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ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。

最新スポーツ医科学ハンドブック
坂本 静男

英語のタイトルは“Benefits and Hazards of Exercise”。
この訳が副題(スポーツの効果とリスク)に該当する。
「スポーツ医科学ハンドブック」と解するより、副題のままだと思ったほうがよい。
内容もほとんどが内科的な問題を扱っている。
例えば、キーワードで拾うと、健康増進、身体活動、プライマリケア、突然死、高齢女性、高血圧、糖尿病、オーバートレーニング、ウイルス疾患など。

監訳者の坂本氏は本誌の連載も執筆中で、その第1回(2月号)で本書の内容について触れ、「スポーツ施設での運動より、むしろ家の周辺で自由にできる運動を勧めたほうが継続性が高い」という叙述を挙げている。
このように、本書は「効果とリスク」のみならず、身体活動について心理学的側面からもアプローチしている。
また、カコミ欄の内容が面白い。
例えば「米国および英国の公衆衛生責任者は、……“すべての成人は1週間のうちほとんど毎日(5日間)、中等度の強度の身体活動を30分間以上行うべきで ある”という、健康メッセージを奨励してきた。このメッセージにもかかわらず、英国人(70%)、および米国人(60%)の多くは非活動のままである」 (P.42)。
各章には問題と解答が用意され、理解を助けるのに役立つ。"
(月刊スポーツメディスン編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2001-11-24)

タグ:内科 スポーツ医学 リスク  
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ外傷学
黒澤 尚 星川 吉光 高尾 良英 坂西 英夫 川野 哲英

スポーツ外傷学黒澤 尚 星川 吉光 高尾 良英 坂西 英夫 川野 哲英スポーツ外傷学

この「スポーツ外傷学」全4巻で約1300頁になるが、現在の我が国におけるスポーツ医学の書籍で最も充実したものと言えるだろう。

第28号でも記したが、主として日本体育協会スポーツ診療所に関わってきた整形外科医、理学療法士をはじめ、トレーナー、トレーニング指導者などが執筆、医師のみならず、スポーツ医療全般に関わる人にとってまさに「座右の書」となっている。

『概論」の序で黒澤氏はこのシリース独自の目的についてこう記している。
「まず、スポーツによる外傷を専門に研究する学問を『スポーツ外傷学』と命名し、従来整形外科、腹部外科、胸部外科、内科、形成外科、眼科、泌尿器科、婦人科、リハビリテーション等々の専門にとらわれない命名とした・・・・・・従来あいまいに使われていた外傷、障害(はたまた傷害)という言葉に代わって、 1回の外力で生じる病態を急性外傷、軽微な度重なる外力によって徐々に引き起こされる病態を慢性外傷とできるだけ呼ぶことにした。第2に、スポーツ外傷治療のゴールはスポーツヘの復帰と定めて、そのために必要な事項は全て記載しようと意図した。・・・・・・第3には、スポーツ外傷の予防という内容をできるだけ盛り込むようにしている。・・・・・・」

全体は2色刷りで、多数コラム的な内容も収録されている。
この全4巻を手にすると、日本の「スポーツ外傷学」はこのシリーズで1つの頂点を極めたという気がする。
それだけの成果であり文句なくおすすめしたい。

黒澤尚、星川吉光、高尾良英、坂西英夫、川野哲英編
(月刊スポーツメディスン編集部)

出版元:医歯薬出版

(掲載日:2001-11-25)

タグ:外傷    
カテゴリ スポーツ医科学
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基礎から学ぶ!スポーツ救急医学
輿水 健治

強烈な原体験
 高校時代に所属していたラグビー部は弱小の割に練習は厳しく、毎日早朝練習も行っていた。その日もあくびをこらえながら最寄り駅から電車に乗り込もうとしていたら、近くに住むチームメイトの母親がそんな時間に電車から降りてきて、私の姿を見るなり泣き崩れた。そしてそのチームメイトが明け方に泡を吹いて全身痙攣を起こし、病院に救急搬送されたと聞かされた。
 彼はその1週間ほど前に練習で頭を打ち脳震盪を起こしていたが、その後も頭痛をこらえて練習に参加させられていた。慢性硬膜下血腫、と今ならわかる。この仲間としての罪悪感を伴う強烈な事件が、アスレティックトレーナーを目指した私にとっての原体験と言っていい。

重篤な障害への処置
 さて、埼玉医科大学総合医療センター救急科の輿水健治氏による本書は、基礎から学ぶスポーツシリーズの一冊で、RICE処置を中心にした応急手当の本とは一線を画し、選手の命に関わる重篤な傷害に対する救急処置に多くのページが割かれている。「基礎から学ぶ」シリーズとはいえ、CPRの方法やAEDの使用法、突然死や心臓振盪などその内容は、少なくとも日本赤十字社や消防署が主催する救急救命講習会に参加したうえで読むほうが、なるほどとうなずくことは多いはずだ。あるいは本書に出会うことでそのような講習会に参加しようと考える人が増えればなおいい。また、事故防止についての一説も必読である。
 確かに、スポーツ現場で起こる傷害のほとんどが、簡単な創傷の手当やRICE処置でまかなえるものである。しかしスポーツ現場に関わるものは、本書に書かれた内容は熟知しておくべきである。冒頭の話は今から30年近く前の話であり、真夏の炎天下でも水分補給がほとんどないまま練習していたあの頃に比べれば、選手の健康や運動に伴うリスクに留意する指導者が圧倒的に多いと言えるだろう。しかし時折報道されるように不幸な事故はいまだに起こり、指導者にもっと知識と自覚があれば、あるいは準備されるべきものがあれば、もしかしたら防ぎ得たのではないかと感じることもあるのだ。

アスレティックトレーナーの役割
 アスレティックトレーナーはそのようなアクシデントを未然に防ぐことがその重要な役割であり、何か起こったときには最善の対応ができなければならない。そのためには知識と技術を身につけることは言うまでもないが、さらに重要なことはそのような状況において最善の判断をし、よどみなく動けるかということだ。
 1989年、NHLのあるゲーム中にゴールキーパーであるClint Malarchukの喉元を対戦チームの一選手のブレードが襲い、頚動脈が損傷されるという事故が発生した。
 噴出した血液が氷上にみるみる血溜まりをつくる中、彼のチームのアスレティックトレーナーは一瞬の迷いもなく、出血部に手を入れ止血を試みた。そして他の幸運も重なり、奇跡的に同選手は命を取り留めた。
 この事故について学んだとき、果たしてこの動きが自分にできるかどうか、戦慄を持って覚悟させられた。そして現場にいるときには、先の原体験も併せて、良くも悪くも常にある種の怖さを感じていた。一生このような状況に出会わない指導者やトレーナーのほうが多いだろう。しかし選手の命を預かっているという自覚の元に最善の対策を講じておくことが必要だ。
 蛇足ながら、緊急開頭手術をうけた冒頭のチームメイトだが、結婚を2回もし、子どもを3人ももうけているくらい元気に過ごしていることは幸いである。
(山根 太治)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:2010-03-10)

タグ:スポーツ医学 救急処置    
カテゴリ スポーツ医科学
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慢性腰痛は3日で治る
高林 孝光

「“触れる筋肉”と“触れない筋肉”」「治らないのは、触ってないから」
本書は始めから終わりまで一貫して、このテーマにつきる。
 この一冊には、生理学・解剖学的な内容から「“触れる筋肉”と“触れない筋肉”」「なぜ痛みが出て、なぜ治らないのか」が説明され、さまざまな治療法・手技方法や著者が“触れない筋肉”へのアプローチとして推奨している電気療法の紹介から「“触れない筋肉”にアプローチするにはどうしたらいいか」が明確に示され、最後には“いい筋肉”をつくるためのストレッチ法(セルフケア)などがイラストを使ってわかりやすく紹介されている。
 全体的に読みやすく、著者が、著者自身の経験や実績に裏づけされた独自の哲学・理論を用い、どのように患者と向き合ってきたかなどが記されている非常に内容の濃い一冊になっている。
(藤井 歩)

出版元:幻冬舎

(掲載日:2012-01-18)

タグ:ケア 解剖学 腰痛 
カテゴリ スポーツ医科学
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コンパクト生化学
大久保 岩男 賀佐 伸省

 生化学というと難解な学問と感じる方も多いかもしれないが、身体運動を考える上では避けて通ることはできない。この書籍は純粋な生化学というよりも代謝、臓器やガン、免疫における生化学、解剖学、生理学と幅を広げて解説している。イラストなども比較的多く、生化学を多方面から理解できる作りになっている。
 名称にコンパクトとあるが基本的な内容は網羅されており、決してコンパクトという印象はない。初期の資料としても十分に役に立つ。
 これらの書籍はもちろん内容をすべて記憶できればそれに越したことはないが、必要になったときにどこに記述があるかを思い出し、確認をするという辞典のような使い方をするのも1つの使い方ではないだろうか。
 受験のための勉強ではないので単に記憶だけしても、本質を理解していなければ応用力もついてこない。一度ではなく、二度三度と見ることにより、より理解が深まったり、またはさらなる解釈がひらめいたりしてくる。
 基礎医学に分類される生化学は研究者だけでなく、現場で指導しているコーチも理解しておくべき内容だ。これが理解できればまた違ったトレーニングを見いだすことができるかもしれない。
(澤野 博)

出版元:南江堂

(掲載日:2012-02-07)

タグ:生化学 入門   
カテゴリ スポーツ医科学
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アナボリックステロイドとはいったい何だ
吉見 正美

 スポーツで決して行ってはいけない不正の1つにドーピングがある。オリンピックや世界選手権などでメダル剥奪、出場停止といった話は毎回のように出てくる。ドーピングは検査と追う側と追われる側の歴史でもあり、情報が出てしまえば相手に裏をかかれてしまう。 
 しかしドーピングにも禁止物質や禁止方法など複数あるが、それらが身体にどういう影響があるのかきちんと語られている書籍は少ない。本書では筋肉増強剤として知られている、アナボリックステロイドについて述べられている。
 ドーピングを行っても必ず勝利が約束されるわけではなく、その不確実な勝利の代償として、ドーピングは確実に身体を蝕む。勝利を欲するあまり、悪魔に心を売り渡してしまわぬように、倫理観のトレーニングも必要である。
 近年は個人輸入をしたサプリメントや市販薬、漢方薬でドーピング違反に問われることも多くなってきている。競技者だけではなく、われわれコーチも気をつけなければならない。
(澤野 博)

出版元:体育とスポーツ出版社

(掲載日:2012-02-15)

タグ:ドーピング 生理学 倫理  
カテゴリ スポーツ医科学
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運動科学 アスリートのサイエンス
小田 伸午

 普通、運動学の教科書というのは、幾何学・力学・解剖学・生理学というものをベースに書かれている。その全てをしっかり理解してこその運動学であるから、どうしてもかなりの情報量になってしまう。この書籍の特徴を一言でいうならば、そんな多くの情報から「面白いっ!」というような情報を抽出して書かれたものになっている。「筋が生み出す力について」「運動時に使うエネルギーの“実は…”」「二軸動作の正体」「なぜ日本人が速く走れていないのか」など、興味を引くトピックばかりで構成されているのだ。
 著者は京都大学大学院人間・環境学研究科助教授(執筆当時)。つまり京大の講義が体験できるのである。これだけでも、一読の価値がある。もちろんわかりやすく説明されているが、きちんとしたエビデンスと、面白く、知的な文章で書かれてある。私も人間の動きについての本をいくつも読んできたが、「そうだったのか」と気づかされるような情報が多く載っていた。人の身体についてよく勉強されている方にも読んでみていただきたい。
(宮崎 喬平)

出版元:丸善

(掲載日:2012-02-15)

タグ:スポーツ科学 二軸動作   
カテゴリ スポーツ医科学
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教養としてのスポーツ科学
早稲田大学スポーツ科学部

 スポーツ関係と聞くと皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか? メディアの発達により、海外スポーツはもちろん、スポーツ選手の露出が格段に増えたと思います。それに伴い、スポーツがもつ意味、可能性、求められるものは非常に多様化していると感じます。
 本書は長くタブーとされていた、スポーツを科学として見られるようになってきた専門的な分野を教養というレベルで書かれています。スポーツについて考えるという項目においてはその魅力、歴史、メディアなどについて、そしてスポーツをする身体についてという項目においては身体の構造やトレーニングの原則など、そのほかにも、現在のスポーツ界の問題点などについても書かれています。 スポーツに関わっている人はもちろん、これから関わろうとしている人、それ以外の人でも読むことで、スポーツを見るときにいろいろな見方、スポーツに対する関わり方が見つけられる1冊です。
(大洞 裕和)

出版元:大修館書店

(掲載日:2012-02-15)

タグ:スポーツ科学 入門 教養  
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ指導者のためのコンディショニングの基礎知識
山本 利春

 本書は学校や地域スポーツの指導者のために、コンディショニングの基礎知識を紹介し、解説されたものである。トレーナーの方々には基礎となる内容であるが、学校や地域スポーツ指導者の中にはコンディショニングについて誤った知識を持っている方も少なくなく、とくに日本ではコンディショニング=身体調整という意味でその言葉が使われ、スポーツ現場では、短絡的にコンディショニング=マッサージと誤解されていることもある。
 コンディショニングとは傷害対応も含め多くの身体づくりの方法であり、本書には実際の現場で必要な知識が盛り込まれ、指導者はこれが知りたかったと思える内容であると思う。受験前後の過ごし方、医療機関の選び方など他のコンディショニング書籍にはあまりなかった項目も参考になり、巻末の付録の本書内容をまとめた図解はいろいろと活用できそうである。
 著者はトレーナー的能力を身につけた指導者が存在することが日本のスポーツ現場における健康管理の底辺を広げることにつながると考えており、選手の教育を行える指導者が増えることが改めて大切と感じさせられた。コンディショニングを知らない指導者の方はまず入門書として本書を読みコンディショニングを知って選手の新たな可能性を引き出してほしい。
(安本 啓剛)

出版元:大修館書店

(掲載日:2012-02-17)

タグ:コンディショニング 入門 指導  
カテゴリ スポーツ医科学
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バイオメカニクス 人体運動の力学と制御
David A. Winter 長野 明紀 吉岡 伸輔

 人間の動きをバイオメカニクス的に解析する場合に必須となる基本知識がまとめられているのが本書である。信号処理の方法から、順動力学解析、筋電図のデータ処理の方法など、かなり専門的ではあるが簡潔な記述により、深い理解を得ることができるだろう。
 読みこなすには数学的な理解と人体や運動に関する知識が必要となる。なお、訳者序文において原著の紹介がなされている。「初学者に通読できるほどわかりやすく丁寧で、それでいてバイオメカニクス分野の奥深さを感じさせる内容に深く感銘を受けた」「バイオメカニクスの専門書として初めて読んだ本が本書であり、習得のしやすさを実際に体験している」。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ラウンドフラット

(掲載日:2011-07-10)

タグ:バイオメカニクス 入門    
カテゴリ スポーツ医科学
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教養としてのスポーツ科学
早稲田大学スポーツ科学学術院

 スポーツ医科学、健康スポーツ、アスレティックトレーニング、コーチング、スポーツ教育、スポーツビジネスの6分野にわたって記述されている。各項目が見開きから4ページに収まる分量であり、内容も専門性を保ちつつわかりやすいものとなっている。
 学部生向けの導入教育のテキストではあるが、スポーツ科学を全体的につかむことができるので、基本的なところを理解しておきたい人のほか、独学で学びたい、学び直したい人にとっても有用な一冊となる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:2011-06-10)

タグ:スポーツ科学 入門 教養   
カテゴリ スポーツ医科学
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高地トレーニングの実践ガイドライン 競技種目別・スポーツ医科学的エビデンス
青木 純一郎 川初 清典 村岡 功

 高所トレーニングに関して、とくに各競技における実践例をまとめている。本書は、日本オリンピック委員会スポーツ医・科学研究報告として毎年出されたものが全体報告となり、それをもとに書籍化されたものである。陸上競技、水泳、スキー(クロスカントリー、ノルディック複合)、スピードスケート、バイアスロンにおいて、どのような高所トレーニングが行われてきたか、また実際の測定データについて詳しく分析されている。このほか、低酸素施設をどのように活用するか、高地トレーニングに関する健康チェックについても紹介されている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:市村出版

(掲載日:2011-06-10)

タグ:高所トレーニング スポーツ科学    
カテゴリ スポーツ医科学
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歩き始めと歩行の分析
江原 義弘 山本 澄子

“二足歩行”という移動手段は、非常に特徴的で複雑なものである。もちろん人間にはその他さまざまな動きが可能であるが、基本的動作能力(寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がり・立位保持・歩行)にも含まれる通り、歩行は人体がつくり出す動作の基本である。そして、これが正しく行えるかどうかで、その他の動作・活動に大きく影響が及ぶのである。高度な身体運動を必要とするスポーツ活動において、「正しい歩行が行えるかどうか」が大きく関わってくるのも当然である。
 本書では、“歩き始め”を含め、歩行に関する人体のメカニズムを力学的見地から説明している。一般的に行なわれている動作観察では、身体の部位の位置変化を眼で見ることはできる。しかしそれ以前に、各部位へどのような力が加わり、重心がどう動き、どこの筋肉が収縮することによってその動きが起こっているのかは目に見えない。そこを力学的にわかりやすく説明してくれているのである。歩行というものをしっかりと理解したいとき、大変役に立つはずである。
(宮崎 喬平)

出版元:医歯薬出版

(掲載日:2012-06-04)

タグ:歩行 バイオメカニクス 
カテゴリ スポーツ医科学
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なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか
渡辺 啓太 大塚 一樹

 全日本女子バレーのテレビ中継にて、タブレット端末を手にする監督の姿がよく映る。そこにはどんな情報が送られているのか、誰がデータを収集しまとめているのか。そこにスポットを当てた。
 表紙の数字とアルファベットの文字列は、実際の試合時に入力されたものだ。激しい情報戦の中、公開してしまっていいのかと感じるかもしれないが、各国代表ともデータの活用方法は日々進化している。では日本代表にて試行錯誤を積み重ねてきたのはと言えば、二十代の若き渡辺氏であった。
 渡辺氏が出身校の恩師や代表監督、選手たち、チームメイト、そして家族に支えられながら、「アナリスト」として認められていく様が伝わってくる。スポーツ現場を支えるスタッフにとっては、ここまで全力を注げているかと振り返ったり、真摯に取り組めばきっと認めてもらえると勇気づけられたりもする一冊と言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:東邦出版

(掲載日:2012-08-03)

タグ:バレーボール アナリスト データ  
カテゴリ スポーツ医科学
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運動と健康の心理学
竹中 晃二

 「実践」心理学講座シリーズの1つであることから、運動が健康を導くとわかっていてもなかなか始められない、続けられない人へのアプローチを中心としている。動機づけや行動変容などの理論にとどまらず、対象ごとにどのような介入方法を行ったかやその考察について多くページを割いているのが特色だ。まさに実践のための心理学の書と言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:朝倉書店

(掲載日:2012-08-03)

タグ:心理 行動変容  
カテゴリ スポーツ医科学
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トレーニングをする前に読む本 最新スポーツ生理学と効率的カラダづくり
石井 直方

 本書は1991年から連載してきた身体関連のコラムを書籍にまとめたものを、文庫化したものだ。それでも最新と冠しているのは、研究の最前線にいる著者が適宜加筆しているためだ。扱うトピックはダイエットなど一般スポーツ愛好者の興味の大きい分野が主だが、記述は分子レベルまでおよぶ。これまで専門的にスポーツ科学や運動生理学を学ぶ機会のなかった人にとって、基礎となりうる一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2012-08-03)

タグ:トレーニング 生理学  
カテゴリ スポーツ医科学
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腰痛
三木 英之 蒲田 和芳

 横浜市スポーツ医科学センターの整形外科医と理学療法士による書。
 ぎっくり腰や慢性腰痛を中心に、痛みが起きたときの対処、日常生活でのケア、予防などが2色刷りで示されている。

 高度な内容を一般向けにわかりやすく表現しようとしている。
1章は腰痛の仕組みと原因
2章は診断と治療
3章は症状からみた腰痛のタイプと特徴
4章は家庭ででぎる腰痛対策(急性腰痛)
5章はその慢性腰痛編
6章は運動療法でストレッチ、筋力強化運動(マシーンも)、有酸素運動をイラストで解説。

 腰痛に関する正しい基礎知識と運動による対応を知るうえで役立つ。

A5判 200頁 2000年12月20日刊 1200円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)

出版元:高橋書店

(掲載日:2001-03-15)

タグ:腰痛 トレーニング ストレッチング 
カテゴリ スポーツ医科学
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手軽な運動で腰・ひざ・肩の痛みをとる
黒田 善雄 三木 英之 蒲田 和芳 小倉 孝一

 横浜市スポーツ医科学センターの医師、理学療法士、運動指導員による本。
 冒頭で「本書の特徴」として「運動療法で健康的な生活を」の一文を掲げ、「腰やひざの痛みや肩こりで悩んでいらっしゃる方々に、この本に書かれている運動をぜひ行っていただき、より健康な生活を送っていただぎたいものです」と記す。
 つまり、この本は腰・膝・肩に関する「運動療法」が主体であり、そのためイラストが豊富に使用されている。運動を示す本ではあるが、その医学的根拠や注意点など、運動療法を指導するうえでも参考になる。
 なぜ、その運動がよいのか、なぜ注意が必要な運動動作があるのかについても説いていく書で、スポーツ整形外科的知識も得ることができる。
 生活習慣病予防のための運動も、こうした整形外科的疾患の予防のための運動も、運動であることに変わりはなく、今後は両者の知識が総合的に含まれた運動、あるいは運動療法へと発展していくのではないだろうか。

A5判 200頁 2001年12月1日刊 1300円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2002-01-15)

タグ:腰痛 膝 肩 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:手軽な運動で腰・ひざ・肩の痛みをとる
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スポーツ外傷・障害の理学診断・理学療法ガイド
臨床スポーツ医学編集委員会

 臨床スポーツ医学の第18巻臨時増刊号。序文で、身体各部位の機能解剖と理学的診断法での共通認識が必要であるのに、専門の解剖書や手術書は多くあっても、「スポーツでの動きやスポーツ外傷・障害を考慮した機能解剖や理学的診断に関する書籍を見いだすことは容易ではない」と記されている。この点を考慮してまとめられたのが本書である。
 3部構成で、I部は「機能解剖」、II部は「診断・評価のための基本テクニック」、III部は「事例解説」である。整合性を持たせるため、I部とII部は同一の著者が担当している。III部は数年にわたり連載された外傷・障害別のアスレティックリハビリテーションを一部手直しし、具体的疾患に対してのリハビリテーションメニューが理解できるようにしたとのこと。
 現場復帰に至るまでのアスレティックリハビリテーションが重要と長く指摘されてきて、多くの人が研究、臨床、教育に携わってきたが、この1冊はその1つのまとめになっている。
 注文をつけるなら、機能解剖が60頁足らずのボリュームでやや物足らない。多分、それだけで膨大な1冊になり、かつ映像も不可欠なものなのかもしれない。これについては、今後の成果に期待したい。

B5判 436頁 2001年11月30日刊 7000円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)

出版元:文光堂

(掲載日:2002-03-15)

タグ:理学診断 スポーツ外傷 スポーツ傷害 
カテゴリ スポーツ医科学
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子どものメディカルフィットネス
日本健康スポーツ連盟 都竹 茂樹 梶岡 多恵子

 副題に「レジスタンストレーニングによる体ほぐしの運動」とある。体ほぐしは、平成10年度の学習指導要領改訂で出てきた言葉で、「体と心の両面から健康をとらえる」ことを目指している。その狙いは、(1)体への気づき、(2)調整、(3)仲間との交流だそうだ。
 全体は、理論とトレーニングの実際から成り、トレーニングでは自重、チューブ、ボール、水中運動などが取り入られている。「体ほぐし」というとストレッチやどちらかというと力を抜く運動を想定するが(もちろんストレッチについても記されている)、レジスタンストレーニングという筋肉を使い、体を意識させ、体や動きをコントロールする運動が上記の(1)~(3)につながるという道筋をわかりやすく説く。
 近年は高齢社会と老人医療費の高騰から、老人問題が大きな問題とされているが、国の将来を担うのは子どもである。子どもの身体への着目が始まり、いろいろな書物も出てきた。これもその中の1冊であるが、「子どものメディカルフィットネス」と呼んだ着眼点が面白い。

財団法人日本健康スポーツ連盟監修、都竹茂樹、梶岡多恵子著 B5判 134頁 2001年10月30日刊 1800円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)

出版元:ぎょうせい

(掲載日:2002-05-15)

タグ:メディカルフィットネス 子ども 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ少年のメンタルサポート 精神科医のカウンセリングノートから
永島 正紀

 精神科医である著者が、スポーツによって生じる子どもたちの「ココロの悲鳴」について精神科医の立場から警鐘を鳴らす。これまでにはない新しい視点で書かれている。スポーツに携わる指導者およびスポーツ少年を持つ親にお勧めの1冊。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2002-07-10)

タグ:メンタル 子ども 精神科 
カテゴリ スポーツ医科学
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図解雑学 スポーツの科学
スポーツインキュベーションシステム

 手や足はなぜ動くのか。筋肉はどのようにして縮むのか。筋肉を縮めるエネルギーはどこから生み出されるのか。イラストを多用して生化学・物理学・力学まで解説。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナツメ社

(掲載日:2002-11-10)

タグ:入門 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動の生理学 新版
P.V.カルポビッチ W.E.シニング 石河 利寛

 この書は、運動生理学の分野では権威があり、最初に訳本が出されてから17年が過ぎているが、1976年に新版として、内容が新しくなった。
 記述も膨大で、索引も参考文献も完備されていて、運動生理学を学ぼうとする人には使いやすい。ただし、この書を読むには、カルポビッチ、シニング両博士の序文にもあるとおり、基礎生理学の知識があったほうがよい。体育を専攻する学生だけでなく、トレーニングを考える人すべてに、一度は目を通し、疑問が生じたときの参考書として使っていただきたい書である。

P.V.カルポビッチ、W.E.シニング共著、石河利寛訳
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ベ-スボ-ル・マガジン社

(掲載日:1979-10-10)

タグ:運動生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
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エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング
八田 秀雄

運動は全て有酸素運動である
 われわれ人間はエネルギーを補給することによって身体活動を営んでいる。そして、このエネルギー補給の中でとりわけ重要なのが酸素補給である。筆者は、この酸素がエネルギーを生成する過程について「糖が分解されて、ピルビン酸になり、それがミトコンドリアのTCA回路に入って、ATPが作られました。(中略)そして、TCA回路──電子伝達系と反応が続き、ATPが作られます。このとき酸素が必要になります」と解説する。そして、酸素はミトコンドリアでATPを作る際に、反応の仲立ちをする働きがあると言う。
 ここまでは従前の知識と変わりはない。しかし、ここからが違う。筆者は、身体活動している限り強度に関係なく酸素の仲立ちは必ず行われていると言うのである。ん?
 そこで学生時代を思い出して、運動とエネルギー供給の関係について簡単に復習してみよう。運動時のエネルギー供給には3つの方法があって、1つはATP-PC系。この供給機構でまかなえる運動時間は7秒であった。次に反応は解糖系に移り、33秒がこの機構でまかなえると言われた。そして、その後は酸化系のエネルギー機構、つまり有酸素運動となるわけだ。従って、前者の7秒+33秒は無酸素運動だとわれわれは学生時代に教わったわけだ。
 ところが筆者は、たとえ最初の7秒間の全力運動でもエネルギー供給機構はATP-PC系だけではなく、ほかのシステムも働いていると言う。
「ヒトが生きているということは、糖や脂肪から酸素を消費してATPを作っているということです。それは運動中でも同じです。全ての運動は有酸素運動なのです。ダッシュも無酸素運動ではありません」 うーん、これは大変新しい解釈と言ってよいでしょう。

乳酸は疲労物質ではない
 疲労の研究は大変古くから行われているが、スポーツ競技場面においてはパーフォーマンスを低下させる原因となるので、現在でもスポーツ科学の中心的テーマの1つである。しかし、この疲労の原因と考えられている物質については昔から乳酸が常識であった。
 しかし、筆者はここでも「乳酸は疲労に無関係ではないが、高い強度の運動における疲労、特に疲労困憊を、乳酸による体内の弱酸性化だけで説明するのは不適当である」と書いている。
 そして、本当の原因は「高い強度の運動でクレアチンリン酸がなくなりリン酸が蓄積することが、疲労に大きく関係している可能性がある」と述べ、さらに「カリウム、カルシウムなど、疲労は多くの要因が関係していて、1つの要因だけで決まるわけではない」と結論づけている。
 筆者は、このようにスポーツをする者にとって今まで常識とされていた知識に対して「生理学的視点を持ちながら生化学的に考える」ことによって新たな結論とそれに基づいた新しいトレーニング方法を提案することに意欲的だ。さらに「一般の方はテレビなどでスポーツ観戦をするときに、より面白くなるということで読んでいただければいいかと思います。」という肩の力が抜けたコメントにも好感が持てる。
 大学院生やこれからスポーツ科学に興味を持つ人には、格好の運動生理生化学の入門書としてお勧めしたい一冊である。
(久米 秀作)

出版元:講談社

(掲載日:2004-06-10)

タグ:生理学 乳酸 代謝 
カテゴリ スポーツ医科学
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脳百話 動きの仕組みを解き明かす
松村 道一 小田 伸午 石原 昭彦

トキザネ先生
 今回は“脳”の話である。タイトルには「脳百話」とあるが、正確には101話の話題がそれぞれ読み切り方式で出てくる。しかしすべてが脳の話ではない。脳にまつわる話と言ったほうがよいかもしれない。
 ところで、脳の話となると、私は個人的に時実利彦著「脳の話」(岩波新書・青版)を思い出さずにはいられない。
 このトキザネ先生の名著と出合ったのはまだ夢もチボー(希望)もあった大学院生のときと記憶している。
 私はこの単行本のおかげで研究室に通う電車の中、ひたすら脳の神秘に浸り、ヒトの動きの妙に感嘆し、自身の将来の研究に大いなる野望を抱いたものだったが、果たして…。
 話を戻そう。トキザネ先生は本書の第一章に「心のすみかを求めて」と題して、脳研究小史をお書きになっておられる。それによると、人間の“精神”というものが整った形で考えられるようになったのは西暦紀元後のローマ時代になってからだと言う。
 この時代のヒポクラテスとともに古代医学の祖と呼ばれているガレノスが、それまでのアリストテレス流の心臓に心の座を求める考え方を否定して、人間の精神を想像、理性、記憶、感覚と運動の4つに分類し、それらが脳でつくり出されると主張したのだという。
 しかし、ガレノスの死後約1300年の中世暗黒時代には、彼の主張はマホメット教やキリスト教の教義に反するという理由で歪められてしまったのである。
 しかし18世紀に入ると再び脳の実質そのものに精神の働きを求めようとする考え方が出てきて、19世紀には実験脳生理学の黎明期を迎える。
 その結果、大脳皮質の働きが徐々に明らかにされていったのである。
 そして20世紀に入ると、麻酔法の発達と脳外科手術の進歩によってより精密な脳研究が進められるところとなったのである。

動く“脳”と柔らかい“脳”
 このトキザネ先生の著書を読み進めていくと、さかんに“働き”という言葉に出合うことに気づく。
「大脳皮質の“働き”」とか「頭頂葉の領域では判別や認識の“働き”がある」と言った具合である。
 しかし、本書にはこのような言葉使いはあまり出てこない。本書では、「呼吸や咀嚼・歩行といった生存のための基本運動は(中略)脳幹で制御される」「(指のタイピンク運動など)を効率的にするためには、(中略)一次運動野への入力が重要である」となる。こう言った言葉の使い方ひとつにしても、そこから現代の脳科学の進歩が窺い知れる。
 そう言えば、本書のサブタイトルは「動きの仕組みを解き明かす」であった。脳機能の動きの解明、多分トキザネ先生なら“脳の働きを解き明かす”としたであろう。
 さて肝心の内容であるが、これが極めてユーモアのセンスに富んだ内容なのである。
 例えば、タイトルだけ追ってみると「黙って座ればぴたりと当たる--脳地図と脳機能地図」とか「宇宙で筋肉はどうなる」「休めば痩せる筋線維」「うさぎとかめの筋線維」さらには「夢は目玉を駆け巡る--REM睡眠の話」「アガる人・キレる人--感情の運動作用」などなど。
 この本の執筆者たちは相当“柔らかい脳”の持ち主である。本書にはこの他に「名人への道のり」と題した中枢の運動学習についての記載もある。それによると、中枢は訓練によって運動の効率化を“学習”すると言う。
 多分柔らかい脳の持ち主は、この効率化によって得た余裕をユーモアに当てるのであろう。読者諸君にも是非本書に触れて“柔らかい脳”とユーモアを学習してもらいたいものである。
(久米 秀作)

出版元:市村出版

(掲載日:2004-01-10)

タグ:脳  
カテゴリ スポーツ医科学
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まんがでわかる ランニング障害解決事典
小嵐 正治

 フルマラソンを118回、ウルトラマラソンを57回完走するなど、走歴20年の実績を持つスポーツ整形外科医、小嵐氏が書いた本。まず「ランニング障害解決への扉」と題してランニング障害に共通している問題点を挙げ、以下、足先、下腿、膝など部位別に障害が紹介されている。
 部位別の項では、実際にどのようにして痛みを伴うかを日常における友人などとのやりとりを交えてまんがで示し、それに合わせて「診断」「治療」「予防」方法が解説されている。そのため、自分がどんな症状にあり、何をすべきかを容易に知ることができる。
 小嵐氏は「ランニングで健康な生活を送る」ことをモットーとしているそうだが、そういったライフスタイルを実現していくうえでも、障害とはうまく付き合っていく必要がある。本書は、ランナーを手助けしてくれる便利な一冊となる。
(長谷川 智憲)

出版元:ランナーズ

(掲載日:2012-10-09)

タグ:ランニング 部位別 
カテゴリ スポーツ医科学
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アダプテッド・スポーツの科学
矢部 京之助 矢野 勝彦 中田 英雄

 アダプテッド・スポーツ(adapted sports)とは、障害のある人や高齢者のスポーツを総称した言葉であり、その語源は、1970年代から英国圏で障害者の体育・スポーツを表す言葉として使われているAPA(adapted physical activity)からきている。60人を超える執筆者によって書かれたものを矢部京之助・矢野勝彦・中田英雄の3氏がまとめたもので、副題は「障害者・高齢者のスポーツ実践のための理論」。
 編著者3氏は、まえがきに「アダプテッド・スポーツに関わる人たちのハンドブックとして役立つことを願う」と記しているが、健常者のスポーツに関わる人たちにとっても、改めて気づく、あるいは今後の活動に役立つ内容が含まれている。
「私とは関係ない」と考えずに、「何が関係しているか」という積極的に知る姿勢を持って一度目を通しておくとよいだろう。
(長谷川 智憲)

出版元:市村出版

(掲載日:2012-10-09)

タグ:アダプテッド・スポーツ 
カテゴリ スポーツ医科学
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勝利をつかむコンディショニングBOOK
坂詰 真二

 本書の英語タイトルは「SPORTS CONDITIONING BOOK」だが、どうもこの“スポーツ・コンディショニング”という言葉を聞くにつけ本来の“コンディショニング”の意味を忘れてしまいそうで不安になる。本書にも「コンディショニングの解釈として、文字通り疲労や痛みを取るなど『心身の調子を整える』という『調整』としての意味でのみ使われることもあります」と一応断り書きはあるのだが、ここでは、積極的な体調管理方法、あるいは競技力向上を意図した一種のトレーニング用語として“コンディショニング”を定めているようだ。
 しかし、もともと“コンディション”という言葉は我々の日常生活と密着したところで生まれたわけで、したがって本来は、「今ある快適な状態(コンディション)をそのまま維持する」とか、「自分の生命維持にとって最良と思われる環境を整える」といった比較的穏やかな印象を与える意味の説明が適当であると思う。つまり、もともとの“コンディショニング”という言葉には、マズローによる欲求段階説にもあるように、人間には、群れるといった集団欲求や理想を実現しようとするような高級あるいは積極的な欲求以前に、生命を守るために必要な衣食住環境を整えたり、これらを未来に向けて維持していこうとする安全保障欲求といった、いわば自らの“種”を保存するために最適な環境を整えるという意味合いが濃厚に含まれると考えてよい。ということは、最良のコンディショニングとは人間の生命力、簡単に言えば寿命を延ばすことであると言えるのではないだろうか。
 今私の手元に『人間の強度と老化―人間強弱学による測定結果』(山田博 著 NHK放送出版協会)という本がある。この中で著者の山田博士は、身体の個々の器官や組織の強さを研究することによってその総合体である人間の寿命を予測できるとした。その結果、理想的なコンディショニングが維持されれば110歳までは誰でも生きられると予測したのである。

スポーツとコンディショニング
 スポーツ活動は必ずしも種の保存を約束するものではない。また、必ずしも寿命を延ばすわけでもない、とも言える。たとえば、人間にはなぜ老化や寿命があるのかについては諸説あるようだが、その中に「エラー説」というのがある。このエラー説とは、細胞が分裂を繰り返していく間にその細胞内にエラーがたくさん積み重なって、それが結果的に老化を招いて死んでしまうというものらしい。実はこのエラーを増大させる原因は我々の周囲にたくさんあって、その中のひとつに酸素がある。酸素はご存知のように我々にとってエネルギーを得るのに必要不可欠なものだが、最終的には還元されて水となる。ところが、このとき還元されない酸素もあるようで、還元されないと過酸化水素等の活性酵素として体内に残存するのである。そして、この活性酵素がDNAや細胞膜を傷つけ細胞が死んでいき、延いては「死」に繋がるというわけである。とすれば、スポーツ活動時の大量の酸素摂取は果たして「コンディショニング」と言えるかどうか疑問が残る。
 こう考えてみると、スポーツという行為とコンディショニングを整えるという行為は必ずしも同じ方向を向いた行為と捉えるのは難しい。むしろ、寿命を短くするかもしれないスポーツに対してコンディショニングという本来の寿命を確保する目的を持った手法を使って初めてスポーツの持つマイナス要因が補完されるというのが、スポーツ・コンディショニングの正しい解釈なのではないかと思う。こういった視点をもって本書を読み解いていくと、後半に筆者が「スポーツ疾患の予防と対応」や「リコンディショニング」の章を立てた理由がより一層理解しやすいと考えた。
 本書には、休養期、体力期、技術期、戦術期、調整期等の各期におけるコンディショニングの方法が図表や豊富な写真を使って懇切丁寧に説明されている。この頃は喜ばしいことに、こういった専門的知識を取り入れて正しいトレーニングを身に付けようとする人々が増えてきたように思う。本書にも、そこのところを意識して本づくりに励んだ努力の跡が随所に見られる。本当に、スポーツを愛してやまない人間が書いた、まじめな一冊である。
(久米 秀作)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:2005-08-10)

タグ:コンディショニング  
カテゴリ スポーツ医科学
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中高年のためのフィットネス・サイエンス
宮下 充正

 放送大学教養学部教授で、(社)日本エアロビクスフィットネス協会会長、(社)日本ウォーキング協会副会長などを務める宮下氏が上梓した本。身体運動と健康とを結びつける『フィットネス』という概念を中心に、中高齢者に適した平均的な運動プログラムを科学的根拠に基づいて紹介している。
 第1章「フィットネスの運動生理学的基礎知識」に始まり、「まずは、ストレッチング・エクササイズ」(第2章)、「手軽にできるウォーキング」(第3章)、「ランニングはほどほどに」(第4章)、「だれでもできる水中運動」(第5章)、「力強さの向上 レジスタンス・トレーニング」(第6章)、「肥満を予防し、減量を目指す」(第7章)と続き、第8章の「高齢者のフィットネス」で締めくくられている。
 これから運動を始める、あるいは運動をしているが正しい方法がわからないという中高齢者には特に役立つ内容になっている。巻末にある用語解説がより知識を深めさせてくれる。
(長谷川 智憲)

出版元:大月書店

(掲載日:2012-10-09)

タグ:中高年 フィットネス 
カテゴリ スポーツ医科学
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健康運動プログラムの基礎
北川 薫

 健康運動を科学的に考えるうえでの一助となるこの本は、中京大学大学院研究科運動生理学研究室にて研究をまとめた研究者が博士論文を基礎にして執筆したものを、同研究室の北川教授が編集している。副題は『陸上運動と水中運動からの科学的アプローチ』。北川教授が執筆した第1章「健康と運動」に始まり、第2章以下、陸上運動と水中運動の2部構成によってまとめられている。
 本書では、「健康とは身体的、精神的および社会的に完全に良好であって、単に疾病や虚弱ではないというだけではない」という1946年に作成されたWHOの定義に触れ、運動を身体的側面からだけでなく、精神的、社会的側面を含めて考えるべきだと主張する。加えて、ストレッチ体操やマラソンなどが社会一般ではその特性が理解されずに混同されている点を挙げ、体力への理解も健康づくりには不可欠であると記している。
 運動をするうえで、まずは個々人が必要とする体力、理想とする健康をしっかり把握する必要がある。本書が示す科学的な根拠は、身体、精神の両面を向上させる健康づくりに役立つものとなるだろう。

2005年6月13日刊
(長谷川 智憲)

出版元:市村出版

(掲載日:2012-10-09)

タグ:健康 運動処方 生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ外傷・障害評価ハンドブック
Chad Starkey Jeff Ryan 中里 伸也

 StarkeyとRyanの両氏の執筆による“Evaluation of Orthopedic and Athletic Injuries”の手引書として出版された“Orthopedic and Athletic Injury Evaluation Handbook”を翻訳したのが本書である。携帯に便利なハンドサイズで作成されている。
 400頁を超える本書では、広範囲にわたる臨床整形外科とスポーツ傷害の検査を実施するうえで必要とされる適切な知識と技術の説明に加え、評価課程にある問診、視診、触診、関節可動域テスト、靱帯の(ストレス)テスト、スペシャルテスト、神経学的テストを系統的に、かつ詳細に解説している。各節では、各部位ごとにこれらのテストの実施方法や一般的なテスト変法、テスト陽性の意味に触れているほか、頭部傷害、熱中症、心肺の状態、皮膚病も網羅しており、付録として上肢と下肢の反射テスト、筋長の評価、下肢の機能テストも紹介されている。持ち運びが容易なうえ、充実した内容の一冊である。

Chad Starkey・Jeff Ryan著、中里伸也監訳
2005年5月20日刊
(長谷川 智憲)

