもらった上で話をすると運動に対する理解が変わり、積極的に運動に取り組んでもらえる方が増えた。
一般の方への変形性膝関節症に対する理解や、運動の必要性を説くには適した書籍だと思う。
医療費の節約や、介護予防が積極的に謳われている昨今。本書のような書籍とわれわれ専門家の説明で、予防の必要性を理解させて取り組んでもらうことが、これからの高齢社会での重要な役割になる。1人でも多くの方に理解してもらえるように、本書を活用したい。
(山村 聡)
出版元:医薬ジャ-ナル社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:変形性膝関節症 運動療法
カテゴリ 医学
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フィーメールアスリートバイブル
鳥居 俊
現在日本ではプロ、アマ問わず女性アスリートが数多く活躍している。その反面、女性だからこそ抱える問題も数多く存在していることにあまり焦点は当てられていない。また女性の身体をきちんと理解した指導者も未だ多くない。
本書は女性アスリートの健全な競技活動をサポートしたいという筆者の願いから、医学・体力科学面はもちろん、心理面・社会的側面からも焦点を当て作成されている。筆者自身が数多くの女性アスリートと現場で接してきたからこそ、もっとよい環境で女性アスリートに競技をしてほしいという想いがこもった一冊である。
男性が読んでも、これからの競技活動に活かせるような違った視点からの考え方が得られるはずである。
(磯谷 貴之)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-16)
タグ:女性アスリート
カテゴリ スポーツ医科学
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女性とスポーツ環境
石田 良恵
女性の身体特性からパフォーマンスとの関係、女性スポーツの歴史に至るまで、女性とスポーツの関わりについて、幅広くまとめられた1冊である。
一般向けの著書かと思いきや、かなり専門的なところまで言及されており、女性とスポーツについて勉強したい人にとっては参考になるだろう。
校正ミスと思われる一文があったり、文章と図がリンクされていなかったり、本の装丁ミスなど、読み進めていく上で気になる部分がいくつかあったので、その点だけが残念である。
(石郷岡 真巳)
出版元:モダン出版
(掲載日:2012-10-16)
タグ:女性アスリート
カテゴリ スポーツ医科学
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オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す
三砂 ちづる
「オニババ」。この衝撃的なタイトルに、“一体どんなことが書かれた本だろう?”と、興味を惹かれた。
本書で言う「オニババ」とは、「女性性(身体性と生殖)から離れていってしまった女性たち」のことを指している。戦後、女性の社会進出が進むにつれ女性たちは、「女性らしさ」、「女性としての生き方」を忘れ、「オニババ化」してきた。本来の女性としてのエネルギーが、今、行き場を失っている。
本書では、女性の体、性、生殖、出産などをメインに、本来の“女性らしさ”とはどのようなもので、それが現代女性にとっていかに重要であるかを問いかけ、改めて「女“性”として生きること」の意味を考えさせられる一冊になっている。
(藤井 歩)
出版元:光文社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:女性
カテゴリ 身体
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子どもたちののびのびストレッチング
小林 義雄 青木 高
すでにストレッチングの本は10冊を超えて世に出ているだろう。そのストレッチ自体はどの本も大同小異といってよいだろう。ストレッチングの方法をマスターしたなら、ポジションに細かくこだわることなく、ボブ・アンダーソンが行ったように自分の身体でいろいろ工夫していくことが大切だし、また必要なことである。
この本は表題通り、子どものために書かれた。
「私は本書を通じて、児童生徒の鍛錬に、従来から強調されている筋力づくり、スタミナづくりなどに加えてストレッチングを定着すべきであることを強調したい。そして本書が学校体育での授業や生育期にある生徒、成人の正しい健康・体力増進、そしてスポーツの成績アップにお役に立てばこの上ない喜びである」(はじめにより)