出版元:ナップ

(掲載日:2012-10-09)

タグ:評価 スポーツ外傷 テスト 
カテゴリ スポーツ医科学
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フィーメールアスリートバイブル
鳥居 俊

 女性アスリートの診療やサポートに携わってきた早稲田大学スポーツ科学学術院の鳥居先生を始め、13人の執筆陣が書いた本。
 日本のスポーツにおいて、指導者は以前として男性が多く、女性の身体をきちんと理解した女性の指導者はいまだに多くはないという現状もある。この本では、女性アスリートやその指導者、女子アスリートをサポートするすべての人に読めるような内容として、外科系、内科系、婦人科系などの医学面、精神医学を含めた心理面、体力科学面、栄養学面、さらに社会的側面、ジェンダー問題と幅広い分野を網羅している。
 副題は『スポーツをする女性の健康のために』。鳥居氏が前文で「増加する女性アスリートのスポーツ医科学、社会的問題をきちんとまとめておくことは重要である」と記しているように、サポートする側も女性が置かれる環境、抱える問題を認識しておく必要がある。
2005年11月25日刊
(長谷川 智憲)

出版元:ナップ

(掲載日:2012-10-10)

タグ:女性 
カテゴリ スポーツ医科学
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高齢者の機能アップ運動マニュアル
Elizabeth Best-Martini Kim A.Botenhagen-DiGenova 小室 史恵

 Elizabeth Best-Martini、Kim A. Botenhagen-DiGenovaが著した「Exercise For Frail Elders」の日本語版。虚弱高齢者および特別なニーズを持つ人のためのエクササイズプログラムの計画・実施方法が紹介されている。副題は『疾病・障害のある高齢者にも安全なエクササイズ』。
 計画をテーマとした第1部では、参加者、エクササイズプログラム、フィットネスリーダーについて、実施をテーマとした第2部では、初めにウォームアップを、心血管系持久力のためのエアロビックエクササイズ、筋力と筋持久力を鍛えるレジスタンスエクササイズ、クールダウン、エクササイズプログラムの作成についてそれぞれ解説している。
 とくに第2部は高齢者がモデルとなった写真でエクササイズが示され、詳しく書かれた安全に行うためのヒントは参考になる点も多い。

Elizabeth Best-Martini、Kim A.Botenhagen-DiGenova著、小室史恵監訳

2005年8月8月刊
(長谷川 智憲)

出版元:ナップ

(掲載日:2012-10-10)

タグ:運動指導 高齢者 トレーニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
愛知医科大学運動療育センター 丹羽 滋郎 野口 昌良

 中高齢者の生活習慣病、各種疾病予防に視点を置き、運動の実際について疾患別に疾患の概要、目的、評価、方法、期待できる効果、注意すべき点を紹介しているのが本書である。循環器疾患、代謝系疾患、運動器疾患、運動器系疾患、小児科疾患、産婦人科系、その他として関節リウマチを取り上げている。監修を担当しているのは、月刊スポーツメディスン76号の特集「機能向上エクササイズ」に登場していただいた丹羽先生。
 本書では、健康づくりのキーワードとして(1)己を知る(自分の健康状態を知る)、(2)自分の目標は何か(目標のためにどんな体力が必要か)、(3)適正な運動処方(目標に適した運動強度、量、時間)、(4)継続性(健康づくりは一朝一夕では成し得ない)の4点を挙げ、十分な動機づけをしたうえで障害の発生を予防しながら指導していくことが不可欠であると指摘する。
 付録として愛知医科大学運動療育センターで実際に行っているメディカルチェックの各項目の説明、結果表も掲載されており、健康づくりの実際の現場で役立つ内容となっている。

愛知医科大学運動療育センター編集、丹羽滋郎、野口昌良監修
2005年10月10日刊

(長谷川 智憲)

出版元:全日本病院出版会

(掲載日:2012-10-10)

タグ:運動処方 トレーニング 高齢者 メディカルチェック 
カテゴリ スポーツ医科学
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寝たきりにならないための転倒骨折予防術
林 泰史

 月刊スポーツメディスン69号の特集『骨を鍛える』に登場いただいた東京都老人医療センターの林院長が監修した本。第1章「転ばぬ先の知識と生活」では骨折危険度チェックシートを始め転倒の要因と予防法を、第2章「骨もからだも元気になる食生活」では骨を強くする食材やレシピを、第3章「骨折予防ワーク」では誰でも簡単にできる骨を鍛えるためのエクササイズがそれぞれ解説されている。
 高齢者の骨粗鬆症は増え続け、寝たきりになる原因として70歳以上で3位、90歳以上の女性では1位が骨折となっている。林院長は「生涯骨元気のススメ」の項にて、「『骨抜き』では命が成り立たない」と述べ、骨を丈夫にするポイントとして(1)不摂生をしないでよく歩く、(2)乳製品、小魚、大豆加工品と野菜をよく摂る、(3)日光にほどよく当たるの3点を挙げる。骨折→動けない→気力が失せる→寝たきりの悪循環にならないよう、骨を意識した食事・運動を取り入れていきたいものだ。

2005年7月1日刊
(長谷川 智憲)

出版元:家の光協会

(掲載日:2012-10-10)

タグ:高齢者 転倒予防 
カテゴリ スポーツ医科学
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関節痛
順天堂大学医学部

 順天堂のやさしい医学(全12冊)の第9巻となる本書は、順天堂大学が開催している「都民公開講座」の内容に新しい研究等を加えてまとめたものである。
 副題は『つきあい方と治療法』。黒澤尚氏(順天堂大学医学部整形外科学教授)の「膝の痛みとつき合う」、橋本博史氏(順天堂越谷病院院長)の「関節リウマチとつき合う」、星野雄一氏(自治医科大学整形外科学教授)の「腰痛とつき合う」、武藤芳照氏(東京大学大学院教育学研究科教授、東京厚生年金病院整形外科客員部長)の「関節痛と水中運動」とともに、公開講座で行われた質疑応答が収められている。
 4氏が共通して指摘しているのは、日常生活に適度な運動を取り入れることによって関節痛を軽減、改善できるということで、具体的な運動方法も示されている。運動により痛みが悪化することも考えられるが、いつ、どんな運動を行えばよいかについても本書では随所に解説している。関節痛とうまくつき合い、かつ健康的な生活を送るうえで参考にしてほしい一冊である。

2005年6月5日刊
(長谷川 智憲)

出版元:学生社

(掲載日:2012-10-10)

タグ:関節痛 トレーニング 水中運動 
カテゴリ スポーツ医科学
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患者指導のための水と健康ハンドブック
武藤 芳照 太田 美穂 田澤 俊明 永島 正紀

 日本全国における水不足は94年が記憶に新しい。そのときから飲料水としての水が注目され、今ではお金を出して購入することが当たり前の時代になった。その種類も多用で、消費者の水への関心は高い。「人のからだは水に満ちています」から始まる本書は、「水と健康医学研究会」での特別講演や一般研究発表を骨組みとし、同研究会のメンバーを中心に「水」についてアプローチしている。副題は『科学的な飲水から水中運動まで』。
 ヒトと水との関係を基礎に、「正しい水の飲み方は?」「水の心理的効果は?」など患者が抱くであろう45の質問を取り上げ、医科学的な知見から人体にとっての水の意義について解説、健康増進、疾病の治療、予防、リハビリテーション、水に関わる外傷・疾病・事故、さらには入浴に至るまでわかりやすくまとめている。
 本書は、私たちのからだと水が大きく関わっていることを改めて考えさせられる内容である。また、私たちの健康を水を通して考えることは、環境としての水への理解にもつながるだろう。

2006年3月30日刊
(長谷川 智憲)

出版元:日本医事新報社

(掲載日:2012-10-10)

タグ:水 水中運動 水分補給 
カテゴリ スポーツ医科学
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ナショナルチ-ムドクタ-・トレ-ナ-が書いた種目別スポ-ツ障害の診療
林 光俊 岩崎 由純

他種目の特性や傷害の理解に
 周知のとおり、日本体育協会公認アスレティックトレーナー資格試験は新卒学生にとっては難関資格となっている。受験初年度で全科目合格することは至難の業である。それは医療系国家資格の既得者が受験した場合も例外ではない。筆者の双方の受験経験からの見解だが、アメリカのNATA公認資格試験よりも試験としての難易度は高い、と言えるだろう。その要因はさまざまだが、「専門競技」と「専門外競技」という概念が試験の中に織り込まれていることもそのひとつに数えられる。各競技に共通するベースの部分や専門種目に関することだけではなく、ほかのさまざまな種目の競技特性や、好発する傷害について詳しく理解し、検定員からの質問に明確に答える必要があるのだ。これは試験の客観性維持を困難にする側面もあるが、トレーナー教育として含むべき要素である。その学習に取り組むうえで必携となるのが、今回ご紹介する本書である。
 本書は各競技種目別スポーツ外傷・障害について、ナショナルチームドクターとトレーナーの方々が中心になって執筆されたものである。競技ごとにドクター編とトレーナー編に分類され、それぞれの立場からのトップアスリートへの取り組みをみることができる。これは非常に興味深く、貴重な情報である。走る、跳ぶ、投げる、切り返す、当たるなど、スポーツの基本となる動作に関しては各競技共通項となることが多く、機能解剖や傷害発生機序の知識などで応用の利く部分も少なくはない。しかし、各競技特有の傷害や対処法の中には、目から鱗が落ちることも多いのだ。

できるだけ多種の競技に触れる
 日本のトレーナー教育の現状では、単一競技での実習がまだまだ多く、多競技に関わるチャンスが少ないように見受けられる。しかし、コンディショニングが中心になる野球のような競技と、外傷への対応が頻繁に求められるラグビーのような競技では、トレーナーの活動内容も大きく変わってくる。特定競技に関わることを、トレーナーとしてのモチベーションや自己実現の根幹にしている学生も多いだろうが、学生トレーナーとしてはさまざまな形のトレーナー活動に触れるべきだろう。自分の専門競技に戻ることがゴールであったとしても、教育課程ではトレーナーとしてのクロストレーニング、クロスエデュケーションが必要だ。他競技に関わることで、知識や経験の幅が広がることはもちろん、自分の専門競技へ応用できることが少なくないのである。
 本書に含まれるすべての競技での活動経験を積むのは非常に困難だろうが、できるだけ多種の競技に触れたうえで、疑似体験する意識で本書を読み解けば、トレーナーとして懐がぐっと深くなり、今年度より新カリキュラムになる日本体育協会公認アスレティックトレーナーの資格試験も怖くなくなる! …はずである。

林光俊 編集主幹、岩崎由純 編集

(山根 太治)

出版元:南江堂

(掲載日:2007-05-10)

タグ:アスレティックトレーニング スポーツドクター  
カテゴリ スポーツ医科学
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健康とスポーツを科学する
長尾 光城

 本書は長尾光城・川崎医療福祉大学教授が監修を務められ、副題は「これからの幸せを求めて」。その内容は以下の通りである。1章・健康とスポーツ、2章・スポーツと身体、3章・スポーツと栄養、4章・スポーツとこころの健康、5章・スポーツと安全、6章・スポーツと健康問題。1章では健康とスポーツを定義し、またヘルスプロモーションとは何か、など概略的な部分についての詳細をまとめている。そして身体の構造については、その構造と役割についてをスポーツと関連付けながら整理し、図や表、写真を用いて解説している。
 一般的にスポーツと関連付けて考えることが難しいとされる栄養の知識については競技毎に、また障害者スポーツの場合にはどのような問題点があるのかについてもふれられている。こころの健康については、ストレス・コーピングの具体的な方法をまとめ、その種類と分類も説明している。
 本書はまさに健康とスポーツを科学する、その基本的なところをしっかりと押さえている。

2008年4月1日刊
(三橋 智広)

出版元:中央法規出版

(掲載日:2012-10-12)

タグ:健康 身体 
カテゴリ スポーツ医科学
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トレーニング科学 最新エビデンス
安部 孝

 本書は昨年11月に開催された日本トレーニング科学会の記念・教育講演での発表「トレーニング科学はどこまで解明したのか」の内容をまとめたものである。
 執筆者は安部氏をはじめ、大河原一憲、岡本敦、荻田太、小倉裕司、金久博昭、川上泰雄、佐藤義昭、田中茂穂、田中孝夫、内藤久士、永井成美、沼田健之、深代千之、藤田聡、政二慶、宮武伸行、森谷敏夫の各氏と、そうそうたる顔ぶれである。
 内容は第1章『健康・体力づくりのトレーニング』、第2章『競技力向上のトレーニング』、第3章『肥満の予防・改善とトレーニング』、第4章『未来のトレーニング』と分けられ、未来のトレーニングでは加圧トレーニングを中心とした、短期集中型加圧トレーニングの効果について触れられている。
 全体的に図やデータ表を用いているので、非常にわかりやすい内容になっている。
 また各執筆者ごとに参考文献も並べられており、これからスポーツ科学を勉強しようという人にも、さらには先行研究の検討にも本書は役立ちそうだ。トレーニング科学はどこまで解明したか、是非一読願いたい。

2008年4月30日
(三橋 智広)

出版元:講談社

(掲載日:2012-10-12)

タグ:トレーニング 加圧トレーニング トレーニング科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ常識の嘘
横江 清司 スポーツ医・科学研究所

 Main Topic(月刊スポーツメディスン103号)で紹介した財団法人スポーツ医・科学研究所の開設20周年にあたる今年6月10日に合わせて刊行された書。所長の横江先生が著者である。
 だいたい2ページに1テーマの構成で、「サウナは減量によい」「ギプスを巻いたら復帰が遅れる」「ベンチプレスは肩の筋力強化によい」「運動は長時間続けなければ減量効果がない」「肩の脱臼は筋トレで治る」など、計37項目の「常識の嘘」を解説。
 たとえば、ギプス固定については、不必要なギプスの場合は正しいが、ケガの種類、程度によっては間違った常識になるとし、生理学的に治癒するまでの期間の適切な期間の固定は必要と明確に記している。また、ギプス固定による筋萎縮の問題についても触れ、ギプス固定中の筋力維持法についても記している。
「常識の嘘」というのは、一般にそのように言われ、信じられ、実践されていることだが、その正しい部分と間違った部分を明確にして示そうという試みのようだ。
 運動中に水を飲むなとか、突き指は引っ張っておけばよいとか、今では間違いとして知られていることもあるが、スポーツの現場によっては、まだ今も行われていることが少なくない。ただ頭からよいとか悪いとするのではなく、正しい知識を持って行うことの大切さがよくわかる本である。

横江清司著、(財)スポーツ医・科学研究所編
2008年6月10日

(清家 輝文)

出版元:HIME企画

(掲載日:2012-10-13)

タグ:知識 スポーツ科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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コアコンディショニングとコアセラピー
平沼 憲治 岩崎 由純

 本書のあとがきをみると、「コアコンディショニングとコアセラピーは発展途上の概念であり、事例や症例を通じた検証のみというように科学的検証が不十分な多数の方法論を含んでいます。本書の製作の過程ではこれまであいまいだった定義や概念図の再構築、用語の統一、理論の根拠となる文献の検索などが必要であることが顕在化し、それらの再構築が行われました」とある。
 エビデンスの充実がこれら治療の発展には不可欠だったが、あとがきにあるとおり本書ではこれまであいまいだった定義や概念を、多分野の専門家によって用語を統一しており、スポーツ指導者、フィットネスインストラクター、アスレティックトレーナー、鍼灸、柔道整復師などに向けた必見の内容。全体的にイラストや写真を用いて説明されている。
 とくにストレッチポールを使った運動によるコアコンディショニングは、さまざまな競技種目で活用されているだけではなく、今後は介護予防の場面での活躍を期待されており、それらコアコンディショニングの基礎知識を習得するのに有用である。
 現場で指導にあたっている方、また現場に出る前に基礎知識を身につけたい方にとっても大きな一冊となるだろう。

2008年7月5日刊
(三橋 智広)

出版元:講談社

(掲載日:2012-10-13)

タグ:コアコンディショニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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ACL損傷予防プログラムの科学的基礎
福林 徹 蒲田 和芳

 ACL(前十字靱帯)損傷は、1970年代後半、世界が競って診断と治療を研究した分野であり、スポーツ整形外科最大のトピックとして受け止められたと言ってよいだろう。
 その診断と治療については、一定のレベルに達し、当初は一部の医療機関でしか実施されていなかった関節鏡手術は今や多くの医療機関で行われるものとなった。
 しかし、いかにACL損傷の治療が進んでも、復帰までには半年はかかり、その間のブランクは大きい。やはり受傷しないですむのが一番なのは他の疾患と変わりない。
 そこで現在は本誌でも紹介したように、その予防プログラムの研究開発が各国で盛んに行われ、わが国でもいくつかのプログラムがスタートしている。その科学的データをレビューしたのが本書である。
 スポーツに通じた理学療法士が集まり、世界中の文献を渉猟し、報告し合い、それをまとめる作業の成果がこの1冊である。ACL損傷の疫学・重要度、危険因子、メカニズム、予防プログラムの4章に分けて整理されている。何かと参考になる1冊と言えよう。

2008年5月12日刊

(清家 輝文)

出版元:ナップ

(掲載日:2012-10-13)

タグ:ACL 前十字靭帯 
カテゴリ スポーツ医科学
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誰でもわかる動作分析 私もこれで理解できました
小島 正義

 この本の著者である小島氏の職業は作業療法士。小島氏は「まえがき」で、地球上の生物は、「ある法則」に基づいて動いており、生物の動きはその「ある法則」で説明できると言う。ただ、物理学や運動学、人間工学の用語を用いると、とたんに難解になる。
 そこで簡単に「よりわかりやすく」理解できるようにまとめられたのがこの本である。たしかに読み進めていくと、頁を専門用語が埋めることもなく、実にわかりやすく、イラストを豊富に使い、身近な事柄を例にあげて説明されている。たとえば、ハンマー投げと砲丸投げの動作からわかった「反対の法則」など、思わず、「なるほど」とうなずいてしまう。
 序章と最終章を含め、全11章でまとめられ、各章の最後には、まとめが記されている。さらに「実習」の頁があり、読むだけでなく、実際にその法則や動作を体感することもできる。スポーツの動作解析というよりも、小島氏が作業療法士という立場から、人間の動作という点に重点を置いているため、介護やリハビリ、高齢者の動きといった面から説明されている。
 動作分析を読み解く「法則」を理解すると、日常の動きだけでなく、もちろんスポーツ動作も理解できる。スポーツの指導にも活かせる。「動作分析は、むずかしそうで……」という方。「私もこれで理解できました!」

2008年9月10日刊
(田口 久美子)

出版元:南江堂

(掲載日:2012-10-13)

タグ:動作分析 
カテゴリ スポーツ医科学
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DVDでみるアスレチック・マッサージの実際
栗山 節郎 後藤 修司 内田 真弘

 南江堂では1993年『アスレチック・マッサージの実際』(栗山節郎、村井貞夫、本間暁美著)を刊行しているが、今回は新たに機能解剖学、運動学などの図表も豊富に使い、整形外科学、リハビリテーション医学などの視点からもアプローチされている。
 第Ⅰ部アスレチック・マッサージの基本事項、第Ⅱ部リハビリテーションの基礎知識、第Ⅲ部アスレチック・マッサージの基本手技、第Ⅳ部全身・局所マッサージと他の療法との併用、第Ⅴ部部位別アスレチック・マッサージ、第Ⅵ部アスレチック・マッサージの応用、第Ⅶ部PNFテクニックの項目に分かれているが、とくに第Ⅵ部のアスレチック・マッサージの応用では、種目別(15競技)の特徴を踏まえた施術のポイントや方法が紹介されており、スポーツ現場で実践的に使えるようマッサージのポイントとしてまとめられているのも読者にはうれしい。
 実に200点を超える写真のみならず付属のDVD(100分)により、写真ではわかりにくい部分もわかりやすく解説されている。これからアスレチック・マッサージを勉強したい人にもおすすめの実践書。

2008年11月10日刊

(田口 久美子)

出版元:南江堂

(掲載日:2012-10-13)

タグ:マッサージ 
カテゴリ スポーツ医科学
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乳酸と運動生理・生化学 エネルギー代謝の仕組み
八田 秀雄

 医科学の研究は実に日進月歩である。これまで定説として言われてきたこと、実践されてきたことが、数年の間にその考え方も実践も変わってしまうことは少なくない。そうした研究によって考え方や捉え方が変わってきた1つに「乳酸」がある。「乳酸は疲労の原因と関係し、スポーツ選手にとって悪いもの」といった考えが主流であった。しかし、長年乳酸の研究に携わってきた八田氏は「乳酸は老廃物ではなくエネルギー基質であり、乳酸ができるのは糖を多く利用するからで、酸素がないからではなく、乳酸ができる運動が無酸素運動でもありません。運動の疲労は多くの場合乳酸が主たる原因ではありません」と本誌(月刊スポーツメディスン)で述べているように、最近では乳酸の考え方は変わってきた。
 とはいえ、多くの運動生理学のテキストにはいまだに「強度の高い運動は無酸素運動」と書かれているものもあり、「それならば自分で教科書を作るしかない」と書かれたのが本書である。したがって、最初の4章を運動生理の基礎、次の5~9章を糖と脂肪を中心とするエネルギー代謝の基本、後半の10~16章がエネルギー代謝の応用で構成されている。これから運動生理学を学ぶ人に最適な1冊である。

2009年2月17日刊
(田口 久美子)

出版元:市村出版

(掲載日:2012-10-13)

タグ:乳酸 生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
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教養としての身体運動・健康科学
東京大学身体運動科学研究室

 駒場にある東京大学の身体運動科学研究室にはたびたび訪れる。
 この本は、「はじめに」によると、東大教養学部前期課程基礎科目「身体運動・健康科学実習」の教科書として、東大大学院総合文化研究科スポーツ・身体運動前期部会の教員の共同執筆によって編集されたものである。
 簡単に言えば、大学の教科書であるが、まさに「教養としての身体運動・健康科学」の書である。スポーツ、スポーツ科学、スポーツ医学を語るとき、あるいは議論するとき、共通の基盤が求められる。その基盤として、本書に記されていることは理解しておきたいと思わせる内容になっている。
「教養としての」という表現は考えると深い意味がある。東大では新入生はすべて教養学部に入学し、そこで前期課程と呼ばれる2年間の教養教育を受けたのち、教養学部を含めた各専門学部(後期課程)へ進学するという。その前期課程での身体運動・健康科学のテキストというわけである。巻末の資料に収められた「ヒポクラテスの養生論」「貝原益軒の養生訓」「ロックの身体の健康について」など歴史的文献も役立つ。お手元にぜひ1冊。

2009年3月23日刊
(清家 輝文)

出版元:東京大学出版会

(掲載日:2012-10-13)

タグ:教科書 教養 運動科学 健康科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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強くなる近道 力学でひもとく格闘技
谷本 道哉 荒川 裕志

 著者の1人、谷本氏は空手の選手として稽古に取り組んでいた。現在ではスポーツバイオメカニクスや筋生理学の研究者である。また、もう1人の荒川氏はプロの格闘技の現役選手であり、研究者でもある。この2人が『格闘技通信』で連載した内容に加筆・修正を加えたものが本書である。
 より効果的な突きや蹴りが、どのようなメカニズムで生まれているか、また現場で使われるさまざまな表現を力学的な観点から解説していく。
 著名な選手、伝説的な格闘家の動きについても多くの記述があるが、著者らの「強くなるためにどうすればよいか」という執念に基づくものではないかと感じられた。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:2009-06-10)

タグ:力学 トレーニング スポーツバイオメカニクス  
カテゴリ スポーツ医科学
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運動と健康
臼井 永男

 本書は、放送大学の教材として出版されたもの。
 まえがきに「本講義は、直立・二足歩行を呈するヒトのからだの特徴ならびに、運動の重要性について概説した」と記されているように、第1章では「ヒトのからだの特徴」として、1.直立姿勢の神秘、2.直立・二足歩行に適したからだのかたち、3.姿勢反射、について、ヒトのからだの構造と仕組みをまず最初に理解することから話が進められる。それらを踏まえて神経系、呼吸器系、循環器系、運動器系の内容へ話は進んでいくが、本書はもちろんそれだけで終わらない。
 さらに発育発達からトレーニングの基礎、スポーツ文化、リハビリテーションと体育・スポーツ、生涯スポーツと、この1冊で幅広い内容を網羅している。
 文章は教材ということもあって、基礎的なことがわかりやすく書かれており、各章の冒頭に「目標&ポイント」「キーワード」としてまとめてあるため、学ぶべき要点が理解しやすく構成されているのも本書の読みやすさの1つと言える。
 スポーツと運動について再度勉強してみたいという方にもおすすめの一冊。(T)

2009年3月20日刊
(田口 久美子)

出版元:放送大学教育振興会

(掲載日:2012-10-13)

タグ:教科書 運動 健康 
カテゴリ スポーツ医科学
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変形性股関節症は自分の骨で治そう! 人工関節をえらぶ前によむ本
井上 明生 大川 孝浩 永井 良治

 昨今、中高齢者による運動・スポーツへの愛好家が増えている。いつまでも若く元気でいたいという思いから、ウォーキングなどの軽い運動のみならず、山歩きといった本格的なスポーツまで楽しんでいる方も多い。しかし、その一方で、運動やスポーツをやりたくても膝や腰や股関節が痛くて歩くことも困難という人もいる。
 本書は、変形性股関節症という股関節の痛みに悩んでいる方たちに向けて書かれている。医学技術が飛躍し、20世紀後半には「世紀の手術」と言われるくらい股関節疾患の患者さんたちに人工股関節置換術は恩恵をもたらしたと著者は言う。しかし、本書では人工股関節置換術をすすめているわけではない。著者の信念の1つは「移植医療は医療の敗北」だと言う。いかにして股関節における移植医療、すなわち人工股関節置換術を避けるかに焦点を置き、代わりに「キアリ骨盤骨切り術」という方法を紹介している。この手術の適応、治療成績、限界など、患者の立場にたって、大きな文字で書かれている。最終的には患者の判断によるものだが、移植医療以外の対応を知っておくことは大事なことではないだろうか。
2008年12月5日刊
(田口 久美子)

出版元:メディカ出版

(掲載日:2012-10-13)

タグ:変形性股関節症 
カテゴリ スポーツ医科学
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跳ぶ科学
宮下 充正 深代 千之

 理想的に「跳ぶ」ことを分析した数々の結果が掲載されている。
 またページ数は少ないが、当時のIT環境を考えると時代を先取りした指導の提案もされている。
 経験や勘もきちんと検証され、トレーニング科学で分析された結果と合わせて、上手に利用することができれば、指導力や効率がさらに上がり、世界に通じる競技者を育てることができるのではないか。
 研究者だけでなく、指導者にも科学的思考が必要である。
(澤野 博)

出版元:大修館書店

(掲載日:2012-10-13)

タグ:トレーニング科学 バイオメカニクス 
カテゴリ スポーツ医科学
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乳酸を活かしたスポーツトレーニング
八田 秀雄

 乳酸について70個のQ&A形式で構成されている。一般の人が乳酸と聞いて疑問に思うことから、トレーニングに興味を持ち始めた学生が疑問に思うことまで、乳酸に関することを幅広く一通り解説してある。
 本書に出てくる質問は簡単だが、それに対する回答は実は簡単ではない。しかしそれを誤解のない範囲で、かつ理解しやすい形でまとめてある。
 いまだに疲労物質といわれ、誤解されている乳酸であるが、一般の人や競技者、コーチ初心者がとりあえず乳酸のことを理解するために役に立つ書籍である。
(澤野 博)

出版元:講談社サイエンティフィク

(掲載日:2012-10-13)

タグ:乳酸 トレーニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ科学から見たトップアスリートの強さの秘密
児玉 光雄

 身体能力や動体視力、脳、エネルギーシステム、高地トレーニング、疲労、メンタルトレーニング、ジュニア期の発育発達など、スポーツに関わるさまざまなトピックを一般向けにわかりやすく解説している。見開きで左ページには文章、右ページにはイラストや表を用いている。
 運動学習、生理学などだけではなく、野球やゴルフ、テニス、サッカー、陸上競技におけるバイオメカニクス的な側面についても詳しく解説されている。これまでの主な研究がコンパクトかつ平易にまとめられているので、スポーツ科学における多くの分野を俯瞰できる内容となっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ソフトバンククリエイティブ

(掲載日:2009-09-10)

タグ:スポーツ科学  
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ測定評価学 からだの形と働きを測る
角田 直也 須藤 明治

 測定と評価に関して、多岐にわたる方法と基本となる考え方を網羅した教科書である。全身持久力や伸長、体重、新体力テストに始まり、BIODEXによる筋力測定、自転車エルゴメータによる無酸素性パワー測定、動作解析、超音波、骨密度、バランス能力、筋電図、全身反応速度など、必要と考えられる測定方法の意義や手順、応用例が紹介されている。
 興味深いのが終章のスポーツ測定評価実践にまとめられた項目である。これは学生向けの課題として使えるようになっており、記入欄に書き込んで提出できるよう、切り取り線が入っている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:文化書房博文社

(掲載日:2010-01-10)

タグ:教科書 測定 評価  
カテゴリ スポーツ医科学
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時計の針はなぜ右回りなのか 時計と時間の謎解き読本
織田 一朗

 人々は「昼夜にかかわらず」「天気にかかわらず」「場所にかかわらず」時を知る方法に考えをめぐらせてきた。その結果が、日時計であり、水時計であり、火時計であった。時計の進歩ははかりなく、機械式時計の発明はすべての点で画期的であった。にもかかわらず、われわれはどれほど「時」について知っているのであろうか。本書は、さまざまな「時」に関する疑問について答えてくれる。
 スポーツの分野に「時計(計時機能)」がフィールドで使われることになったのは1820年代であるという。すでにスポーツにはなくてはならない計時機能であるが、「時」を「計る」ことと、「判定」するということは、同じことであるのか。あまり考えたことのないこの問題について考えさせてくれた一冊である。
(上村 聡)

出版元:草思社

(掲載日:2012-10-13)

タグ:開発 時計 
カテゴリ スポーツ医科学
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Post Isometric Relaxation 等尺性収縮後の筋伸張法
伊藤 俊一

 本書は書名にもあるように、post isometric relaxation後のストレッチング(等尺性収縮後のストレッチング)についての解説書である。これまで筋疲労の回復目的や筋・筋膜性由来の疼痛などに対して一般的に用いられてきた手技である、等尺性収縮後のストレッチングを詳しく解説している本は本書が初とのことである。個別の筋ごとに、具体的な力の加え方やストレッチングの方法を写真とともに詳しく紹介されている。
 手技の方法のみの解説ではなく、この方法に至る背景や評価、禁忌や限界も詳しく述べられている。スポーツの現場に関わる治療家やトレーナーの方々にとって、大変興味深い一冊である。
(泉 重樹)

出版元:三輪書店

(掲載日:2012-10-13)

タグ:ストレッチング 
カテゴリ スポーツ医科学
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スプリントトレーニング 速く走る・泳ぐ・滑るを科学する
日本トレーニング科学会

 そもそもスプリントトレーニングとは何かという定義から始まり、生理学・生化学、バイオメカニクス、評価方法、トレーニング計画、傷害予防、栄養、ドーピングなど、多岐にわたるスポーツ医科学的な内容がコンパクトにまとまっている。
 なお、スプリントトレーニングという題名から、陸上競技を連想するが、本書で扱っているのは、陸上競技に限定されない。サッカー、水泳、スキー、スピードスケートなども取り上げられているのが特徴の1つである。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:朝倉書店

(掲載日:2010-04-10)

タグ:トレーニング科学 スプリント  
カテゴリ スポーツ医科学
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徒手的理学療法
藤縄 理

 全6章で構成され、基本理念、評価の原理、治療の原理について解説した後、部位ごと(脊柱、上肢、下肢)に機能解剖、主な傷害、評価方法とともに、徒手的理学療法が紹介される。実際の動きについても、DVDを用いて動画で繰り返し見ることができ、技術を身につけるうえで役に立つ。
 主に理学療法士へ向けて関節モビライゼーションや軟部組織モビライゼーションなどについて解説したものであるが、各部位に関して自己モビライゼーションや自己ストレッチング方法も紹介されており、参考になる。
 筆者は25年の経験を持ちながら「いまだ修行中の身です」と書いている(序文)。よりよい学びの場を提供したいという思いが結実した書籍である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:三輪書店

(掲載日:2010-04-10)

タグ:理学療法 モビライゼーション ストレッチング  
カテゴリ スポーツ医科学
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コアコンディショニングとコアセラピー
平沼 憲治 岩崎 由純 蒲田 和芳 渡辺 なおみ

 あなたは、ストレッチポールに乗ったことがあるだろうか。正しく行えば、誰しも必ず、胴体から付属している頭、腕、脚のポジションが、ニュートラルな状態にリセットされた感覚を味わうことができる。
 ここでは、その進め方、エクササイズの方法もさることながら、その裏づけとなる解剖・生理・運動学を理論的に学ぶ。スタジオエクササイズとしての「ベーシックセブン」を提供している者は、本来知らなくてはならない事項なのではないだろうか。また、介護予防としてのプログラムを、目的、段階別に解説、そして疾患別に治療としての方法も多種にわたって紹介されており、本書は、今やアスリートから高齢者まで幅広くクライアントをお持ちのパーソナルトレーナーも知っておいて損はない。いや知らずして人の身体は預かれないだろう。教科書的存在になるはずだ。
 もちろん、自分自身の癒しのためにも使っていただきたい。

平沼 憲治、岩崎 由純(監修)、蒲田 和芳、渡辺 なおみ(編)
(平山 美由紀)

出版元:講談社

(掲載日:2012-10-13)

タグ:コア 
カテゴリ スポーツ医科学
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これからの健康とスポーツの科学
安部 孝 琉子 友男

 健康科学、スポーツ科学に関して、幅広く16章にわたってまとめたもの。いずれも身近なことを題材としながら、エビデンスが簡潔に示され、まんべんなく基本的な知識や考え方を身につけることができる。
 健康に暮らしていくためにはどのようすればよいかという視点から、運動習慣や肥満、骨の強度、ストレスとの関連などを紹介。また、スポーツについては、パワー発揮、持久力、スタミナ、スキル、栄養、暑熱環境や高地トレーニングなどについて広く取り上げられている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2010-07-10)

タグ:健康科学 スポーツ科学  
カテゴリ スポーツ医科学
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学校スポーツ ケガをさせずに強くする
森部 昌広

 フィジカルトレーニングやコンディショニングの重要性を訴える内容の一冊。
 スポーツの指導者の中で、身体能力を向上させるトレーニングや体調管理について、「必要ではない」と思っている人はどのくらいいるのだろうか? おそらく、ほとんどの指導者は、「必要だ」と認識しており、何らかの取り組みをしていると思う。
 ところが最近、ちょっとした異変が起きている。「フィジカルトレーニングは必要ない」という意見が台頭してきたのだ。サッカー指導者のジョゼ・モウリーニョ(2010年現在イタリア・インテル監督)の流儀が注目され始め、日本でも『テクニックはあるが「サッカー」が下手な日本人』(村松尚登著、ランダムハウス講談社)が出版され、売れ行きも好調らしい。もちろんこれは、身体能力の向上やコンディションを整えることを軽視するものではなく、実際に起こりうる状況を想定した練習を繰り返すことで、それに必要な身体能力も必然的に向上するという考えで、フィジカルトレーニングとプレー練習を別々に行わないという点がこれまでの主流と違っている。
 ただ、フィジカルトレーニングについて、どのように考えていようとも、競技スポーツにおいて身体能力の向上やコンディショニングが重要事項であることには変わりはない。
 本書のタイトルの「ケガをさせずに強くする」ことは、種目や国やレベルが違っても、スポーツの現場における共通の命題なのである。ところが現状では、フィジカルトレーニングやコンディショニングの重要さが繰り返し叫ばれている。
 なぜか。おそらく、それらが正しく理解・実践されていないせいであり、本書がそれを基礎からわかりやすく丁寧に解説してくれている。スポーツ指導に携わる人は、本書の内容をよく理解したうえで、各現場に合ったアプローチ法を研究してほしい。
(尾原 陽介)

出版元:毎日新聞社

(掲載日:2012-10-13)

タグ:トレーニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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新版 これでなっとく使えるスポーツサイエンス
征矢 英昭 本山 貢 石井 好二郎

「多くのスポーツ・体育の現場であがっている疑問の叫びを大事にしよう。できるだけトレンディーな情報を提供しよう。でも、理解できないのはだめだ。面白くないとね!」という著者らの思いから生まれたのが本書である。そして、スポーツサイエンスを「納得」し、「使える」ようにすることが本書の目的である。
 全体の大きな構成として、「トレーニング」、「試合で勝つ」、「健康なからだ」、「基礎知識」という順番で、4つの側面から構成されている。これは、一般の健康づくりから競技アスリートまで、幅広く対応しようとするものなのであろう。また、実践的事例を経て基礎知識へ向かう構成が興味深い。これは、帰納法的側面から具体的な取り組みをイメージし、それらの本質を捉えるために演繹法的側面に収束させることで、「実践と理論を合致させる」ということを試みているように感じ、大変新鮮であった。
 次に、各チャプターに目を向けると、指導現場で多く見られる疑問を豊富に取り上げている。そして、各疑問についての説明を見てみると、見開きの分量で、簡潔かつ論理的なため、大変わかりやすい。この内容であれば、学生アスリートでも十分に理解可能なのではないかと感じた。
 また、もう一つの気づきを得られたような気がする。それは、指導者側は、「簡潔かつ論理的な説明の仕方を学ぶ絶好の教材になり得る」ということである。例えば、「ウォーミングアップ」ということについて、テーマに対する構成が、「本質的側面→具体的な取り組み内容→注意ポイント→まとめ」という流れになっているので、指導者自身の説明能力向上にも貢献できる内容であることを実感した。
 以上のことをまとめると、本書は、幅広い指導対象への対応を可能にするだけでなく、指導者自身の知識の整理や説明能力の向上、さらには、辞書的機能としても貢献できるということである。本書は、2002年に発刊され、その後、増刷を重ねて改訂にまで辿り着いている。この側面から見ても本書の質の高さや、読者からの支持の高さがうかがわれるであろう。指導現場において、常に手元に置いておきたい一冊である。
(南川 哲人)

出版元:講談社サイエンティフィク

(掲載日:2012-10-14)

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スポーツ医学常識のうそ
横江 清司

人体に関する普遍性
 常識とは、一般の人々が共通に持つ、それが普通だと考える知識や考え方のことである。しかし、それが普遍的な真理だとは呼べない。社会的常識というものは国や地域、また時代によって大きく異なる。さらに突き詰めれば、個人の捉え方でその様相は別物になってしまう。法とは個人の捉え方に左右されない、いわば強制力を伴う常識であるが、これですら地域や時代で変化する。ただ、人間という身体の機能に関する常識は、人種により多少の違いはあれど、本来普遍的なものであるべきだろう。うれしいときに喜び、悲しいときに嘆くといった根本的な精神活動もしかりだ。しかし、いまだその真理の多くが解明されていないということも現時点での真実であるし、個々の人間性という複雑な精神活動を加味した場合、絶対的真理というものは存在し得ないのかもしれない。

「常識」への警鐘
 本書ではスポーツ界に「常識」として普及している情報の中で、問題のあるものを取り上げてわかりやすく解説している。これら人間の身体に関する「うその常識」は、スポーツ医学を専門に学んだ者にとってはすでに「常識」たり得ないことばかりで、陳腐な感は否めない。しかし、世間一般の読者が持つ「常識」への警鐘が今なお必要だということであろう。次々に生み出される目新しいダイエット本がベストセラーになり、減量用サウナスーツが今なお売れているくらいだから、この問題が解決されることは、あるいはないのかもしれない。商売上手な業者に誤った「常識」をすり込まれて顧客化する、あるいは誤った「常識」の流行に如才なく棹さす商売上手が儲ける仕組みは、この先もなくならないのだろう。
 仮に真理というものがあるとしても、気づいてしまえばつまらないことが多く、当たり前のことを当たり前にすることなど、面白みがないという側面も理解はできる。人は刺激的なこと、目新しいこと、楽に目的達成できる方法や自分が納得するのに都合がよいことに理由なく心奪われやすい。このことは責められないし、個々人が健康を害しない程度で取り上げるのであれば、日々の生活に何か変化をもたらすという意味で、罪のないことなのかもしれない。

常識を更新し、人間と向かい合う
 ただ、それが人体に害をなすことであれば話は別である。医学界でエビデンス(科学的根拠)に基づく医療(EBM)という概念が唱えられて久しい。現時点での医学界での良識を打ち立てていくこの考え方は、スポーツ界や健康業界でももっと広がるべきだ。現場で働くアスレティックトレーナーも常に研究者や臨床家が苦労の末得たエビデンスに敏感でいる必要がある。もちろん、その質にもさまざまな議論があり、時に覆されることもあるこの言葉に単純に踊らされることはないが、現時点での「常識」を常に更新しなくてはならないのだ。それには実体験に基づく有用な経験則と思い込みとを区別し、本来持つべき新しい「常識」の会得を阻害することがないような心構えも必要だ。
 そしてEBMも、盲目的に患者や選手に押しつける材料にしてしまっては、その本来の意味を見失うことになる。複雑な精神活動が加味された人間である選手や患者と向かい合ったときには、やはりそれを話す側の人間的な力が必要になるのだ。勇気を持って選手の考えにノーを突きつける姿勢や、リスクの質、大きさを可能な限り正確に理解し、伝え、選手が望むチャレンジに覚悟を持って付き合い、ギリギリで戦い続ける姿勢も必要なのだ。そこに真理はないかもしれないが、何らかの真実があるはずだ。
(山根 太治)

出版元:全日本病院出版会

(掲載日:2010-09-10)

タグ:学び  
カテゴリ スポーツ医科学
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機能障害科学入門
千住 秀明 沖田 実 松原 貴子 森岡 周

 リハビリテーションに関わる人たちにとって、機能障害こそが治療のターゲットになる、と編者は言う。扱っているトピックは炎症、急性・慢性痛、創傷、靭帯・骨・筋損傷、骨折、麻痺などである。
 機能障害がどのようなメカニズムで発生し、それに対して「現在の治療トピックス」がどういったものであるのかがまとめられている。
 主に理学療法士や作業療法士の学生向けとあり、短い文章で箇条書きのように述べられていて、知識の整理に役立つ。学生だけでなく、身体の構造について知っておかなければならないスポーツ現場の専門職にとっても有用となるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:九州神陵文庫

(掲載日:2012-10-14)

タグ:機能障害 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツマッサージ 運動・フィットネス・リハビリテーションのケア
大谷 素明 Sandy Fritz 乗松 尋道 宮本 祐介 八坂 里子 山下 貴士

 Sandy Fritzによる『SPORTS&EXERCISE MASSAGE』の抄訳である。
 1部では、基本的な知識についてまとめ、手の動かし方、リンパドレナージュ、トリガーポイントなど、さまざまな手法が紹介されている。2部では、損傷の一般的分類と部位別損傷について述べられ、どのようなマッサージを行うか、あるいは行ってはならないかがまとめられている。日本では制度上の違いによりできないものもあるだろうが、治療の考え方が興味深い。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:西村書店

(掲載日:2012-10-15)

タグ:スポーツマッサージ 
カテゴリ スポーツ医科学
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柔軟性の科学
Michael J. Alter 山本 利春

 500ページ近くにわたり、柔軟性について体系的に網羅したレビューとなっている。原著はScience of Flexibility。全19章を用いて取り上げられている範囲は非常に幅広い。たとえば、柔軟性に影響を及ぼす各因子について検討し、筋線維などの軟部組織の微細構造について、あるいは神経について概観している。さらには、腰と骨盤、ハムストリングスの相互関係(第17章7節)といった、運動学的な視点からの分析もある。柔軟性やストレッチングとの関連で危険性についても述べられており、リスク管理の手がかりにもなるだろう。
 具体的なストレッチングの方法については付章「ストレッチングエクササイズ」として60項目がまとめられているが、本書の主眼はそこではない。柔軟性という身体の要素について考える基盤となる一冊である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:2010-08-10)

タグ:柔軟性 ストレッチング  
カテゴリ スポーツ医科学
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ストレッチングセラピー
Jari Ylinen 泉 秀幸

 原著はVenytystekniikatを英訳したStretching therapy for Sport and Manual therapies。原著者はフィンランドの医師で、母国と英国でマニュアルセラピーを学び、帰国後にリハビリテーションと痛みを専門とし、実践している。
 本書は二部構成となっており、理論編とテクニック編に分かれる。理論編では、ストレッチングに関するさまざまなエビデンスをまとめ、研究方法、用語の整理が行われている。ストレッチングを実施するにあたっての理論的背景を確認することができる。テクニック編では、各部位の機能解剖学的な図を示し、どのようにストレッチングするかについてセラピストと患者双方の姿勢とともに写真と矢印でポイントを示している。小さな筋肉の1つ1つも対象としているため、きめの細かい対応をする際に参考になりそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2010-08-10)

タグ:ストレッチング  
カテゴリ スポーツ医科学
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バイオメカニクスで読み解くスポーツ動作の科学
深代 千之 川本 竜史 石毛 勇介 若山 章信

 最初に身近な例を用いた問題を示し、それに対する答え、さらに解説という形で構成。スポーツ動作や人体について、バイオメカニクスの立場で読み解いていくが、扱っている内容は広いが理解しやすい。
 本書はバイオメカニクスの考え方をわかりやすく伝えている。序章でスポーツバイオメカニクスの魅力について4項目が挙げられているように、謎が解けたり、意外な発見があったりすることが実感でき、より身近に感じられるようになるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:東京大学出版会

(掲載日:2012-10-15)

タグ:スポーツバイオメカニクス 
カテゴリ スポーツ医科学
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ようこそ、これからのSkin Careへ
上田 由紀子

 “SkinCare”と聞いて、男性(もしくは女性の中にも…)は“自分には関係ない”“興味がない”なんて思う人もいるかもしれない。
 しかし本書には、そんな人も気軽に読めるように1月〜12月と季節毎にテーマを変えたり、対談形式にすることで読みやすさを増している。
 量的には少し多いと感じる部分もあるが、細かいセクションに区切られているため興味を持ったセクションだけを見ることができるし、スポーツとスキンケアの関係や、男性の髪やヒゲの悩みについてのセクションもあるため、男性も十分楽しめる内容となっている。
(藤井 歩)

出版元:奥村印刷

(掲載日:2012-10-15)

タグ:スキンケア 皮膚 
カテゴリ スポーツ医科学
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スプリントトレーニング
日本トレーニング科学会

 スプリントトレーニングというと、トラック種目が思い浮かぶが、それだけではなく、球技などでも必要とされているものである。この本では陸上短距離を中心に、その他の競技におけるスプリントを調査分析したものを紹介している。
 研究者が調査分析したものをもとに、それぞれの競技で必要と考える要素だけではなく、スプリント以外の要素も加えていかに新しいトレーニングを構築してゆくのか。競技力を向上させるために、フィジカルコーチが行わなければならないことである。
(澤野 博)

出版元:朝倉書店

(掲載日:2012-10-16)

タグ:スプリント 
カテゴリ スポーツ医科学
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フィーメールアスリートバイブル
鳥居 俊

 現在日本ではプロ、アマ問わず女性アスリートが数多く活躍している。その反面、女性だからこそ抱える問題も数多く存在していることにあまり焦点は当てられていない。また女性の身体をきちんと理解した指導者も未だ多くない。
 本書は女性アスリートの健全な競技活動をサポートしたいという筆者の願いから、医学・体力科学面はもちろん、心理面・社会的側面からも焦点を当て作成されている。筆者自身が数多くの女性アスリートと現場で接してきたからこそ、もっとよい環境で女性アスリートに競技をしてほしいという想いがこもった一冊である。
 男性が読んでも、これからの競技活動に活かせるような違った視点からの考え方が得られるはずである。
(磯谷 貴之)

出版元:ナップ

(掲載日:2012-10-16)

タグ:女性アスリート 
カテゴリ スポーツ医科学
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徒手的理学療法
藤縄 理

 徒手的理学療法とは、理学療法の一部として行われている徒手療法をいいます。徒手療法は徒手を用いた治療方法で、神経筋骨格系の機能異常を評価し治療する体系的な方法です。
 徒手的理学療法の具体的な手技を表す用語として、マニピュレーション、モビライゼーション、マッサージなどがあります。しかしこれらの用語はさまざまな意味で使われており、治療現場においても統一されていないのが現状です。  「物事の本質を知るためには、その歴史を知る必要がある」といわれます。本書では、はじめに徒手療法の歴史と現在の体系に至った経緯を示した上で、それぞれの用語について説明しています。そのため曖昧に使用されることが多い用語について、整理して理解することができます。
 また評価・治療手技に必要な最低限の解剖学・骨運動学・関節運動学・運動器障害の病態生理学などが紹介されていますが、本書に述べられている知識だけで十分というわけではありません。しかし多くの参考文献が紹介されており、これらの情報をもとに知識を深めていくこともできます。さらに評価・治療手技の方法については多くの写真やDVDの映像とともに解説されているので、徒手的理学療法を学ぶ上での導入書として活用できると思います。
 私は、治療を行っていく上でセラピストへの依存をつくらず、自立した生活へと送り出していくことが重要と考えています。そのためには、患者自身が身体に興味を抱き、積極的に治療に参加しているという自覚を持っていただくことが大切です。本書のなかには「自己治療」として患者自身ができる方法も紹介されており、参考になると思います。また障害の予防にはセルフコンディショニングが重要とされています。これらの情報を適切に提供していくことで、中高生の選手の障害予防や選手教育にも役立つのではないでしょうか。
(山際 政弘)

出版元:三輪書店

(掲載日:2012-10-16)

タグ:理学療法 徒手療法 評価 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツの科学
加賀谷 淳子 宮下 充正 金子 公宥 寒川 恒夫

 以前と比べると、最近では「運動」に関する研究や情報がとても多く、運動に関して、専門家以外にも一般の方々が手軽にたくさんの情報を得ることができる。人々が運動に興味を持てば持つほど、1つのテーマでさまざまな情報が飛び交う時代になっているのではないだろうか。
 本書では、それぞれの専門家が自らの分野の研究をし、スポーツ科学の新しい発見を説明している。「今まではこうだった。しかし、現在ではこのような新たなことがわかっている」というように、今までの常識を覆すような新しい発見がたくさん綴られた1冊である。「わが国スポーツ科学の動向」「動くからだの科学」「健康づくりとアスリートのスポーツ科学」という3章に分けられており、内容は幅広い。一見「スポーツ科学」というと堅苦しいイメージを持たれる方もいるかもしれないが、さまざまな研究、調査が実施され、今まで正しいとされていたことや当たり前だと思っていたことが、時が経つにつれて進化をしている。専門家はもちろん、これから運動指導に携わっていく方々にぜひ読んでいただきたい1冊。きっと新しい発見があるはず。
(清水 歩)

出版元:日本学術協力財団

(掲載日:2012-10-16)

タグ:スポーツ科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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女性とスポーツ環境
石田 良恵

 女性の身体特性からパフォーマンスとの関係、女性スポーツの歴史に至るまで、女性とスポーツの関わりについて、幅広くまとめられた1冊である。
 一般向けの著書かと思いきや、かなり専門的なところまで言及されており、女性とスポーツについて勉強したい人にとっては参考になるだろう。
 校正ミスと思われる一文があったり、文章と図がリンクされていなかったり、本の装丁ミスなど、読み進めていく上で気になる部分がいくつかあったので、その点だけが残念である。
(石郷岡 真巳)

出版元:モダン出版

(掲載日:2012-10-16)

タグ:女性アスリート 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ常識の嘘
横江 清司 スポ-ツ医科学研究所

 スポ-ツ医科学研究所“突き指は引っ張っておけばよい”、“運動は長時間続けなければ減量効果がない”。
 一度は耳にしたことがあるスポーツの常識。これが全部“嘘”であるという強烈なインパクトから始まる本書。
 中を開くと、序文よりも目次が先に書かれ、興味深いタイトルが“えっ!?”という驚きがさらに読者をひきつける。しかし本文を読んでみると、まったくの嘘というわけではなく、解釈を間違えると思わぬ危険性もあるのだと示唆する内容だ。
 今日、スポーツ愛好家が増える中、作者の“ケガをしないでスポーツを楽しんでほしい”という思いを感じることができる一冊だ。
(藤井 歩)

出版元:HIME企画

(掲載日:2012-10-16)

タグ:身体 
カテゴリ スポーツ医科学
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健康とスポーツ
玉川大学教育学部

 本書は、玉川大学の体育教員が授業で使用している資料をまとめ、一般教養としても役立つよう、テキストとして出版したものである。健康やスポーツに関して幅広い項目が採用されており、たとえばフィットネス、タバコや薬物乱用、筋生理学、トレーニング、スポーツ傷害と予防法、救急処置がある。それぞれ簡潔にわかりやすく説明している。玉川大学における体育教育の特徴としてデンマーク体操や体育祭なども取り上げられている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:玉川大学出版部

(掲載日:2010-12-10)

タグ:教科書 一般教養 体育 健康  
カテゴリ スポーツ医科学
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未来志向のこころとからだ(NHKラジオテキスト)
山内 潤一郎

 10月から12月にかけてラジオで放送される内容のテキスト。「夢を持って豊かに生きるための身体づくり」のために、「自由気ままに話を進めて」いる。調和、挑戦、確認、運動、休息、行動、環境、未来というように全13回の各タイトルが漢字2文字と、サブタイトルで示されている。内容は、スポーツ医科学に関わる最新の研究トピックを幅広く取り上げており、一般のリスナーにもわかりやすい表現になっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:日本放送出版協会

(掲載日:2010-12-10)

タグ:ラジオテキスト  
カテゴリ スポーツ医科学
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実践 反復性肩関節脱臼――鏡視下バンカート法のABC
菅谷 啓之

之 内視鏡を用いた手術を行うドクター、あるいは術後のリハビリテーションを担当するスタッフ向けの専門書である。治療の歴史、そして基礎として機能解剖や病態、バイオフィードバックに関しての記述、そして診断、治療の方法がまとめられている。
 鏡視下手術の方法については、Bankart病変、合併病変、腱板疎部縫合、骨欠損へのブロック移植などが取り上げられている。「私のアプローチ」という見出しがあるが、これは執筆者の経験に基づき、手術の手技や問題点などが盛り込まれたもの。
 専門医向けではあるが、反復性肩関節脱臼に対して、これまでどのような経緯で手術の方法が確立されてきたか、また今後も技術の進歩が続いていくということがよくわかる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:金原出版

(掲載日:2012-10-16)

タグ:肩関節脱臼 手術法 
カテゴリ スポーツ医科学
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高齢者の転倒とその対策
真野 行生

 高齢者の転倒防止が重要視される要因として、さまざまな臨床的課題に発展する可能性が高いことが挙げられる。転倒それ自体で大きな障害を起こさなかったとしても、リスクが大きく広がってしまう。
 本書では転倒が起こる原因、対策、復帰までの運動訓練などさまざまな角度から高齢者の転倒について記述されている。
筆者は「活発な生活をしていると転倒する確率は高く、逆に不活発な生活をしていると転倒する確率は少ない。しかし目標は活発にしていても転倒する確率の少ない生活である」と唱える。
 転倒が起こらないように環境設備を整えるバリアフリーも1つの手段だが、自分自身を転倒から守るセルフコンディショニングを普段からしておくこともバリアフリーと言えると思う。
 高齢者の指導に関わる方だけでなく、若い世代の方に読んでもらえたら「今自分がやれること」のヒントが見つかるかもしれない。
(磯谷 貴之)

出版元:医歯薬出版

(掲載日:2012-10-16)

タグ:転倒予防 高齢者 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動とスポーツの生理学
北川 薫

「人の動きを科学的に解明するのは極めて難しい」と述べる筆者。
 筆者は人の動きを「代謝系」と「脳・神経系」と大きく2つに分けているが、「脳・神経系」に対して目に見えない・具体的に数値化できない難しさを述べており、スポーツ指導者が科学に物足りなさを感じる1つの要因だと指摘する。
 そのためこの分野をよりよく理解するために、解剖学、生物学、物理学など、多くの科学分野の基礎を学ぶ必要性を説いており、本書でもさまざまな視点からアプローチし科学的根拠を導き出している。そうすることがスポーツ科学の更なる発展につながると述べている。
 研究者だけじゃなく現場で指導している者にとっても、今までと違った視点で運動・スポーツ生理学を見ることができ、現場での想像力を膨らませてくれるヒントが必ず見つかるであろう一冊である。
(磯谷 貴之)

出版元:市村出版

(掲載日:2012-10-16)

タグ:生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
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乳酸をどう活かすか
八田 秀雄

 乳酸は無酸素運動をしたときに発生する疲労物質というイメージを持たれている方は多いのではないでしょうか。乳酸は疲労物質という考え方は間違いではありませんが、はたして、疲労は乳酸だけで起こるものなのでしょうか。本書では、疲労物質としてのイメージの強い乳酸をどう活かすのかということについて書かれています。
 乳酸とは何なのか、乳酸と疲労の関係、発生のメカニズム、乳酸を摂取した場合どんな効果を得ることができるか、などの内容で説明されています。
 乳酸とは何なのかというだけでなく、現場での簡易測定器を利用しての対応など、測定データとその活用方法、現場でのことが多く載せられています。乳酸とは、ということを理解したうえで現場でのアウトプットのしやすい本ではないかと思います。
(大洞 裕和)

出版元:杏林書院

(掲載日:2012-10-16)

タグ:乳酸 生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
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知っておきたいひざのケガ
玉置 悟 ジェームス・M・フォックス リック・マクガイア

 一通り読むと、単なる専門書ではないことがはっきりわかる。箇条書きのように症状や原因だけを述べているわけではなく、痛みや動作などの表現が上手にたとえられていたりして小中学生でもわかりやすい表現になっていることが読みやすくしている。
 ただ初版から時間が経っているので、手術の詳細や表現の一部が時代を感じる部分があるのは否めない。
 それを含めても、わかりやすさという点で整骨院や整形外科、あるいはクラブの部室にでも1冊あると重宝する本だと感じる。
(河田 大輔)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:2012-10-16)

タグ:膝 スポーツ医学 
カテゴリ スポーツ医科学
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競技志向と健康志向のスポーツ科学
宮下 充正

 2009年に発刊された。そして、スポーツ科学の新しいパラダイムを展望しようとしたものであると著者は記している。このことは、本書全体の構成からも理解できるものである。
 本書の特徴は、序章、1章、終章であろう。まず序章では、スポーツ科学における本質的な課題に触れている。それは、遺伝的要因と環境的要因である。スポーツの活動能力は、前者にとってどの程度決められるのか、後者にとってどの程度改善可能なのかを検討している。このような課題を踏まえて1章に進む。スポーツ科学のこれまでの歩みである。温故知新ということであろう。そして、2章~6章は、トレーニングの専門的領域に関連する分野である。これが大変わかりやすい。とくに、ポイントを絞った図解は、各章の図解を追うだけでもその章の全体像をつかむことができる構成になっているようである。これは、これから専門職を目指す読者だけでなく、現場で活動する専門職にとっても大変役立つだろう。最後に終章である。スポーツというものを多面的に検討している。
 本書を通じて、学際的研究という言葉が思い浮かぶ。研究対象となるものが、複数の学問的領域に関連し、それらが総合的かつ協調的に進むことである。スポーツの高度化や大衆化が進む現代のスポーツにおいて、単独の学問的領域だけでは読み解けない部分が大きくなってきていて、飽和状態にあることが著者のメッセージとしてあるのではないだろうか。このような考え方は、スポーツ指導者、スポーツ部門におけるリーダーなどが持つべき観点の1つではないかと感じる。スポーツ科学を局所的な視点だけでなく大局的な視点からも検討するうえで大変役立つ一冊である。
(南川 哲人)

出版元:杏林書院

(掲載日:2012-10-16)

タグ:スポーツ科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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転倒予防教室 転倒予防への医学的対応
武藤 芳照

 人は必ず年を取ります。年をとればとるほど、身体は衰えていくものです。健康のために身体を動かしてい人は多いと思います。
「いつまでも元気な身体でいたい」誰しもが思い、願っていることです。
 本書は「いつまでも…」というクライアントのニーズに応えるために実際の運動指導だけでなく、転倒のメカニズムや身体の特徴、評価方法やチェック表など多く載せられています。また、多くのデータとともに転倒予防教室での指導の流れやシステムなども紹介されており、より現場で使える一冊です。
(大洞 裕和)

出版元:日本医事新報社

(掲載日:2012-10-16)

タグ:転倒予防 
カテゴリ スポーツ医科学
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寝たきりにならないための転倒骨折予防術
林 泰史

「骨抜き」では命が成り立たない。
 それなのに、今、小学生は簡単に骨折してしまい、高齢者の骨粗鬆症も増え続けて、70歳以上の方が寝たきりになる原因の3位を「骨折」が占め、90歳以上の女性では脳卒中より多く1位になっている。骨折→動けない→気力が失せる→寝たきり、は一直線。骨はまめに動いていないとすぐ衰えてしまうが、都会より農村の高齢者のほうが、骨が弱くなっていることも気になる。骨を丈夫にする方法はとてもシンプルで、①不摂生をしないで良く歩く、②乳製品、小魚、大豆加工品と野菜をよく摂る、③日光にほどよく当たる、この3つのポイントを守ると骨密度が上がり寝たきりを防げる。これは生活習慣病を予防する生活と共通している。
 第1章で骨に関する知識と生活習慣で気をつけることを分かりやすく記載されている。この第1章を読み実践するだけでも十分骨折を防ぐことができると思う。第2章では骨を強くする食に関する内容。牛乳・小魚だけでカルシウムを補っている人も多いと思うが、骨を強くする食材・食べ方にはいろいろあり、簡単でもっと気楽にカルシウムを補えることに感動するだろう。第3章では骨折予防のワーク。基本的な運動やストレッチングだが、やるのとやらないのではやはり骨には大きな影響があると思う。
 これからはもっと予防が大切な時代になってくると思うので、日頃の生活習慣を見直すうえで何をすればいいかわからない人にはこの書籍はお勧めである。
(安本 啓剛)

出版元:家の光協会

(掲載日:2012-10-26)

タグ:転倒予防 
カテゴリ スポーツ医科学
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膝の痛みと機能障害
Rene Cailliet 萩島 英男

 膝の靭帯損傷や半月板損傷で悩んでいるスポーツマンはかなり多いだろう。ジョギング・ブームも膝の障害で悩む人を多く生んだようだ。前に挙げた肩に限らず、中嶋寛之先生が指摘する通り(特集頁参照)、自分の怪我に対する勉強はぜひとも必要である。医者まかせでは、治療もトレーニングも最大の効果を挙げることはできない。まず本人が自分の怪我を理解し、治そうと思わないと、リハビリテーションはなかなか成功しないものなのだ。膝は最も複雑な関節ともいわれているが、それだけに基礎知識をしっかり身につけていることが予防にも治療にも役立つ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医歯薬出版

(掲載日:1980-10-10)

タグ:膝 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ医学の実証 30歳からの自己トレーニング あなたの方法は間違いだらけ
森 健躬

 健康ブームが訪れて久しい。スポーツ人口も増え、それ自体は誠に結構なことである。しかし、科学や医学の正しい認識をもってトレーニングをしている人はまだまだ少ない。この本は、「30歳からの……」とうたっているが、何歳の人にでも読んでいただきたい。著者は、東京厚生年金病院の整形外科部長であり、自らジョギングを行い、学生時代には陸上競技を行っていたという森健躬(もり・たけみ)氏である。
 このページで本書を紹介するのは、得てして新書判のこの種の本は「これであなたも健康に」とか「これを読めばグングン体力がつく」といったニュアンスの表現で読者の目を引こうとするものだが、本書は、あくまでトレーニングにおけるスポーツ医学の重要性を強調し、医師の立場から多くの警告と注意を促し、スポーツを行う人全員に、正しい見識を与えてくれるからである。
「プロローグ」で著者はこう語る。「人体の医学というものは、大変に複雑で、すべてが完全にはわかってはいない。その上に厄介なことに、一人一人の持つ条件も大変違っている。とくに、スポーツの世界では、体の科学の研究が始められたのが、まだ新しいので、トレーニングの科学もまだまだはっきりしていない。そのために、一種の直感でやってきたトレーニングが、たまたまある人にうまく合うと、それが正しい方法と簡単に判断されて、それを他の人にも指導するということが、これまで行われてきた。しかし、それぞれ、体力や能力が違う人に、こんな方法では正しい効果を生むわけはないのだ。それどころか、それこそ合わない人にとっては、“トレーニング”ではなくて“しごき”に過ぎなくなっていたり、体力をつけるどころか、体力をなくすことになってしまう。最近、私達臨床医が病院へくる患者さんをみていると、科学性を無視した間違ったトレーニングによって、体力をこわした人がなんと多いことか!」
 これはスポーツマン全員に関係する発言である。この前書きのあと、第1章「自己トレーニングかん違いの恐さ」で「ランニング中、水を飲むな、は大きな誤解」とか、「うさぎ跳びは百害あって一利なし」とか、「過熱した少年野球の知られざる障害」など20項目にわたり、誤った考えを指摘している。また第2章「この“スポーツ医学”だけは知っておこう」では、「水泳がかえって皮下脂肪を増やす」「テニス肘は無理の証拠だ」「千本ノックは野球を下手にする」など興味深い項目を18並べて解説している。第3章「体を強くするトレーニング術」は、競技選手向けではないがトレーニングのヒントは豊富にある。第4章「この自己チェック法も忘れないこと」ではトレーニング商品の正しい使い方、選び方を述べている。そして最後の第5章ではお医者さんらしく「“応急手当”この方法を知っておけ」と題し、運動中よく起こる怪我に対する応急手当てを簡潔に述べている。「捻挫は冷湿布しすぎると治りが遅い」とか、「つき指は指をひっぱって治すのは大間違い」など、8項目で解説している。
 スポーツ医学の観点からトレーニングについて述べる一般書はほとんどないが、その意味で非常に意義ある本であるといえよう。スポーツ医学をスポーツマンのものとしても定着させるという点でこの種の本がこれから多く世に出されることが望まれる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:青春出版社

(掲載日:1980-11-10)

タグ:スポーツ医学 
カテゴリ スポーツ医科学
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基礎運動学
中村 隆一 斉藤 宏

 先月号から月刊トレーニング・ジャーナルでもラインハルト・ジーゲル氏によるキネシオロジーの連載が始まっているが、より理解を深めるテキストとしてお勧めする書である。キネシオロジーについて第1章で「これは人間の運動を研究・分析する学問であり、解剖、神経、生理、物理および心理学などの基礎的な科学の知識を総合した応用科学である」と述べられている。したがって、いきなりキネシオロジーに入ることはできないということになるが、体育学を学んだ人や、体育・スポーツに深い関心を持ち様々な書を読んできた人には、この本は大いなるものをもたらすことだろう。わかりやすく美しいイラストも豊富だし、基礎を学ぶ上で絶好の書である。
「最近は運動学を学ぶことによって、正常な人間の運動についての法則と知識を得て、これを応用して障害された運動機能の回復や異常姿勢の矯正、またスポーツ関係ではトレーニングの方法とかパフォーマンスの向上などに活用されている」と述べられている通り、スポーツの指導者にはぜひともこの分野に目を向けていただきたい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医歯薬出版

(掲載日:1981-10-10)

タグ:キネシオロジー 運動学 
カテゴリ スポーツ医科学
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水泳と健康 医者からのアドバイス
ジェームス・T・アラダイス 矢野 成敏

 月刊トレーニング・ジャーナルで武藤芳照氏が連載「水泳の医学」(単行本としてブックハウス・エイチディより刊行)で水泳の医学面を述べられたが、本書は1972年にイギリスで出された、医師でありコーチでもある著者によるものであり、訳者もまた医師でありコーチで、かつ日本水泳連盟科学技術委員である。
 健康とは心身両面から成るものであるが、本書は「第I部からだ」「第II部こころ」の2つに分けられ、両面からスイマーへのアプローチがなされている。
 第I部では感染症、月経、貧血、筋肉痛、平泳ぎ膝などスイマーによくある障害について、原因・症状・治療・予防・水泳(泳いでよいかどうか、泳ぐならどうするか)の5項目別に述べられているほか、肥満症、アルコール、喫煙、日射病、ストレス、練習時間などについても有意義なアドバイスが加えられている。
 第I部が医師としての立場を中心に書かれているとすれば、第II部はコーチとしての立場から書かれているといえよう。「トップクラスのコーチのすばらしい特徴は、その人の個性である」「優秀なコーチとしての理想的な性格というものはない。(中略)だがそのコーチたちに共通で目立つ点は、スイマーに普通の身体的障害をのりこえさせるような何か電撃的なものを注入する能力である」けだし名言が続く。著者の温かい洞察力が光る書といえる。

ジェームス・T・アラダイス著 矢野成敏訳
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:績文堂出版

(掲載日:1982-08-10)

タグ:水泳 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ外傷カラーアトラス
J.G.P.Williams 中嶋 寛之

 スポーツ医学全般に対し、現場、すなわち監督、コーチ、トレーナー、選手をはじめ一般人における関心は以前に比してはるかに高まっている。ケガは即座に戦力の低下につながるだけでなく、最悪の場合、そのスポーツへの復帰も望めない。さらには日常生活への支障も生む。常に向上を目指し極限まで体を酷使する競技スポーツ、また健康を求め、楽しみも含む一般人のスポーツにおいても、スポーツ医学の基礎知識なくして、プレーもコーチもできなくなってきたのである。それはまた当然のことである。
 だが、私たちは病院に通うような、あるいは入院するようなものに関しては、とかく医師に任せきりになりがちである。しかし治すのは医師だけの力ではできない。その本人が治そうと思い、自分の障害を把握し努力しなければならない。その意味で、本書は専門的であるとはいえ、スポーツ外傷に関する貴重な写真と解説に満ちたもので、全般的に短時間で見通せる優れたアトラスである。訳者である中嶋氏も序文で「とくに実際にレントゲン写真、手術所見など見ることの少ないパラメディカルの方々、トレーナー、体育学生などには理解しがたい点もあるかもしれないが、逆にいえば貴重な財産となることであろう。/スポーツ整形外科を専門とする方はもとより、スポーツ選手と接触することの多い上記の方々に是非おすすめしたい本である」と記している。
 500点を超えるカラー写真、レントゲン写真、図版によるスポーツ外傷の目で見るテキストとでもいうべき本書は、著者序文によれば「イギリスあるいは海外におけるスポーツ外傷研修コースの講義に用いられたものが中心となっている」。多少値は張るが、用意しておきたい1冊である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:南江堂

(掲載日:1982-10-10)

タグ:スポーツ傷害 
カテゴリ スポーツ医科学
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日曜日のサイエンス読本
日経サイエンス

 日本経済新聞社発行の「日曜日読本シリーズ」の1冊。今や科学雑誌たけなわであるが、それほど科学は日常生活に背理、ウカウカしていると、電車の切符を買うのもどうすればよいのかわからなくなりそうである。コンピュータや遺伝子工学などがマスコミを通じ喧伝されると、とくに科学を専門としない人は不安を感じるかもしれない。しかし、専門書は難しすぎるし、一般向けに書かれたものは結局よくわからない。高度な科学を誰にでもわかるよう説明することは大変難しいことである。
 そこで本書。「日曜日読本シリーズ」という命名はうまい。日曜日(でなくてももちろんかまわないが)にゴロッと寝て読んでも結構面白い本だ。内容は、今話題のものばかり。列記すると、マイコン、光通信、レーザー、水素革命、LSI、太陽電池、バイオテクノロジー、プレート・テクニクス、ブラック・ホール、ストレスと脳、そしてスポーツ科学の計11章から成る。スポーツ科学の章は、特別新しいことは書かれていないが、最近のスポーツ科学の成果の要点がうまくまとめられているともいえる。むしろ、1冊の本として現代科学全体を知り、スポーツと科学について、ふと思いを馳せる意味で、気軽に読めてまた面白く、頭に入りやすいといえる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:日本経済新聞社

(掲載日:1982-10-10)

タグ:科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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Japanese Journal of Sports Sciences誌
日本バイオメカニクス学会

 一般には、科学雑誌の創刊が相次いでいるが、スポーツの分野で新たに2誌が創刊された。ひとつは「Japanese Journal of Sports Sciences」である(日本バイオメカニクス学会編集、ソニー企業株式会社発行、月刊、A4判、77頁、800円)。
 内容は、特集(創刊号は「脳は身体行動をどのようにコントロールしているか」)のほか、国内スポーツ情報、海外情報、学会報告、Case Study、原著論文、海外文献情報、Athletic Training誌からの転載記事、Book Reviewなどがある。「創刊に当たって」で宮下充正氏が「バイオメカニクスが学際的学問であり、応用科学であるということを考え合わせるならば、このJournalの内容は学術的水準を保ちながら、しかも学問的背景の異なる多くの人々に理解できるものであるべきだということになる」と述べている通り、これからいろいろな人たちがこのJournalに参加し、文字通りSports Sciencesの世界が広がることが期待される。誰もが気軽に読めるというものではないが、スポーツ科学に関心を抱く若い人たちには刺激にもなるだろうし、活動の場にもなるだろう。
(もう1つの雑誌については、別の項目に移した)

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:日本バイオメカニクス学会

(掲載日:1982-10-10)

タグ:バイオメカニクス 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動処方の指針 負荷テストと運動プログラム
アメリカスポーツ医学協会 日本体力医学会体力科学編集委員会

 アメリカスポーツ医学協会のメンバーならびに多くの研究団体の専門家たちの手により、約3年の歳月をかけ作製されたのが本書である。しかも、この日本語版は1980年改訂の第2版によっており、これは第1版での数年間の実施の結果得られた成果をもとに、やはり多くの関係者が多大な労力を注いで再編集したものという。それだけに極めて実際的な内容であり、多くのことが要領よくまとめられている。
 全体は7章から成り、それをさらに明解な見出しで整理している。内容は、前半の章で負荷テストや運動プログラムの実際を述べ、後半の章でプログラムを管理する組織のことや医師の役割、専門技術管理者の免許について述べるなど、対象は現場の指導者に向けて書かれてある。だが、前半の章などは専門家でない人にも知っておいてもらいたい内容も多く、ぜひ一読をお勧めしたい。

アメリカスポーツ医学協会編、日本体力医学会体力科学編集委員会監訳
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:南江堂

(掲載日:1983-01-10)

タグ:運動処方 
カテゴリ スポーツ医科学
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選手とコーチのためのスポーツ生理学
エドワード・フォックス 朝比奈 一男 渡部 和彦

 本書『選手とコーチのためのスポーツ生理学』は、待望の“テキスト”である。「まえがき」で著者はいう。「科学、とりわけ生理学をスポーツに応用することは、一般的な身体条件や専門的な競技能力を向上させるのに重要であることは幾年にもわたっていわれてきた。本書はこれを念頭におき、生理学そのものより、むしろ生理学の“応用”を強調したつもりである」と。
 つまり、この本は現場においてどうすればよいかという視点から離れず書き通されている。わざわざ「選手とコーチのための」と断られているのもそのためであろう(ただし、原書は“Sports Physiology”というタイトル)。読みやすく、理解しやすくまとめられているのも本書の大きな特徴である。たとえば、全体は11章あるが、各章、「はじめに」でその章のねらいを示し、そして本文はわかりやすい図表をふんだんに用い、章の終わりには「まとめ」の頁があり、箇条書きで要点が列挙されている。また「参考・引用文献」も各章ごとに付されている。
 これだけのみならず、読者にとってうれしいのは付録である。A〜Fまであり、雑誌の略名と書名、記号および略号、ウェイトトレーニングの説明、8週間の有気的および無気的インターバルトレーニングの基本例、いくつかのストレッチ(伸長)運動の紹介、測定の単位がそれである。このほかに「用語解説」「人名さくいん」「さくいん」も完備されている。独習用のテキストとしても十分使いこなすことができるだろう。やや値は張るが、座右の書として、ぜひとも揃えておきたい一冊である。

エドワード・フォックス著、朝比奈一男監訳、渡部和彦訳
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:1983-02-10)

タグ:生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ障害 発育期を中心に
高沢 晴夫 中嶋 寛之 秋本 毅

『小児のメディカル・ケア・シリーズ』の1冊。共著者である三氏は本誌(月刊トレーニング・ジャーナル)で何度もご登場いただいているので改めて紹介するまでもないだろう。
「発育期のスポーツ障害を理解するには、発育期のからだの特徴を知らなければなりません。骨、関節には特に発育期特有なものがあります。(中略)発育期のスポーツは全身的な発育・発達を促すようなものが理想的です。目先の勝負にとらわれて無理をしないよう注意すべきであり、将来に目を向けて指導することが根本的な目的と思われます」(はじめにより)
 本書は上の観点より書かれたものであり、大きく以下の5つの章に分けられている。
 第1章「発育期のスポーツ障害の特徴」、第2章「発育期によくみられる障害」、第3章「発育機におけるスポーツに特有な骨折」、第4章「スポーツ外傷、障害の救急(応急)処置」、第5章「発育期スポーツ障害の予防」
 子どもが大人のミニチュアでないことは本誌でも何度か述べてきたことだが、「エリート教育」とか「スパルタ教育」として、子どもに小さいうちから、野球、ゴルフ、テニスを学ばさせている例は少なくない。小さいうちから多くのスポーツの基本動作を学ぶのはよいことだが、使いすぎ症候群(overuse syndrome)をきたすまで「特訓」や「ハード・トレーニング」を積むのは親のエゴであり、指導者の無知であろう。本書のような指針というべき書を子どものスポーツ指導・管理に当たる人にはぜひとも読んでいただきたい。三氏とも整形外科医であり、できるだけ平明に書かれた内容は、専門的とはいえ十分一般の理解の範囲内にあるといえる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医歯薬出版

(掲載日:1983-06-10)

タグ:スポーツ障害 発育発達 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ・バイオメカニクス入門 絵でみる講義ノート
金子 公宥

 最近はスポーツ科学の分野において「バイオメカニクス」という言葉がよく聞かれるようになり、日本バイオメカニクス学会編集の「Japanese Journal of Sports Sciences」という月刊誌も発行されている。しかし、バイオメカニクスといわれてもまだピンとこない人も多いのではないだろうか。
 本書は「絵でみる講義ノート」という副題が示す通り、筆者が大阪体育大学で用いたプリント資料に若干の手を加えたもので、それだけにとても簡明に書かれている。
「図表を多くして説明を添え書きていどにとどめたのは、これまでの指導経験を通して、その方が学生諸君に歓迎されることを知ったからである。ほとんどの体育専攻学生は、厳しいスポーツ活動を通じて相当に高度な、そして専門的な知識を身につけている。それだけに、遅々とした理詰めの講義よりも、図によって結論的な事柄を提示し、多少理論の飛躍はあっても、自由奔放な解説によって感覚に訴え、共に考えるような講義の方を好むようである。指導者にとっても、“絵”をめぐって自由な話の展開ができるという点で好都合かと思われる」(はじめにより)とその背景が述べられているが、首肯される人は多いだろう。
 序章で述べられている「スポーツ・バイオメカニクスは『Why』の疑問に挑戦することが目的であるが、その結果は、どう指導するかの『How』に役立つことが多い」の言葉通り、スポーツ・バイオメカニクスはこれからのコーチングその他の指導に不可欠である。しかし、内容がかなり高度なので、ある程度の素養が求められる。このようなわかりやすい、視覚的に捉えられる書がどんどん出てくることが望まれる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:杏林書院

(掲載日:1983-09-10)

タグ:スポーツバイオメカニクス 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツのライフサイエンス スポーツと体力のほんとうの常識
太田 次郎 栗本 閲夫

「ライフサイエンスノート」と題されたシリーズの第2巻。細胞生物学専攻のお茶の水女子大学教授・太田次郎、体力学・成長発達専攻の順天堂大学体育学部教授・栗本閲夫の両氏による書である。
 この本は、ある雑誌の座談会で日頃、運動・体力・健康にさまざまな疑問を抱いていた太田氏が、その疑問を栗本氏に話してみたところ、明解な回答を得たことをきっかけに、その後の充実した対談の内容を独占しておくのはもったいないと、改めてまとめたものである。したがって、書かれている内容は、平明で読みやすく、普段なんとなく疑問に感じたことがいくつも挙げられていて興味深い。
 たとえばIQに関し、アシモフとボイドによる『人種とは』という書から次の引用を行っている。
「都会で育てられた五才児は、ウシについての質問に答えられないであろう。彼は、ウシが何本足か、どこから牛乳が出てくるかに答えられないかもしれない。田舎で育った五才児は、エレベーターが必要なのは高いビルか低いビルかがわからないであろう。彼はエレベーターが上下に動くのか、前後に動くのかも知らないかもしれない。どちらの子も、相手がまごついた質問によく答えられるであろう。そういうわけで二人の子どもが真に同じ知能であっても、それぞれのテストでまったく違うことがありうる。これが、オーストラリアの原住民のグループとアメリカ人グループに簡単にテストし、一つの人種が、他の人種より知能がすぐれているということができない理由である」
 そして、これと同じことが体力テストにも当てはまるとしているのは考えさせられる。ごく一部しか紹介できないが、「体力をめぐる問題」「スポーツをめぐる問題」「誤ったトレーニング」「ゴルフをめぐる話題」「学校と社会をめぐる問題」の大きく5つの章に分けられ豊富な話題が語られている。気軽に読み進め、それでいて何か考えのヒントを得られるハンディな書である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:日本工業新聞社

(掲載日:1983-11-10)

タグ:ライフサイエンス 測定 発育発達 体力 
カテゴリ スポーツ医科学
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痛みのカルテ
伊藤 正治

 スポーツマンのみならず、“痛み”は厄介なもので、医学的にもなぜ痛みが生じるのかは結局よくわかっていない。痛みの程度は、人によっても、またそのときの環境や精神状態でも違うし、痛みの表現も人種間で大きな差があるといわれている。痛みに強い人、弱い人がいるのも経験的に私たちは知っている。スポーツマンの多く、とくにコンタクト・スポーツの選手は比較的痛みに強く、陸上競技などの選手は痛みにとても敏感である。
 痛みに関する本はかなり出ているが、今回紹介するのは、30年近いキャリアを有するベテラン医学記者が、専門家に会って取材、ジャーナリストらしい切れ味で、まとめたものである。全体の構成は、「基礎編」で痛みの総論を行い、以下、「頭痛」に始まり「足の痛み」まで、身体の上から下まで10章に分け、その発生原因、症状、診断、治療並びに予防をその痛みに応じて記すというものである。テニス肘、野球肘、半月板・靭帯損傷などスポーツ関係のものも含まれているが、スポーツマンも人間、こうした全般的痛みの本を持っておくと、何かと便利だろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:共同通信社

(掲載日:1983-11-10)

タグ:痛み 
カテゴリ スポーツ医科学
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エアロビクス・ウェイ
ケネス・H・クーパー 原 礼之助

 クーパー博士が『エアロビクス』を出したのが1968年。そして1970年には、『ニュー・エアロビクス』、1972年には妻ミリーとの共著『女性のためのエアロビクス』を刊行した。この過程で、エアロビクスという言葉は徐々に一般的なものとなり、今や体力づくりとしてエアロビクスの存在は確固たるものになっている。エアロビクスがダンスの一種という誤解もまだ多いが、それはやがて時が解決する問題であろう。
 エアロビクスがこのように言葉としても、実践としても普及したその背景には、現代人の運動不足、成人病の増加、医療費の高騰、社会の高齢化などさまざまなものが挙げられるが、その過程で、人々が身体や健康に対する考え方を変え始めたことも見落とせない。
 クーパー博士はその時代の移り変わりのなかで、1977年に著したのがこの『エアロビクス・ウェイ』である。ここには第6章「食事の重要性」という章があり、健康・体力づくりに関し、より広い視野に立った著者の姿勢がうかがえる。また第8章では「エアロビクスの精神的効果」も論じられ、次の9章ではQ&Aが扱われている。この本のあとクーパー博士は“Total Well-being”という言葉を用い始めたが、単に心肺機能の向上にとどまらず、生活、人生全般の改善・向上を目指す方向に変わりつつあるのである。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:1983-12-10)