ストレッチングそのものが最も必要なのは、柔軟性やクール・ダウンを忘れたり怠ったりしているスポーツマンをはじめ、活動的でない現代人であろう。柔軟性だけを考えれば、子どもにはさほど重要ではないかもしれない。しかし、重要なのは、子どもの頃に覚えてことを私たちは大人になって、自然に、何も考えず当然そうするものだと思ってしているという事実である。それはよい部分もあるが、中高年者が健康のためと、早朝ウサギ跳びをしたり、「苦しさを克服」して悲惨な結果を招いたりといった悪い部分もある。ストレッチングの意味と方法を子どもの頃に自分のものにしておくことは、その意味で極めて重要であり、本書が、大人(先生や親)の参考書の1冊となることを望むのもそこにある。「リズム・ストレッチ」「ストレッチごっこ」といった他の本にはない部分も付け加えられている点にも著者の配慮が光っている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:不昧堂
(掲載日:1983-08-10)
タグ:ストレッチング 柔軟性 子ども
カテゴリ ストレッチング
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女子スポーツ・ハンドブック
日本体育協会
「女性の時代」とか「女子どもの時代」といわれる。男女雇用機会均等法なるものも制定された。逆にいえば、男、大人、それを合わせた「大人の男」の影は薄い。あるいは、「大人の男」であることは難しい、または珍しい。男である書評子の私論がかなり露骨かもしれない。が、つまりは、女性のことを考える場合、それは逆に男性(どうもこの表現には抵抗がある。どうして男、女といった簡潔な表現が野卑なイメージを帯びるようになったのだろうか)のことも考えることになるということだ。話がそれたが、女性がテーマになりつつあるのはスポーツの世界も例外ではない。女性とスポーツに関する雑誌の特集はこれまでに何度も試みられてきたし、シンポジウムのテーマになったこともある。だが、わかりやすいガイド・ブックの類では、日本ではあまりみられなかったのが現実である。本書『女子スポーツ・ハンドブック』は、表紙も優しくスマートだが、内容もQ&A形式で親しみやすい。自分に関心のあるQの項を選び読むのもいいが、この分野に関わっている人、あるいは興味ある人なら、一通り読まれることをお勧めする。
構成は「主な目次」の項に示した通り、Qを①心理的・コーチング的側面、②運動生理的側面、③一般的・社会的側面に分け、①で30項目、②で52項目、③で16項目を収録している。そのそれぞれのQに対し、各専門家が答えるわけだが、本書発刊に至るまでの経緯を簡単に記すると次のようになる。
1900年 オリンピック・パリ大会でテニスとゴルフに女子選手が初参加
1912年 同ストックホルム大会で水泳が女子種目に加わる。
1928年 同アムステルダム大会に陸上競技、体操、フェンシングが女子種目に加わる。
1964年 同東京大会にバレーボールが女子種目に加わる。
1976年 同モントリオール大会にバスケットボールとハンドボールが登場。
1981年 日本体育協会競技力向上委員会で、国際競技力向上長期総合強化計画の一環として「女子スポーツ強化対策プロジェクト班」設置。依頼、スポーツ科学委員会女子スポーツ対策研究班、学識経験者の協力とともに、現場の指導者、選手の意見も採り入れ、各種検討がなされてきた。
こうして、女子スポーツの指導者、選手の参考書として、本書が刊行されたわけである。
編集委員は、嘉戸脩、小谷望、杉原隆、山川純の各氏。執筆者は、跡見順子、荒井貞光、石井源信、大野美沙子、海野孝、加賀谷淳子、嘉戸、金子正子、川原貴、今野和明、沢田和明、杉原、清和洋子、塚原千恵子、土ヶ淵竹志、荻原美代子、浜松ヨシ江、山田重雄、吉田敏明の各氏(姓のみは編集委員)。
一通り読み進んでいくと、私たちは「男だから」「女だから」と容易に短絡した物の見方、考え方をし、それが科学的根拠がないどころか、単なる偏見であることが多いのを知る。男性と女性では、心理的、運動生理的、社会的に何がどう違うのか、違うからどう対処しなければならないのか、まずこういった本で客観的に捉えておくことが大切だろう。女子の指導者が男子であることは珍しくない。選手に男女があるように、指導者にも男女がある。男対男、男対女、女対女の3つの組み合わせは、指導者対選手にも生じるわけだ。また、単なる男女差だけでなく、個人差もある。言語的な能力は女子のほうが優れていて、迷路や幾何学的な図形の分割や構成、二次元や三次元の空間判断などといった空間関係の理解・認知能力では女子は男子に劣るという比較的一貫した結果が得られている(P3より)とはいえ、それも個人差があり、「男だから」「女だから」と一概にいえないのは、日常生活を通じて誰もが知るところである。