タグ:エアロビクス 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ外傷と障害
中嶋 寛之

 今さら紹介するまでもない、本誌ではお馴染みの中嶋寛之氏による編著の書。まず全体の構成と執筆者を挙げよう。
I. スポーツ医学序論(黒田善雄)
II. 運動生理学(石河利寛)
III. 部位別外傷と障害
1. 頭部(馬杉則彦)
2. 脊柱(頸部)(有馬亨)
3. 脊柱(腰部)(有馬亨)
4. 骨盤(中嶋寛之)
5. 大腿(中嶋寛之)
6. 膝(中嶋寛之)
7. 下腿・アキレス腱(横江清司)
8. 足(横江清司)
9. 足関節(横江清司)
10. 肩・鎖骨(萬納寺毅智)
11. 上腕(萬納寺毅智)
12. 肘関節(萬納寺毅智)
13. 前腕(萬納寺毅智)
14. 手・手関節(山内裕雄、井上久)
15. 顔面(眼・鼻・耳)(大畠襄)
IV. スポーツ別外傷と障害
1. ランニング障害(横江清司)
2. 水泳障害(武藤芳照)
3. 野球障害(渡会公治)
4. サッカー障害(星川吉光)
5. テニス肘(渡会公治)
6. スキー外傷(藤巻悦夫)
7. ラグビー外傷(増島篤)
V. 年齢・性別による障害
1. 年齢による障害(高沢晴夫)
2. 女性とスポーツ(中嶋寛之)
VI. スポーツ外傷・障害の予防(黄川昭雄)
VII. スポーツに関するテーピングの実際(その例)(山本郁榮)
VIII. アスレチック・リハビリテーション(鹿倉二郎)
IX. スポーツ・マッサージ(村井貞夫)
X. スポーツと応急処置(近藤稔)
 上記から分かる通り、スポーツ外傷・障害をスポーツ整形外科の範疇に限らず、運動生理学やマッサージ、テーピングなどについてもわかりやすく、しかも専門的に編集されている。写真・図も多い。
 執筆陣、頁数とも充実したこの大著は医師のみならず、指導者やトレーナー的立場の人など広く読まれるべきだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:文光堂

(掲載日:1984-01-10)

タグ:スポーツ医学 外傷 障害 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動・レクリエーションの健康学
小野 三嗣

 健康科学ライブラリーの第6巻。「はじめに」で著者はこう記す。「『健康』が多くの関心を呼び、機会あるたびに話題として取り上げられるようになったが、その割合には『健康な人々が増えてきた』という声が聞こえて来ないのはどうしたわけだろうか? 相変わらず運動不足病や不健康者の増加を嘆く声だけが高い」
 またこういう。
「運動や食事そして休養やレクリエーションなど、その持ち方を自分の意志で調節できるがゆえの生活の不合理がもたらす不健康や病気についてのみ、責任を追うべきであったはずのものが、その他の原因によるものまで背負わされるようになったため、『自分は健康を守るために生きているのではない』と開き直る人が出て来るようになるのである」
 ややもすると単純な論がまかり通ることの多い日常に対し振り下ろす一撃ともいうべき言である。このような言葉は本書の至るところに見出すことができる。
「『よく学び、よく遊べ』は、学校生活をしている子ども達だけへの教訓だと考えたとしたら大間違いである。つまり、精神作業の負担が大きくなればなるほど、身体活動のプログラムの取り入れ方に注意しなければならなくなるのである。それは必ずしも、精神作業だけに偏ったための弊害を防止するというような、マイナス面に目を向けてだけの話ではなく、精神作業の効率を良くするというような積極的な効果の方にも目を向けて提案である点にも注意してほしい」(第1章「健康に暮らすための運動・レクリエーション」より)
「年をとるにしたがって疲労の回復が遅くなるという話はよく聞くかもしれないが、筆者がここで強調しておきたいのは、それとほぼ同じように疲労症状の発現、あるいは自覚も遅れがちになるという点である。その結果、いつの間にか疲労が蓄積して来て、気がついた時には病的疲労といわれる状態になってしまっていたということがよくある」(第5章「性・年齢そして適性」より)
 きりがない。要するに、なるほどと教えられたり、改めて気づかされる点の多い、読んで面白い本なのだ。健康づくりの運動を始めようという人、始めている人、やめてしまった人にぜひ読んでいただきたい。コラムも役に立つ内容で楽しめる。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:1984-02-10)

タグ:健康 レクリエーション 
カテゴリ スポーツ医科学
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役に立つスポーツ障害事典
横江 清司

 著者は本誌で何度か登場していただいたが、アメリカのペンシルベニア州立大学での1年間の留学経験を持ち、1980年から関東労災病院スポーツ整形外科に勤務、日本陸上競技連盟医事部委員、日本体育協会公認スポーツ・ドクターでもあり、1980年からはランナーズ・クリニックを開設、自らジョギング(ホノルル・マラソンにも参加)、テニス、スキーなども楽しんでいる。
 本書はその経験と知識を活かし、誰にもわかりやすく、スポーツ障害を扱ったもので、全体は、全身と各部位の解剖図の章、各部位別障害の章、ランニング障害の予防法の章の3つに分けられる。なかでも2番目の章では、いきなり病名から入らず、症例、診断、治療、予防という構成で読みやすい。たとえば、肩鎖関節(亜)脱臼の頁では、「肩から転倒したら肩の骨が上方に突出した」という見出しがつけられ、症例として「(32歳・男性・テニス歴半年)テニスをやっていて転倒、肩から地面に落ちた。肩の痛みがひどくプレーを中止した。友人に肩が変形していると言われた」と書かれ、以下診断、治療へと続く。いってみれば、実際に医師の診察を受ける感じで読めるようになっているわけだ。最後のランニング障害の予防法も著者の豊富な経験がうかがえ、巻末の病名別索引、スポーツ別索引、また随所に収録された「ワンポイント・アドバイス」も便利である。図、イラストが多いのもわかりやすい。
 ややもすればとっつきにくいこの分野に、一般書が刊行されるのはとても望ましい。本書はその好例である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ランナーズ

(掲載日:1984-03-10)

タグ:スポーツ傷害 競技別 
カテゴリ スポーツ医科学
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誰でもわかる動作分析II
小島 正義

 動作分析というと、画像を撮り比較分析する手法が多く、設備や機材がないと難しいイメージがある。実際の動作分析で最も大切なことは、「動作をみる」ということだ。動作を見るポイントは、なかなかわかりづらく職人的な気がする。この本はそういった考えを払拭する「動作を見るポイント」が誰でも理解できるように書いてある。
 著者である小島氏は作業療法士で、千葉・柏リハビリテーション学院の先生であり、ホームヘルパーの養成課程の講師でもある。前著『誰でもわかる動作分析 ―私もこれで理解できました―』の著者でもある。その続編としてこの本が刊行された。
 氏が学生を指導する中で伝えにくい「クラインフォーゲルバッハの概念」をわかりやすく説明するために考えだした「やじろべえの法則」「反対の法則」などさまざまな法則が書かれている。これらの法則を理解すると、動きの本質を理解することができ、調整力、バランス、スタビライゼーションなどをより深く理解することができる。また、介護技術にも利用することができる。
 前半部分で、知っておくとよい身体の構造、解剖学用語の説明、動きの法則が書いてある。動作分析をする前の座学といったところである。後半部分で、椅子からの立ちあがり動作を例に、チェック表を用いての記入方法や動作の見方など、動作分析の手法が書かれている。前半の座学に対して、後半は実技に相当する内容が書かれている。本書を読み終えると、動作分析ができるようになっている。
 スポーツのスキル指導は、言いかえれば動作指導である。スポーツ障害の予防・治療も動作指導が多く含まれるようになってきた。さまざまな分野で動作についてのより深い理解が必要とされる。今までに、一見して動きの良し悪しを見抜き、適切なアドバイスを送る一流のコーチや指導者、医療関係者に会ったことがある人も多いだろう。そんな人たちに見えている世界がここに書かれている。病院の現場のみならず、動作に関わるスポーツの世界や介護技術に関わる人など、幅広く読んでもらいたい本である。
(服部 哲也)

出版元:南江堂

(掲載日:2012-11-15)

タグ:動作分析 
カテゴリ スポーツ医科学
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力士100年の診断書(カルテ)
林 盈六

 日本の国技、相撲。日本の少年は必ずと言ってよいほど遊びや競技で相撲を経験している。大相撲の人気は多少の波はあっても、決して衰えるものではない。しかし、他の競技に比べ、包帯姿の故障者が目立ったり、力士生命も、また人生そのものも短かったりする。そして、それを「そりゃあそうだろう」と思い込んでしまう。だが明治時代、力士は一般人よりはるかに丈夫で長寿だった。
 相撲ドクターとしてあまりにも著名な著者が一般の人によくわかり、しかもどんどん引きつけられるような文章で書き記した本書は、そのままスポーツ医学入門の書ともなっている。力士たちへの警鐘であり、力士の健康から真の健康を考える内容は、したがって日本人すべてに通じるものといえよう。とにかく面白く、またよくわかる。極めて医学的、科学的記述であるのに、学問的困難を感じることなく読み進める。相撲は関係ないと簡単に決めつけず、ぜひ手に取ってみていただきたい。
 胸を患い5年間の養生経験を持つ著者の文章からは相撲や力士への愛情のみならず、深い人間への愛情が自ずと読み取れることも記しておきたい。
 そもそもスポーツ医学あるいは科学とはあくまで人間を対象とするものであるから、必ず人間への愛情や人生への洞察が根底になくてはならない。単に勝利や記録のためのものであるべきではない。だからこそ、スポーツ医科学は人間性のすべてに関わってくるのだといえないだろうか。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:1984-05-10)

タグ:相撲 
カテゴリ スポーツ医科学
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マラソンの科学 安全に速く走るために
山地 啓司

 タイトルが示す通り、マラソンという競技を科学的に、しかもわかりやすく解説した書である。
 全体は9章から成り、第1章の“マラソンとは”では、マラソンの起源、女子マラソンの歴史、マラソンの魅力について、さらにマラソンのルールまで概説する。
 第2章以下は、マラソンにおける体力、技術、トレーニング、コンディショニング、健康、事故と障害など、スポーツ医科学の基本的な内容を総合的に取り上げている。各章のなかの1つ1つの項目をみるだけでも読者の興味を引く内容が多いので以下に抜粋しよう。
 競技マラソンでは何歳でベスト記録を出すか/健康マラソンを目指すには何歳からがよいか/スポーツ選手と一般人の最大酸素摂取量/酸素摂取水準はマラソンの記録を左右する/マラソンと集団──欧米人と日本人の違い/ランニングと空気抵抗──先頭よりも二番目を走るべきか/最大酸素摂取量を高めるトレーニングとは/よいウォーミング・アップの方法/暑さ・寒さと記録──君原・寺沢選手の違い/マラソン・ランナーは長命か/心拍数の少ない動物ほど長命/ランニングは高血圧症にきく/糖尿病はランニングでどうなるか/欧米人と日本人のランニングへの取り組みの違い/ランナーは攻撃的性格か/ランニング中毒とは/アベベ選手と高地トレーニング/ショーター選手と科学嗜好/マラソンは月経に悪影響を与えるか
 興味深い一例を挙げよう。ミュンヘン・オリンピックの金メダリスト、ショーター選手は、最大酸素摂取量は普通の選手並みであったが、酸素摂取水準がズバ抜けて高く(世界の一流ランナーが75〜80%であるのに対し、85%あった)、体脂肪率も極端に低かった(1.7%)。しかも彼は、高地トレーニングや炭水化物ローディングなどをすでに採り入れていたという。ここで出てきた最大酸素摂取量や酸素摂取水準などの語句もわかりやすく説明が加えられているし、それらを高めるトレーニングはどういうものがよいかという点まで取り上げてある。
 マラソンやジョギングを行う人でなくとも、興味深く読める書である。一読をお勧めしたい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:1984-06-10)

タグ:マラソン 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ医学・健康シリーズ


 これまでに特殊な扱いになるが、全8巻のシリーズ本全体の紹介である。この号の編集時点で既刊4冊(『スポーツ解剖学』『チームスポーツのためのスポーツ医学』『スポーツ負傷学』『スポーツ選手の筋肉学』)、さらに『最適トレーニング』『慢性病とスポーツ』『スポーツ外傷学』『女性とスポーツ』の4冊が6〜7月に刊行される予定である。
 すべて西ドイツのPerimed社の出版によるものの翻訳版であるが、スポーツ医学に関しては、どうしてもアメリカやソ連に偏ってきた傾向のある出版界にあって、ヨーロッパ、とくに西ドイツの成果を翻訳出版する試みは大いに評価できる。値は少し張るが、ハード・カバー、2色刷りであることを考えれば、さほどの障害とはならないだろう。
 パンフレット中の「シリーズの特長」には「医師・看護師に必要なスポーツの知識と、コーチ・トレーナー・体育教育者に必要な医学の知識との接点を追求した『現代スポーツ医学』の決定版」が第1項に掲げられているが、これはスポーツ医学という学問の要諦であり、的を射た編集コンセプトである。小誌も真に同様のコンセプトを抱いているわけで、その点、図表、写真を2色刷りで展開していく手法は、時代のニーズによく応えるものといえよう。
 スポーツ医科学は、もはや特殊なジャンルではなく、人間全般に関わる一般的分野であることを示唆するシリーズ刊行である。スポーツ医科学は決してやさしい学問ではないが、極力わかりやすく表現しようとするこのシリーズには好感が持たれる。
 なお、このシリーズはオーム社創立70周年記念出版である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:オーム社

(掲載日:1984-07-10)

タグ:シリーズ 
カテゴリ スポーツ医科学
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水泳療法の理論と実際
宮下 充正 武藤 芳照

 編者のひとりである武藤氏には、小社刊の『水泳の医学』という著書があるが、本書は24人の執筆陣によって「医学的治療や予防を目的として水泳を行う場合の指針となるよう」まとめられたもの。全体は16章に分けられ、「水泳運動の特性」「水中運動時の生体内変化」というバイオメカニックな面、運動生理学的な面を冒頭に置き、以下乳幼児、妊婦、喘息児、脳性まひ児、自閉症児、身体障害者、脳神経疾患、心疾患児、循環器疾患、呼吸器疾患、骨・関節疾患、皮膚疾患、健康と体力の保持・増進のための水泳、そして水泳中に発生する疾病と事故の原因といった章が続く。図表、写真もよく整理され、各章における水泳療法について「その適応と禁忌、目的(意義)、効果、国内外における現況、指導手順、注意と問題点等が理解されやすいよう」(序)配慮されている。
 水泳は、競技スポーツやレクリエーション・スポーツ、教育のためのスポーツのみならず、このように、健康・体力の保持・増進、疾病・障害の治療・予防に用いられている。読者も新聞、雑誌、テレビなどでさまざまな水泳の現場を垣間みたことがあることだろう。しかし、これまではこのように、1冊にまとまったテキストがなく、水泳療法の全体を捉えることが難しかった。本書の刊行により、一般臨床医はもちろんのこと、運動生理学やスポーツ医学の研究者、そして現場で指導にあたる水泳指導者、社会体育関係者などが正しく水泳療法の理論と実際を把握できるようになったといえよう。
 競技レベルにおいてもこれらの知識を有していることは有益だろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:金原出版

(掲載日:1984-07-10)

タグ:水泳療法 
カテゴリ スポーツ医科学
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on foot誌
ナイキ・ジャパン

 もうひとつ、ユニークな雑誌が(株)ナイキ・ジャパンから出された。「on foot」誌(当面は季刊、B4判、17頁、無料)がそれである。B4判というと週刊誌を広げた大きさ。頁数は少ないが、大判総カラーのPR誌で、レイアウトもよい。「足にこだわって創刊」と謳われており、創刊号では井上ひさし氏の「足にこだわって話は伊能忠敬に及ぶ」、中条一雄氏の「マラソンの面白さ」、アキコ・カンダさんの「足は足だけの足ではない……」、武田太加志氏の「能の修練はまず足から始まる」久保田競氏「ランニングと脳」などが掲載されている。同社トレーナーの白石宏氏による「ナイキトレーナーズルームから」という連載も今後が期待される。
 この「on foot」誌は、とくに科学にこだわらず、職人の話や舞踏家の話なども含め、足を広くみていこうとしている。運動の基本が歩くこと、走ることとするなら、足は人間の身体のベースともいえる。小社ではこの秋に『スポーツマンの足の本』を翻訳出版の予定だが、私たちは足に対する関心をもっと高めるべきかもしれない。「じっと手をみる」こともあれば「じっと足をみる」こともあってよいのではないだろうか。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナイキ・ジャパン

(掲載日:1982-10-10)

タグ:雑誌 
カテゴリ スポーツ医科学
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シンクロナイズド・スイミング
日本水泳連盟シンクロナイズド・スイミング委員会、科学技術委員会

 フィギュア・スケート、新体操など、競技力とともに芸術的な美しさがとくに要求される競技の人気が高まっている。シンクロナイズド・スイミング(以下シンクロ)も同様である。シンクロは新しい競技のイメージがあるが、その発祥は1920年頃といわれ、日本に初めて紹介されたのはちょうど30年前の1954年である。日本水泳連盟が競技会に採用したのが1957年というから、その対応の早さもさることながら、決して昨日今日の競技ではないことが改めてわかる。まだ普及度の点ではこれからとはいえ、日本のレベルが世界にあってかなり高いのは読者周知のことだろう。
 そのシンクロの画期的なテキストが本書であり、スポーツ指導書としても注目に値する内容である。
 第1章「さあ始めようシンクロナイズド・スイミング」ではシンクロの歴史と魅力などを説き、第2章「楽しいリズム水泳」では、リズム水泳の技術を中心に、基本、応用、リズムのとり方、練習のポイントと項目を起こして、極めてわかりやすく紹介。第3章「シンクロの技術」では基本、フィギュア(第1〜4群、38種)、ルーティンを写真、図を多数、工夫して解説、以下第4章「シンクロのトレーニング」、第5章「シンクロの科学」といった技術のバックグラウンドも付している(さらに付録として成績一覧表も)。
 とくに注目すべきは、技術解説の巧みさであり、本という手段で動作を説明する困難を最大限カバーしている。またトレーニングや科学(医学を含む)をわかりやすく要領よくまとめるのは、この種の指導書として必須であるにかかわらず、おろそかにされていたことを考えると、スポーツの新しい局面がここに垣間見られるといってもよいだろう。競技者のみならず、コーチ、指導者必携の書と謳われているのもうなずける。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:1984-10-10)

タグ:シンクロナイズド・スイミング 
カテゴリ スポーツ医科学
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体育とはなにか 改めて問う 体育の内容と本質
宮下 充正

 東京大学での大学院時代から数えて、体育学に入って25年という著者が、海外研修を前にして、自分自身の反省材料としてそれまでの文章を書き改めながらまとめ直したものであり、「体育にこれからたずさわろうとする若い人びとに読まれ、新しい世紀での活躍に役立てば」という願いもあって刊行となった。
 歯に衣着せぬ口調は深い洞察を感じさせ、読中・読後とも、改めて体育学とは何かを考えさせられる書で、体育に関わる人々にはぜひとも一読しておいていただきたいものである。
「(前略)すなわち、体育学は応用科学としてのその存在を世に示すことができるのである。それゆえ、私たちは、世間があっと驚くような新しい研究を追い求める必要はなく、着実に事実を積み重ねていくよう努力すべきではないかと、私は思っている」(第3章体育学はなにをしてきたのか、P55より)
「そこで私は次のようなことを提案したい。親と旅行する場合は、学校を休んでも欠席あつかいとしない、ということである。一週間分の学習予定を先生からもらって、それにしたがって親が教育の代替えをするという制度である」(第9章季節に感じる運動の必要性、P153より)
「それではスポーツ科学は万能か、科学だけで勝てるのだろうか。決してそんなことはないといえる。理屈はしょせん理屈であって、それ以上のものではない。私どもは基礎的な平均データを提供するが、それを生かすも殺すもコーチと選手しだいである」(第10章新しいスポーツ科学について、P185より)
 日本の選手を強くしたい、勝たせたいという夢を抱く著者は、水泳を初めとし、各競技に熱心に取り組んできた。研究、実践を通じての明晰さに副題が光る書である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:1984-11-10)

タグ:体育 
カテゴリ スポーツ医科学
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だれにもわかる 運動処方入門
堀居 昭

 医学が予防に目を向ける時代がきているように、体育・スポーツにも健康・体力づくりの掛け声とともにその科学的成果に基づく実際的方法が求められている。「運動処方」という言葉が示すように、近年とみにクローズ・アップされてきた積極的健康づくり、それを通じての予防は、スポーツ医科学の集大成ともいえるだろう。
 だが、医学であれ科学であれ、やはり一般人にはとっつきにくい難解なものであり、「運動処方」はまだ生活にその位置をすえ切ってはいない。「だれにもわかる」と書名に冠された本書は、その意味で運動処方に興味・関心はあるが馴染めなかった人にとくにおすすめしたいものである。
 本書でも数多く執筆していただいている著者は、日本体育大学のトレーニング研究室主任教授として、日々実践の場に立ち研究生活を過ごしておられるが、その成果がいかんなく発揮されている。理論面をわかりやすく説き、実際を具体的に提示する一貫した論述は、実際に運動を処方するうえで極めて優れたガイド・ラインとなるだろう。たとえば、ジョギングは「分速は250m以下とし、距離を2〜5km程度、週に3日ぐらいが健康・体力づくりには適した運動処方といえる」といった記述がそれである。各指導者、管理者はもとより一般の方に広くおすすめする。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:共栄出版

(掲載日:1984-11-10)

タグ:運動処方 入門 
カテゴリ スポーツ医科学
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現場で役立つスポーツ損傷ガイド 診断、治療、復帰まで―
鳥居 俊

 本書の印象を一言で言うならば、ずばり“The・シンプル”である。
 複数の著者の原書を複数の日本のスポーツ医学の専門家が項目ごとに翻訳しているが、とくに前半に関してはどの著者も非常に説明が詳しく丁寧でわかりやすい。一例が多く挙げられ、回数や時間が記載されたものもあり非常に具体的である。
 また、参考文献・参考資料の紹介もところどころに載せられてあり、読者が詳細を知る上で検索するのにとても有効である。
 まさに、どんな知識レベルの人でもわかるよう幅広い読者を想定して書かれた大衆的な一冊であると言える。
 一方、ここは意見が分かれるところではあるが、監訳者も述べているように、本書は多くの選択肢を敢えて避け、シンプルさ・使いやすさを一番に考えて書かれている。それゆえ、どうしても“浅く広い”知識というイメージが強い。
 たとえば各部の損傷の項目では、「対応・治療」と「競技復帰」の間に入ってくるアスリハに関しての情報が少ない、「確認・診断」の基準が曖昧・説明不足なものが多い(スペシャルテストなど)といったように、全体的にコンパクトにまとまりすぎて内容が薄く感じられる。読者の中には物足りなささえ感じる人もいるであろう。
 しかし、その点を考慮しても、本書はスポーツ損傷への入り口として、また緊急時など早急に対応すべきときに傍らに置いておきたい一冊として申し分ないガイドブックとなっている。
(藤井 歩)

出版元:ナップ

(掲載日:2012-11-27)

タグ:ケガ 
カテゴリ スポーツ医科学
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患者指導のための水と健康ハンドブック 科学的な飲水から水中運動まで
武藤 芳照 水と健康医学研究会

 日常生活の中でも密接な関係にある、水と身体を関連づけて述べた本である。
 私がとくに有益だと感じた部分は、MRIの画像種類の違い、水と脳梗塞や心筋梗塞との関連、ミネラルウォーターの区別などである。Q&A方式での内容となっているため理解もしやすいことが読みやすさにつながっている。
 様々なドクターが執筆されているので文面もバラエティに富み、そういう部分でも楽しめた。トレーナーの方々でも水に関わる業務があるのなら、読んでおいて損はない。
(河田 大輔)

出版元:日本医事新報社

(掲載日:2013-01-28)

タグ:水分補給 熱中症 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ少年の危機
武藤 芳照

 以前『子どもの成長とスポーツのしかた』(築地書館)を紹介したが、同じ著者による10月10日体育の日刊行されたのが『スポーツ少年の危機』だ。「少年スポーツの今」「使い過ぎ症候群」「スポーツ少年の心のひずみ」「育ちざかりのスポーツのやり方」「よく見られる親やコーチの誤解と疑問」「スポーツ現場で役立つ応急処置」の各章からなり、著者が日頃から訴えていることがわかりやすく、各項要領よくまとめられている。新書判の200頁ほどの本だが、収められた内容は、子どものスポーツに関する事柄の相当な範囲に及び、指導者や両親にとっては一読、さらにことあるごとに開いていただきたいものだ。書名が示す通り、私たちはもっと危機感を持って、子どもたちのスポーツを見直す必要があるだろう。「たかがスポーツ、されどスポーツ」ではなく、「スポーツだからこそ、だからこそスポーツ」の観点を大切にしたい。とくに子どもたちのためには。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:朝日新聞社

(掲載日:1986-01-10)

タグ:子ども 
カテゴリ スポーツ医科学
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健康・運動の科学 介護と生活習慣病予防のための運動処方
田口 貞善 小野寺 孝一 山崎 先也 村田 伸 中澤 公孝

 生活習慣病や介護、というと中高年の問題というイメージがあるが、その前から自らの健康を考えてもらえるようなアプローチも含んでいる。高齢化が進む社会において、スポーツ科学は教養として知っておくべき分野かもしれない。その点で本書は図表や写真が多用されていて、わかりやすく説得力がある。
 また、骨粗鬆症や転倒など、症状ごとの予防対策はもちろん、肥満者や身体に痛みのある人に対して運動を処方する場合の注意点にも多くページを割いている。すでに運動指導の現場で活躍している人にとっても、今後は健康な人ばかりが指導を受けにくるわけではなくなっていくことを考えると、大いに参考になるのではないだろうか。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2013-03-10)

タグ:運動処方  
カテゴリ スポーツ医科学
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1から学ぶスポーツ生理学
中里 浩一 岡本 孝信 須永 美歌子

「1から学ぶ」と銘打たれている通り、初学者向けのテキスト。最後まで読み理解し終えたときには、最新の知見を含む十分な知識が身についているはずだ。
 序章および12の章に分けて、ATP合成や骨格筋、神経、循環器系、内分泌系など生理学の基礎がバランスよくまとめられている。また、ウェイトコントロールや、環境温・加齢など内外の要因にも触れられており、生理学の知識と実際のスポーツ現場とを結びつけて考える道筋も示している。大学で教壇に立つ著者らの経験を生かした、わかりやすい内容だ。選手に自分の身体を知ってもらいたいときにも使用できそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2013-03-10)

タグ:生理学  
カテゴリ スポーツ医科学
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ジュニア格闘技・武道「安心安全」強化書
二重作 拓也

 ドクターでカラテの段位も持つ著者。自身も8歳からカラテを続け、指導にも当たる中で、またドクターとして親として子どもと接する中で見えてきた、ジュニア世代が安全に健やかに強くなるためのポイントをまとめた一冊だ。前半は11歳、12〜14歳、15〜18歳と年代ごとの発達系統に合わせた武道のトレーニングを紹介。後半では、脳震盪や心臓震盪の予防について言及している。そして締めくくりに「一流アスリートに導く10の視点」として、保護者、そして指導者の心構えについても触れている。武道に限らずさまざまなスポーツの現場、指導の現場に応用できるものだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:東邦出版

(掲載日:2013-03-10)

タグ:子ども 格闘技  
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ科学の教科書
谷本 道哉 石井 直方

 最近テレビでも拝見することが多くなった谷本道哉氏の編著、そして石井直方氏の監修によるこの本は、トレーナー関係者だけではなく運動に興味のある人全般にとって読みやすい本であるだろう。
 テレビでも谷本氏が述べていたことが、この本にも記載されている。「ボールは足で投げる」「パンチの強い選手は背中の筋肉がよく発達している」「夜の食事は太りやすい」「コーラで骨が溶ける?」「大声を上げるとパフォーマンスが上がる」などといった興味深いテーマも詳しくわかりやすく述べられている。
 私は、トレーナーまたは運動に関する職業を目指す専門学生や高校生に対して、こういう内容を伝えられるような指導者になりたい。そしてその内容から、より運動に関して興味をもってもらえたら、というのが私にできることではないかと感じた。
(河田 大輔)

出版元:岩波書店

(掲載日:2013-04-04)

タグ:トレーニング科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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筋肉まるわかりバイブル
石井 直方

 筋肉の基礎知識、トレーニング(初級と中・上級)、栄養、食事、雑学の分野で網羅し、100のQ&A方式、1ページに1項目で解説。筋肉について、それをどのようにトレーニングするかについて、また何が必要なのかについてわかりやすい言葉で説明されている。内容を踏まえて描かれたイラストが、ユーモアにあふれている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:2007-10-10)

タグ:筋肉 トレーニング 栄養 食事  
カテゴリ スポーツ医科学
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乳酸 「運動」「疲労」「健康」との関係は?
八田 秀雄

 からだワンテーマシリーズの1つ。…について、見開き2ページのQ&A方式(70項目)で解き明かしていく。1ページを質問と回答に、もう1ページをイラストやマンガで説明している。
 乳酸は、これまで疲労物質と考えられてきており、現在も根強いものがある。これはおそらく運動負荷と相関があり、比較的安定している物質であること、さらに簡便な計測装置が開発されたために起こってしまった誤解であろう。乳酸は、実は運動時のエネルギー輸送にも大きく関わっているようだ。また、高強度運動時に乳酸が蓄積していると、(酸性条件のために)筋内のカリウム漏出を抑えている働きがある可能性があるという。
 結局のところ「疲労を乳酸だけで説明づけてしまうのはおかしなことです」という一言に集約されるが、ある時点での正しいとされる概念も、常に科学的姿勢で向かい合っていく、あるいは根拠ある主張であれば耳を傾け、改めるべきものは改めるべきであろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2007-12-10)

タグ:スポーツ生理学 乳酸  
カテゴリ スポーツ医科学
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保健体育講義資料
東京大学教養学部体育研究室

 少し古い本だが、手許に置いておくととても便利なもの。書名が『保健体育講義資料』(東京大学教養学部体育研究室編、<財>東京大学出版会)とちょっととっつきにくい雰囲気だが、要はスポーツ医科学に関する主要な図表を編んだもので、大きく①体力論、②健康論、③体育論の3つに分けられ、これまでの研究の成果が一堂に会しているというもので、何かを調べる、考える際の材料になる。そこで書名をもう一度考えてみると、この本の性格がつかみやすいのではないだろうか。だが、別に講義のためだけでなく、これはアイデアの宝庫のような本で、監督・コーチ・トレーナーなど、時間が空いたときに、なんとなく頁を繰っていると、ひょっとすると大変なヒラメキが生ずるかもしれない。本の使い方は様々なのだという好例の一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:東京大学出版会

(掲載日:1986-04-10)

タグ:資料集 スポーツ医科学 図表  
カテゴリ スポーツ医科学
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女子スポーツ・ハンドブック
日本体育協会

「女性の時代」とか「女子どもの時代」といわれる。男女雇用機会均等法なるものも制定された。逆にいえば、男、大人、それを合わせた「大人の男」の影は薄い。あるいは、「大人の男」であることは難しい、または珍しい。男である書評子の私論がかなり露骨かもしれない。が、つまりは、女性のことを考える場合、それは逆に男性(どうもこの表現には抵抗がある。どうして男、女といった簡潔な表現が野卑なイメージを帯びるようになったのだろうか)のことも考えることになるということだ。話がそれたが、女性がテーマになりつつあるのはスポーツの世界も例外ではない。女性とスポーツに関する雑誌の特集はこれまでに何度も試みられてきたし、シンポジウムのテーマになったこともある。だが、わかりやすいガイド・ブックの類では、日本ではあまりみられなかったのが現実である。本書『女子スポーツ・ハンドブック』は、表紙も優しくスマートだが、内容もQ&A形式で親しみやすい。自分に関心のあるQの項を選び読むのもいいが、この分野に関わっている人、あるいは興味ある人なら、一通り読まれることをお勧めする。
 構成は「主な目次」の項に示した通り、Qを①心理的・コーチング的側面、②運動生理的側面、③一般的・社会的側面に分け、①で30項目、②で52項目、③で16項目を収録している。そのそれぞれのQに対し、各専門家が答えるわけだが、本書発刊に至るまでの経緯を簡単に記すると次のようになる。
1900年 オリンピック・パリ大会でテニスとゴルフに女子選手が初参加
1912年 同ストックホルム大会で水泳が女子種目に加わる。
1928年 同アムステルダム大会に陸上競技、体操、フェンシングが女子種目に加わる。
1964年 同東京大会にバレーボールが女子種目に加わる。
1976年 同モントリオール大会にバスケットボールとハンドボールが登場。
1981年 日本体育協会競技力向上委員会で、国際競技力向上長期総合強化計画の一環として「女子スポーツ強化対策プロジェクト班」設置。依頼、スポーツ科学委員会女子スポーツ対策研究班、学識経験者の協力とともに、現場の指導者、選手の意見も採り入れ、各種検討がなされてきた。
 こうして、女子スポーツの指導者、選手の参考書として、本書が刊行されたわけである。
 編集委員は、嘉戸脩、小谷望、杉原隆、山川純の各氏。執筆者は、跡見順子、荒井貞光、石井源信、大野美沙子、海野孝、加賀谷淳子、嘉戸、金子正子、川原貴、今野和明、沢田和明、杉原、清和洋子、塚原千恵子、土ヶ淵竹志、荻原美代子、浜松ヨシ江、山田重雄、吉田敏明の各氏(姓のみは編集委員)。
 一通り読み進んでいくと、私たちは「男だから」「女だから」と容易に短絡した物の見方、考え方をし、それが科学的根拠がないどころか、単なる偏見であることが多いのを知る。男性と女性では、心理的、運動生理的、社会的に何がどう違うのか、違うからどう対処しなければならないのか、まずこういった本で客観的に捉えておくことが大切だろう。女子の指導者が男子であることは珍しくない。選手に男女があるように、指導者にも男女がある。男対男、男対女、女対女の3つの組み合わせは、指導者対選手にも生じるわけだ。また、単なる男女差だけでなく、個人差もある。言語的な能力は女子のほうが優れていて、迷路や幾何学的な図形の分割や構成、二次元や三次元の空間判断などといった空間関係の理解・認知能力では女子は男子に劣るという比較的一貫した結果が得られている(P3より)とはいえ、それも個人差があり、「男だから」「女だから」と一概にいえないのは、日常生活を通じて誰もが知るところである。
 これまで、スポーツといえば、多くは男子の参加するものであり、女子選手の参加、増加は比較的近年のことである。したがって、どうしても「男社会」的な要素が強かったスポーツだが、人間の半分は女子という明白な事実から、逆に女子とスポーツというテーマへの関心が高まっているといえるだろう。また、女子とともに、子どもとスポーツというのも近年関心の高まりつつあるテーマである。これも大人の男を中心にスポーツが語られてきたからとみることができるのではないだろうか。スポーツは老若男女のものであるから、老人とスポーツというテーマも今後急速にクローズ・アップされていくことだろう。その意味で、本書は決して特定の読者を対象とするのではなく、スポーツあるいは人間社会全体の問題を扱っている。




主な目次

〔心理的・コーチング的側面〕
Q1 知的能力や性格の面で、女子と男子にはどのような違いがありますか〜 Q30 思春期以前の女子選手のコーチングが心理的な面で、どのような配慮をすればよいですか

〔運動生理的側面〕
Q1 小学生からトレーニングを始めると、初潮に何か影響がありますか〜 Q52 運動あるいは試合の前の食事は何がよいですか

〔一般的・社会的側面〕
Q1 女子選手のスポーツ参加にはどのような特徴がみられますか〜 Q16 女子選手の一般的な練習時間と練習内容はどのようなものですか。また、その理想的な姿は

〔座談会〕
1985年11月東京国際女子マラソンを振り返って
(清家 輝文)

出版元:ぎょうせい

(掲載日:1986-06-10)

タグ:女性 指導  
カテゴリ スポーツ医科学
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コーチングの科学
福永 哲夫 湯浅 景元

 どんなことでも人に何かを教えるのは難しいものである。昔から「教えることは学ぶこと」といわれるように、人に物事を教えていく過程で、教える人は逆に学ぶことが多い。学ばないと教えられないということもある。
 スポーツの世界では、教える人のことをコーチと読んだり、スクールではインストラクターと呼んだりしている。いずれにせよ、特にスポーツの技術指導はコーチングと呼ばれ、経験したことのある人ならよく分かるだろうが、簡単に教えた通りの動きをしてくれるものではない。逆に、教えた通り、あるいはそれ以上にできたとき、コーチの喜びはひとしおである。どうすれば、こちらの愛していることが伝わるか、またそれを選手や生徒が進んでやるようになるか、コーチやインストラクターは日々心を砕いていることだろう。最も大切なことは、本にもなかなか書いていないし、言葉で表すのは難しいことも多い。「こうだ」とお手本を示しても、選手や生徒にとっては「それができないんじゃないか」と不満が出ることもある。元読売巨人軍の長嶋氏はバッティングについて「バッと来たら、ビュッと振って、ガツンだ」と説明したそうだが、これだけを聞いて“ガツン”と打てる人はいないであろう(少なくとも、打つ心意気、心構えはなんとなく分かるが)。
 さて、本書、その難しいコーチングを科学的に捉えようというものである。
「スポーツのコーチングにおいては、プレーヤーの動きや身体的調子に関する“感じ”を客観的“事実”として理解することが必要である。さらに、現在までに明らかにされてきている体力トレーニングに関する科学的原理をもとに、スポーツ種目特性や個人の能力に応じた種目別個人別トレーニング方法を作成し実行するための努力がなされなければならない」(序より)
 実に淡々と書かれてはいるが、このこと自体大変な作業である。
「本書は、スポーツを実施したり、指導したりするときに生じるこれらの問題の解決にスポーツ科学がどのように接近できるかといった観点から、われわれの研究グループによって得られた成果を中心に、スポーツやトレーニングのコーチングに関する科学的基礎についてまとめたものである」(同上)
 興味深い具体例を本書から紹介しよう。
「スポーツにおける“感じ”と“事実”」という点について、「プレーを実施しているときの身体の動きや生理的反応は、プレーヤー自身にとっては主観的な“感じ”をたよりに教科書や映画などで得た客観的な知識に照らし合せながら組み立てていく。このとき、映画分析などで得られた事実と、プレーヤの感じる主観的“感覚”とがずれている場合が多い」(P2)とし、その例として、卓球でのドライブ打法を挙げている。これはラケットを下から上に振り上げて、ボールに順回転をかける打法だが、プレーヤーは膝を深く曲げて、重心を低くしてから、伸び上がるようにしてラケットを振り上げる。このときのプレーヤーの“感じ”では、からだの重心がかなり上方に移動したところでラケットがボールに接触する。横から見ている人の“感じ”もそうだという。ところが、科学的に調べてみると、実際には、ボールのインパクトはからだの重心が最も下に下がった直後にみられ、“感じ”よりも時間的に早い時点で打っているのである。
 こういった指摘がプレーヤーにどう影響を与えるか分からないが、人によっては“ハッと”と思わせられるところがあり、問題が途端に氷解するかもしれない。
 主な内容は「主な目次」の欄に示した通りだが、コーチにとっても選手にとっても興味深いところが多いのではないだろうか。「コーチングの科学」とはいえ、選手のすべてがコーチの指導のもとにトレーニングや練習を積んでいるわけではなく、コーチなきチーム、選手、コーチング自体も自らに要求しなければならない。その際にも、こういった書のもたらすところは大であろう。
 本書はあくまで「科学」を取り扱ったものであるから、一般書を読むように楽に読み進めるものではないが、ある程度基礎的知識を持っていれば、現場での指導に役立てられるところは多い。
 特に、「7. コーチングへの科学的接近」では「特別な器具はなくても科学的分析・指導はできる」の項で、簡単に筋の太さを計る方法、簡単に全身の脂肪量を計る方法、最大酸素摂取量を簡便に知る方法、ストップウォッチでの無酸素的・有酸素的能力の測り方、走スピードから推進力を求める、垂直跳から脚パワーを測る、持ち上げ回数から最大筋力を推定する、“主観的な感じ”から運動強度を知る方法、走・歩行時に消費するカロリーなどが示されているほか、「コーチングの科学の具体例」として、ボート競技──東京大学ボート部の場合、スピードスケート──全日本候補選手の夏季トレーニングについて、野球──東京大学野球部の場合、競泳──高橋繁浩の場合、陸上競技──室伏重信選手の場合などが挙げられていて、とても参考になる。
 競技スポーツ、特に国際的レベルではスポーツ医・科学の導入は今や常識となっている。ソ連は、東欧は、中国は、韓国は、というようにマスコミでも賑々しく報じられることは珍しくない。この点で日本は立ち遅れているといわれ、それも事実であろうが、実際にはスポーツのそれぞれの現場で積極的に科学的アプローチがなされてきている。まだ一般的ではないにしても、我が国のレベル自体は決して低くないはずである。本書のような書物が指導者によって広く読まれ、現場での試行錯誤を経ることで、さらに裾野が広がり、全体のレベルが向上していくことが期待される。エレクトロニクス技術で世界トップ・クラスの日本におけるスポーツが、いつまでもあまりに経験主義的だったり、“非科学的”であるのは、どう考えてもヘンなことなのである。


主な目次
1. コーチング科学のなりたち
2. スポーツ成績を生み出す技術
3. スポーツ記録の向上をめざして
4. 競技力に及ぼす諸要因
5. 女子のスポーツ適性
6. オリンピック選手にみる体力の競技種目特性
7. コーチングへの科学的接近
8. 健康・体力つくりをめざして
9. 子どもとスポーツ
10. コンディショニング
(清家 輝文)

出版元:朝倉書店

(掲載日:1986-08-10)

タグ:コーチング  
カテゴリ スポーツ医科学
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野球肩・ひじ・腰を治す 野球の障害でもう泣かない! 自分でできる治し方+予防法
石橋 秀幸 大西 祥平

 元プロ野球トレーニングコーチと、スポーツドクターによる共著。タイトルにあるように、野球におけるさまざまな障害を予防するために書かれている。最初に投球のメカニズムを解説し、身体の各部位に起こりがちな障害に対して、フローチャート形式でアドバイス。そして、可動域のチェックやストレッチング、トレーニングの方法について写真を多く使った説明が行われる。ケガを克服した選手の体験談、指導者のあるべき姿勢についても紹介し、野球に対していかに前向きに取り組むことが大切かについてまとめている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:西東社

(掲載日:2008-01-10)

タグ:野球 トレーニング 予防  
カテゴリ スポーツ医科学
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勝利(チャンピオン)への条件
江川 玟成

 ロサンゼルス・オリンピックのときもそうだった。「プレッシャーに弱い日本選手」とよくいわれた。そのたびに思ったが、「プレッシャー」などという言葉がなかったとき、海外試合その他で日本人はいったい「何に」弱かったのか。多分、その当時なら「根性がない」とか「意気地がない」「だらしない」といわれたのではないだろうか。どうも時代錯誤的感想めいているが、「プレッシャー」という言葉で逃げられる一面もあるのではないかと、愚考する。
 こんなことをいうと、オリンピックの想像も及ばぬ緊張を知らないからそんなことがいえるのだと反論されるのは火をみるより明らか。本当に知らないから、そういわれれば、「そうですか」と引き下がるよりない。「…でも」と口を濁して。やはり、スポーツマンはプレッシャーをはねのけ、あるいはコマーシャルの文句ではないが、プレッシャーをエネルギーにし、というようでなければ、頼りない。世の中の男たちが頼りなくなってしまったのと同様、スポーツマンたちも、時代の空気の中で似たような状態なのかもしれない。要求される度合いが昔と比べ物にならないのだという言葉ももっともだが、それでも、やっぱり、どうしても、プレッシャーを克服しないと勝てないのは自明の理。
 そこで、本誌で座談会や今月のスポーツドクター・インタビューの頁などで紹介されているメンタル・トレーニング、メンタル・マネージメントが注目を浴びてくる。ただ「頑張れ」「そんなことでどうする」といった叱咤激励では効を奏さない、もっと方法論をしっかり持って、というわけである。本書『勝利への条件』は「スポーツマンのメンタル・トレーニング」という副題がつけられている。著者は東京学芸大学助教授(教育方法学、カウンセリング心理学)で空手道六段である。ライフル射撃と剣道をする霜礼次郎医師も武道、とくに『五輪書』とメンタル・トレーニングの共通点を指摘しているが、著者も同書および『兵法家伝書』を文中によく挙げている。両方の書は「勝負や訓練の際の精神面を重視してはいるが、けっして精神主義ではない。技術向上や勝負にあたっての技の運用について、合理的にすすめていこうとする研究・工夫が、よく記述されている。むしろ合理性(科学志向性)の裏づけをもった精神重視といってよい。だからこそ、科学時代の今日でも、時代をこえて役だつ点があると、評価できるのである」(第1章より)。
 試合で勝つためには、まず日常の心構えが大切という箇所で、参考までに『五輪書』からの引用(一部)を下に掲げてみよう。

 第一に、邪心を持たぬこと。
 第二に、二天一流の道をきびしく修行すること。
 第三に、広く諸芸にふれること。
 第四に、さまざまな職能の道を知ること。
 第五に、ものごとの利害損得をわきまえること。
 第六に、あらゆることについて、ものごとの真実を見分ける力を養うこと。
 第七に、目に見えぬ本質をさとること。
 第八に、わずかなことにも、注意をおこたらぬこと。
 第九に、役にたたぬことをしないこと。

 これを引いた上で、著者は、「人に勝つには、日常生活が、即、修練・修行の場であるべしとする、宮本武蔵の意図が、十分によみとれることであろう。……つまり日常生活が、技術の向上と試合につながっていなければならないと、理解したい」と語っている。
 これだけを読んでも、当たり前と思う読者も多いことだろう。しかし、その実際はたやすいものではない。そのたやすくないことがどうすればできるかを説いたのが本書といってよいだろう。もちろん、方法論としては日常以外のことも含まれているが、すべてはこの辺に根本があるようだ。「主な目次」の項を参照していただきたいが、著者は「勝利への条件」として、第1章で技術の向上、第2章で事前準備、第3章でそれらの科学的基礎、第4章で集中力、第5章で“あがり”の克服、第6章で試合中の心・技について述べている。それぞれ実際的で、メンタル・トレーニングの方法についても詳しく記されている。新書判なので読みやすく入手もしやすい。
 スポーツは、人間がからだを動かすことがまず基本だが、肉体は精神と切り離せぬものである。スポーツ、とくに勝敗や記録を争う競技スポーツでは気持ちのありよう、精神的態度、心構えは練習、試合とも非常に重要である。ところが、それは性格や天性の部分もしくは本人の“やる気”に委ねられていることが多い。本書を読めば、そうではなく、性格も変えられるし、集中力も高められるし、“あがり”も克服できるのがわかるだろう。また、勝つということが、単に技術、作戦的に上位の結果ではなく、勝つために日頃から努力している結果であることもわかる。
 宮本武蔵などを持ち出すと、古くさいと思う人もいるだろう。だが私たちは武道が長い歴史の中で培ってきたものがただならぬものであることも、今改めて知る必要があるのではないだろうか。
 まあ、いずれにせよ、スポーツの世界で「プレッシャーに負けた」とか「プレッシャーに弱い」などという文句はこれから目にしたくないし、耳にもしたくないのである。

主な目次
第1章 スポーツ技術のレベル・アップ
 1. スポーツ指導についての誤解/2. 技術を向上させる条件
第2章 試合に勝つための条件 
 1. 勝敗を決めるものは?/2. 試合に勝つための事前準備/3. 試合にのぞんでの工夫
第3章 技術の向上に必要な科学的基礎
 1. 身体力学と生理学の基礎知識/2. 心理学の基礎知識/3. 練習内容と方法を決める科学的基礎
第4章 集中力を高めるためには
 1. 集中力とは何か/2. 集中力アップの工夫
第5章 “あがり”の克服法
 1. なぜ“あがる”のか/2. 日頃の工夫による防止対策/3. 自律訓練法による克服
第6章 試合中の心と技の工夫
 1. 試合中の心のもち方/2. 試合中の技はここを!