これまで、スポーツといえば、多くは男子の参加するものであり、女子選手の参加、増加は比較的近年のことである。したがって、どうしても「男社会」的な要素が強かったスポーツだが、人間の半分は女子という明白な事実から、逆に女子とスポーツというテーマへの関心が高まっているといえるだろう。また、女子とともに、子どもとスポーツというのも近年関心の高まりつつあるテーマである。これも大人の男を中心にスポーツが語られてきたからとみることができるのではないだろうか。スポーツは老若男女のものであるから、老人とスポーツというテーマも今後急速にクローズ・アップされていくことだろう。その意味で、本書は決して特定の読者を対象とするのではなく、スポーツあるいは人間社会全体の問題を扱っている。
主な目次
〔心理的・コーチング的側面〕
Q1 知的能力や性格の面で、女子と男子にはどのような違いがありますか〜 Q30 思春期以前の女子選手のコーチングが心理的な面で、どのような配慮をすればよいですか
〔運動生理的側面〕
Q1 小学生からトレーニングを始めると、初潮に何か影響がありますか〜 Q52 運動あるいは試合の前の食事は何がよいですか
〔一般的・社会的側面〕
Q1 女子選手のスポーツ参加にはどのような特徴がみられますか〜 Q16 女子選手の一般的な練習時間と練習内容はどのようなものですか。また、その理想的な姿は
〔座談会〕
1985年11月東京国際女子マラソンを振り返って
(清家 輝文)
出版元:ぎょうせい
(掲載日:1986-06-10)
タグ:女性 指導
カテゴリ スポーツ医科学
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女性アスリート専用トレーニング
簱智 健
女性の身体は男性の身体とはさまざまな面で違う。
著者によると、骨盤の形、筋肉量、柔軟性、心臓や肺の大きさ、エストロゲンなどの女性ホルモン、これらが男性とは大きく異なる。これらの違いを考慮せずに男性と同じようなトレーニングを行うことは、パフォーマンス向上の効率を下げるだけでなく、女性に多い傷害である前十字靭帯損傷や、女性競技者三主徴症候群などのリスクを高める可能性がある。
本書では、なでしこリーグをはじめ色々な現場で経験を積んだ著者が、NATA公認アスレティックトレーナーの立場としてトレーニングメニューを紹介している。女性アスリートの結果を求めるのであれば、科学的根拠に基づいたこれらのメニューを活用するのが賢明である。
(久保田 和稔)
出版元:スタジオタッククリエイティブ
(掲載日:2014-10-07)
タグ:女性
カテゴリ トレーニング
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女子の〈底力〉の引き出し方
吉井 妙子
「女性部下を持つ方々に」
2011年7月。多くの日本人がそうだったように、当時4歳になったばかりの我が家の長男坊はなでしこジャパンに魅了されていた。ゴールシーンやPKシーンを飽きることなく繰り返し見ては「サワせんしゅ」「カイホリせんしゅ」と名前を覚え、「あきらめない心」とは何だろうと考えるきっかけにしていた。性別を超えて「おっきくなったらなでしこジャパンになる!」とまで言わせる存在だった。『天才は親が作る』などの著作で知られるジャーナリスト吉井妙子氏による本書は、「女性部下を持つ方々にいかに感じてもらえるかを主眼と」して書かれている。なでしこジャパンの佐々木則夫監督、全日本女子バレーボールの眞鍋政義監督、古くは東洋の魔女を率いた大松博文監督などを例にあげ、優秀な指導者たちがいかに「女性の能力を磨き、チーム力を強固なものに」したのかが紹介されている。
あとがきで著者自身が述べているように、本書は「ハウツー本の形式を避け」ている。ハウツー本にはなり得ないと言った方がいいのかもしれない。成功者の成功事例のみを取り上げれば感心することばかりである。しかしこれをそのまま他の事例に活用すること、いや他のスポーツチーム指導に単純に転用することすら不可能だろう。これらの成功例に満足し囚われ過ぎれば、当の成功者たちでさえ次の成功が危うくなる世界なのだから。
男女の枠を超えるべき
読み進めるうちにいくつかの疑問が頭をよぎる。女性ばかりのチームメイトで、競争相手も女性である女性スポーツでの事例を、男性社会での女性部下の扱いに無理につなげなくてもよいのではないか。そして本書の内容を見る限り、ここに取り上げられている指導者諸氏は女性スポーツにおいてのみ優秀な指導者というわけではなく、男女という枠を超えて優秀なスポーツ指導者として紹介されるべきだと感じるのである。
選手という基質が指導者という触媒によってより高度な存在となるための化学反応は、単に基質が優秀なだけでも、触媒が優秀なだけでも起こらない。双方が反応の種類にマッチしていなければならないし、その他温度や濃度、さまざまな条件がうまく巡りあわなければならない。もちろん物質と違って人間は基質が触媒の性質に歩み寄ることもできるし、触媒がそうなるように導くこともできる。そうした環境づくりへの仕掛けは、各指導者がそれぞれの選手たちの特性に合うように無数になされたはずだ。対象が女性である以上、女性を意識したものも多かったのだろうが、本書に紹介されている内容は「女子の底力を引き出す」というより、アスリートの能力の引き出し方であり、性別にこだわる必要はなかったように思う。タイトルにとらわれず、指導者と選手たちが素晴らしい結果を導き出した取り組みとしてとらえたほうが素直に「気づき」が得られるはずだ。それでもそれぞれのエピソードがあまりに美化され短絡的な示唆につなげられているため、本当に知るべきことは他にあるのではという印象は拭えない。
プレーに魅了される
明るい陽が当たるナショナルチームレベルにはもう見られないのだろうが、一般の女子スポーツには暗い負の部分も未だに根強く残っている。こちらのほうが女性ならでは、あるいは女性選手と男性指導者ならではという特色が色濃く表れているかもしれない。それらの問題点を掘り起こし、改善の動きを起こすことも今後の女性スポーツのために必要なことだと思う。
前述の長男坊は、FIFA女子ワールドカップのすぐ後に行われた2011ラグビーワールドカップにも熱狂した。フランスのはじけるようなラグビーに興奮し、ニュージーランドの強さに魅了されていた。「負けたけど頑張ってたやんな!」と子ども心ながらジャパンを擁護していた。彼にとって男性も女性も関係はない。その目には、ただひたむきに闘うアスリートたちが映っている。
(山根 太治)
出版元: フォレスト出版
(掲載日:2012-09-10)
タグ:女性 指導
カテゴリ 指導
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女子の〈底力〉の引き出し方
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女子の〈底力〉の引き出し方 金メダル監督の最強人材育成メソッド
吉井 妙子
サッカーの佐々木則夫氏、ソフトボールの斎藤春香氏、マラソンの小出義雄氏ら知る人ぞ知る指導者が実践している、女子選手を指導するコツをひもとく。と言っても、結果を残した際のチームの様子の紹介は、選手の声がメインだ。その分、指導者の独りよがりでないチーム像が浮かび上がる。
また、各指導者らが話す「このときはこうした」「選手たちとはこう向き合った」というエピソードは、どれも目の前の状況や選手の特徴を見極めて選択したと感じられるものばかりだ。つまり本書は、女子選手の扱い方を指南するものではなく、女性はこうだという決め付けや女性の考えはわからないという意識を取り払う「気付き」を促すものと言える。その気付きとともに指導にあたれば、タイトルにもあるように、選手が自主的に力を発揮しだすだろう。
指導に悩んだときはもちろん、新しくチームや選手の指導を始める際にも読みたい一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:フォレスト出版
(掲載日:2013-04-10)
タグ:女性 指導
カテゴリ 指導
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女性アスリート専用トレーニング
籏智 健
女性の身体的特徴と機能、それによって起こりやすいケガや月経異常などの障害をわかりやすくまとめた上で、正しいトレーニング方法を網羅している。女子チームに多く関わる機会のあった著者ならではの、ケガや障害予防のための一冊だ。
写真のモデルを全て女性アスリートが務めているので、正しい姿勢ややり方が一目でわかりやすいのもよい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:スタジオタッククリエイティブ