巻末に「性格の自己チェック尺度」と「敗因診断票」を付す。
(清家 輝文)

出版元:千曲秀版社

(掲載日:1986-09-10)

タグ:メンタル 武道  
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツとリハビリテーション医学
佐藤 揵

「14年間携わってきた高次神経機能(とくに失語症)のリハビリテーションの臨床から、スポーツ分野のリハビリテーションの道へ移って」26年にして、「なるほどといえる体系化ができていないスポーツのリハビリテーションの分野に、一試論を投ずるのも意味がないわけではあるまいと独断し、まとめたのが本書である」。仙台大学教授、同大学健康管理センター所長・佐藤揵氏による『スポーツとリハビリテーション医学』(廣川書店)がそれである。
 冒頭4頁にわたる文献リストが示す通り、多数の文献を駆使し、スポーツにおけるリハビリテーションの概観と実際について述べられている。著者も記している通り、これから体系化がなされる分野であり、この1冊を編むことは並々ならぬところがあったと思われる。内容は専門的だが、この分野に興味を持つ学生の方にも大いに参考になるだろう。この分野の書籍にしては価格も手頃だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:廣川書店

(掲載日:1986-09-10)

タグ:リハビリテーション  
カテゴリ スポーツ医科学
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関節可動域制限 病態の理解と治療の考え方
沖田 実

 本書は、関節可動域制限に関して、この病態をもたらしているのは何であるかの発生要因を捉えなおし、治療に向けた考え方をまとめている。編者の「関節可動域制限との戦い」をベースとする、理学療法士向けの専門書である。
 まず第1章では、発生状況についての調査をまとめ、定義や分類について検討し、さらに筋や靭帯、関節包といった関節の構造と機能について要素ごとに解説される。そして各要素がどのように関節可動域制限に関与しているかを述べる。第2章からは、実験動物モデルによって関節可動域制限のメカニズムを探るために行われている関節を固定する(不動化)実験について具体的な方法が紹介される。また、筋や筋膜、靭帯、関節構成体(関節包、滑液、関節軟骨)にそれぞれ着目して、どのように変化しているか、顕微鏡写真やグラフ、図を用いて解説している。こうしたことを基礎として、第3章ではより臨床に近づいた観点から、どういう治療手段を用いてアプローチしていくか、またその治療効果の検証について検討している。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:三輪書店

(掲載日:2008-03-10)

タグ:可動域  
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツトレーニングの心理学
R.N.シンガー 松田 岩男

 昔、レオナルド・ダビンチという偉人がいた。今でいえば、美術も科学も医学も、彼は広範囲において天才を発揮した。各分野が専門分化していく今日、彼の偉業を再現することは一個人、いかなる大天才にとっても不可能であろう。世にいうマルチ人間でも、その水準で事をなしていくのは困難なはずだ。
 スポーツ心理学も例外ではない。「他の書物を分析した結果、私はこの領域に関する最も包括的な本を書こうと思いたった」(序文より)と記されている通り、スポーツと心理学について、1968年初版、1975年改訂第2版、そして1980年にその第3版が出されたものの翻訳本が『スポーツトレーニングの心理学』(R.N.シンガー著、松田岩男監訳、大修館書店)である。
 日本語版への序文から察するところ、これは初版翻訳の次の翻訳となり、その改訂の意味は極めて大だろう。著者が「話題は興味深く、エキサイティングですらある──少なくとも私には」と記されている通り、そもそも学問はエキサイティングなところがあるべきなのだ。スポーツ心理学の体系を知るために、この1冊はありがたい1冊といえる。なお、原題は“Motor Learning and Human Performance”であり、著者はアメリカ・フロリダ州立大学教授、国際スポーツ心理学会会長である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:1986-10-10)

タグ:スポーツ心理学  
カテゴリ スポーツ医科学
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新版これでなっとく使えるスポーツサイエンス
征矢 英昭 本山 貢 石井 好二郎

 たとえば、「1日に何度も競技がある場合のウォーミングアップは?」という質問があった場合、どのように答えるだろうか。本書は最新の研究成果に基づき、現在考えられる回答を分かりやすい口調でまとめられている。1つの項目が2〜4ページとコンパクトにまとめられているのも特徴。各項目で「まとめ」として要約がついているので、結論部分を知りたいときに素早く回答が得られる。また、データがグラフとして、あるいは図として示されており、考えを深めることができる。2002年に出版されたものに改訂が加えられて新版となった。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2008-04-10)

タグ:スポーツ医科学 入門  
カテゴリ スポーツ医科学
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ストレッチングの実際
栗山 節郎 山田 保

 先日、ある目的でここ5〜6年の体育・スポーツに関する新聞の切り抜きにひと通り目を通した。そこで1つ気がついたのは、1980年頃はエアロビクスの記事が目立ち、1981年頃になるとストレッチングが盛んに取り上げられるようになる。スポーツ外傷・障害に関する記事は、この2〜3年で急激に各紙に頻出するようになる。丁寧にその数を拾い、表にして示せば面白いデータになるだろう。
 新聞記事のみならず、ストレッチングは、単行本として日本で何冊も出ている。身近に10冊くらいはあるから、すでにその倍は出ているだろうし、ブックレット、パンフレットなどと合わせると、大変な数になるだろう。そういう状況からいえば、何を今さらのストレッチングの本である。
 だが、ストレッチング・ブームもひとまず落ち着き、それだけ実践者も増えた結果、人それぞれ冷静にストレッチングをみることができるようなったともいえるだろう。T.J.ブックスの最新刊『トータル・ボディ・トレーニング』で、ドミンゲス博士は次のように述べている。「誰でも柔軟性に富んだからだになりたいと望んでおり、ある程度の可動性は、望ましくもあり有益でもあることはいうまでもない。……問題は、柔軟すぎると、かえって害をもたらす危険性があるということである。……柔軟性は、それ自体を目的とするべきではなく、筋力強化とそのトレーニングの結果として備わるべきである。……問題は、柔軟性をコントロールできる筋力を備えていない柔軟性はケガを招くということである」
 こういう指摘は、実はつい最近出てきたものではない。ストレッチング・ブームの最中でもいわれてきた。少し考えると、その指摘はあまりにも当然である。しかし、だからといって、ストレッチングの価値が貶められるものではない。少しよければ全部よし、少し悪ければすべて悪しではなく、よい点はよい点として活用し、それ以上の“幻想”を抱かないことである。この『ストレッチングの実際』でも「ストレッチングによって得られる体の柔軟性は、いわゆる“体力”の一部であり、他の能力、すなわち、筋力、敏捷性、平衡能力、協応性、持久力など総合的な体力も高めることが必要であることを忘れず、そのうえでストレッチングを正しく活用して安全で楽しいスポーツライフを、また健康な身体と生活を得られることを期待する」(はしがきより)、ただ単に関節を柔らかくしたのでは意味がない。全身のすべての関節を柔らかくしてしまっては十分な筋力が発揮できない」(P3「柔軟性とは」より)と述べられている。
 ブームの発端から約5年を経てスポーツドクターと体育専門家によってまとめられた本だけあって、この本はストレッチングを通じてスポーツ外傷・障害についても学べるようになっている。いや、むしろ、これだけストレッチングの本が出てしまった今日、その部分こそ、この本の根幹であるといいたくなる。主な目次は例によって別の欄に掲げたが、全体は大きく4つに分けられ、前半はストレッチングに関連する医学と科学について、後半はストレッチングの実際、つまり方法がまとめられている。Iの「ストレッチングの基礎知識」でも、IIの「ストレッチングの必要なスポーツ傷害」でも、中心はスポーツ整形外科的観点であるのが本書の特徴である。解剖・生理はもとより、各部位に生じるスポーツ外傷・障害について、ひと通りの知識が得られる。たとえば、下肢の膝関節の項では、解剖から始まり、膝のスポーツ傷害として半月損傷、靭帯損傷、膝伸展装置の傷害、膝関節周囲の腱炎が説明されている。ケガが生じたときの救急処置についても簡単だが、必要なことは記されている。そして、本文中、参照すべき実際のストレッチングやその他の項目について、→24頁のように示されているため、実用性は非常に高い。実技を伴うものを本によって表現するには、難しさと反対に工夫ひとつで映像よりわかりやすくなる利点もある。最近の本にはその工夫が目立つが、これもビデオの普及に対し、著者と編集者が心を砕いて「本の世界」を高めようとしている反映だろう。「坐位での大腿四頭筋のストレッチング」(P61)で「注意点」として「なお上体を後ろへたおすときは膝を曲げている側の股関節が伸びるようにするとよい。つまりこの側の“ズボンのシワを伸ばすような気持”で行うとよい」という表現は、動作に具体性を持たせる意味でとても有効であり、こういった1行にも著者の苦心のあと、あるいは現場経験、指導経験の豊富さがうかがえる。
「ボブ・アンダーソンによってストレッチングの概念の系統化がなされて以来、わが国においてもストレッチングに関わる多くの出版物が紹介されてきた。これらの本はいずれもたいへん有用なものであるが、トレーニングを指導する立場の者にとっては医学的・生理学的な面からの解説の必要性を感じていた」(あとがきより)という言葉通りの本である。いろいろ教えられる1冊だ。「またストレッチングの本か」とうっちゃっておくのはもったいない。

主な目次
I ストレッチングについての基礎知識
1. ストレッチングの科学
2. 正しいストレッチングの方法
3. リハビリテーションとしてのストレッチング
4. スポーツ傷害

II ストレッチングの必要なスポーツ傷害
1. 下肢
2. 躯幹
3. 上肢

III ストレッチングの基本動作
1. 下肢のストレッチング
2. 躯幹部のストレッチング
3. 上肢のストレッチング

IV 種目別ストレッチング
(清家 輝文)

出版元:南江堂

(掲載日:1986-11-10)

タグ:ストレッチング  
カテゴリ スポーツ医科学
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らいなー チームと親子で読む幸福野球
井上 光成 スポーツGEAR

「説明」「実例」「コーチへ」「スポーツ心理入門」という形式で、26項目が並­ぶ。野球を楽しくプレーするために役立つ心構えや具体的な動き方などがわかりやすく書かれている。これらのアドバイスは、スポーツ心理学会などで発表されたものをベースに、より噛み砕いた言葉で伝わるように工夫されているが、非常に短くまとまっていて、読みやすい。
 各章のタイトルを紹介すると、「楽しく野球をやりたい」に始まり、「死ぬほど走れ」「長嶋語のすすめ」など、ユニークな考え方を紹介。そして「軸を感じる」「軸の修正」「フォームを習うと体をこわす」など、動作習得についても紹介し、「割算野球」「戦略通りにならない」など、戦術・戦略面へのアドバイスもある。締めくくるのは「生きること」。このように、内容は多岐にわたっているが、いずれもサブタイトルにあるように「幸福野球」を実現していくためのものである。随所に見られる、柔らかなタッチのイラストにはユーモアが盛り込まれ、理解を助けるものとなっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:せいうん

(掲載日:2008-05-10)

タグ:スポーツ心理学 野球  
カテゴリ スポーツ医科学
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乳酸をどう活かすか
八田 秀雄

 2005年から毎年行われている乳酸研究会での発表内容をもとに、18名のスポーツ科学研究者、コーチほかによるこれまでの成果をまとめたのが本書である。最初に血中乳酸濃度の意味、代謝のメカニズム、測定の具体的な方法について述べられ、陸上競技やスピードスケート、スキー、ボート、サッカーなどでの活用事例が紹介されている。乳酸摂取や工業・医薬品についての話題も。いずれも表やグラフが多く用いられ、よりわかりやすくなるような工夫が盛り込まれている。乳酸に関する、より妥当な理解とその活かし方について現時点での知識を得ることができる1冊である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:杏林書院

(掲載日:2008-05-10)

タグ:乳酸  
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ医学I けがをふせぐ
市川 宣恭

 スポーツ医学の本は、どちらかというと高価であることが多い。ところが、最近は新書判のものものチラホラ出てきた。比較的低価格で刷り部数も多いということは、それだけ読者がいるだろうということであり、5〜6年前に比べると隔世の感がある。つまりは、スポーツ医学が一般に普及してきたことを示している。それでも「文庫本」にはスポーツ医学の入る余地はなかった(新潮文庫に『ベスト・ジョギング』下條由紀子著があるが、これはスポーツ医学というよりジョギングへの誘いの書)。
 ところが、保育社のカラーブックスから、その名もズバリ『スポーツ医学I』が、定価500円で刊行された。このカラーブックス、文字通り、カラー頁が多い。カラーと白黒ページの見開きが交互に続く印刷形式である(152頁)。
 カラーブックスは、昭和37年に始まり、この本出で715巻を数える。全巻で3500〜4000万部売れているという。写真を多数用いたもので、どこかで1冊や2冊はみたことがあるはずのシリーズである。これまで医学全般のもの、たとえば腎臓病、糖尿病、心臓病などのものは刊行されていたが、スポーツ医学は初めてで、このあと続刊として来年に『スポーツ医学II──けがをしやすいところ』『スポーツ医学III──けがをなおす』の2冊が出される予定である(著者は同じ)。
 全体的にカラーブックスの特徴でもあるが、写真や図が多く、文庫本ということもあって、比較的短時間で読み終えることができるが、なにも読み通す必要はなく、それぞれ関心のあるところだけを読んでも十分役に立つ。
 著者は本誌10月号の「スポーツドクター・インタビュー」で紹介されている市川宣恭氏。著者についての詳細はそちらに譲るが、「私は整形外科医として30年間、大学病院で臨床経験を積んで参りました。また、大阪市身体障害者スポーツ・センターで、身体の不自由な人たちのスポーツと身体的な効果および障害について相談にのり、指導をしてきました。それらの体験を通じて、元気のよいスポーツ選手から中高年のスポーツ愛好家に至るまで、けがを防ぎ、事故をなくすための助言をしたいと思って執筆しました」(まえがきより)という言葉通り、肩肘張らずにスポーツ医学、とくに外傷・障害が各スポーツ別に語られている。
 もとより文庫本であるから、一般読者向けにできるだけ平易簡明に記されているが、スポーツ医学も医学という専門内であるから、どうしても解剖学や用語の点で理解しにくいところがあるかもしれない。もちろん、著者はその点にも配慮し、「基本的な用語の解説」の項を設け、下肢、上肢、下腿、筋、腱、靭帯、脊柱、椎骨、仙骨、頚椎、膝蓋骨などについて説明している。
 どんなに一般を意識し、平明をモットーに書かれたスポーツ医学の本でも、実際には「難しそう」と敬遠される場合が少なくない。解剖図や表が出てくると、それだけで「対象外」とされてしまうものだ。しかし、筋肉名や解剖はある程度頭に入れておいてもらわないと、著者としては説明のしようがない。その辺りが、この種の本を書く最も難しいところだろう。
 アメリカの一般向けスポーツ医学書は、その点で工夫がしてあったり、できるだけ負通の言葉で語ろうとしていることが多い。思うに、「テニス・エルボー」も「ランナーズ・ニー」もそういう言葉であろう。昔、20年くらい前、テニスで傷めた肘なら「テニス・エルボー」、野球で傷めた指なら「ベースボール・フィンガー」で十分だと習ったことがある。それは、決して「スポーツ医学」の話ではなく、一般の会話の話である。
 さて、本書だが、ジョギングの項を例に取ると「例えば、運動不足があっても息苦しくなったり、心臓の動悸がなかなか治まらない状態が続くことがあります。何とか走れても、心肺系の故障は、重大事故につながる可能性もあります。また、下肢の関節や腰などの運動器官にも疼痛や動きの制限が出現したり、下腿の筋肉(ふくらはぎ)などに痙攣を起こす場合もあります」といったように、スポーツドクターが一般の人を前にして語りかける調子で全体が貫かれている。こういう書き方は簡単そうで実は難しい。平明を心がけると肝心なことがうまくいえなかったり、正確さを欠いてしまうこともある。その難しさをこの本はうまく克服している。「このような大きな力がかかっても足を痛めないで長時間にわたって走ることができるのは、土踏まずをつくっているアーチのある足の構造によるものです。(中略)ちょうど足の凹みの部分に、コイル・バネが入っているような仕掛けになっています」というように。この説明には、もちろん、カラーのイラストが何点もついている。
 文庫本であるがゆえに、ややスペースが狭い気もするが、そんなことよりも、カラーの写真や図を多数用い、文庫本というよく普及し、しかも低価格な形で「スポーツ医学」をまとめたことのほうが高く評価される。スポーツ医学が家庭の医学に近づいたといえる。


●走る
ジョギングの障害/歩く・走る場合の機能解剖/ジョギングと痛み/靴の問題/走りによる急死/ひざのしくみ

●トレーニングを始める前に
トレーニングの原則/運動処方のやり方

●市民スポーツ実施上の注意点
1. 年齢的要因/2. 局所の過度使用について/3. 環境や用具の問題

●泳ぐ
スイミング/スイミングの障害/とび込み/水上スキー/潜水(スノーケリング、ダイビング)/サーフィン、ウィンド・サーフィン/溺水/処置

●テニス
1. テニス肘/2. テニス肩/3. テニス脚/4. テニス足指

●ダンス

●ゴルフ
1. ゴルフ骨折/2. ゴルフ肘/3. 腰痛/4. 手および手関節の障害

●野球・ソフトボール
1. 野球肩/2. 野球肘/3. 野球指(槌指、マレットフィンガー)/4. その他の外傷、障害

●サッカー
1. 足首のけが故障/2. その他の下肢、腰部の障害/3. ヘッディングによる障害/4. ラフ・プレイによる外傷

●バレーボール

●バドミントン

●ボーリング

●スキー・スケート
スキー/スケート

●ラグビー
1. 肩周辺の外傷/2. 膝関節の外傷、障害

●柔道
1. 頭部および顔面の外傷/2. 肩甲帯および上肢の外傷、障害/3. 腰部の外傷、障害/4. 下肢の外傷、障害
(清家 輝文)

出版元:保育社

(掲載日:1986-12-10)

タグ:スポーツ医学 入門   
カテゴリ スポーツ医科学
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図解 成人病の運動処方・運動療法 虚血性心疾患編
伊賀 六一 波多野 義郎 野矢 久美子

 先月の「スポーツドクター・インタビュー」の頁で南谷和利・順天堂大学教授が、西ドイツとアメリカの心疾患患者のリハビリテーション施設を紹介、日本はまだこの方面では立ち遅れているとの指摘があった。
 その数少ない日本の施設として、虚血性心疾患の運動療法を行う「PFセンター」(Physical Fitness Center)と名づけられたものが社会保険埼玉中央病院にある。そこでの運動療法を中心に、図、写真、表を駆使して、非常に視覚的にわかりやすくまとめられているのが『図解 成人病の運動処方・運動療法 虚血性心疾患編』(伊賀六一、波多野義郎編、伊賀六一、野矢久美子著、医歯薬出版)である。
 “図解”と銘打たれているだけに、文章より図版のほうが多い。PFリーダーの設置など、これからのこの分野に対する提言も多く含まれている。日本における心臓病は、脳卒中を抜いて、死亡率2位となった。専門家だけでなく、一般にもこういった知識の必要性は高まっている。どんな人にも抵抗のない手引書である。またそれだけに医学の広まりもうかがえる本だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医歯薬出版

(掲載日:1986-12-10)

タグ:成人病 運動処方 心疾患  
カテゴリ スポーツ医科学
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アナトミー・トレイン 徒手運動療法のための筋筋膜経線
Thomas W. Myers 松下 松雄

 著者のいう“アナトミー・トレイン(解剖列車)”とは、“身体をどう見ていくか”という、ものの見方の一つであり、身体の結合組織線維の走行=筋筋膜経線を表している。
 多くの筋筋膜療法で行われる個々の筋筋膜を対象にしたものではなく、人体を走る広い筋筋膜の連続体、つまり“緊張と運動を伝達する線”を意味している。
 訳文が本文に忠実であるがゆえに、文章が直訳されすぎて読みにくい表現がところどころにあるのがやや難点ではあるが、各経線についてそれぞれイラストを多用し、始まりから終わりまでの流れを追った説明がされており、各章の最初のページを読むだけでも簡単に理解ができる内容となっている
(藤井 歩)

出版元:医学書院

(掲載日:2014-02-07)

タグ:筋 徒手療法 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ医科学トピックス 1
川田 茂雄

 インターネットの普及・発達により、簡単に多くの情報が手に入るようになりました。スポーツの分野においても、トレーニング理論やスポーツ理論など身体にまつわる情報もたくさん手に入るようになっています。しかし、インターネット情報の弊害として、真偽不明の情報やその人に合っていない情報も出回っています。
本書は著者である川田茂雄氏の「スポーツ医科学、最新情報を学術論文に基づいて提供したい。スポーツ科学、健康科学に興味を持ってもらいたい」という思いがこめられています。
 学術論文に基づいて、サプリメントについて、トレーニングの効果、生理学、ドーピングについてなど、広い分野からの情報を手に入れることができる価値ある一冊になっています。
(大洞 裕和)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2014-07-26)

タグ:科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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サッカー ファンタジスタの科学
浅井 武

 昨今のサッカー界で、ファンタジスタと呼ばれる選手が減っていると感じるのは私だけだろうか。
 本書では、ファンタジスタと呼ばれる選手に必要な、技術や体力を物理学や生理学の言葉を用いながらも、サッカーの場面と結びつけて解説をしている。私も含め、頭を使うより身体を動かすことが好きな人にとっては、苦手と思われるような科学的な言葉が、自然と理解できる一冊である。
 ファンタジスタのことを「創造性豊かなイマジネーションあふれるプレーで、味方や観衆はもちろん、相手選手さえも魅了してしまうプレーヤー」と表現している。この文章を元にさまざまな現役選手を想像したが、結局私の中でファンタジスタを見つけることはできなかった。
 ファンタジスタのプレーを科学的に分析はできる。しかし、科学の力を持ってしても、ファンタジスタを生み出すことはできないであろう。ファンタジスタがファンタジスタと呼ばれる所以はそこにあるのではないだろうか。「ヒト」がプレーするサッカーというスポーツの面白さを、改めて伝えてくれる一冊である。
(橋本 紘希)

出版元:光文社

(掲載日:2013-10-23)

タグ:サッカー スポーツ科学 技術 
カテゴリ スポーツ医科学
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勝負を決する! スポーツ心理の法則
高畑 好秀

 私が現在最も勉強したい部類の本であり、なおかつ読んでみたかった著者の本であったことが何より個人的に読む意欲をそそった。著者の高畑氏は現場でコーチの方々とのお話でも、コーチングについて名前が出てくるほど現場での実践力があると以前から聞いていたので、この本は非常に参考になり、また読みやすさもこの本の魅力である。
 その読みやすさとは、まず理論編としてスポーツ心理学を現場にたとえながら解説している点が1つ。2つ目に実践編として事象に対して例をいくつか具体的に述べている点。3つ目に、その段落に関わるチェックシートが用意されていて自身のフィードバックができる点。これこそが現場での実践力につながる部分であり、まさにコーチングのための実用書といっても過言ではないだろう。
 指導者はもちろん、選手も読んでもらいたい1冊である。

(河田 大輔)

出版元:体育とスポーツ出版社

(掲載日:2013-10-29)

タグ:心理学 コーチング 
カテゴリ スポーツ医科学
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なぜナイスショットは練習場でしか出ないのか 本番に強いゴルフの心理学
市村 操一

 ゴルフを上達させるためのメンタルトレーニングを、トッププロ選手の事例や様々な論文をもとにして描いている。「集中力の妨害には『ルーティン化した準備運動』で対処せよ」の章では、ゴルフだけに限らず、私たちの日常生活やビジネスの場面でも同じことが言える。一日の中で集中力阻害要因は山のようにある。選択肢が多くなり、さまざまなことが便利になった分、集中して物事に取り組むのが非常に難しくなってきた。一流選手が試合に臨む過程で、決まったルーティンを持つように、私たちも日常生活やビジネスの場面でハイパフォーマンスを発揮していくためには、ある程度の決まったルーティンを持つ必要があると常々考えている。
 ゴルフの上級者と初心者の違いに関しての考察も示唆に富んでおり、プロゴルファーやゴルフの心理学者の多くが指摘する上級者と初心者の違いには、「注意の向け方の違い」があるようである。上級者の注意の向け方は、目標を狭く絞っている。それに対して、初心者の注意はスイングのメカニズムや、力を入れて打つこと、そして池、立ち木、ブッシュやバンカーなどのハザードなどなど多方面に広がっている。もう1つの違いは、上級者の注意がこれから実行することに向けられるのに対して、初心者の注意は避けようとすることに向けられる。1つのことに集中して物事に取り組むこと、さらにその集中する状態や環境をつくることがゴルフのパフォーマンスアップのために必要なことなのであろう。
 戦う人はいい顔をしなさい、心を平静に保つための「姿勢や表情」も練習せよ、変化を嫌う人は進歩しないなど、ゴルフのパフォーマンスを上げることと、日常生活をよりよいものにしていくことは共通項が非常に多いのではないか、と本書を通じて思ったところである。
(浦中 宏典)

出版元:幻冬舎

(掲載日:2013-12-20)

タグ:心理学 ゴルフ 
カテゴリ スポーツ医科学
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世界最速の男をとらえろ! 進化する「スポーツ計時」の驚くべき世界
織田 一朗

 本書は計測技術のこれまでの進化について書かれている。しかしながらただの計時技術の歴史本ではない。読み進めてみると計測技術とスポーツの商業化や商品開発、選手のプロフェッショナリズムまでもが密接に関わりながら進化している様子が詳細に書かれており、いままで明るみに出なかった視点からスポーツの裏側を知ることができる。
 手動計時や目による判定から機器による判定になったことにより、競技の公平性が高まり納得できないような判定が激減した。その裏側で機器を操作する記録員はミスが起こらないように多大な苦労をしており、そのことも著者の実体験として赤裸々に書かれている。
 最近ではブラジルで開催されたサッカーのワールドカップでも機械によるゴール判定が行われたり、ボールの位置をかなりの精度で追従するシステムが設けられたりと、計測機器によって選手も観客も存分にスポーツを楽しめるようになってきている。競技の結果を精度よく記録する時代から、記録以外の部分まで詳細にデータ化できる時代に突入し、スポーツの新たな楽しみ方が誕生しつつある。計測技術の進化の過程を知っていると今後のスポーツ観戦も一層楽しめるようになるだろう。
(山下 大地)

出版元:草思社

(掲載日:2014-10-11)

タグ:計時 技術 開発 
カテゴリ スポーツ医科学
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健康と運動
臼井 永男

 本書はもともと放送大学教材として出版されたもので、何かに特化したというよりも、体力を解剖学、生理学、生化学、発育発達論などの面から総論的にまとめてある。おそらく1回の授業で1章という進み方なのであろう。
 その一つ一つの章はテーマに即した内容の基本的な部分が非常によくまとめられているだけではなく、なるほどと思う内容や図表も含まれており、一般教養の体育授業としてうまくまとまっており、一般の人でも最後まで興味を持って聴けるのではないかと思う。
 勉強や研究は、1つの事象について深く掘り下げてゆくことが一般的ではあるが、総論があっての各論ということを常に考える必要があるのではないかと思う。木を見て森を見ずとならないよう再認識をさせられた書籍である。
(澤野 博)

出版元:放送大学教育振興会

(掲載日:2014-11-12)

タグ:解剖学 生理学 発育発達 健康 運動 
カテゴリ スポーツ医科学
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全解剖 体を動かす「骨と筋肉」のしくみ: 知ればスポーツがうまくなる!
山口 典孝

 子どもでも読めるようにわかりやすく解説している。図も多く、初心者はもちろん、さらなる運動指導のレベルアップを望まれる方々も読んでいただきたいと感じている。
 とくに解剖学、競技別動作解析といった部分は専門的な分野ながらも難しくない表現で目新しささえ感じた。高校での体育やそれに準ずる授業ではこの本を参考に進行しても興味深いだろう。
(河田 大輔)

出版元:誠文堂新光社

(掲載日:2015-01-29)

タグ:機能解剖 解剖 
カテゴリ スポーツ医科学
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サッカー解体新書
ドナルド T. カーケンドール 大澤 真

 解体新書というだけあって、冒頭から1試合平均得点、パス数の平均、ボール保持回数など具体的な数字が記されていることは信頼性を増すための効率的な手法といえる。
 エクササイズの項でも「サッカーとの関連性」を細かく記載しており、指導者として選手に説明する際にも重宝するものであろう。また、解剖学的な視点からもサッカーという競技を説明しているので、筋肉、骨の名前も同時に学習することができる。サッカー指導者にとっては画期的ともいえる内容の本ではないだろうか。
(河田 大輔)

出版元:スタジオタッククリエイティブ

(掲載日:2015-01-30)

タグ:サッカー トレーニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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中国スポーツマッサージと体育療法
駱 勤方 ベースボール・マガジン社

 世界中には数多くの手技療法がありますが、人間の身体の仕組みは国々によって大きく異なるものではありません。目の付けどころというのは手技療法においてもある程度共通したものが多いというのが私の率直な印象です。ましてや歴史の古い手技になれば、エッセンスとなるものも長い歴史により精査されたものが残るのが必然だと思います。
 理由づけや説明は異なったものであっても、実際に施術すべきポイントは洋の東西を問わないかもしれません。
 中国スポーツマッサージの手法が紹介されていますが、特殊なものという印象はほとんどなくて、西洋のマッサージ技術と親和性が高く、誰にでも取り入れることが可能な方法ばかり。ツボという中国独特の概念がオリジナリティーを醸し出しますが、紹介されているテクニックは初心者でも使えそうなものになっています。
 体育療法も中国風エクササイズと捉え気軽に取り入れやすいものばかり。ウォーミングアップやクールダウンに使えば、目先も変わって面白そうです。同じことばかりやってマンネリ気味なときに挑戦していただくと新鮮な気持ちで取り組めそうです。
 イラスト入りの解説ですからとてもわかりやすいです。100ページ足らずですが重要なポイントは押さえられていると思います。トレーナーでも選手でも気軽にお読みいただけるでしょう。逆に体系的に勉強したいという方には不向きです。

(辻田 浩志)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:2016-01-14)

タグ:中国 体育 マッサージ  
カテゴリ スポーツ医科学
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姿勢の脳・神経科学 その基礎から臨床まで
大築 立志 鈴木 三央 柳原 大 大槻 利夫 神﨑 素樹 高草木 薫 内藤 寛 平島 雅也 政二 慶

「ヒトの動きの神経科学シリーズ」の刊行が開始された。その1冊目として、スポーツはもちろん日常の中でのヒトの動きと密接な関係にある姿勢が取り上げられている。姿勢(フォーム)の制御メカニズムを、脳科学、神経科学はもちろんバイオメカニクスなどさまざまな切り口から迫る。
 それぞれの姿勢を制御する際に内部で何が起きているかについて、研究成果がコンパクトにまとめられており、原理を知りたい人には待望の書ではないだろうか。後半では脳卒中後遺症や姿勢反射障害の患者への治療にも触れ、臨床への応用までカバーしている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:市村出版

(掲載日:2012-05-10)

タグ:神経科学 姿勢 脳 
カテゴリ スポーツ医科学
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ローイングの健康スポーツ科学
樋口 満

 ローイングとはボート漕ぎのこと。欧米では生涯スポーツの1つとして認知されている。日本でも普及することを願って、本書が編纂された。
 座って行えるローイングは健康づくりのエクササイズに適していることから、中高年者の身体への影響や実施時の注意点についても詳しく記述されているのが特色と言える。
 ローイングの研究者としても愛好者としてもキャリアの長い樋口氏の情熱がうかがえる。


(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:市村出版

(掲載日:2012-04-10)

タグ:漕艇 トレーニング 健康 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ科学の教科書 強くなる・うまくなる近道
谷本 道哉 石井 直方

 運動生理学、機能解剖学などの章立てとなっているが、順番に読む必要はないと筆者は言う。確かに、スポーツに関する素朴な疑問が生まれたタイミングでそれに合った項目を開くほうが、すんなりと頭に入っていきそうだ。
 疑問が生まれたり考えたりするのは、強くなりたい、うまくなりたいときに他ならない。そんなとき正しい方向へ導く助けとなる、指導者代わりの一冊と言える
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:岩波書店

(掲載日:2012-07-10)

タグ:スポーツ科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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オーチスのキネシオロジ- 身体運動の力学と病態力学
キャロル・A.オ-チス 山崎 敦 佐藤 俊輔 白星 伸一 藤川 孝満

 これから身体の構造と動きについて学び始める人にも、すでに治療家として第一線で活躍している人にも必携の書と言える原著第2版が完全翻訳された。
 厚さ約5cmと辞書のようなボリュームの本書は全5部からなり、まず運動学のベースとなるバイオメカニクスについて触れた後、上肢、頭部と脊柱、下肢の機能を豊富な写真・図版を用いて解説している。これらの記述はもちろん、確かなエビデンスに基づく。また、コラムとして挟まれる臨床との関連についての記述は、治療家1人では難しい臨床例の蓄積の一助となるだろう。第5部では、さまざまな動作に影響する姿勢と歩行についても言及されている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ラウンドフラット

(掲載日:2012-07-10)

タグ:キネシオロジー 機能解剖学 解剖学 
カテゴリ スポーツ医科学
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見るみるわかる肩甲ナビ
竹内 京子 宮崎 尚子

 本書は、肩関節の解剖をとてもわかりやすく紹介している。とくに筋肉を説明している図が立体的であり見やすいため、起始・停止部の理解にもつながりやすい。また、関節の動きも詳細について説明している。
 健康ブームということもあり、専門家のみならず一般の人も身体について興味がある現在、一般の人が見てもわかりやすい内容となっている。
 内容としては肩関節の解剖だけに留まらず、肩の動き、よくある肩の悩みや不調、肩のタイプとチェック方法、タイプ別エクササイズ、肩の機能改善エクササイズがあり、評価とトレーニングも網羅している。
 肩のことを知りたい方、肩に悩みのある方、肩を酷使する方にはお勧めの一冊です。

(鈴木 健大)

出版元:ラウンドフラット

(掲載日:2016-04-22)

タグ:肩甲骨 エクササイズ 
カテゴリ スポーツ医科学
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見るみるわかる骨盤ナビ
竹内 京子 岡橋 優子

「見るみる」というタイトル通り、1〜3章では大きな図を使って骨盤を構成する骨および動きに関わる筋肉、動き方が紹介されている。それを踏まえて、5章では骨盤の状態を改善するセルフエクササイズが多数紹介される。このときわかりやすいよう1〜3章で取り上げた筋名を使ったり、「ゆがみ」や「ゆるみ」と表現する一方、本当に骨がゆがんでいるわけではないことにもしっかり言及されている。6章では、先のエクササイズを肩こりなど自覚症状に応じたセット例が紹介されていて、日常生活にも取り入れやすい。
 また、トレーニング指導の際、とくに日ごろからスポーツをやってきた経験のない人には、骨盤の動きや感覚を意識することは難しい。そういったときこの本の図を見せながら説明すれば、イメージをつかんでもらいやすそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ラウンドフラット

(掲載日:2012-12-10)

タグ:解剖 骨盤 
カテゴリ スポーツ医科学
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人種とスポーツ 黒人は本当に「速く」「強い」のか
川島 浩平

19世紀にさかのぼって探る
 「人種が違う...。」オリンピックの陸上短距離走での勇姿やNBAバスケットボールでのスーパープレイを見ていてそうつぶやいた人は少なくないだろう。大腰筋の太さや下腿三頭筋からアキレス腱の形状などを説明されて、さもありなんと納得した人も多いだろう。黒人は生まれつき身体能力の優れた「天性のアスリート」だと考えることに確かに抵抗は少ない。
 しかし、本書はそのステレオタイプや生得説でことを断じる姿勢に疑問を投げかけている。そして解剖生理学的な側面で全てを捉えるのではなく、黒人を取り巻いてきた歴史や文化などの環境的要因について再検討している。著者の川島氏はアメリカの歴史、社会、文化の専門家である。
 かつて「人種間の生存競争で、黒人種に勝ち目がないことは明らかである」と「滅び行く人種」とされていた黒人が、いかに「生まれながらのアスリートと」表現されるようになったのか、本書では19世紀まで時をさかのぼりそのルーツを探る。19世紀後半にはすでに野球選手や騎手、またボクサーとして、黒人の中にもわずかながら優秀なアスリートが存在していたようだ。しかし人種関係が悪化していた黒人「不可視」の時代では、彼らは「不当な仕打ちによって黙殺される運命を共有」するしかなかった。
 その後も「黒人劣等」を確固たるものとされていた時代は続く。白人至上主義世界で行われていた20世紀初頭の近代オリンピック黎明期にも、黒人はほとんど目立たない存在でしかなかった。アメリカ国内でも、優秀な黒人アスリートは、黒人が身体能力が優れている象徴にはならず、黒人という劣等人種の中の例外的に優秀な存在として「白人化された黒人」と表現されていたという。しかしオリンピックが「国家間、人種間の優劣を決定する競争」としての存在感を増やす中、「多種多様な人々からなる」アメリカが「多種多様な競技種目で最高の成績を収める」必要に迫られたことで、1930年代により多くの優秀な黒人アスリートが頭角を現すことになった。それでもまだ「黒人は劣る」という認識が「白人と同等に」運動能力があると改められただけである。では、この100年ほどで黒人はスーパーアスリートにミューテーションでも起こしたのだろうか。