(掲載日:2013-07-10)
タグ:女性 トレーニング
カテゴリ トレーニング
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女子選手のコーチング "特性”を知り、力を引き出すための40のヒント
八ッ橋 賀子
いわゆる「男脳」「女脳」を取り上げた書籍はよく話題になる。そしてスポーツ現場においては、男性指導者の割合が多い。本書は、女子選手と接する男性指導者向けにアドバイスをまとめたものだ。キーポイントが40もあること自体、面倒だと思われてしまうかもしれないが、「責任感が強い」とか「計画を実行する能力に長ける」といった女子選手ならではの長所の活かし方にも言及されている。
最大のポイントは声のかけ方をひとつ変えるだけでも指導の悩みが解消する可能性があること。メンタルトレーナーの著者が示す実践例は具体的で取り入れやすい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:体育とスポーツ出版社
(掲載日:2015-11-10)
タグ:女性 コーチング
カテゴリ 指導
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健脚商売 競輪学校女子第一期生24時
伊勢 華子
何人かの(元)女子競輪選手のドキュメンタリー作品です。有名選手のサクセスストーリーとは程遠い一人一人の人間像が描かれています。本書の特徴といえば肝心の競技に関わる部分がとても少なく、女子競輪選手のストーリーというよりもむしろ一人の女性のストーリーが幅広く描かれています。
想像するに競輪の熱心なファンが期待しそうな、勝つための苦労話とか、血のにじむような努力を経て栄冠を勝ち取るというようなスポーツドキュメンタリーにありがちな話はありません。飼っていたウサギが死んでしまったとか、ダンサーになりたかったけどあきらめたなど、肩透かしを食らいそうなほど競輪とは関係のないストーリーが大半を占めます。
叙事的ともいえる淡々とした描写は筆者の作風そのものだと感じましたが、感情的なものをあえて抑えた書き方だからこそ、読者の想像力が掻き立てられ、登場人物の人となりや感情を頭の中で描いてしまいました。感動を強制されるような表現は皆無といっていいでしょう。そんなところに筆者の凄みすら感じてしまいました。
私なりに感じた裏テーマは「挫折」だと思います。夢があり挫折して競輪の世界に入ってきた者もいれば、競輪の世界で挫折した者もいました。人は挫折したからといって死ぬわけではありません。むしろ挫折してからの生き方にこそ意味があるように受け止めました。
正直、華やかな作品とは言えませんが、じっくり読めば多くの人に共感を与える作品だと思いました。
巻末に登場人物の近況が記されていました。80歳を超え競輪とは無縁の生活をされている方もいます。明日の栄冠を夢見て頑張っておられる現役選手もおられます。皆さんの今の生活を知ってすごく救われた気がしました。それだけ皆さんに感情移入して読んでいたのでしょう。
(辻田 浩志)
出版元:中央公論新社
(掲載日:2020-02-20)
タグ:競輪 女性
カテゴリ スポーツライティング
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女性アスリートの健康管理・指導 Q&A
能瀬 さやか
近年、国際大会での女性アスリートの活躍が目覚ましい。実は、21世紀になってからのオリンピックの日本人出場者・金メダリストは女子のほうが多い。そこを目指す育成年代の選手が増えるのは当然の流れで、サッカー、ソフトボール、格闘技に至っても女性アスリートの競技人口は増加傾向だ。それと同時に指導者やトレーナー・医療従事者は女性アスリートのサポートについてこれまで以上に学ぶ必要がある。
さて、本書ではタイトル通り、女性アスリート特有の医学的課題についてQ&A形式で解説されている。その数なんと103項目。男女の身体的特徴の違いから女性アスリートの三主徴・月経痛、妊娠・出産・更年期世代、パラアスリートのスポーツまで幅広く扱っている。
Q&A方式なので、専門用語や難解な文章は少なく、現場の素朴な疑問や不安に対して一問一答で情報を得ることができる。女性スポーツに関わる医療従事者やトレーナーはもとより、「他人に聞きづらく」「正しい情報にたどり着くことが難しい」女性の身体や性に関する知識を必要とする女性アスリート本人や、その保護者にも是非読んでいただきたい。本書は心強い「相談窓口」となるはずだ。
(川浪 洋平)
出版元:日本医事新報社
(掲載日:2020-11-05)
タグ:女性アスリート
カテゴリ スポーツ医科学
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資料でみる女性とスポーツ2000
JWS「女性スポーツ白書」作成プロジェクト
女性のスポーツ参加を促進するための課題に迫る第一歩として、参加状況や教育、身体、取り巻く環境など、女性スポーツに関わる基本的なデータが詰まったレポート集。Japanese Association for Women in Sport(JWS)の活動と合わせて一読をお薦めする。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:
(掲載日:2000-11-10)
タグ:女性
カテゴリ その他
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スポーツ・ヒーローと性犯罪
Jeff Benedict 山田 ゆかり
スポーツ界でこれまであまり調べられなかった、「人気スポーツ選手の特殊なライフスタイルが女性に対する虐待行為を触発する」ということにメスを入れるために書かれた異色の本。性暴力に遭った女性、被告側弁護団、判事、陪審員、コーチやエージェントなどに対する綿密な取材から見えてくるものは何か。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:大修館書店
(掲載日:2001-03-10)
タグ:性犯罪
カテゴリ その他
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アスピーガールの心と体を守る性のルール
デビ・ブラウン 村山 光子 吉野 智子
通過儀礼
私が身を置く大学は47都道府県すべてから学生を受け入れ、“医療の谷間に灯をともす。”という理念の下、へき地医療を中心とした地域医療を支える医師を育てることを目的としている。
卒業後それぞれの出身地に戻り、地域の中核病院で研修医として 2 ~ 3 年のあいだ働いて力をつけた後、各地の町・村・離島・山間の診療所へと赴くことになっている。
そこで多くの卒業生が大変なカルチャーショックを受ける。これまで学んだ最先端の医療を施してやろうと意気込んでイナカに乗り込んだにもかかわらず、まったく住民から受け入れてもらえないからだ。
そのような通過儀礼を経て初めて、地域のニーズに合った(患者のための)医療とはどんなものかと原点に返って医学を学びなおし、医師としての本当のスタートを切ることになる。
これと似たようなことを、私は赴任したての頃この大学で味わったことを思い出した。
東京で数々の一流選手を見てきた経験から最高のアドバイスをしているつもりが、ウチの学生にはちっとも通じないのだ。なぜ理解できないのだと最初は怒りに震え、これまで会ってきた一流選手たちは一瞬でわかってくれたぞと声を張り上げてはみるものの、学生たちは困惑の表情を浮かべるばかりだった。
これでは駄目だと自分の実力(数々の一流選手に会えたのも決して自分の力ではなかったことも併せて)に気づくのに鈍感な私は数年かかったが、“体育界”の人たちにしか通じなかった感覚を言葉として表す試みを続け、少しずつ分かってもらえるようになった頃やっと“体育教師”としての生活が始まったという実感を得ることができた。
「性のルール」
さて今回は、『アスピーガールの心と体を守る性のルール』。著者のデビ・ブラウンはスコットランド在住で、「アスペルガー当事者」でもある自閉症の研究者だ。
「アスピーガール」とは「アスペルガーの女の子や女性」のことを指している。彼女たちは「こちらが常識やある程度の知識を持っていることを前提として」「曖昧な教え方」をすると理解できず、「誤解して受け取ってしまうことも」ある。だから(世間の考え方に合わせているつもりで)“あたりまえ”の行動をすると、“とんでもない”と世間から批判を受け、「批判されることに敏感なので、深く傷つく」ことが多いという。
とくに「性」に関することは、「体の中で最も敏感で繊細な部分を他人にさらす行為であるため傷つくリスクも高く」なるので、「アスピーガールを守るために」「正しい知識」を身に付けることが重要になる。さらにたとえば「絶対に彼氏にしてはいけない人」の筆頭に「家族や親戚。(父親、義父、叔父、祖父、兄弟など)」が挙げられている。アスペルガーでない者にとっては少々驚く記述だが、アスピーガ ールにとっては「基本的であっても一から確認すること」が重要なのだという。