活躍の舞台
「アフリカ大陸からアメリカ大陸への厳しい航路を生き延び、過酷な奴隷環境を耐え抜いた黒人達はこれまで人類が味わったことのない淘汰を受けて遺伝子を残した」という説も生まれた。その真偽はともかく、これ以降、黒人は生まれながらに運動能力に長けているというステレオタイプが萌芽し拡大する。劣った人種である黒人に後塵を拝した白人の慰めにもされたこの認識は、黒人が自分たちが飛翔する大きな舞台の1つを手に入れたことを意味した。アメリカンフットボール、ベースボール、バスケットボール、というアメリカ三大スポーツを初め、ボクシングや陸上でも、ようやく黒人アスリートの台頭が始まる。
 では黒人が全員生来の優れたアスリートか。もちろんNOだ。華やかな場所で輝かしい活躍ができるのはごく限られた人間だけだ。その陰で埋もれ消えゆく数え切れない人間がいるのだ。スポーツのみが出世する唯一の方法と信じ、本当にやるべきことを見失い、自分自身を袋小路に追い込む多くの黒人の若者たちがいることも忘れてはならない。
 川島氏は言う。「スポーツでの有利、不有利とは、競技が誕生してから今日までの歴史的な過程の中にある。それは第一に競技の特徴や規則、第二に競技者個人の素質、才能、精神力および運。第三に指導者と競技者、そしてプレイを観戦し、視聴する一般の人びとによって培われた競技に対する見方、期待、価値観、こうしたものが相互的に作用するなかで決定されるものである」と。そして黒い肌という共通点を持つ黒人は本当は簡単に「黒人」と括れないことも意識すべきである。実は「遺伝的な多様性」を持ち、「厳密には定義不可能」とさえ言えるのである。その中で自分の強みを適合した競技特性や規則の中で最大限の努力を払って磨き上げた人間が、適切な時代に適切な場所において、他の様々な要因を味方に付けて初めて輝きを放つのだ。

足枷に気づくために
 物事を理解するときに自分が得心しやすいところだけに目を奪われ、それでわかったつもりになることはよくある。先入観が邪魔をして核心に近づけないこと、いや隠れた核心が存在することにすら気づかないことが多い。こんな考え方が己を前に進めることの足あしかせ枷になる。
 本書はステレオタイプに振り回されず、物事の本質を追求する姿勢を正すきっかけにもなるはずだ。水泳、陸上競技という黒人の対照的なステレオタイプの象徴となる競技についても1つの章を割いて興味深い考察がなされていることも付け加えておく。読了後は「黒人だから」という一言で済ませようとする発言がいかに浅薄で軽率なものかが理解できるだろう。
 日本人も、平泳ぎでの潜水、背泳でのバサロスタートを封じるルール改正やノルディック複合でのルール改正など、スポーツが純粋に身体能力だけで決しないものであることは痛みを持って知っているはずだ。そして様々な形で存在するステレオタイプや既成概念に苦しむとともに、それらを雄々しくブレイクスルーすることで新しい価値を見い出すことに挑戦してきたはずだ。自分自身を縛るような思い込みは捨ててしまったほうがいい。そこに気づくだけでも価値がある。
( 山根 太治)

出版元:中央公論新社

(掲載日:2013-01-10)

タグ:人種 
カテゴリ スポーツ医科学
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京大の筋肉
森谷 敏夫

 研究で忙しいのにどうやってトレーニングを、と思いきや、筋肉を鍛えることは脳のトレーニングでもあると森谷氏は言う。本書の内容としては、高齢者に必要な運動や正しいダイエット、生活習慣についてが中心。豊富なデータをもとにわかりやすく解説が進み、講演や学生向けの講義に出席したような感覚を味わえる。最終章では季節に合わせたエクササイズも紹介している。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ディジタルアーカイブズ

(掲載日:2016-04-10)

タグ:トレーニング 筋肉 
カテゴリ スポーツ医科学
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自転車競技のためのフィロソフィー
柿木 克之

 化学分野の研究開発を行ってきた著者が、その手法を用いて運動生理学の研究を自転車のトレーニングにどのように生かしたかをまとめた。まず自転車競技における「強さ」を定義し、代謝の基礎知識に触れた上で、パワーメーターを用いたトレーニングの有効性を導き出す。そしてトレーニング計画など具体的な内容に入っていく。
 自転車競技に取り組み人にとって示唆に富む1冊であるとともに、効率がよく、効果は最大限なトレーニングの組み立て方を学ぶことができる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ベースボール・マガジン社

(掲載日:2013-04-10)

タグ:自転車 
カテゴリ スポーツ医科学
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全解剖 体を動かす「骨と筋肉」のしくみ 知ればスポーツがうまくなる!
山口 典孝

 豊富なイラストで身体のしくみの基本が理解できる。1章で、野球などよく目にする種目においてよく使う筋肉などを解説し、2章では逆上がりやマット運動を行う際のコツ、身体がどのように使われているかをレクチャーする。3章では筋線維の働きやATP、トレーニングの原理・原則、成長曲線についても触れられており、子ども向けと侮れない。
 スポーツを科学的にとらえるための入門書と言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:誠文堂新光社

(掲載日:2013-07-10)

タグ:解剖 筋 骨 
カテゴリ スポーツ医科学
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サルコペニアを知る・測る・学ぶ・克服する
安部 孝 真田 樹義 尾崎 隼朗

 サルコペニアとは、「加齢に伴って無意識のうちに起こる筋量の減少」だという。同様に筋力・筋パワーの低下はディナペニアと呼ばれる。それらの予防と改善のために、詳しい定義やメカニズムの理解を促し、測定と対策の実践を図る。
 運動習慣が定着していないことによる活動量の低下は、生活習慣病や転倒の危険性も高める。高齢化が進む社会において、トレーニング指導者が目を向けるべき領域と言えよう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2013-07-10)

タグ:サルコペニア 筋  
カテゴリ スポーツ医科学
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ピラーティスアナトミィ
ラエル・イサコウィッツ カレン・クリッピンジャー 中村 尚人 東出 顕子

 ピラティスの基本原則から上級レベルのエクササイズまで網羅されている。また、アライメントや関節、筋肉の動きの基礎についてもわかりやすくまとめられているので、ピラティスに限らず身体の動きの学習や復習に役立ちそうだ。
 各エクササイズの紹介では、さまざまな姿勢をとった場合の身体内部の様子が解剖学的なイラストで示されおり、エクササイズが目的に合っているかや正しく行えているかを一目で確認できる。難易度の下げ方やバリエーションにも触れられており、行う人に合わせたプログラムを組む際の参考になる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ガイアブックス

(掲載日:2013-08-10)

タグ:解剖 ピラティス 
カテゴリ スポーツ医科学
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リカバリー アスリートの疲労回復のために
SAGE ROUNTREE 山本 利春 太田 千尋 笠原 政志 Aviva L.E. Smith Ueno

 リカバリーに関するさまざまな知見をまとめた、ありそうでなかった一冊だ。リカバリーの効果は定量的に測定することはできないが、だからこそ個人個人がその意義を理解し、自身の心身の状態を確認することを促す。そのために、アクティブリカバリーやマッサージなどの方法はもちろん、睡眠や栄養摂取、日常におけるストレスを解消するコツにも触れられている。
 スポーツ活動において、疲労回復がいかに重要かが伝わってくる。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2013-08-10)

タグ:疲労 リカバリー 回復 
カテゴリ スポーツ医科学
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サッカー解体新書
ドナルド T. カーケンドール 大澤 真

 著者はFIFA医学評価研究センターの一員。訳者は浦和レッズでトレーナーを務める大澤氏である。
 本書ではサッカー選手の動きや求められるフィジカル要素、注意すべき傷害をコンパクトに解説した上で、FIFAの推奨するウォーミングアップ・トレーニングを詳しく紹介している。各トレーニングにおいて動員される筋がわかりやすくイラスト化されている。また、その筋がサッカーにおけるどんなプレーで必要になってくるのかにも言及されており、サッカーに関わるトレーニング指導者には必携と言える。


(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:スタジオタッククリエイティブ

(掲載日:2013-08-10)

タグ:サッカー トレーニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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ROMナビ 動画で学ぶ関節可動域測定法
青木 主税 根本 悟子 大熊 敦子

 ROMの測定はリハビリを始め医療関連の現場で欠かせないが、どんな対象にも正しく実施する感覚はなかなかつかみにくい。それを190分に渡るDVDで繰り返し学ぼうというものだ。
 この第2版では片麻痺患者への測定法が追加収録された。書籍には実施時の留意点やチェックポイントがコンパクトにまとめられており、基本軸・移動軸・参考可動域角度も色分けされている。一目でわかりやすいテキストと言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ラウンドフラット

(掲載日:2013-09-10)

タグ:関節可動域 ROM 測定 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ鍼灸の実際 最新の理論と実践
福林 徹 宮本 俊和

 最初に本書のタイトルを見たとき、私はスポーツ疾患に対する鍼灸治療法の症例集かと思った。しかし、そうではなかった。確かに、スポーツ疾患に対する鍼灸治療についての内容が大部分を占めているものの、序盤にはスポーツ傷害についての知識、スポーツ現場におけるトレーナーや鍼灸師の役割などAT教本のような内容を含み、終盤にはスポーツ現場で活動するトレーナーにとって必要最低限の知識(救急法、マッサージ、テーピング)について簡単にではあるが押さえてある。また、スポーツ疾患に対する鍼灸治療についても総論と各論に分け、初心者でも導入しやすいつくりになっていることがわかる。
 各論では、鍼灸適応疾患ばかりではなく急性外傷・慢性傷害のどちらも網羅されており、整形外科的検査法や神経反射など現場で評価するうえで有効な情報や運動療法なども載っていて、鍼灸師以外のトレーナーでも十分活用できる内容になっている。
 鍼灸治療に関しても、状態によって細かく治療法が分けられており、治療の種類も豊富である。DVD付きで実際の映像として書面ではわかりづらい部分を確認できるのも嬉しい一冊である。
(藤井 歩)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2016-05-07)

タグ:鍼灸 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動と健康
臼井 永男

 放送大学テキストということで、ヒトの身体のしくみからトレーニング理論、そして健康スポーツについてがコンパクトに凝縮されている。前半では二足歩行であることに着目して運動器・神経系、循環系の構造をひも解き、中盤では巧みさ・ねばり強さ・力強さを伸ばすトレーニングについて記載されている。そして子どもの発達過程から加齢による体力低下までと、障がい者スポーツにも触れ、まさに一冊で運動と健康の概要を学べる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:放送大学教育振興会

(掲載日:2013-10-10)

タグ:健康 運動 
カテゴリ スポーツ医科学
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健康・スポーツ科学のためのRによる統計解析入門
出村 愼一 山次 俊介 高橋 信二 鈴木 宏哉

 統計ソフトのSPSS、Excelに続き、Rを用いた統計解析の入門書シリーズだ。Rは前者2つより柔軟性が高いが、その分使いこなしきれないのではと思われるかもしれない。それを解消するべく、スクリーンショットを多用しインストールから基本操作、差の分析・関連の分析・検出力について解説している。エクセルとの併用、Rコマンダーの活用にも触れられ、データを扱う際には頼もしい助けになるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:杏林書院

(掲載日:2013-12-10)

タグ:統計 
カテゴリ スポーツ医科学
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骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治療の科学的基礎
福林 徹 蒲田 和芳 永野 康治 山内 弘喜 吉田 昌弘 鈴川 仁人

 SPTS(Sportsphysicaltherapyseminarseries)シリーズの第8巻。勉強会の内容をまとめたもので、本書では近年スポーツ疾患として注目される骨盤・股関節・鼠径部にフォーカスを当てている。
 グローバルスタンダードを身につけられるよう、執筆時最新の文献をもとに知見がコンパクトに整理されている。
 さらに最終章では臨床現場においてどのような評価・治療が行われているかも紹介され、判断の助けとなる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2014-02-10)

タグ:骨盤 股関節 鼠径部 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動の指導~6つの“なぜ”に迫る
宮下 充正


 長年スポーツ科学、大学教育に関わってきた著者。運動のしくみや、どうしたらトレーニング効果が出るかなどを解明してきたが、なおも「なぜ」と問い続ける。
 分子生物学などの発達によって新しい知見が絶えず明らかになっているからというのはもちろん、問い続けること自体が運動指導者を成長させるからだ。
 本書では「肥満すると、なぜ痩せようとするのか」を始めとした、身近なようで新鮮な切り口の「なぜ」を豊富なデータを用いて語っている。その姿勢を見習いたくなる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:杏林書院

(掲載日:2014-02-10)

タグ:指導 
カテゴリ スポーツ医科学
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ムーブメント ファンクショナルムーブメントシステム:動作のスクリーニング、アセスメント、修正ストラテジー
Gray Cook 中丸 宏二 小山 貴之 相澤 純也 新田 收

 Gray Cookの提唱するファンクショナルムーブメントスクリーン(FMS:痛みのない人対象)およびセレクティブ・ファンクショナルムーブメントアセスメント(SFMA:痛みのある人対象)。スポーツ現場ではよく聞かれるが、医療の現場でも積極的に取り入れられ、より多くの人のパフォーマンス向上・傷害予防につながることを願って本書がまとめられた。
 根拠となる理論に始まり、詳しいテスト手法が写真とともに網羅されている。さらに得られた動作を分析し、どのように修正につなげていくべきかも示されている。付録としてスコアシートなどもついており、実践につなげやすい構成だ。もちろんすでに取り入れているトレーニング指導者にとっても、テスト手法の再確認などに活用できるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2014-04-10)

タグ:ファンクショナルムーブメント 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動支援の心理学 知覚・認知を活かす
樋口 貴広

 スポーツ指導やリハビリテーションといった運動制御において、知覚・認知機能がどのように貢献できるかを体系的にまとめた。
 心理学というとコミュニケーションやモチベーションを想像しがちだが、それは6章のうち1章に留まる。たとえば野球選手に「肘が下がっている」と指摘するだけではなかなか動作は改善しない。そういった場合のヒントが詰まっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:三輪書店

(掲載日:2014-05-10)

タグ:知覚 
カテゴリ スポーツ医科学
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新 スポーツ外傷・障害とリハビリテーション
魚住 廣信

 ベースは1987年に始まった雑誌連載。改訂を重ね、障害予防とリハビリテーションの入門書となるよう構成されている。
 冒頭に身体のつくりやRICEを始めとする基本処置、リハビリテーションの流れなどがわかりやすくまとめられている。続いて、足部や肩など身体を12カ所に分け、各部位の構造、起こりやすい外傷・障害、リハビリテーション方法を紹介。ケガが起こった後の対応だけでなく、予防のため暑熱環境時の対応などにも触れ、さらにリハビリの解説にはイラストが添えられケガの悪化や再受傷を防ぐ意図が見える。
 現場で起こりうる主な外傷・障害について網羅されており、これから勉強を始める人や復習の際に最適な一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2014-07-10)

タグ:リハビリテーション ケガ 外傷 障害 
カテゴリ スポーツ医科学
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女性のためのランニング学
ジェイソン・R・カープ キャロリン・S・スミス 日向 やよい

 著者は2人とも競技ランナーで1人は女性だ。性ホルモンの身体への影響や、摂食障害・骨粗しょう症・月経不順の予防法だけでなく、月経周期を考慮しつつ効果を最大限にするトレーニングにも触れる。
 妊娠期や産褥期、閉経期やそれ以降における運動のガイドラインについても詳しく述べられており、ランナーはもちろんスポーツに親しむ各年代の女性の助けとなるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ガイアブックス

(掲載日:2014-07-10)

タグ:ランニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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うっかりドーピング防止マニュアル
遠藤 敦

 著者は公認スポーツファーマシスト。競技力を上げるために故意に薬物を摂取したのではないのに陽性となって失格となってしまう「うっかりドーピング」を防ぐべく、選手やスタッフが知っておくべき知識をマニュアル化した。
 風邪や花粉症のときの服薬には気をつけている選手は多いだろうが、ライバルを陥れる「パラ・ドーピング」なるものも存在するという。自分の身体に入るものには自分で責任を持たなければと改めて思わされる。そうは言ってもドーピング防止規定は細かく、用語も難しいと弱気になってしまいそうだが、本書ではスポーツファーマシストへの具体的な相談方法にも触れている。まずは手に取ってみてほしい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:リバネス出版

(掲載日:2014-08-10)

タグ:ドーピング 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ現場で知っておきたい薬の話
原田 知子

 本書は薬剤師でありながら全米公認アスレティックトレーナー(ATC)である原田氏が長年にわたりまとめた書籍である。『スポーツ現場で知っておきたい薬の話』というタイトルだが、一般の方も知っておきたい薬の話についてまとめている。本書では大きく3部に分けて記述されている。
 第1部では、薬を使用する上で知っておくべき基本事項について紹介している。ここでは薬の正しい使い方や、薬の作用・副作用などについて細かく記述されており、誰もが知っておきたい内容である。
 第2部では、状況に応じた薬の使用法について各論で紹介している。ここではスポーツ選手に関わりのある非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)から、中高齢者に関わりのある糖尿病薬まで、幅広く網羅されている。
 第3部では、サプリメントやドーピングコントロールなど、その他の話題について紹介している。スポーツ現場における薬の扱い方など、すぐに活用できる内容となっている。
 薬について各論で非常にわかりやすく記述されており、スポーツの有無に関係なく日常生活でも役に立つお勧めの一冊である。
(安澤 佳樹)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2016-05-14)

タグ:薬 
カテゴリ スポーツ医科学
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体力学
中谷 敏昭

 シリーズ名「はじめて学ぶ健康・スポーツ科学シリーズ」にもある通り、これから専門的知識を吸収していこうという学生のための教科書である。よってテーマに関する最新の知見がわかりやすく整理されている。「体力」は身体的能力に限らず、ストレス耐性や免疫力などの要素も含む。また、20歳代までは向上し、それ以降は低下する。さらにはアスリートや障がい者へのアプローチについても個々に考えて取り組む必要がある。
 すでにトレーニングなどの指導者として活躍している人も、現場が変わったときの再確認として参考になる。
 シリーズは全11冊が予定されており、本書は5番目。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:化学同人

(掲載日:2014-09-10)

タグ:体力 
カテゴリ スポーツ医科学
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ビジュアルで学ぶ筋膜リリーステクニックVolume 1 肩、骨盤、下肢・足部
Til Luchau 齋藤 昭彦

 著者がワークショップとして行っていた内容が整理してまとめられている。
 患者のほとんどは痛みの軽減を求めて治療院を訪れるが、マニュアルセラピーの効果はそれに留まらない。むしろ可動性を増すことで運動の選択肢を増やし、固有感覚を磨くことが施術の目的だと著者は言う。そういった姿勢や動きの根本にアプローチするテクニックが詰め込まれている。
 もちろん患者には個人差があり全てに当てはまる正解はないが、臨床のヒントになってくれるだろう。
 わかりやすい解剖イラストに加えて各テクニックの動画を読み込むこともでき、他の部位に焦点を当てたVol.2 にも期待が高まる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2016-05-10)

タグ:筋膜リリース 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:ビジュアルで学ぶ筋膜リリーステクニックVolume 1 肩、骨盤、下肢・足部
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リアライン・トレーニング体幹・股関節編 関節のゆがみ・骨の配列を整える最新理論
蒲田 和芳

 近年、さまざまなトレーニング方法が紹介されているが、どれも正常な関節運動が前提となっている。現状ではスポーツ活動はもちろん成長に伴って何らかのマルアライメント(骨の配列の崩れ)を抱える場合が多数だ。それを修正するリアライン、維持するスタビライズ、マルユース(崩れの原因となる動き)を修正するコーディネートの3ステップをまとめた。
 アスリートを支える熱意に満ちている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2014-11-10)

タグ:アライメント 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:リアライン・トレーニング体幹・股関節編 関節のゆがみ・骨の配列を整える最新理論
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一流選手になるためのスポーツビジョントレーニング
石垣 尚男

 著者はスポーツ選手の「見るチカラ」を「スポーツビジョン」と定義する。これは健康診断などで測定する「視力」に限らない。
 本書では冒頭にてトップ選手がプレー中どこを見ているかを分類。固定されたゴールを狙う競技、1対1の対戦競技など特性に合った眼の使い方が必要だとわかる。続いて眼のしくみに触れた上で、スポーツ(動作)と見ることの密接な関係をデータを用いて説明。最後にトレーニング方法を解説する構成となっている。特別な器具は必要なく、空き時間や練習中に取り入れられるものばかりだ。
 現場に役立つ提案を、という著者らの想いがうかがえる。持っている技術や体力をなかなか発揮できない選手へのアプローチとして参考になるのではないだろうか。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2015-03-10)

タグ:スポーツビジョン 眼 
カテゴリ スポーツ医科学
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イラストで楽しく学ぶ! 徒手検査インパクト
原田 晃

 鍼灸師の養成学校の教員である原田氏が、試験に受かるための暗記としてではなく、本質から徒手検査法の理解を促すべく、メカニズムや流れを整理した。頚部から下肢まで、50以上のテストを取り上げている。
 著者自身がイラストも描いているので、どのような姿勢でどこをみるのか、何に注意するのかといった検査の流れが一目瞭然。
 B6判とコンパクトであり、手もとに置いておけば、学生に留まらず臨床の現場でも素早く確認できそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2015-04-10)

タグ:徒手検査 測定 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ選手なら知っておきたい「眼」のこと 眼を鍛えればうまくなる
石垣 尚男

眼とパフォーマンス
 五十の齢を迎えようが身体は鍛えればまだ相応に反応してくれる。しかし「眼」というものは、なかなかやっかいである。数年前から始まった小さな文字を人相悪い目付きでにらみつけてもぼやけてしまう現象。暗い灯りの下ではもうお手上げだ。世間がぼやけて見えるくらいが生きやすいと強がってみても、人間の感覚器の中で眼からの情報量が最も大きいことに変わりはなく、不便になったことは否めない。認めたくないものだ、老いゆえの衰えというものを。
 そんな老眼の話はともかく、アスリートにとって視力の問題はパフォーマンスにネガティブな影響を与える大きな要因である。これは昨今判明したことではなく、かの宮本武蔵も五輪書で「兵法の目付といふ事」として「観る」ということを説いている。40年ほど前だろうか、愛読していた野球漫画「ドカベン」で、主人公である山田太郎が電車に乗っているときに通過する駅の名前を読み取る訓練を常にしているというシーンがあったようにも思う。武道のみならずスポーツで眼を鍛えるという概念は相当昔からあったはずだ。だがそれを定常的なトレーニングとして行っている人は、どれほどいるのだろうか。

わかりやすい解説書
 本書は「スポーツに必要な見るチカラ」=「スポーツビジョン」についてのわかりやすい解説書であり、トレーニング法の指南書でもある。「スポーツビジョンは小学生の時期に臨界期」を迎え、「この頃に高いレベルに上げておけば、加齢とともに落ちるにしても生涯高いレベルを保つことに」なるとのことだ。年齢が高くなるとトレーニング効果はあっても、子どもの頃についた能力差は埋まらないようだ。子どもの頃からボールを用いるようなオープンスキル系スポーツをプレーしていれば自然に発達するだろうが、これに特化したトレーニングも合わせて導入するべきだと思う。
 ただ、このスポーツビジョンは身体とのコーディネーション抜きには語れない要素だ。眼からの大量な情報を瞬時に処理して身体の動きにつなげることができなければ、いくら眼がよくてもスポーツのパフォーマンス向上には活かされない。実際本書でも、基本的な眼のトレーニングに加えて種目別のコーディネーショントレーニングが紹介されている。眼から得られる情報の重要性を理解した上で、固有受容器や前庭からの情報、小脳による様々な情報の処理や制御など、身体の動きをコーディネートする他の様々な要因も組み合わせる必要があるということだ。
 一方で、最大の情報を封印することで、その他の能力を引き上げることも考えていいだろう。片脚立ちで眼を閉じるだけでバランス保持に苦労することは皆知っているはずだ。

対等に戦う全盲の選手
 それにしてもパラリンピックなどで視覚障害者競技を見ていると、どのような感覚がどのように磨きこまれているのだろう。アルペンスキーなど、まさに手に汗握り、ただ驚くばかりだ。明らかに健常者より発達した能力が備わっている。
 アメリカ留学中に学生トレーナーとして実習を積んでいた高校で、他校の学生ではあるが生来の全盲レスリング選手を見る機会があった。彼は世にあるさまざまな形というものを、その眼で認識したことがなかった。人の身体というものを、自らの身体を含めて視覚で認識したことは一度もなかったのだ。それにもかかわらず、彼は健常者との試合に対等の条件で出場していた。そして相手選手と対峙してまだ身体が触れないときから、彼は相手の腕のあるべきところを探り始めていた。間合いが見えているかのように近づいて、一旦コンタクトするとどの部位をどうすれば極めることができるのか、身体のつくりというものを理解しながら動いているように私の目には映った。
 ある程度強く速い選手に当たるとやはり敵わなかったが、1回戦や2回戦は勝ち上がっていたのである。彼のような条件で研ぎ澄ましたさまざまな感覚に視力が加わればどうなるのだろうか。身体を操る能力は向上するのだろうか、それとも調整が狂ってしまうのだろうか。

身体と対話
 老眼になってから始めた空手の稽古で、私は初めは鏡と向かい合ってよく稽古していた。眼からの情報を頼りに自分の形を確認していた。しかしあるとき、自分を客観的に見る視覚に頼りすぎている自分に気づき、鏡を封印してもう少し身体と対話することに努めるようにした。
 主観的な視覚にも制限をかけて、自らの動きを内面からコントロールする力をもう少し身につけようと考えている。同時に、基本的なビジョントレーニングに加え、出勤中の人混みの中で視野を広げるために人数を数えたり、広告の文字や電話番号を読み取るように努めたり、走り去る車のナンバープレートを読んだり、老いた眼に一生懸命喝を入れている。傍目には怪しいオヤジに映っているはずである。
(山根 太治)

出版元:大修館書店

(掲載日:2015-05-10)

タグ:眼 
カテゴリ スポーツ医科学
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学術的に「正しい」若い体のつくり方
谷本 道哉

 若い身体をつくる、つまり心肺機能や筋力などが著しく衰えてしまわないようにするには何をすべきかを、資料を用いながら平易に解説している。まずは体操から始め、「10分筋トレ」をコツコツ重ね…と、学術的に正しい内容を書けば地味とも言える。
 本書は、その地味なことが若々しいスタイル、充実した未来へとつながっていくのだというつなぎが巧みである。最終章にまとめられた食事のコツもトレーニング指導者にとっては当たり前だが、一般の人はそれすらあやふやであり、科学的根拠のあることを広く伝えるのも重要な役割の1つだとわかる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:中央公論新社

(掲載日:2015-05-10)

タグ:トレーニング  
カテゴリ スポーツ医科学
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これからの健康とスポーツの科学 第4版
安部 孝 琉子 友男

「これからの」と冠した本書は、2000年の初版発行から5年ごとに改訂を重ね、第4版を数える。資料の更新はもちろん項目の追加もあり、現代社会においてどう健康を保つか、取り戻すかという意図が感じられる。
 生活スタイルを見直し、運動を習慣づけるのが基本だが、運動の的確な方法・量の見極めは簡単ではない。また、安全に行うことができる必要がある。よってその2点に多くページが割かれている。子どもから高齢者まで、正しい科学の知識に基づいたスポーツとともに生きるためのバイブルと言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2015-06-10)

タグ:健康 スポーツ科学 
カテゴリ スポーツ医科学
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ケガをさせないエクササイズの科学 トレーニングから運動療法まで
西薗 秀嗣 加賀谷 善教

 競技力の向上、もしくは健康な毎日を送るうえでトレーニングやエクササイズは欠かせない。トレーニング指導者には、運動を継続させるだけでなく、ケガをさせないという役割もある。
 前半の基礎編では、トレーニングにもリハビリテーションにも共通する理論が網羅されている。後半の応用編では、負荷量を調節すればさまざまな対象に行えるエクササイズと科学的根拠を紹介。
 もちろん現場で起こることは理論通りではないが、立ち返るべきベースとなってくれる一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:2015-06-10)

タグ:障害予防 トレーニング リハビリテーション 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ膝の臨床
史野 根生

 ACL再建手術を世界的にリードする史野氏が実際に遭遇した症例のみを取り上げ、2008年に発行された本の第2版。画像診断や最新の治療方法にも触れている。
 スポーツ現場で起こるものであり、スポーツ活動への復帰を目指すことを前提に、発生機序・症状、診断、治療方法がコンパクトに解説されている。MRI画像、鏡視像も豊富に掲載され、臨床での判断の参考になる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:金原出版

(掲載日:2015-08-10)

タグ:膝 ACL 
カテゴリ スポーツ医科学
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骨格筋のバイオメカニクス 筋線維から運動協調性まで
Vladimir M. Zatsiorsky Boris I.Prilutsky 関屋 昇 宮川 哲夫 高橋 正明

 同じ著者の「身体動作の運動学」に続いて邦訳が出版された(原書では3部作の3巻目に当たる)。基礎を理解している人向けに、筋の生体力学的機能にフォーカスして、理論と実験的事実を体系化している。1章前半にて筋の構造、腱の特性などを理解した上で、筋収縮、遠心性筋活動、緊張力の関節トルクへの変換、二関節筋や筋協調性のバイオメカニクスについて学べる構成となっている。
 教育背景にかかわらず、最先端の研究論文を1人で読み解けるように、という著者の狙いのもと、さまざまな工夫がなされている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2015-08-10)

タグ:バイオメカニクス 筋 腱 
カテゴリ スポーツ医科学
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エンデュランストレーニングの科学 持久力向上のための理論と実践
Iñigo Mujika 長谷川 博 中村 大輔 安松 幹展 桜井 智野風 久保 啓太郎 禰屋 光 伊藤 静夫 相澤 勝治 鬼塚 純玲 田中 美吏 安藤 創一 加藤 晴康

 アスリートのパフォーマンスにおいても、一般の人の日常活動においても重要な役割を果たす持久力。そのトレーニングを行うに当たって、科学的根拠にもとづいたガイドラインとなるのが本書だ。
 29章からなり、生理学的要素や身体適応についての説明、オーバートレーニング症候群などのリスクとその対応、年代や、暑さ・寒さ・時差ぼけなどの環境要因に応じたトレーニング、持久力トレーニングのための栄養や心理学などを網羅。
 監訳の長谷川氏も日本では情報が少ないと述べているペース戦略など、すぐに自分のトレーニングに活かせそうな具体的な記述が豊富にある。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2015-09-10)

タグ:エンデュランス 持久力 
カテゴリ スポーツ医科学
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乳酸を活かしたスポーツトレーニング(新版)
八田 秀雄

 初版から15年。カラー化し、最新の研究動向も盛り込んだ。この15年の間に「乳酸が溜まるせいで疲労する」といった短絡的なイメージは解消されつつあるが、「どんな物質で、どのような働きをするのか」については一般の人にはまだよく知られていない。それを乳酸研究の第一人者が丁寧に解説。乳酸が運動のエネルギー源として使われる流れを理解する助けとして、乳酸トランスポーターにも触れる。
 そして後半では、乳酸を切り口にした効果的なトレーニング方法がまとめられている。
 自分の体内で起きていることが正しく理解できていれば、頑張りどころも自ずとわかるだろう。スポーツに取り組む人を応援する一冊と言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2015-09-10)

タグ:トレーニング 乳酸 
カテゴリ スポーツ医科学
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見るみるわかる肩甲ナビ
竹内 京子 宮崎 尚子

 骨盤ナビに続く、運動器ナビシリーズ第2弾。オールフルカラーの3DCGイラストによって、解剖学の基本だけでなく、肩を動かしたときや不調が起きているとき骨や筋がどうなっているかもよくわかる。なおタイトルを「肩甲ナビ」と書いて「かたナビ」と読むのには、諸説ある中で日本での概念に沿う広い領域をカバーするという意図が含まれている。
 後半では、簡単なチェックによる肩タイプ別のエクササイズを紹介している。大掛かりなものはなく、すぐにでも取り入れやすい。
 肩に悩みのある一般の人からアスリートまで応用できそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ラウンドフラット

(掲載日:2015-10-10)

タグ:解剖 肩 
カテゴリ スポーツ医科学
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姿勢と歩行 協調からひも解く
樋口 貴広 建内 宏重

 姿勢、そして歩行はあらゆる身体活動のベースとなる。ただ、どの筋がどのように働き...といった解説書ではない。筋骨格系それぞれの協力により調整される「協調」を切り口に、中枢神経系との相互作用、環境に応じた制御も含めた大きな視点で紐解いていく。人間の動きの複雑さ・絶妙さとともに、協調がうまくいかないとどういった障害が起きるかもよくわかる。
 障害が起きた場合、また防ぎたい場合にどのようにアプローチすればよいかのヒントが詰まっており、対象がスポーツ選手であっても高齢者であっても、臨床における強い味方となってくれそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:三輪書店

(掲載日:2015-11-10)

タグ:姿勢 歩行 神経 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:姿勢と歩行 協調からひも解く
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あなたの運動は大丈夫? 「スポーツ生理学」からのアプローチ
葛西 奈津子

 スポーツを楽しみたい人に向けて、食事や水分補給、ケガ予防といったなじみやすい切り口からスポーツ生理学のエッセンスを解説している。
 トライアスロンレースを10回以上完走している自身の体験をもって、練習量にしても食事内容にしても誰でもこうすればいいという「近道」はないと説く。だが「早道」はあって、それは自分の「体の声を聞く」ことだという。普段の生活では痛みや不調を意識しなかったり、自覚してもそのままにしてしまったりすることが多いが、スポーツを通じて少しずつコントロールしていくヒントが散りばめられている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:明治書院

(掲載日:2012-02-10)

タグ:トレーニング スポーツ生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:あなたの運動は大丈夫? 「スポーツ生理学」からのアプローチ
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9回裏無死1塁でバントはするな 野球解説は“ウソ”だらけ
鳥越 規央

 野球におけるセオリーに合理的な根拠があるかどうか、セイバーメトリクス(野球統計学)を用いて1つひとつ検証されている。結果としては覆されたものも、効果を証明されたものもあり、興味深い。
 セイバーメトリクスはメジャーリーグでは選手の能力評価にも採用されているそうだが、一口に能力といっても打者なら打率や敬遠数、投手なら被本塁打数など、指標となる要素は多岐にわたる。よって、解析方法の改良の過程も見える。研究が進めば選手の将来予測や、野球と比べて指標となる要素の少ない種目への活用も期待される。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:祥伝社

(掲載日:2012-02-10)

タグ:セイバーメトリクス 統計 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポ-ツと腰痛 メカニズム&マネジメント
山下 敏彦

 スポーツ障害としての腰痛を、「サイエンティフィックな側面」と「プラクティカルな側面」から一冊にまとめている。発生メカニズムをスポーツ動作からたどり、診断のチェックポイント、治療法などを網羅。
 アスレティックリハビリテーションにも多くのページが割かれ、豊富な写真を用いてエクササイズの正しい姿勢が紹介されている。さらに、プライマリケアや予防についても言及しており、腰部障害を根本的に減らしていくためにスポーツ現場において必携の書と言っても過言ではない。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:金原出版

(掲載日:2012-03-10)

タグ:腰痛 
カテゴリ スポーツ医科学
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コンディショニングTips スポーツ選手の可能性を引き出すヒント集[前編]
大塚 潔 中村 千秋

 本書は月刊トレーニング・ジャーナルの2013年8月号〜2015年7月号にて連載されていたものを加筆・修正し、再編集して単行本化したものである。著者と中村千秋氏による本書、トレーナー、スポーツについての対談も収録されている。その対談で著者が述べているように、本書では「次の日から挑戦しよう、頑張れば始められるぞ」という即実践できるコンディショニング方法が記載されている。
 脱水、リカバリー、筋のセルフコンディショニング、長距離移動、風邪やインフルエンザ、Prehab、睡眠、栄養、サプリメント、体組成という項目で本書は構成されているが、これでまだ前編という膨大な情報量である。膨大な情報量といってしまうと、読むのに時間がいると勘違いしてしまいそうだが、そうではない。各項目でのコンディショニング方法は簡潔に説明され、資料も豊富に掲載され、ほぼこのまま選手に提供・説明できる内容になっている。正直、本書を読んでみると、聞いたことがある、知っているといった内容かもしれないが、その情報を的確に選手・チームに伝えることはできているだろうか。そして、その伝え方は選手のためになっているだろうか。もし自信があるという方は、対談の部分だけでもまず始めに読んでみることをお勧めする。トレーナーとして私たちがどんなプライドを持ったらよいのか、そのヒントが2人のベテラントレーナーから得られる内容となっている。

(橋本 紘希)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2016-08-24)

タグ:コンディショニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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勝者の呼吸法 横隔膜の使い方をスーパー・アスリートと赤ちゃんに学ぼう!
森本 貴義 大貫 崇

 森本氏・大貫氏とも、大リーグチームなどで活動歴のあるトレーナー。「スーパー・アスリート」はもちろん、そこに及ばなかった選手も間近に見てきた経験を踏まえ、1日2万回以上行っている呼吸の重要性を説く。普段、意識していない呼吸の仕組みや横隔膜の使い方を丁寧に説明していく。
 一流選手の呼吸法は自分には真似できないのでは? と思いそうなところで、もう1つの手本である赤ちゃんの呼吸も紹介する。
 大人になるにつれできなくなってしまう要因を整理し、本来の呼吸を取り戻す14個のエクササイズが最後にまとめられており、実践につながりやすい構成だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ワニ・ブックス

(掲載日:2016-07-10)

タグ:呼吸 横隔膜 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ遺伝子は勝者を決めるか? アスリートの科学
David Epstein 福 典之 川又 政治

もうひとつの「ウサギとカメ」
 ウサギとカメという童話がある。どうも納得しかねるこのお話を改変して子どもたちに聞かせたことがある。ウサギに足が遅いことをからかわれたカメは「なら潜水で勝負しようじゃないか」という言葉をぐっと飲み込み、かけっこ勝負を承諾する。このカメは自分が苦手とする領域にあえて挑戦することで、己を変えたいと考えていたのだ。水辺から離れられずに生きていくより、未知の陸地で生き残る存在になるために、エサを確保し、危険から身を守る速さを身につけなければならない。いい機会だとカメは自分なりにトレーニングを積みウサギに挑んだが、スタート直後に自分なりの努力ではどうにもならないことを思い知らされる。「もし君が勝ったら僕は君の言うことをなんだって聞いてあげよう!」そう言い残してウサギはあっという間もなく見えなくなってしまっていた。そもそも命の成り立ちが違う相手に勝負を挑むことは意味がないのか。そんな思いに捉われ、カメは今更ながら愕然とする。

 命の成り立ちの設計図である遺伝子の中に、運動能力を決定づけるものは存在するのか。また生まれ持った生理学的資質にトレーニングがどのような影響を与えるのだろうか。本書はそれらの疑問に答えるべく、様々な国や地域、競技、年代を巡って探求した情報を満載している。著者はアメリカのジャーナリストであるDavidEpstein氏。邦題では「スポーツ遺伝子は勝者を決めるか? アスリートの科学」とあるが、原題は「THE SPORTS GENE Inside the Science of Extraordinary Athletic Performance」であり、「勝者」という表現は含まれていない。内容も勝つためというより人間の持つ多様性や可能性を探っているような印象を受ける。大切なのは持って生まれたハードウェアなのか、インストールされたものを学習によってモディファイしたソフトウェアなのか。

 カメはしかし思い直す。本当に競うべき相手は、なりたいと思う自分だ。自分を高めたいという欲求は自然に湧きあがってきた感情だ。この勝負を受けたいと思ったことも自分の意志だ。そしてこんな気持ちになることも自分の命の成り立ちの一部だ。絶望的な状況でも逃げ出せばそこで終わりだ。背を向けてたまるもんか。そう考えて全力で走る。一方ウサギはふと立ち止まり、後ろを振り返る。カメは遥か後ろをよたよたと歩いている。やれやれ、こんな勝負に意味はあるのか。ため息をついて、今来た道を戻り始める。「もうやめちまえよ! みっともない! そもそも、お前さんは速く走れるように生まれちゃいないんだ!」カメは息を切らしながら走っているので、言葉を返せない。ちらりとウサギを見た後はまっすぐ前を見据え、ただひたすら走り続ける。

言い切れるほどの単純さか
 努力は嘘をつかないという「一万時間の法則」は本当にありえるのか。「大切なのはハードウェアではなくソフトウェアだ」と言い切れるのか。そもそもハードウェアである人体の形質はそんな単純なものなのか。運動能力に関わる遺伝子は一体どれほどの数になるのか。「ウエイトトレーニングにより遅筋線維のおよそ2倍成長する」という速筋線維の割合が高ければハイパワー系の競技で有利になるだろう。しかしその代謝効率をさらに高める遺伝子も存在するようだ。また「筋肉の成長を止める作用に関係するミオスタチンがないと筋肉は急成長する」という。
 ローパワー系競技でも、「生まれつき高い最大酸素摂取量に恵まれて」いれば有利になるだろう。しかし、スタートが同じであっても「トレーニングに対する反応速度が高いケース」もあれば「低いケースもある」。標高が高いところでの生活への適応はなにもヘモグロビン量が増えるという形だけではない。「ヘモグロビン量が海抜ゼロ地域に住む人間とほぼ同等の値で酸素飽和度が低いが、血中の一酸化窒素濃度が高いため肺の血管が弛緩」し、「定常的な過呼吸ともいえる状態」で生き残ってきた人々もいる。赤血球数が血液ドーピングと判断されるほど高いにもかかわらず、EPOの分泌量は一般より低いアスリートもいたという。EPO受容体遺伝子の変異が関わっていたのだ。

 カメの揺るがない態度に少し胸が痛んだウサギだが、次はあてこすりに少し先で寝たふりをしてみた。カメは走り続けている。甲羅を脱ぐことができれば、もっと長い脚だったら、もっと強い心臓だったら、カメはそんなことも考えてしまう。それでも、カメはなぜだか楽しくなってきていた。周りができないだろうと思っていることに挑戦している自分が滑稽だが誇らしくも思えてきた。こんなことを続けているうちに、もしかしたら何百年か先に脚が異常に速いカメの種族が生まれているかもしれないとまで考えて可笑しくなった。そうなればボクが創始者ということになるのかな。ふと見るとウサギが寝ている。ダメだ、ウサギくん、ボクにとってはこのかけっこは命を育む神聖なものになっているんだ。それを汚すような真似はやめてくれたまえ。追い越しそうになったカメはドンとぶつかってウサギを起こしキッと睨みつけた。ウサギはまた少し胸が痛んだ。