デリケートな話題だからこそ、丁寧に、可能な限りわかりやすく、しかし直接的な表現は極力用いず淡々と綴られていく。
当たり前の確認
読み進めていくうちに「性」についてこのような、解剖学的・生理学的“以外”の方法による説明に触れる機会は、アスピーガールか否かにかかわらずなかなかないのではないかということに気がついた。また、「性」に関することに限らず様々な“あたりまえ”について、「基本的であっても一から確認」し考え直してみることも人生(職業人としての人生も含め)のなかでは必要なのではないかとも思った。
翻って、今年も全国から末頼もしい学生たちが入学し学園生活にもだいぶ慣れてきたころである。彼ら、彼女らとの年齢・世代的な隔たりがますます大きくなる私にとって、「アスピーガール」に対するのと同じくらい慎重に言葉を選び、学生たちに向か い合っていくことが、これからの課題としてあげられると思うのである。
(板井 美浩)
出版元:東洋館出版社
(掲載日:2017-06-10)
タグ:人生 性教育 アスペルガー
カテゴリ その他
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心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには
高尾 美穂
この本を手に取る方は、きっとこのタイトルに答えを欲していると思います。産婦人科医でスポーツドクターで産業医で、ヨガの指導者という多くの肩書をもつモヒカン医師、高尾美穂先生がコロナ禍で始めたラジオ「高尾美穂からのリアルボイス」にて配信した内容をまとめた一冊。
・「私らしい私」をつくるには?
・つらい気持ち、不安とどう向き合う?
・こんなコミュニケーションが望ましい
・女性の体について知ってほしいこと
・人には聞けない性の悩みに答える
・これからの家族とパートナーシップのあり方
・人生とキャリアの歩み方
・私が人生でしていきたいこと
・高尾美穂から「妹たちへ」
と、9つのチャプターに分けて様々な質問に答えたり、アドバイスをしたりしています。
女性のココロとカラダを熟知した先生の言葉は、多様性やジェンダー問題が問われるこの時代の人生にとって、ちょっとしたヒントになりました。私自身の不安や悩みだけでなく、仕事上、相談を持ちかけられることも多々あるので、答え方や言葉の選び方という点で、非常に勉強になった一冊です。
(山口 玲奈)
出版元:日経BP
(掲載日:2022-02-25)
タグ:女性 身体 コミュニケーション 性
カテゴリ 人生
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客観性の落とし穴
村上 靖彦
客観性という概念はたかだか200年くらい、特に西洋文化のなかで言われはじめたに過ぎず、まるで統計や数字が、事物や事象、あるいは人そのものを表しているような風潮は行き過ぎではないか、それらが有用なデータであるのは確かにそうだが、その尺度だけでは測れないものがあるだろう、というのが、大雑把なまとめになるだろうか。
実際のインタビューではだいたい2時間くらい、話を聞く。そのときの話の流れで、即興的な語りを聞く。
意識せずに口をついて出てくる言葉から、浮かび上がってくる、それぞれの経験。交わらないリズムとして表現される生々しいリアリティを読む。それではじめて分かることがある。
統計や数字をみてわかる傾向と、個別の視点に立ちはじめて腹落ちする現実があると思う。
数年前、あるひとに話を聞いた。アメリカで海洋生物学を学んでいた大学時代、難病を発症し、帰国を余儀なくされた。そこから闘病生活に入り、手術をするかどうかの決断を迫られることになった。医師からはかなり高い確率の成功率と、きわめて低い失敗率を伝えられた。
でもそれってなんの慰めにはならない、自分にとっては生きるか死ぬかであり、コインの裏表どちらがでるか、つまり半分なんだ、とそのひとは言った。それはとても、説得力のある言葉だった。
統計や数字でわかることがたくさんある一方で、今を生きる現実存在を取りこぼすことも多々あるのではないだろうか。客観性のみを真実とすることはかなり危うい。
(塩﨑 由規)
出版元:筑摩書房
(掲載日:2023-07-25)
タグ:客観性
カテゴリ その他
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