遺伝子の違いで生まれるもの
 「腰幅が狭いと走行効率がよい」し、「身体のボリュームに比べて表面積が大きいほど放熱機能がより効果的に働く」。「身長が高いだけでなく、アームスパン対身長比が大きければ、バスケットボールのゴールにより届きやすくなる」。また「下腿の容積と平均的な太さが小さければランニングエコノミーが向上する」し、「へその位置が高い選手(黒人)は走る速さが1.5%向上し、へその位置が低い選手(白人)は泳ぐ速さが1.5%向上する」という報告もある。遺伝的な形態も多様であり、その影響は小さくない。
 Y染色体とSRY遺伝子の両方を持っているが、テストステロンの分泌量や感受性によって女子競技への参加が認められる選手もいる。遺伝子の多様性は時に男女の区別をも困難にするのだ。

 結局ずいぶん先にゴールしたウサギは、カメが息を切らし、身体を引きずるようにしてやって来るのを待っていた。「キミには負けたよ、カメくん。ボクがキミにしてあげられることはないかい?」疲労困憊だが満たされた表情でカメは答えた、「それならボクの脚が速くなるように一緒にトレーニングしてくれないかい。ボクだって自分を変えたいんだ。お返しにボクはキミに潜水を教えてあげるから。」こうしてふたりの特訓は始まった。おかげでカメはずいぶん速く走れるようになった。ウサギは潜水も少しは覚えたが、カメとの特訓のおかげでその脚の速さはチーターにも負けないほどになった。それでもウサギは二度と自分より脚の遅いものをバカにしたりしなかった。誰かのいいところっていうのは、ひとつの物差しでは測れないことに気づいたからだ。なにより彼らはお互いに尊敬し合える素晴らしい仲間を手に入れたのだ。「運動能力のような複雑な形質は、往々にして数十から数百、場合によっては数千もの遺伝子の相互作用の結果として生まれるものであり、さらに環境要因も考慮に入れなければならない」。「多くの遺伝子は身体の形質に影響を与えるだけで、人に致命的な影響を及ぼすものではない」し、「すべての人間が異なる遺伝子型を保有している。よって、それぞれが最適の成長を遂げるためには、それぞれが異なる環境に身を置かねばならない」のだ。
 遺伝子検査をすることでHCM(肥大型心筋症)のリスクを把握し、フィールド上で起こり得る不幸な事故を防ぐことができるかもしれない。頭部を強打した際に脳損傷がより大きくなり、回復にもより多くの時間がかかり、中年期以降に認知症の発症リスクが高くなる原因遺伝子の型が判別できれば、安全面からのスポーツ種目の選択や脳振盪を起こした際の復帰ガイドラインの改正につながるかもしれない。遺伝子情報をこのような形で活かすことは推進されるべきだろう。だが総じて言えば「誰にできるとはいえ、他の誰とも異なる、生物学的かつ心理学的な自己探求」が大多数の人にとってのスポーツであり、人生の味わい深いスパイスとなりえるものだ。全てがわかりすぎるというのも味気を抜いてしまうように思う。
(山根 太治)

出版元:早川書房

(掲載日:2016-09-10)

タグ:遺伝子 
カテゴリ スポーツ医科学
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テーパリング&ピーキング 最適なパフォーマンスのために
Iñigo Mujika 水村(久埜)真由美 彦井 浩孝 寺本 寧則

 テーパリング戦略の現実は試行錯誤の積み重ねであるうえに、競技特性や個々の選手によってもやり方が変わってきます。さまざまな要素が絡むために基礎となるべきデータの集積と問題点の整理が必要とされますが、それらをまとめ上げたものが本書だと言えます。
 現場でテーパリングとピーキングをプログラムする際の参考として役立つものが項目別に整理されています。
 テーパリングの生理学的見地と心理学的見地からの考察。具体的に数値化されたトレーニングの変化。各競技にあった方法論などが網羅されています。しかもそれらが単なる数字集めにとどまらず、問題点の掘り起こしや重要度の違いについても言及されているので活きたデータといえるでしょう。膨大なデータに裏付けされた解説には重みがあります。
 練習量や運動強度、あるいは期間やペースなどをむやみやたらと減らしていけばいいというものでもありません。あくまでも試合のときに最高のパフォーマンスを発揮させることが目的ですから、テーパリングプログラムをデザインするときの目安として強い味方になりそうな内容です。
 進め方でありがたかったのは「一目でわかる」という結論の表記。難解な部分も多かったので、理解できないときは結論から読んだ後に詳細を読んでいけば、頭の中で整理されるので助かりました。
(辻田 浩志)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2017-10-17)

タグ:テーパリング ピーキング 
カテゴリ スポーツ医科学
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いちばんやさしい 痛みの治療がわかる本
伊藤 和憲

 鍼灸治療院にはさまざまな「痛み」を抱えた人が訪れる。ある意味、患者の数だけ種類のある「痛み」をどう鑑別し、どう治療するかをまとめた。診察・治療の手順を7stepとし、2章では問診および理学検査を効率よく活用する手法を提示。3章では痛みを引き起こす疾患を部位ごとに 解説し、4章にて末梢神経レベル・脊髄レベル・脳レベルに分けてアプローチを考えていく。セルフケアについて取り上げる5章では、エクササイズなどの紹介にとどまらず、患者の感情や環境にも寄り添っており、そういったことも含めた「やさしい治療」とは何かを改めて考えさせられる。初学者はもちろん、すでに臨床にて活躍する治療家も、経験を体系化して整理するのに役立つ一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2017-03-10)

タグ:痛み 治療 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ現場の傷害調査 ケガの予防につなげるための取り組み
砂川 憲彦

 スポーツにケガはつきものです。ケガを恐れたぬるい練習では強くなりません。また、プロスポーツにおいて、ケガを恐れた中途半端なプレーで人を感動させることはできないでしょう。
 だからといってケガをする状況を放置しておいてよいはずもありません。
 無事これ名馬、との言葉どおり、優秀な選手はケガが少ないと言えます。しかし、ケガの原因を個人の資質のみに求めるのは無理があります。選手が安全に、安心できる環境があってこそ自身の限界に挑めるのであり、スポーツ選手に関わる人々は、そのような環境を常に構築、保持していかなければなりません。個人の感想ですが、選手が安全安心と感じる環境を提供できている現場はケガが少なく、たとえケガをしたとしても治癒が早い印象を持っています。
 本書は、選手が安全に、安心を感じるための環境づくりの礎として、自分の関わる場においてどのような傷害がどのように起きているのかを、科学的に把握する方法を解説したものです。 他の解説書と一線を画すのは、著者の取り組みにおける悩みや、試行錯誤が語られており、これから傷害予防に関わろうとする者の心情に沿ったものになっている点であると言えます。
 チームで起こっているケガを把握するための第一歩として最良の一冊であると言えます。
(永田 将行)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2018-05-17)

タグ:傷害調査 傷害予防 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツビジョン医科学教本
日本スポーツビジョン協会

 五感を通じて得られる情報のうち、9割弱が眼から得られるものだと言われています。私たちは日常生活においても視覚に頼ることが大きいのです。ましてや素早い動きを要求されるスポーツにおいて、ハイパフォーマンスをするうえで次の動きをするための重要な情報をいかに正確に、いかに早く収集するかがとても重要な要素だと言えましょう。
 本書は視覚を司る眼の機能や構造、そしてその能力について研究されたものです。意外に知っていそうで知らないことが多い眼の基礎知識やメガネを使用している私自身があまりきちんと把握していなかった屈折異常の問題についても詳しい解説があります。余談ではありますが、先日新しいメガネを新調したのですが、毎回行われる何種類かの検査もわけがわからないままに受けていたのですが、ここでの説明を読んで得心しました。
 この本において中心となるのはスポーツビジョン。視覚能力を高め、身体機能と連携を高めることによってパフォーマンスの向上を目的とする概念ですが、動体視力という言葉くらいは知っていたものの、視覚能力というものはもっとさまざまな類型があり、競技によってもどんな能力が重要になるかは異なるようです。
 そして最も重要なのは視覚能力だけを向上させてもあまり意味はなく、身体機能との連携が必要で、そういった新しいトレーニングも進化しているようです。これからのスポーツはスポーツビジョンから目が離せません。

(辻田 浩志)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2019-07-29)

タグ:スポーツビジョン 
カテゴリ スポーツ医科学
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Q&Aでわかるアンチ・ドーピングの基本
第一東京弁護士会 総合法律研究所 スポーツ法研究部会

 オリンピックなどの国際的なスポーツの大会を見ていると、ドーピングという言葉を聞くことがあるでしょう。「自分が有利になるために薬を飲んだり注射したりする」という認識の方が大半だと思いますが、ドーピングの定義や規制は思っている以上に複雑なものです。日本においては、カヌー競技の選手が日本代表を争うライバルのドリンクに禁止されている物質を混入させたという事件が記憶に新しいと思います。この一件では、混入された側の選手は資格停止の処分が下らずに済みましたが、知らずのうちに摂取してしまった形であっても、場合によっては資格停止などの処分が下されることがあります。知っているようで知らないドーピングのこと。その世界はいったいどれほど細かいのか。どのような対策がなされているのか。

 本書ではドーピングとは何かについてや検査の方法、疑われないためにアスリートが気をつけるべきこと、また日本や世界ではドーピングという行為に対する対策がどのように進められているのか、選手はどうすべきなのかというアンチ・ドーピングについて、実際に起きた事例も交えて述べています。

 アンチ・ドーピングについて知ることでスポーツに対する理解も深まるかと思いますが、実はアンチ・ドーピングは世界や国内トップレベル選手だけの話というわけでもありません。本書の中にも事例がありますが、一般レベルの競技力であっても、競技会によってはドーピング検査の対象となることがあります。選手としてそれなりの大会に出る機会がある人は、ぜひ本書でアンチ・ドーピングについての知識を手にしていただきたいです。

(濱野 光太)

出版元:同文舘出版

(掲載日:2019-08-24)

タグ:ドーピング 
カテゴリ スポーツ医科学
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テーパリング&ピーキング 最適なパフォーマンスのために
Iñigo Mujika 水村(久埜) 真由美 彦井 浩孝 寺本 寧則

 テーパリング(tapering)とは、「漸減させる」という意味である。

 トレーニング指導においてチームから求められることは、試合でのパフォーマンスの最大化であることは言うまでもない。コーチやトレーニング指導者は試合直前まで選手のパフォーマンス向上を目指しながら、同時にケガの発生と疲労による影響に注意しなければならない。

 本書は前半でテーパリングによる身体的・心理的変化に関する研究、パフォーマンス向上のためのテーパリングメソッドを解説し、後半ではオリンピックや世界選手権で結果を残した一流選手の試合直前のコンディショニング=テーパリング記録を紹介している。

 非常に興味深かったのは、第7章のトレーニングの数理的モデル化である。選手に影響を与える要素はトレーニングはもちろん生活環境や人間関係も含めありとあらゆるものがあるが、それらとパフォーマンスとの関係を可能な限り簡略化するものである。これよってそれまでの章のテーパリングの研究結果やメソッドの理解が格段に深まり、指導者がこれから実施するテーパリングの効果を予測しやすく、コントロール可能なものにする。現場にいる人間が理解・実行できる内容であることは非常に重要なポイントであろう。

 瞬発的競技、持久的競技、個人競技、チーム競技など、競技特性別にポイントを解説しているのも魅力的である。豊富な科学的知見とそれらが理解しやすい構成の本書は、指導の質の向上だけでなく、選手に対する説得力や他スタッフとの円滑な連携にも寄与するはずだ。

(川浪 洋平)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2019-09-25)

タグ:テーパリング ピーキング 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツリハビリテーションの臨床
青木 治人 清水 邦明 鈴川 仁人

2018年に開設20年を迎えた横浜市スポーツ医科学センター。総新患数は12万人を超える。スポーツ(アスレティック)・リハビリテーションにおいて、かつてはプロ選手が手術のため海を渡ることもあったが、センターのリハビリスタッフは術直後の医学的リハ、一般的リハ、種目特異的リハの 3 段階を一貫して行い、多くの知見を積み重ねてきた。その集大成として、総論、部位別、競技別に治療について記述した。個人差が大きい中、医学的根拠に基づきどのような検査・評価・治療・予防に取り組んできたかがわかりやすく整理されている。画像も豊富で、臨床現場で困ったとき1つの指針になってくれそうだ。

(月刊トレーニング・ジャーナル)

出版元:メディカル・サイエンス・インターナショナル

(掲載日:2019-10-03)

タグ:リハビリテーション 
カテゴリ スポーツ医科学
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解剖学でわかる ランニングシューズの選び方
鈴木 清和

 夏も過ぎ去り、ようやく秋の気配が感じられます。この秋シーズンから全国でマラソン大会が開催されるにつれ、ランニング練習をする方が街中で見られます。

 さて、この書籍はランニングシューズに着目しています。日本の各スポーツ用品メーカーを見ても毎年しのぎをけずりながら新しいランニングシューズを作っています。もちろん海外からも素晴らしいランニングシューズが発売されています。そう思うとランニング愛好家は数あるシューズから自分の足に合った1足を決めるのは本当に悩ましいことだと思います。

 そもそも、足が地面を蹴るには靴が必要です。なぜなら、アスファルトを蹴るには裸足では痛すぎるからです。その靴が足本来の持っている機能を引き出すためには、自らの足に合っているシューズ選びが必須です。

 本書では、そんなランナーのために自分の足に合った靴選びの方法を紹介しています。ランナー自身の体格、足の形、着地の仕方、ランニングフォームや、シューズの形状や硬さや柔らかさ、シューズの合わせ方、紐の結び方まで多岐にわたります。まずは現在使用しているシューズがどのタイプに該当するか、確認することをお勧めします。ただ、自分自身のフォームが分かりづらい点や、自分の着地のタイプがどのタイプに分類されるか正しく識別する判断基準が難しいです。また、数あるシューズから自分に合ったシューズを選ぶ大変さや、予算の面など、時間とコストを考える必要性もあります。

 私も恥ずかしながら一度だけフルマラソンを体験しています。なんとか完走しましたが、35キロ過ぎから糖分を使いきった影響で頭は働かず下半身は疲れ切り、足裏が靴擦れでヒリヒリと痛かったことを記憶しています。その際に使用していたシューズは忘れましたが、もっと自分に合ったシューズを選んでいればもっと楽に走れたかもしれないと後悔しています。

 著者は冒頭で「シューズは足に合わせるな」と述べています。逆を言うと、シューズは自分の足に合わせるべきと解釈することもできます。ぜひ、これからのマラソンシーズンに自分の足に合ったシューズを見つけて楽しいランニングライフを送ることを願っています。

(中地 圭太)

出版元:スタジオタッククリエイティブ

(掲載日:2019-10-17)

タグ:シューズ 靴 
カテゴリ スポーツ医科学
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ピーキングのためのテーパリング 狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮するために
河森 直紀

 選手をサポートするトレーナーの方であれば、試合に勝って勝利の喜びを分かち合うこともあれば、日々厳しい練習を積み重ねながらも、コンディショニングがうまくいかず、思い通りのパフォーマンスが発揮できずに試合を終える選手を、ただ歯がゆい思いでみているしかない経験をしたことがあるはずだ。本書はそんなあなたに「フィットネスー疲労理論2.0」という武器を授ける。
 内容はピーキングを構成する手法の1つ、テーパリングに焦点をあてて解説している。第1章ではテーパリングの定義とピーキングとの違いを明確化し、第2章でテーパリングのメカニズムを解説。またPreparednessという概念を紹介している。Preparednessとは、パフォーマンス発揮のための筋力や持久力などの身体的ポテンシャルのことである。第3章では実際のテーパリングの介入方法を4つのシナリオを例に紹介している。
 冒頭で申し上げた通り、本書の最重要項目は「フィットネスー疲労理論2.0」である。本書はこの理論を理解するための一冊と言っても過言ではない。少し紹介しよう。
 古典的な超回復理論はトレーニング後の疲労という一つの要因による体力レベルの変化をみせる一元論モデルである。それに対してフィットネス−疲労理論はフィットネス(体力レベル)と疲労の二元論モデルである。これをもとに発展させたものを、「フィットネス−疲労理論2.0」として、著者の河森氏が紹介している。簡単に説明すると、複数のフィットネスと疲労が存在する多元論モデルである。たとえば最大筋力におけるフィットネスと疲労、最大酸素摂取量におけるフィットネスと疲労、などで構成される。
 パフォーマンスに影響を与える要素は数多くあり、また目標とする試合で最も必要とされるパフォーマンスも、競技種目や対戦相手との相性などによって変化する。それらが可視化・数値化、比較可能なものとなり、テーパリング計画の優先度の決定が可能になる。もちろん、テーパリングを必要としないオフシーズンのトレーニング計画の立案にも応用できるだろう。
 著者は河森直紀氏。アメリカとオーストラリアの大学院で博士号を取得し、シンガポールの政府機関や国立スポーツ科学センターでのトレーニング指導を歴任。理論と実践に裏付けられた本書の内容は必ずあなたの武器になるはずだ。

(川浪 洋平)

出版元:ナップ

(掲載日:2020-04-25)

タグ:テーパリング ピーキング 
カテゴリ スポーツ医科学
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基礎から学ぶ スポーツセルフコンディショニング
西村 典子

 アマチュアスポーツでは、アスレティックトレーナーが毎日現場にいて選手の対応にあたることは難しい。そのため、週1回やそれ以下のサポートでもよりよいサービスを提供するために、選手への教育やセルフコンディショニング指導が欠かせない。
 タイトル通り、本書はアスリート向けに書かれている。内容は①ケガ予防、②コンディショニング、③生活習慣を見直す、という順に書かれている。特筆すべきは、ケガ予防の章で初めに出てくる具体的な疾患名が「脳出血」であることだ。脳出血は「3H」(Head=頭部外傷、Heart=心臓、Heat=熱中症)の一つとして紹介されており、命に関わるケガを初めにもってきていることと、順番が前後するが、表紙の見返しに「自分の体と向き合うことを大切にしてほしい」とつづられていることから、本書を読むアスリートへの強いメッセージがうかがえる。
 アスレティックトレーナーの私がこの本を読む価値は一体なんだろうと考えたときに、本書をそのまま選手に渡すことも考えたが、思い当たったのは選手との「コミュニケーションツール」としての利用である。アスリート向けの内容のため、専用用語は少なく、平易で理解しやすい言葉で解説されている。トレーニング指導で選手に伝える際にはそのまま使うことが可能だ。
 内容が怪我や治療に偏ることも、トレーニングに偏ることもなく、アスリートがどうすればよいコンディションを保ち、練習や試合で高いパフォーマンスを発揮できるか、「選手が欲しい情報」を過不足なく一冊にまとめているので、セルフコンディショニング指導の内容そのものの参考にもなる。
 著者は西村典子氏、本書の冒頭に第0章という形で、著者が大学時代をサポートしたプロ野球選手とのインタビュー記録がある。「プロアスリートや日本代表選手をサポートしたことがある」トレーナーは散見されるが、選手個人の登場は珍しい。選手からの信頼と著者の実績を証明している。コロナウイルスの影響でスポーツ活動が自粛され、対面指導が困難な今、「STAY HOME」でできるパフォーマンスの維持・向上対策としてぜひ参考にしていただきたい。

(川浪 洋平)

出版元:日本文芸社

(掲載日:2020-05-04)

タグ:セルフコンディショニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか 体温の科学から学ぶ猛暑のサバイバル術
永島 計

「体温ってなんですか?」と聞かれて、あなたは自信を持って答えることができるだろうか?
 スポーツ選手の脱水によるパフォーマンス低下から、高齢者に起こる室内での熱中症まで、暑熱環境が人体に与える環境は大きい。この暑さへの対抗策はなにがあるだろうか。本書の結論を先に申し上げると、対抗策は水分補給が最も有効かつ効率的である。
 なんだ当たり前じゃないか、と思われるだろう。しかし、この当たり前がきっちりとできていないことは、毎年の熱中症のニュースを見れば明らかであろう(熱中症による救急搬送は2019年8月だけで3万6千人である)。水を飲む、という行為は至極簡単なはずなのに。つまり、重要なのはなぜ適切な水分補給ができていないか、どうすればできるようになるかである。
 本書はこの結論に至るまでに、体温とは何か、気温はどのように体温に影響を与えるか、身体に備わっている温度センサーには何があるか、それが正常に機能しなくなるのはどんなときか、またもちろん水分補給以外の体温を下げる手段についても解説している。
 非常に興味深かったのは、脱水と体温上昇により、人は「寒く感じる」ということだ。暑さによる影響を受け始めたタイミングで、人体に備わっている温度センサーは容易に狂い始める。余談だがこれは寒冷環境でも同じようで、人は低温環境に一定時間さらされると「暑く感じ」、「服を脱ぎ始める」という矛盾した行動をとるという研究がある。雪山で遭難し凍死した人の遺体は、裸に近い服装で発見されることが多いそうだ。
 話を戻して、水を飲む、という簡単な行為でも、個人レベルでのコントロールは難しい。トレーナーや指導者側による管理が必須だ。
 コロナウイルスによる自粛もピークは過ぎ、徐々に日常へ戻ろうとしている。スポーツ活動も再開していこうという中、安全なスポーツ活動再開のために暑さ対策について本書で学んでいただけたらと思う。

(川浪 洋平)

出版元:化学同人

(掲載日:2020-05-23)

タグ:体温 熱中症 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか 体温の科学から学ぶ猛暑のサバイバル術
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運動と疲労の科学 疲労を理解する新たな視点
下光 輝一 八田 秀雄

 運動によって「疲労」を感じることは誰しもが経験するだろう。この「疲労」というのを、ただ「疲れた」という小学生の感想文のような表現で一括りにしてはいないだろうか。もしくは、気合いが足りないからやメンタルが弱いからといった主観的で曖昧な要因から、「疲労」が生じるという詭弁に陥ってはいないだろうか。
「疲労」は、客観的な指標で仮説を検証するという科学の世界での研究対象となっている。本書では、生理学・脳科学・心理学・栄養学といった科学的な観点から「疲労」に関する理論が展開されている。科学の世界では、以前までの常識が非常識になるというパラダイムの変換が生じる。運動をして疲労するということは、かつて乳酸が蓄積することが原因と考えられ、その考えは今でも根強く残っている。しかしながら、現在の科学では、乳酸は疲労物質でなく、疲労の予防に関与することが示されている。筋肉を動かすエネルギー源には筋肉中に蓄えられたグリコーゲンの関与が広く認知されているが、乳酸も筋肉へのエネルギー供給に重要な役割を果たしていることが報告されている。疲労によってこれらのエネルギー源が枯渇してしまえば、スポーツパフォーマンスの低下は避けられない。
 筋肉だけではなく、脳においても乳酸やグリコーゲンの関係が示されている。これらが関与した脳におけるエネルギー源の減少は、中枢性疲労を引き起こす要因の一つとされている。中枢性疲労とは、脳から筋肉に指令を出す際に関与する神経系に疲労が生じることである。上記に示した筋肉と脳においての疲労に関する話だけでも、「疲労」という現象には様々なメカニズムが潜んでいることがうかがえる。
 本書を読むことは、「疲労」という現象とそのメカニズムを理解し、「疲労」と適切に付き合う方法を考える思考の糧になるであろう。この理解は、精神論によって追い込むトレーニングとは一線を画し、科学的な視点から「疲労」を客観的に捉えたトレーニングメニューの作成につながると考える。最新の知見から得られる恩恵によって、質の高いトレーニングが継続できる結果、最終的にスポーツパフォーマンスが向上すると考えられる。「疲労」という観点でトレーニングに関する思考の糧を育むためにも、本書を読まない理由が見当たらない。

(曽我 啓史)

出版元:大修館書店

(掲載日:2020-08-17)

タグ:疲労 乳酸 
カテゴリ スポーツ医科学
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筋膜への徒手療法 機能障害の評価と治療のすべて
Leon Chaitow 斎藤 昭彦

 近年、治療家やパーソナルトレーナーでも外せないフレーズの一つとして「筋膜」が挙げられます。また、筋膜はテレビや雑誌に特集が組まれるほど一般の方にも広く浸透しています。国民に広く浸透している筋膜だからこそ、私たちは科学的に裏付けされた知識を知る必要があります。その点、この書籍は2018年に出版されており、最新の知見が盛り込まれています。
 本書の内容と構成はとてもシンプルです。2つの大きなテーマに沿っており、そのうちの1つ、筋膜の基礎が5つの章にまとめられており、もう1つとして筋膜への具体的なアプローチ方法を15紹介しています。また、これらは科学的根拠(エビデンス)を基に語られています。
 具体的な筋膜へのアプローチ方法としてマッスルエナジーテクニック、ロルフィング、トリガーポイント療法など様々な方法が紹介されています。筋膜へのアプローチ方法の全体像を把握するには、うってつけの書籍です。
 アプローチ方法について共通して言えることがあります。それは、筋膜という組織を変性させるという目的については全て一緒です。ならば、「筋膜」という組織の正体は何で、どのような方法で変性が起きるのか? また、筋膜が歪むと身体への影響は何か? 筋膜を変性させると体の中で何が起きるのか? といった疑問を投げかけてくれます。きっと日々の臨床やセッションの中で悩ましい問題にヒントを与えてくれます。私自身も過去にIASTMを使用していた時期があります。その経験も踏まえて、書籍を通して新たな発見とヒントを感じています。
 また、筋膜が良い意味でも悪い意味でも世間に広まったことで、患者様・クライアントの中にはマスメディアを通じて筋膜を知っている方が多くいらっしゃいます。そのために、正しい情報と誤っている情報を取捨選択できる基準が必要です。治療家やパーソナルトレーナーである身体に関わる専門職にとって、最良の喜びは患者様・クライアントからの感謝ではないでしょうか。筋膜の改善に関してサービスを提供している治療家・パーソナルトレーナーは、ぜひ正しい情報をもとに一人でも多くの患者様・クライアントの抱えている「不」が解消されることを願っています。

(中地 圭太)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2020-08-29)

タグ:筋膜 
カテゴリ スポーツ医科学
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ハイパフォーマンスの科学 トップアスリートをめざすトレーニングガイド
David Joyce Daniel Lewindon 野坂 和則 沼澤 秀雄

 メソッドの紹介や、エクササイズ種目を解説する書籍は数多くあるが、「まだトップでないアスリートを、どうやってトップに導くか」を明確に示しているものは本書をおいてほかにない。
 本書は3パートに分かれ、パート1では競技能力の評価方法、年代別の特徴や指導の注意点、パート2ではジャンプやアジリティなど動作を向上させるためのトレーニングとコーチングポイント、そしてパート3では試合本番で最高のパフォーマンスを発揮するための年間計画とピーキング、リカバリーを解説している。
 どのパートにおいても、指導する対象のアスリートの「年代」「競技歴」「トレーニング歴」などを考慮し、個人から集団までそれぞれの特性に合わせた最適なコーチングを学べる構成になっている。
 また、ぜひ読んでいただきたいのは、多くの研究によって明らかになった「実は間違っていたトレーニング方法」についてである。これまで現場で当たり前のように行われている指導のテクニックとされているものが、実はアスリートのパフォーマンスを低下させているというのだ。一例として「トレーニング中に身体内部へ意識を向けさせる声掛け」がある。たとえば「お尻の筋肉を使って」であったり、「背筋を伸ばして」というような声掛けは、トレーニング効果を高めることはなく、機能的な動作を身につけることにもつながらないというのは衝撃的であった。
 現場でトレーニング指導を行っているあなたに、今自分が正しいと信じていることを一旦立ち止まって疑ってみる、そんな貴重な機会を本書は与えてくれるだろう。

(川浪 洋平)

出版元:ナップ

(掲載日:2020-10-05)

タグ:トレーニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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復刻新装版 ランニング
金栗 四三 増田 明美

 著者の名は「かなくり しそう」と読む。日本マラソンの父と呼ばれ、日本人初のオリンピック選手である。大河ドラマ『いだてん』の主人公といえば、ご存じの方もいるのではないだろうか。私は彼を、100年先の未来から来たトップアスリートと呼びたい。
 本書は1916年(大正5年)に発刊された「ランニング」の復刻版である。マラソンに関する技術的な解説以外にも、食事や休養、運動時の服装やシューズにいたるまで事細かに書かれているが、その内容は100年前に書かれたとは到底信じられないほど「最新」であった。その一部を引用して紹介しよう。

「さてこの心身の調和したる発育を達成するには、単に駈歩(走る練習)ばかりでは不足する傾向がある。この他にもなにか運動をして各筋肉や、関節を動かすことが大切である」

「脚は駈歩には直接他(上半身など)よりも関係があるから、十分脚の筋肉や関節を強くし自由に運動をできるようにしておかねばならない」

 なんと金栗は今から100年も前に、競技練習以外に筋力トレーニングやストレッチを行い、筋力や柔軟性を向上させる重要性について認識していたのだ。それも長距離走でである。これが私が金栗四三を「100年先の未来から来たトップアスリート」と呼ぶ理由である。
 本書はただ当時の技術解説書の枠を越え、金栗から私達へのスポーツ発展を願うメッセージと言えよう。私達が未来へ何を残していくべきか。本書を読めば見えてくるかもしれない。

(川浪 洋平)

出版元:時事通信社

(掲載日:2020-10-24)

タグ:ランニング マラソン 
カテゴリ スポーツ医科学
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女性アスリートの健康管理・指導 Q&A
能瀬 さやか

 近年、国際大会での女性アスリートの活躍が目覚ましい。実は、21世紀になってからのオリンピックの日本人出場者・金メダリストは女子のほうが多い。そこを目指す育成年代の選手が増えるのは当然の流れで、サッカー、ソフトボール、格闘技に至っても女性アスリートの競技人口は増加傾向だ。それと同時に指導者やトレーナー・医療従事者は女性アスリートのサポートについてこれまで以上に学ぶ必要がある。
 さて、本書ではタイトル通り、女性アスリート特有の医学的課題についてQ&A形式で解説されている。その数なんと103項目。男女の身体的特徴の違いから女性アスリートの三主徴・月経痛、妊娠・出産・更年期世代、パラアスリートのスポーツまで幅広く扱っている。
 Q&A方式なので、専門用語や難解な文章は少なく、現場の素朴な疑問や不安に対して一問一答で情報を得ることができる。女性スポーツに関わる医療従事者やトレーナーはもとより、「他人に聞きづらく」「正しい情報にたどり着くことが難しい」女性の身体や性に関する知識を必要とする女性アスリート本人や、その保護者にも是非読んでいただきたい。本書は心強い「相談窓口」となるはずだ。

(川浪 洋平)

出版元:日本医事新報社

(掲載日:2020-11-05)

タグ:女性アスリート 
カテゴリ スポーツ医科学
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アスレティックボディ・イン・バランス
Gray Cook 石塚 利光 菊地 真也 鈴木 岳 友岡 和彦 山下 貴士

 本書を読み進めるうちにイメージしたのは自動車です。もし自動車のタイヤがねじれていたら、もし自動車の車軸がぶれていたら、高速で走れば走るほど故障や事故の可能性は高くなります。ともすればパワー中心の性能に目がいきがちですが、それはバランスがとれているという前提があってこその話です。
 本書の特徴は、そのような身体のバランスから始まるトレーニングの順序の重要性を説いたところにあります。パワーやスピードを得るためのトレーニングは重要ですが、まずその前提となるバランスを整えてからパワー、スピード、アジリティを高めていき、最後に競技に必要な動きを高めるという手順は合理的です。
 単にパフォーマンスの向上だけではなく傷害の回避や競技者の潜在的な問題点の洗い出しに役に立ちそうです。筋肉や関節の役割を明確にし、それらのつながりを把握するという取り組みは大きな意義があります。今まで漠然と鍛えていた身体の部位も、役割と他の部位との関連性がわかれば、おのずとトレーニングの目的も明確になり、自分の身体とその動きにも理解が広がるはずです。

(辻田 浩志)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2020-12-16)

タグ:身体 バランス 評価 
カテゴリ スポーツ医科学
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投球障害からの復帰と再受傷予防のために
牛島 詳力

 まず始めに、本書の対象は野球に関わるトレーナーやセラピスト、指導者、学生、そしてその保護者となる。学生については自分自身でも読めることがよいが、どうしても難しい言葉、専門用語も並ぶので高校生や大学生以上の方が対象となりそうだ。
 しかし、内容に関しては小学生年代からも知っておいて欲しい内容で、そのためには保護者や指導者には必読であると考えられる。もちろんそこに関わるトレーナー、セラピストも読んで欲しいが、自分が知る限り若年層のチームに帯同するトレーナーは少なく、ケガをしてしまった後に関わることが多いセラピストよりも、未然に防げる立場の方々が率先して読むことをお勧めする。
 本書の「はじめに」でも書かれているが、チームにトレーナーがいても全選手のケアを全て行うことは難しく、病院や接骨院との連携が不可欠となる。それには、野球に関わるトレーナーと、スポーツの専門職とは言えないその他のセラピストとの知識のギャップを埋めることが必要となる。さらに、選手、選手に近しい存在の保護者、練習と試合の参加へ強い権限を持ってしまっている指導者らが、本書の情報を理解し実践できることが投球障害を減らすために必要であり、著者が筆をとった理由だと感じた。
 筆者は11年間にも及ぶ野球チームでのアスレティックトレーナー経験で、地域の各種セラピストに「お任せできる方が非常に少ない」と感じている。
 本書を読んだ私も、正直任せてもらえる立場にないことを感じてしまった。
「一球投げることによる肩、肘への負荷」「外傷・障害発生時の保存療法か手術を選択する時の判断材料」「投球できない選手のリハビリと関わり方」「ブラックバーン6」「Proprioceptive Neuromuscular Facilitation」「投球制限」など、本書に載っている言葉や説明、単語までわからないものが散見され、筆者との共通言語が少なくなってしまっていると気付かされた。もちろん、それを埋めるための本書であり、学習の始まりの機会を得ることができる。
 ここでは専門用語の話をしてしまったが、選手が読んで実際のエクササイズができるように解説付きの写真も付いている。
 選手、保護者が読むのであれば、「7.『野球人生』に悔いを残さないために」から読むことをおすすめする。この本の意義が分かる。
 コラムにはトレーナーとしての失敗談などもあり、最初から最後まで一冊まるまる読み漏らすことなく、度重ねて読み込みたい内容となっている。
 野球人口は多く、私の勤める鍼灸院にも草野球をする患者様は何人も来院する。そんな方へのアドバイスに本書から頂いた情報をすぐにアウトプットできる内容となっており、投球障害の入門書として多くのセラピストに役立つ内容になっている。また、先に選手や保護者が本書を手に取った時に、トレーナー、セラピストが本書の内容を知らないと信頼の損失は免れることはできない。
 ぜひ、多くの野球関係者、医療関係者の手元に本書が届き、より選手を大切にする野球界になっていくことを期待したい。


(橋本 紘希)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2021-02-26)

タグ:野球 投球 
カテゴリ スポーツ医科学
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極めに・究める・スポーツリハ
相澤 純也 塩田 琴美

 充実の一冊。
 表紙からして一般向けの情報量かなと読み進めると、私の勘違い。
 序文でも書いてある通り“手に取りやすい読みもの”として実現されつつも、理学療法士やトレーナーとして活動する人にとっては、選手や患者と接する際の一連の流れが網羅されている内容である。
 それは、クライアントと接する際の心構えの話だけではなく、症例を交えた解説では評価から運動処方まで記載されており、現場での参考になるものがいくつか載っていた。また、SOAPカルテの記載例があり、直後から既に書き方を参考にしているくらい、すぐ実践できる内容もある。
 障害者スポーツに関わるリハビリテーションも内容にあり、まったく関わったことがない部分で新鮮な気持ちで読ませて頂いた。
 うつ病を患っている方への「一時的な気分転換を目的とした運動は勧めるべきではありません」という一文を読んだときには、運動が健康の一助となると言われている世の中では、知らずに運動を頑張ってしまい、症状を悪化させてしまう可能性が大いにあると感じた。うつ病はスポーツの現場だけでなく、私が日頃勤める鍼灸院でも患っている方もいるので、その点に関する専門知識はさらに学びを深めないといけないなと気づいた。
 クライアントとの出会いは、巡り合わせで、どんな方を担当するかは分からない。本書は、スポーツリハに関わる上での総合書となるもので、これからスポーツリハに関わる理学療法士、トレーナー活動をしたいアスレティックトレーナー、鍼灸師、あマ指師、柔整師が事前に読んでおくのに相応しい一冊である。専門書なのに読みやすいことから、学生のうちから読むこともおすすめできる。
「極めに・究める・リハビリテーション」シリーズということで、ほかに運動器疾患編なども気になるところである。

(橋本 紘希)

出版元:丸善出版

(掲載日:2021-03-22)

タグ:リハビリテーション 
カテゴリ スポーツ医科学
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みんなでつくる学校のスポーツ安全
金澤 良 三森 寧子 齋藤 千景

 幼稚園や学校、福祉施設、スポーツチームなど、いつ危険な事故があってもおかしくないところに医療従事者がいないことは珍しくありません。学校にいる養護教諭(保健室の先生)ですら、必ずしも看護師ではないのです。
 では、今までどうやって安全が守られてきたのでしょうか。それはその施設やチームに携わるスタッフの方たちがみんな必死になって書籍や研修会から学んできたからだと思います。
 本書はそれを学ぶために最適です。その理由を3つお伝えします。まず起きそうな事例はほぼ網羅されています。この一冊があれば大抵の事例は対応できます。次に根拠をしっかり明示してあります。根拠がわかれば医療従事者とも共通言語で話せるため、とても大切な知識になります。そして最後に写真が多いことです。写真を中心にして説明文がつくられており、視覚的に理解しやすく誰でも見て動けるように配慮されています。またポスター用のデータも入っているため、オリジナルのポスターも簡単につくれます。
 この本を制作した方々も現役の養護教諭が中心になっています。ですから現場の声がたくさん入っています。医療従事者のいない場所で安心安全な環境を整備するために孤軍奮闘している方、またその世界に飛び込もうとしている学生の方、ぜひ読んでみてください。あなたの大切な方を救うことができると信じています。


(阿部 大樹)

出版元:少年写真新聞社

(掲載日:2021-05-17)

タグ:スポーツセーフティ 安全 
カテゴリ スポーツ医科学
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武道vs.物理学
保江 邦夫

 バイオメカニクスは人の動作の仕組みを物理学の手法を使って解明しようとする営みである。我々トレーナーにとっては運動指導をする上で避けては通れない重要な分野であるが、トレーナーを目指す学生はもとより、資格を取得済みの現役トレーナーにとっても非常に難解な分野である。
 本書では、武道の技を物理学とバイオメカニクスによって分析していく。が、武道という伝統を重んじる領域で、話が突拍子もないところへ飛ぶ。飛びまくる。
 たとえば柔道の投げ技をロボット工学で分析し、ブラジリアン柔術とフィギュアスケートの共通点を指摘し、果ては空手の突きを宇宙物理学で論じる始末である。最終章では筋電図まで出てくる。物理の範疇を越えているではないか。
 ところが驚いたことに、そのような目まぐるしい展開も、筆者の軽妙な語り口(本なので文章なのだが)のおかげでストレスなく読み進めることができた。読み終わった感想は「なんだ、物理学ってそんなに難しいものじゃないんだな」である。
 私自身、学生時代は教科書とにらめっこしてただ唸るしかなく、試験はほぼ丸暗記で耐えていた側の人間なのだが、本書を読んで「あのときのあれは、こういうことだったのか」と理解することができた。
 あなたがバイオメカニクス分野に苦手意識をお持ちなら、手に取ってみてはいかがだろうか。

(川浪 洋平)

出版元:講談社

(掲載日:2021-06-03)

タグ:スポーツバイオメカニクス 武道 物理学 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ現場で知っておきたい薬の話
原田 知子

 薬の話と聞くと、私自身も苦手意識が強まり、避けたい話題と感じてしまう。アスレティックトレーナーとして、スポーツ現場で活動しているときに非常に苦手な分野だった。今思うと、薬のメカニズムを本当には理解しようとせず、薬がもたらす身体への作用を自分の知識で説明することが難しいと感じていた、単純な苦手意識だったと稚拙に感じる。
 本書、第1章にある「身体に対して何らかの効果をうたっているものはすべて医薬品とみなされ、薬事法の規制を受けることになる。」ということがさらにその気持ちを助長させていたのではないかとも感じたが、読み進めるとそうではなかったことに気づかされる。身体に何らかの作用を謳うことはスポーツの業界でも散見するが、必ずしも法の規制を受けているわけではない。医薬品も同様であることを丁寧に説明してくれている。
 本書は薬の効果効能だけでなく、その薬を使用したときの身体反応や細胞レベルでの反応、いろいろな形で起こる相互作用まで解説してくれている。直接、薬とは関係のなさそうないわゆるトクホ(特定保健用食品)の話やジェネリック医薬品、食品の話など、アスリートに関係すると思われる様々な視点で解説してくれている。
 また、コロナで話題になった、薬やワクチンができるまでの話など、通常聞けない専門書に書かれているような話を分かりやすく解説してくれている。さらに、薬の管理やドーピング、海外への持ち出し、特に他国への持ち込みなど、スポーツに携わるスタッフの非常に大きな問題を大変分かりやすく解説してくれている。
 スポーツ現場で運動指導に当たる関係者の中でも、アスレティックトレーナーは医療関係者とアスリートの間でコンディショニング調整を行う必要がり、薬の話は知るべき内容であることは疑う余地はない。周知の事実として、ドーピングコントロールという概念が求められるため、アスリートが薬を服用する場合は、アスリートやアスリートを支えるスタッフは、一般的な効果効能以上に気を付けて服用しなくてはいけないということをさらに強く感じることができた。
 それ以外にも最後に書いてくださった選手教育に関しての話は、指導者やアスリートに一番近い在存の親子さんたちにとっても大切なことであり、一番基本的なコンディショニング把握の一歩目になることが、本書を通して実感することができる。本書は薬のことについて質問を受ける可能性のある人にとっては、必携の一冊といっても過言ではないと痛感する。

(河田 絹一郎)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2021-07-26)

タグ:薬学 ドーピング  
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ医学の立場からみた小学校の体育 100年耐用性のある運動器を育てるために
中嶋 寛之

 タイトルの通り、本書は小学校で行われている体育をスポーツ医学という専門的な切り口からどうあるべきなのかを考察した内容となっております。そしてサブタイトルが「100年耐用性のある運動器を育てるために」とありますが、これこそが本書の裏テーマと申し上げていいでしょう。小学生と100歳を超える高齢者という時間軸においてもかけ離れた世代のつながりこそが、これからの時代を生きる我々が抱えるであろう重要な問題点であり、その問題点を解決すべきもっとも重要な時期が小学生の時代であるという指摘がなされています。
 そう遠くない将来、平均寿命が100歳を超えると言われていますが、長寿という喜ばしいことである反面、100歳を超えたときの運動器がどのような状態であるかという切実な不安が浮かんできます。近年サルコペニア(筋肉減少症)やロコモティブシンドローム(運動機能障害による移動機能の低下)という問題が話題になっています。これらの中心的問題は、高齢者の運動能力の低下にあります。本書は高齢者固有の問題として捉えるのではなく、小学生の体育に問題解決の糸口を求めています。
 高齢者が運動習慣を身につけることにより体力低下を少しでも防ぐという解決法も重要ではありますが、人生において身体能力を高められるのは成長期であり、その時期に「運動嫌い」や「体育嫌い」をなくすような体育授業をするという提案がなされています。一つ一つ理屈を考えてみれば小学校のおける体育教育の重要性は理解できるわけですが、現実問題として児童それぞれの運動能力の個人差はあり、苦手だから運動そのものが嫌いになるのは自然なこと。もっとも身体を動かすはずの小中学生のころに嫌いになった運動を大人になってやりたくなるというのは考えづらく、そのままの流れで大人になり高齢者になり100歳を超えたとしたら、その人たちの運動能力が快適な生活を実現させるに足りうるレベルを維持できるかを考えればかなり不安になってきます。
「鉄は熱いうちに打て」と言いますが、これから大きく成長しようとする子供時代に運動の必要性を理解してもらい、運動が楽しいものだと子供が感じられる体育教育をつくり出すことこそが100歳時代に必要なことだと説きます。
 高齢になり運動能力が低下したり痛みを抱える中で運動をするのには、困難が付きまといます。むしろリスクを抑える対策は早いに越したことはありません。「体を育てる」と書いて「体育」というのは50年前も今も同じです。しかしながら平均寿命が70歳代から80歳代を超え、いずれは100歳を超えようとしている日本の将来。「体育」の重要性はさらに高まりそうです。これは私たち一人一人が将来直面する可能性のある問題であることを忘れてはいけません。

(辻田 浩志)

出版元:ナップ

(掲載日:2021-09-22)

タグ:体育 ロコモティブシンドローム 
カテゴリ スポーツ医科学
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勝ちにいくスポーツ生理学 運動生理学の基礎からトレーニングの落とし穴までを解説
根本 勇

スポーツ生理学に似た言葉に運動生理学がある。どうして「勝ちにいく運動生理学」にしなかったのか? と疑問を抱きたくなるが、それは読むと納得できる。スポーツ現場から沸き立つ疑問をわかりやすく解説しているところは、題名の如く実践的で、選手にも十分読みこなせる内容となっている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:山海堂

(掲載日:2000-01-10)

タグ:運動生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
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身体動作の運動学
Vladimir M. Zatsiorsky 鳥居 俊

運動学の基本概念に必要な数学、物理学(力学)、解剖学を解説しながら、実際のスポーツ科学に応用できるよう編まれた本で、かなり専門的かつ具体的である。読者層は、スポーツ科学の大学院課程、リハビリテーション医学・科学、整形外科学の専門教育というだけに、基礎ができていないと読みこなせない。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2000-01-10)

タグ:運動学 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツの達人になる方法
小林 一敏

バイオメカニクスの研究を長きにわたって続けてきた著者ならではのタイトル。スポーツ動作の解説に加えて終始語られているのが、「教えない指導法」の重要性で、著者はこれをコーチングの要諦であるとも述べる。力学を表現する数式が苦手という人でも“達人”への興味が湧いてくる本。





(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:オーム社

(掲載日:2000-01-10)

タグ:動作 コーチング 
カテゴリ スポーツ医科学
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骨と関節健康カルテ
国分 正一

(‎日本臨床整形外科医会・発行)

「骨と関節」、言い換えると「手足と背骨」のケガと病気について、一般の人々にもわかりやすいように整理された本である。「家庭の医書の一冊に」と著者が言うように、生活の中で生じるケガから先天性の関節脱臼など広く掲げ、解説している。知識として身につけ、人に教えたくなる内容。






(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:金原出版

(掲載日:2000-02-10)

タグ:関節 
カテゴリ スポーツ医科学
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投球論
川口 和久

「無駄球の多い、コントロールの悪い投手の話にここまでつきあっていただき……」と、あとがきの冒頭にある。見せ球が多くず随分肩を酷使したという川口だが、反面それが誇りに感じられてしまうから、スポーツは面白い。ストレートとカーブにこだわった川口が、その記憶をたどって再構築した「論」に相応しい展開だ。



(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2000-02-10)

タグ:投球 野球 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツとトレーニングの生化学
Ron Maughan Paul L. Greenhaff Michael Gleeson 谷口 正子 谷口 直之 大野 秀樹

スポーツとトレーニングが及ぼす物質レベルの変化、つまり日常の運動や競技者の訓練によって引き起こされる代償はどうなっているのか。中でも、筋肉をはじめ肝臓や血液、ホルモンの動態が、どうなっているかがわかる本。生化学、生理学、運動・スポーツ科の学生にとっての“入門書”を狙いとする。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:メディカル・サイエンス・インターナショナル

(掲載日:2000-05-10)

タグ:生化学 
カテゴリ スポーツ医科学
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子供のためのスポーツ・コンディショニング
菅野 淳

J1のジュビロ磐田が、これまで蓄積してきたノウハウを活かしながら、地域貢献の一環として発刊した本。トップチームのコンディショニングコーチを務める菅野氏が、子どもたちや保護者に向け、「食事の摂り方」「水分補給」「あがり対策」などを説いていく。なお、この本は一般の書店には置いていません。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ヤマハフットボールクラブ

(掲載日:2000-05-10)

タグ:コンディショニング 子ども サッカー 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:子供のためのスポーツ・コンディショニング
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スポーツ現場での脳振盪
Julian E. Bailes Joseph C. Maroon Mark R. Lovell 鳥居 俊 好本 裕平

「大きく強く速く」なった選手たちは、逆に中枢神経系の外傷にさらされる危険性を高めた。その代表格、脳振盪のガイドラインから発生と予防、病態、脳代謝の変化、さらにはショッキングとも言うべきNFLの元選手などによる座談会から構成される本である。
 スポーツを観ていると、解説者が「脳振盪でしょうか?」と言うことがあるが、名前はよく知られているけれども、実際この外傷がどのようなものか知られていることは稀である。
「スポーツ中の脳振盪の管理に関するコロラド医学会のガイドライン」では、「健忘を伴わない意識混濁、意識消失なし」「意識消失」といった3つのグレードに分類する指針を出しており、神経学的な検査の要不要が決められている。
『スポーツ現場での脳振盪』では、神経学のうち「神経心理学」による評価と検査法が紹介されている。とくに米国プロスポーツの代表アメリカンフットボールからは、ピッツバーグ・スティーラーズの例を挙げている。項目は集中力、記憶力、運動巧緻性、運動速度についてで、特別にデザインされたテストの実施を紹介しながら、その重要性を説いている。ほかにもアイスホッケー選手の評価についても掲載されている。
 脳振盪に限らずスポーツ中の外傷の管理について、直接処置に当たるのは医療関係者に限られているが、予防を考えると人任せではいられないのが脳振盪である。比較的わかりやすい本のため、メディカルスタッフ以外の指導者にもお勧めである。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2000-06-10)

タグ:脳振盪 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:スポーツ現場での脳振盪
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これからの健康とスポーツの科学
安部 孝 琉子 友男

「身体機能はどこまで改善できるか?」「どのような運動をすると骨が強くなるか?」「スポーツのうまい、へたって何が違うの?」など、それぞれの章タイトルに工夫が施されている。高齢化・長寿国と呼ばれて久しい日本人の多くが生活習慣病の危険にさらされている現状を、スポーツとの関連でみていく。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2000-06-10)

タグ:健康 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:これからの健康とスポーツの科学
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健康・体力のための運動生理学
石河 利寛

著者は、日本の運動生理学の大家である石河氏。この分野は、20世紀前半から半ばにかけスポーツ活動に科学的根拠を与えるものとして重要性をもたらしてきたが、後半には主に運動が健康維持・増進に及ぼす論理的背景を示してきた。この両面について、幅広い視野に立ちながら豊富な資料をもって解説した本である。


(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:杏林書院

(掲載日:2000-07-10)

タグ:運動生理学 健康 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:健康・体力のための運動生理学
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教養としてのスポーツ・身体運動
東京大学身体運動科学研究室

東大生の必修実技実習科目「スポーツ・身体運動」(1年生)の教科書として新たに編集されたテキスト本。もちろんそれ以外の読者の目に触れることも意識して編集されており、教官が所属する大学院総合文化研究科の身体運動科学グループからのメッセージとして受け取ることもできる。




(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:東京大学出版会

(掲載日:2000-07-10)

タグ:運動 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:教養としてのスポーツ・身体運動
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心肺蘇生法「命を救え」(ビデオ)
国際救命救急協会

心臓マッサージと人工呼吸の具体的な方法を解説したビデオ。これからのシーズン、海に出かける人も多いが、海難救助のみならずスポーツシーンでも起こり得る“もしものとき”。「救急車が到着するまでの約6分、あなたは大切な人に何ができますか?」。問い合わせ先は国際救命救急協会まで。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:

(掲載日:2000-08-10)

タグ:心肺蘇生 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:心肺蘇生法「命を救え」(ビデオ)
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アクアティックリハビリテーション
Andrea Bates Norm Hanson 山本 利春 日暮 清

リハビリテーション、リラクゼーション、疲労回復などの目的ですでに多くのチームが利用している「アクアエクササイズ」。これを正しく実践していくための基本的な理論が整理されている序盤、そして中盤からはスポーツで引き起こしやすい障害に対応したアクアティックリハビリテーションの実際が紹介されている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2000-09-10)

タグ:アクアティックリハビリテーション 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:アクアティックリハビリテーション
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高所 運動生理学的基礎と応用
宮村 実晴

外国では、高所に関する研究史を始め、医学的、運動生理学的見地から低酸素(高所)とヒトの適応を論じた書物は数多くあるが、日本では非常に少ないと編著者は冒頭で語っている。これに対し、様々な研究分野に協力を仰ぎ、我が国の高所トレーニングや高所科学に関する最新の情報をまとめたのがこの本。




(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2000-12-10)

タグ:高所 運動生理学 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:高所 運動生理学的基礎と応用
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運動の神経科学 基礎から応用まで
西野 仁雄 柳原 大

運動の発現はすべて脳からの出力によって生じるものであり、運動は脳が創り出す知性の1つである。そうした運動と脳との関係を、脳・神経科学の視点から明らかにしていく一冊。トップアスリートが見せる統合された円滑かつ精緻な動きは、どういう過程を経て習得されていくかがわかる。




(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2001-02-10)

タグ:神経 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:運動の神経科学 基礎から応用まで
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骨格筋と運動
跡見 順子 大野 秀樹 伏木 亨

「骨格筋の生命科学的概念」「肥大と萎縮」「収縮」「張力の発揮」「筋収縮のエネルギー」「筋線維組成」などといったセクションを生命科学の視点で再評価する仕立て。また“骨格筋”の理解に必要なキーワード104を本文と対比させ、巻末資料にまとめるといった工夫が施されているため読み進めやすい。



(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:杏林書院

(掲載日:2001-05-10)

タグ:筋 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:骨格筋と運動
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Q&A 運動と遺伝
大野 秀樹 及川 恒之 石井 直方

 科学のあらゆる分野に関わりを持つようになった分子生物学。身体活動の1つを研究するスポーツ科学も例外ではない。この本では、運動と遺伝に関する、「身体のサイズを決める遺伝子はあるか?」「ドーピングは遺伝子に影響を与えるのか?」などの125のテーマを、Q&A方式によってわかりやすく説いた。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:2001-10-10)

タグ:遺伝 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:Q&A 運動と遺伝
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スポーツパフォーマンスのアセスメント 競技力評価のための測定と分析
David H. Fukuda 渡部 一郎

 情報化社会においては、大量かつさまざまなデータが活用されている。スポーツ現場でも同様だ。本書ではより正確にデータを収集、分析、評価することで、効果的にパフォーマンスを上げるための手法がまとめられている。詳細な解説に加え、各アセスメントの標準データも載っていて比較できるため、データを取って終わりでなくトレーニングの計画につなげられる。



(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2021-02-10)

タグ:測定 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:スポーツパフォーマンスのアセスメント 競技力評価のための測定と分析
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限界は何が決めるのか? 持久系アスリートのための耐久力の科学
アレックス・ハッチンソン 露久保 由美子

 著者は中・長距離の選手としてカナダナショナルチームに在籍した経歴の持ち主。まず限界を決めるのは何か、自身の経験も交えながら、身体と心それぞれの要素を検証する。次に限界に影響するものとして、内的・外的要因を探っていく。それを踏まえて限界に近づくための方法を科学的に分析している。
 スポーツに限らず南極点到達をめぐるエピソードもあり、読み応えがある。箱根駅伝でも話題になったヴェイパーフライを用いた「ブレイキング 2(フルマラソンで2時間切り)」プロジェクトのルポも収録されている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:TAC出版

(掲載日:2021-02-10)

タグ:限界 持久力 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:限界は何が決めるのか? 持久系アスリートのための耐久力の科学
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アスレティックトレーニング学 アスリート支援に必要なクリニカル・エビデンス
広瀬 統一 泉 重樹 上松 大輔 笠原 政志

 アスリートに対する科学的な支援や安全保証の重要性について理解が深まってきているが、それを実現する人材および環境はまだ充分と言えない。基礎となる学問を普及すべく、各分野に精通する執筆者が名を連ねた。
 日本におけるアスレティックトレーニングの背景を概観したのち、メディカルチェックやフィジカルチェックをどのように行うか、緊急時対応計画を始めとした緊急対応、傷害予防、コンディショニング、リハビリテーション、各部位の外傷・障害、姿勢評価と動作分析、さらには実際の取り組み例まで網羅する。



(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:文光堂

(掲載日:2021-02-10)

タグ:アスレティックトレーニング 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:アスレティックトレーニング学 アスリート支援に必要なクリニカル・エビデンス
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高齢者の運動ハンドブック
米国国立老化研究所 東京都老人総合研究所運動機能部門 青柳 幸利

 健康の維持・増進のためにウォーキングが注目されているが、実践者の歩行速度と筋力や平衡機能、持久力など一般的な体力指標に加え、日常生活の活動性などは高齢者にとって極めて重要な事項として検討されるべきである。これらを踏まえ、高齢者の運動というものを丁寧に扱ったというのがこの本の特徴である。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:2001-12-10)

タグ:高齢者 運動 
カテゴリ スポーツ医科学
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コツとカンの運動学 わざを身につける実践
日本スポーツ運動学会

個人に合わせた指導
 アスレティックリハビリテーションとは、アスレティックトレーナー業務のひとつだ。アスリハと略して呼ばれることが多い。日本スポーツ協会の公認テキストによれば、日常生活レベル復帰を基準とするメディカルリハビリテーションを引き継ぐ形で、競技復帰までを目標とする過程として表現されている。しかし実際は、リハビリ初期から患部外のトレーニングや全身持久力トレーニングなどを組み合わせたアスリート向けのプログラムとなる。
 競技復帰には体力因子や全身を協調させて体現する「わざ」の再獲得が必要だ。傷害の発生機序や発生要因を克服しながら、「わざ」の 「コツ」や「カン」を取り戻し発展させる必要がある。リハビリ開始時からこれを加味したプログラムであるべきで、個々のメニューはそれぞれの要素に分断されたものではなく互いに協調すべく全身の動きをイメージしてデザインされるべきである。そして、たとえ蓄積された知見に基づくプロトコルでも、対象となるアスリートによって指導の方法は全て異なるものになるはずだ。その道のりは、指導というよりむしろトレーナーとアスリートが協調し共感しながら進めるべき協働という方が正しいように思う。

実践のヒント
 さて、日本スポーツ運動学会による『コツとカンの運動学』のサブタイトルは「わざを身につける実践」とある。子ども達の発達過程において「動きのわざ」をいかに育てていくのかを主軸として様々な知見が語られている。「わざ」は単に「動き」ということではなく、移り変わる状況に応じて「コツ」と「カン」を働かせて、最善の「動き」をするということだ。それを自分が「身体で覚える」だけでなく、それを学習者にいかに指導するかという実践のヒントが集約されている。だから、ここでいう「運動学」はキネマティクスとは一線を画している。キネマティクスを芯に、心理、言語、感覚、人間関係や環境整備といった様々な因子で包み込んで作られた領域と言うほうがいい。
 日本スポーツ協会が推進するアクティブチャイルドプログラム(ACP)でも「動きの質」に注目するよう働きかけている。ACP とは「子どもが発達段階に応じて身につけておくことが望ましい動きを習得する運動プログラム」だ。ただ、どれだけいいプログラムでも、その「動きの質」向上のためには指導者の力量が問われる。個人差の大きい子ども達の指導では、画一的な指導は効果のばらつきを大きくするだろう。

学生に悩んでもらう
 本書で説かれる「学習者の動き方を自らの体で感じ取りながら、わざの動感世界を共有する運動共感能力」や「指導者が自分の動きを詳細に分析してその動きが実際にできるようになるために、指導者が学習者に対して学習者自身の動きの感じに問いかけていくという借問」などの重要性は、アスリハの過程に通じると感じる。現場のトレーナーとして経験を積んだ人達はこの辺りのスキルは自然に練り込まれているだろう。負傷したアスリートの状態を的確に把握し、様々な視点から観える問題点を、当人とのコミュニケーションの中で修正しながら、段階的に進めていくことができるはずだ。
 ところがアスレティックトレーナーを目指す学生達には、まだこの感覚をイメージしにくい者が散見される。そういった学生は、正解を欲しがる傾向にあるようにも思う。この場合はどうすればいいのか、マニュアルとしての答えが欲しいのだ。
 模範解答としてのプロトコルを示してやればいいのかもしれないが、私の場合はヒントを小出しにしながら悩んでもらう方法を取っている。解剖学や傷害、評価法、そしてアスリハの基礎理論をもとに、対象となるアスリートのことを多角的に想像し、互いに協力して問題を解決すべく創造力を最大限に働かせることに取り組んでもらうのだ。そのためにはアスリハの勉強をしているだけでは足りない。JSPO-ATの実技試験対策でも、過去問題を紐解いてこの設問が出ればこのプログラムを覚えておいて指導せよといった方法では問題だと個人的には考えている。たとえ試験であっても、目の前にいるアスリート(モデル)に最大限の効果が出るようにカスタマイズされたものを即座に提案し、指導というより双方向の協働にできることを目指して欲しい。本書もきっといい参考書籍になるはずだ。


(山根 太治)

出版元:大修館書店

(掲載日:2021-03-10)

タグ:カン コツ 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:コツとカンの運動学 わざを身につける実践
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痛快! みんなのスポーツ学
辻 秀一

 押し絵に『じゃりン子チエ』を起用し、スポーツと健康が楽しく読めるよう工夫されている。筆者は冒頭で、「スポーツは医療であり、教育であり、芸術であり、コミュニケーションであり、困難な時代を生きる我々の救世主となる可能性がある」と述べている。そういう“スポーツ学”が根底に流れる本。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:集英社インターナショナル

(掲載日:2002-02-10)

タグ:スポーツ学 
カテゴリ スポーツ医科学
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トレーニング用語辞典 新訂版


 1990年に編集された旧トレーニング用語辞典の新訂版。トレーニング、運動生理学、スポーツ医学、栄養学、生化学、解剖学分野の最新3300のキーワードを集めた。筋・解剖図(対照英訳付き)、栄養所要量、ストレッチング、応急処置など、スポーツ現場で役立つ資料が付録されている便利な一冊。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:森永製菓健康事業部

(掲載日:2002-03-10)

タグ:トレーニング 用語 
カテゴリ スポーツ医科学
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マッスルインバランス改善の為の機能的運動療法ガイドブック
荒木 茂

動作の修正は難しい
 空手にはさまざまな立ち方がある。この立つという動作は思いのほか難しい。安定しすぎても次の動作に移りにくい。外力を受け流したり身体に力を通したりするにもコツがいる。空手のその場突きでは、腰幅に立った姿勢のまま股関節を中心に生み出した力を地面反力も加えながら拳に伝える動きとなるが、この立位で力を一点に集める動作ですら数多くの要因に分解することができる。これが足を前後に開いた前屈立ちや後屈立ち、横に開いた騎馬立ちなどになるとその要素はさらに増えることになる。
 立つ、また立った姿勢で技を出すという基本中の基本動作においてすら、非効率で望ましくない動作になったり、最悪の場合は傷害の原因になるような動きのエラーも起こり得る。ここからさまざまな方向に移動しながら技を出すということになれば身体操作の要素はさらに増える。これは武道のみならず各スポーツの特性を表す動作でも同様だ。その中で起こり得るエラーは、口頭で伝えるだけでは解決できないことや頭ではわかっていても思い通りにならないことが多い。
 このような場合、問題の原因となる動きを見極め、動作や意識を修正する具体的な手法が必要になる。アスレティックトレーナー的な視点で空手に取り組んでいる自分自身の動作修正においても、稽古中の子ども達への指導においてもこれが結構悩ましい。身体のナカミをわかってくれていれば伝えやすいのに、と感じることも多い。いずれにせよ、このように動作を望ましいものにする必要性は、武道やスポーツ動作のみならず、日常生活における何気ない動作にも共通する。

評価と修正のわかりやすい紹介
 本書では、そのような動作パターンの問題要素を評価し修正するアイディアがふんだんに紹介されている。正しい動きだけでなく起こりやすいエラー動作も含めた写真を数多く使って解説されているので大変わかりやすくなっている。「標準化され再現性がある」基本的な運動療法の本質理解や再確認、そして新たな気づきを得るためにありがたい存在となるだろう。本書で紹介されている機能的運動療法の到達点は、「筋力の強化というより正しい動作パターンの強化(筋トレよりも脳トレ)」をした上で対象者が自己管理法を身につけることであり、それには「運動療法を適切に行う意欲と理解力がある」ことが求められると指摘されている。ここでも患者側が身体のナカミを理解していれば効果が得やすくなるだろうと感じる部分だ。
 種々の体幹の安定化トレーニングも紹介されている。トレーニング関連セミナーでわざわざ体幹トレーニングだけを抜き出して行う必要はないといった発言を聞いたことがある。普通のトレーニングの中で十分使うので、それだけを引き出す必要はないといった立場の発言だったが、私はこれには賛同しかねる。確かに儀式的に行うものでもないし、全ての動きの中で無意識に安定化できていることが望ましいということに異論はない。それができている人にはそれでいい。しかし実際に腰痛を引き起こすような場合には、筋力バランスや動きの中で動員される順序のエラー、それに伴う関節可動性の偏りなどがあるわけで、それを評価し問題を抽出し修正する必要があると考えるからだ。
 もちろん要素別に解決できたからといって目的とする動作に反映されなければ意味がないことではある。「標準化され再現性がある」と言っても、本書に掲載されている運動を片っぱしから実施すれば全ての動作がよくなるわけではない。適切に抽出した問題点を修正できるものを的確に選び、時に改変しながら指導する柔軟性も必要なのだ。これには指導する側の身体のナカミの理解度も試される。空手の動作における動力源としての体幹や股関節周りを見直すにつれ、今更ながら気づいた新たな発見に赤面することもなお多い私ではあるが。

これからの可能性
 空手の基本稽古や形稽古によって得られる身体感覚は数多い。同時にそこにさまざまな動作修正トレーニングや、日常生活動作や他のスポーツ動作とコネクトするようなトレーニングが加われば、子ども達のカラダの成長への寄与がさらに大きくなると考えている。また子どもの頃から自分たちの身体のナカミ(解剖生理)を知る機会を増やせれば、より健康的な生活の基礎を早い段階でつくることもできるだろう。武道とアスレティックトレーナー領域の融合だ。もちろんどの少年期スポーツにもアスレティックトレーナーの介在がよりよい身体教育につながるはずであるが、私の場合は密かな老後の取り組みとして空手を軸に実践したいと考えている。

(山根 太治)

出版元:運動と医学の出版社

(掲載日:2021-05-10)

タグ:運動療法 
カテゴリ スポーツ医科学
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野球の科学 解剖学、力学、統計学でプレーを分析!
川村 卓

 外遊びと言えば野球(ごっこ)だった時代は終わり、日本の子どもたちはさまざまな種目、さまざまな楽しいことに囲まれている。筑波大野球部監督が野球の魅力を再確認してもらおうと、野球の「なぜ?」「ホント?」を説明していく。ピッチング、バッティング、統計の章に分け、科学的知見をわかりやすい言葉で紹介する。フルカラーで写真やイラストも多く、目を惹く。「速い球を投げるには」「ホームランを打つには」といったことに的確に答えられるかどうかは、コーチングにもつながっていく。






(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:SBクリエイティブ

(掲載日:2021-05-10)

タグ:野球 
カテゴリ スポーツ医科学
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リアライン・トレーニング 下肢編 関節のゆがみ・骨の配列を整える最新理論
蒲田 和芳

 体幹・股関節編に続く第二弾。本書から読むこともできる。下肢編では、膝関節、足関節、足部ごとに起こりやすいマルアライメントを挙げる。その改善・予防のために、①アライメントを理想に近づける「リアライン」、②関節が正しく動くよう筋活動を最適化する「スタビライズ」、③マルアライメントの原因となる動作を改善する「コーディネート」の3フェイズ、さらにローカル(個々の関節)→グローバル(複数の関節、下肢全体)の流れで手技やエクササイズを紹介していく。スポーツにおいて下肢への力学的ストレスは大きく、悩める選手や治療家に参考になるだろう。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2021-09-10)

タグ:アライメント 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ動作学入門
新宅 幸憲

 走る・跳ぶ・投げるなどの基本動作をもとにしたヒトの動きの見方、捉え方が豊富な図やグラフを使用し、わかりやすく解説されている。スポーツ指導者、スポーツ選手にも役立つ内容。




(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:市村出版

(掲載日:2003-03-10)

タグ:動作 
カテゴリ スポーツ医科学
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子どものスポーツと才能教育
宮下 充正

 子どものスポーツ能力の開発・育成や才能一般の問題、今日の才能教育の不透明さ、「心の教育」の時代におけるスポーツ教育・体育教育の持つ意味や必然性などをわかりやすく紹介。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:2003-04-10)

タグ:子ども 
カテゴリ スポーツ医科学
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初めて携わるメディカルスタッフのための障がい者スポーツ レクリエーションレベルから競技レベルまでのケアとサポートの実践術
青木 隆明

 障がい者スポーツをどうサポートするか。クラス分けなどパラスポーツならではのルール、車椅子・義手といった器具・装具の機能、トレーニングやケガの予防、外傷時の応急処置で注意すべき点など、知りたいことが詰まった一冊だ。一口に「障がい」と言っても、さまざまなものがあることをまず1章で解説する。そして2章で、現場で接する機会の多い11の競技を取り上げる。障がいの特徴によって、パフォーマンスアップにつながるフォームなども変わってくる。本書の知識があれば、「難しい」と敬遠するのではなく、1人1人に合ったサポート方法を探すことを楽しめるのではないだろうか。

(月刊トレーニング・ジャーナル)

出版元:メジカルビュー社

(掲載日:2021-11-10)

タグ:障がい者スポーツ サポート 
カテゴリ スポーツ医科学
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こだわり抜く関節可動域運動
斉藤 秀之 加藤 浩

 新人理学療法士の指南書として企画された第1期シリーズ、「極める」をコンセプトとした第2期シリーズに続く、「こだわり抜く」をキーワードとした第3期シリーズである。
 理学療法は運動療法と物理療法をベースとしている。そのうちの運動療法を取り上げ、安全な治療を当たり前のものとして提供できるよう、1つ1つ整理し、掘り下げていく。たとえば関節可動域はROMと言われ、「Motion」であって「Joint」ではない。PART I で関節の構造や関節運動学などの基礎を、PART II 以降で運動器障害、神経障害の評価や治療、高齢者に対するROM運動を細やかに解説する。

(月刊トレーニング・ジャーナル)

出版元:文光堂

(掲載日:2021-11-10)

タグ:可動域 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動科学 アスリートのサイエンス
小田 伸午

 京都大学の教養課程において、人気講義の内容を一般向け単行本として書き下ろしたもの。スポーツ科学と運動感覚の融合を試みた運動科学とは。さらに、新しい運動原理「二軸運動理論」とは何か。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:丸善

(掲載日:2003-05-10)

タグ:運動科学  
カテゴリ スポーツ医科学
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SPSSとExcelによる[統計力]トレーニング スポーツデータで分析力を身につける
川本 竜史

 スポーツ(サッカー)データを題材に、データ入力処理などの基本から多変量解析までの分析手法を、表計算ソフトExcelと統計分析ソフトSPSSを使いながら「統計力」を身につけるためのトレーニングブック。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:東京図書

(掲載日:2004-04-10)

タグ:分析 
カテゴリ スポーツ医科学
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潜在能力を引き出す力 フィジカル・コーチが見たトップアスリートの成功法則
白木 仁 山岡 淳一郎

KUDOH 47番
 平成16年6月18日、その日の試合は最近には珍しく投手戦の様相を呈していた。初回、ジャイアンツの工藤公康投手は連打と四球で一死満塁といきなりピンチを迎え、さらに2回にも二死満塁のピンチが続く。しかし、結局工藤は7回まで投げきり、その後投手リレーをつないで1対0の完封勝利をものにする。工藤197回目の勝利である。
 この日の工藤を彼はどのような感慨をもって見守っていたのか。その彼とは、工藤のフィジカル・トレーナーとして14年間、工藤の身体を“コーディネート”する役割を果たしてきた“白木仁”その人である。白木は言う。「『トレーナー』という言葉から、読者は何を想像されるだろうか。(中略)スポーツ界で『頂点の勝負』に携わってきた者としては、そこに『コーディネーター』という見方を加えていただきたい。(中略)トレーナーは、より選手に近い位置で、選手に寄り添い、けれども選手ベッタリにならず、刻々と変わる彼らの体調を把握しながら、時には監督との対立も辞さず、総合的な戦力を調整する者だ。独立した職能である。到達すべき勝利から逆算してトレーニング計画を立てるので『プランナー』とも言える」。少し長い引用になってしまったが、ここに白木自身のトレーナーとしての哲学がみて取れる。その証拠に、白木は工藤のみならず、プロゴルファーの片山晋呉にも、さらにはシドニー五輪でシンクロナイズドスイミング・デュエット銀メダルの立花・武田組に対してさえも、この姿勢を一貫して崩していないと言う。白木は「フィジカル・コーチの基本的な役割は『トリガー(引き金)』だと思っている。実際に身体を動かすのは選手なのだ。選手がトレーニングの目的と手段を自ら『選び』、能動的に関わらなければ、効果は期待できない。(中略)フィジカル・コーチングを支えるのは、選手を知ろうとする意欲、人間に対する興味なのだ」とも言う。とすれば、14年もの間白木を魅了した工藤投手の人間的魅力、身体の秘密とは果たして何か……。

潜在能力をどう引き出すか
 最近、アスレチック・トレーナーという職種に人気が集まっている。とはいえ、決して就職がしやすくなった訳ではない。予備軍とも言うべき高校生や大学生にとって憧れの職種になっているのである。理由ははっきりしない。が、私が現在勤める大学にもこのアスレチック・トレーナー養成コースがあり、ここに所属する学生に入学の動機を聞いてみると「高校の部活でケガをしたとき、病院のリハビリのおかげで復帰できたから」とか「何かスポーツに関係する仕事に就きたいから」といった返事が多い。いずれにしても、憧れの職業となっている理由同様漫然とした返答だ。これは、裏を返せば日本社会において未だアスレチック・トレーナーという職種が十分理解されていない証拠とも言える。中には、応急処置やリハビリテーション、マッサージだけがトレーナーの仕事だと思っている人もいる。しかし、白木は言う。「だからケガした選手に対し、僕は『リハビリ』という言葉は使わない。あくまでも『トレーニング』という。彼らの眠っていた、恐らく、この状況にならなければ気づかなかったであろう力を引き出す。そのためのトレーニングなのだ」そして、さらにこう続ける。「トレーナーの生きがいとは何か、と質問されたら(中略)『人間が変わる現場』に立ち会えることと答えたい」。アスレチック・トレーナーの職域に対して“潜在能力の開発”という新しい提案がなされた瞬間である。

(久米 秀作)

出版元:日本実業出版社

(掲載日:2004-08-10)

タグ:コンディショニング 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:潜在能力を引き出す力 フィジカル・コーチが見たトップアスリートの成功法則
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マウスガードを使おう スポーツデンティストが教える正しい選び方・使い方
竹内 正敏

 スポーツ歯科専門医による、最新のマウスガードに関する知識の解説と入手方法を、コーチ、トレーナー、選手、家族の方が読んでも理解しやすいように、専門用語を避け、わかりやすい文章でイラストと写真にて紹介。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:砂書房

(掲載日:2004-12-10)

タグ:マウスガード スポーツ歯科学 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:マウスガードを使おう スポーツデンティストが教える正しい選び方・使い方
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ID触診術
鈴木 重行

 IDとは、individualを意味し、治療者やトレーナーが、個々の筋を確実に触診できるようになるための専門書。筋触診の重要なポイントや上達の秘訣など、オールカラーの解剖図と写真でわかりやすく解説されている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:三輪書店

(掲載日:2005-07-10)

タグ:触診 
カテゴリ スポーツ医科学
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姿勢と運動の力学がやさしくわかる本
勝平 純司 山本 敬三 江原 義弘

 この書籍は、バイオメカニクスの基本を、イラストを使いイメージしやすく初心者が理解するために書かれた一冊です。全6章のパートに分かれており、1章から順を追って語句が解説されており、物理学をおさらいするにも適した書籍です。
 第1章は「力と重心」として重心位置の解説や、ベクトル・力のつり合い・作用反作用の法則といった、重さが働くとどのように変化するか解説されています。第2章は「床反力と身体運動」として床反力や床反力ベクトルといった床から受ける重心位置の移動について、第3章は「並進運動と運動の法則」として、速度と加速度や慣性の法則・並進運動といった移動に伴う速さについて解説されます。第4章「回転運動とモーメント」では、テコの原理をモーメントやレバーアームといった力のつり合いについて、第5章「エネルギーとパワー」ではパワーや仕事率、力学的エネルギーといった物体を動かす働きについて、最後の第6章「運動量と力積」は、運動量とは何かについて、ジャンプ動作と力積が解説されています。
 中学校時代に習った物理学の単語も数多く使われていることがわかります。表紙にも医療従事者や介護関係・スポーツトレーナーなどにお勧めと書かれており、イラストの豊富さが振り返りの学びによく合います。本書を手に取っていただき、物理学の視点から現場に活用していただきたいと思います。

(中地 圭太)

出版元:ナツメ社

(掲載日:2021-12-20)

タグ:バイオメカニクス 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:姿勢と運動の力学がやさしくわかる本
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投球障害予防&治療プラクティカルガイド メディカル・スキル・コンディショニングの架け橋に
筒井 廣明 山口 光國 千葉 慎一

 プロ野球や学生野球はもちろん、少年野球から草野球まで、野球人口は多い。その分、医師や理学療法士、トレーナーが投球障害に関わる機会も多い。画一的な対応ではなく、選手の状態や置かれた立場をしっかりと把握して、個々に合わせた競技復帰までの道筋をつける必要がある。また、医療やトレーニングの場だけで終わらず、コーチや保護者に正しい情報を知ってもらうことも重要だ。本書は理論と実務をつなげる役割を果たす。機能解剖や画像診断のポイントから、投球のメカニズム、小児・成長期と成人それぞれに必要なトレーニングまで網羅する。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:メジカルビュー社

(掲載日:2021-12-10)

タグ:投球障害 
カテゴリ スポーツ医科学
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選手と指導者のためのサッカー医学
日本サッカー協会スポーツ医学委員会

 サッカー選手の医科学面を管理・研究してきたスポーツドクターによって書かれたサッカー専門の医学書。コンディション維持からケガの予防、治療まで310点もの豊富な図を用いて紹介。選手・指導者必見!

(月刊トレーニング・ジャーナル)

出版元:金原出版

(掲載日:2005-10-10)

タグ:サッカー 
カテゴリ スポーツ医科学
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実践アスレチックリハビリテーション Text&CD-ROM
栗山 節郎 川島 敏生

 アスレティックリハビリテーションの基礎から部位別疾患、その手技まで豊富な写真で書籍で紹介されているのみならず、150以上の部位別疾患プロトコルと手技の動画が収められたCDが付属されている実践書。

(月刊トレーニング・ジャーナル)

出版元:南江堂

(掲載日:2006-02-10)

タグ:アスレティックリハビリテーション 
カテゴリ スポーツ医科学
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ボディ・ナビゲーション 触ってわかる身体解剖
Andrew Biel 阪本 桂造

 触診でリアルにわかる「身体解剖図鑑」。筋肉や骨のつき方やその動き、さらに関節の構造などが、どのようになっているか、触診でどう探るか、その方法と手技を詳細なイラストや説明で紹介。

(月刊トレーニング・ジャーナル)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2006-02-10)

タグ:解剖 
カテゴリ スポーツ医科学
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図表でわかる ピンポイント解剖学
吉田 優子

 余計な解説を省き、全頁ほぼイラストと表でまとめられた解剖書。「鍼灸師や柔道整復師にとって重要か」「国家試験に出たか」という観点から編集されてはいるが、スポーツ選手や指導者にもわかりやすい内容となっている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2006-04-10)

タグ:解剖学 
カテゴリ スポーツ医科学
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実践すぐに役立つアスレティックリハビリテーションマニュアル
福林 徹

 1998年発行された『整形外科アスレティックリハビリテーション実践マニュアル』を大幅改訂。スポーツ選手に対するアスレチックリハビリテーションを、部位・疾患・種目別に分類し、医師、PT、トレーナーなどの専門家が詳しく解説。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:全日本病院出版会

(掲載日:2006-05-10)

タグ:リハビリテーション アスレティックリハビリテーション 
カテゴリ スポーツ医科学
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DVD スポーツ障害を治す
宮本 俊和

 スポーツ障害に対する鍼療法とリハビリテーションをわかりやすく解説。障害の発症機序を説明後、疾患ごとに、疼痛部位、疼痛の誘発動作、理学的検査所見を解説し、疾患に応じた鍼通電療法、雀啄術、運動鍼、棒灸などの治療法を紹介。治療家向け。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2006-05-10)

タグ:鍼灸 スポーツ障害 
カテゴリ スポーツ医科学
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ランニングの世界
山西 哲郎

 年2回発行の「ランニングの世界」の第2号。今回の特集は「ランニングと脳」。スポーツ医科学・社会学方面で活躍されている10人の先生方が、専門分野における「ランニングと脳」の関わりについて執筆。特集のほか、連載と投稿掲載。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:明和出版

(掲載日:2006-06-10)

タグ:ランニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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アスレティックテーピングとリハビリテーションエクササイズ
David H. Perrin 梶谷 優 鶴池 政明

 NATABOC公認アスレティックトレーナー(ATC)が、専門教育課程で学んできた原著の第2版翻訳本。初版の内容に加えカラーで詳細な人体解剖図や傷害の発生機序の説明と、関節と部位のテーピングとブレースの技術を表す約400枚の写真を掲載。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2006-08-10)

タグ:テーピング リハビリテーション 
カテゴリ スポーツ医科学
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強くなるための剣道コンディショニング&トレーニング
齋藤 実

 剣道のためのコンディショニングについて総合的にまとめている。コンディショニング、トレーニング、メディカル、食事、水分摂取、テクニカルの6つの分野にわたって網羅され、まさに集大成となっている。基本を押さえたうえで、実際に対応した方法が紹介されており、実践的な内容となっている。たとえば踵の脂肪パッドをカバーするためのテーピング、竹刀を使ったトレーニング方法などである。
 防具をつけたままの水分補給に関しては所作事の観点から好ましくないとされる可能性についても言及し、剣道のよさを尊重しつつ新たな提案もされている。
 著者らの剣道を大切にしながら医科学的なサポートをしていこうとする姿勢がうかがえる。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:体育とスポーツ出版社

(掲載日:2008-10-10)

タグ:剣道 
カテゴリ スポーツ医科学
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高温環境とスポーツ・運動 熱中症の発生と予防対策
森本 武利 中井 誠一 寄本 明 芳田 哲也

 熱中症に関する研究成果がコンパクトにまとめられている一冊。高温環境と生体機能、運動衛生に関して、生理学的な見地から解説が加えられ、熱中症に関しては歴史および分類から予防対策まで述べられている。どういった条件下で熱中症が起こるか、また多種目にわたるスポーツにおける研究もレビューされ、豊富なグラフ・図表とともに理解を深めることができる。
 高温環境下での運動時に起こる脱水によって体温調節や運動能力にどのような影響があるかを検討したり、ユニフォームや防具による体温上昇がどの程度あるかについてまとめられており、興味深い。





(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:篠原出版新社

(掲載日:2008-10-10)

タグ:暑熱環境 熱中症 
カテゴリ スポーツ医科学
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運動解剖学で図解する筋力トレーニングパーフェクトマニュアル CGで再現する筋肉メカニズムのすべて
Pat Manocchia 中村 千秋 宮崎 俊太郎

 原著タイトルは“Anatomy of Exercise”である。ウォームアップから脚・殿部、背中、体幹など8つのセクションに分けて筋力トレーニングをカラーで解説している。
 1つのエクササイズを見開きで紹介し、左側には写真を用いて、スタートポジションでの注意点、動きの特徴などを示している。右側には、コンピュータグラフィックスが用いられている。エクササイズ写真と同じ姿勢でありながら、使われている筋肉が赤く表示されており、動きの中での実際に生じる姿勢での筋肉の位置を確認することができ、よりイメージしやすくなる。筋の名称とともに動作筋、固定筋の区別もつけられている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:悠書館

(掲載日:2008-11-10)

タグ:トレーニング 解剖学 
カテゴリ スポーツ医科学
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コアコンディショニングとコアセラピー
平沼 憲治 岩崎 由純 蒲田 和芳 渡辺 なおみ

 帯にあるコピーにあるように、コアコンディショニングとコアセラピーに関する「その歴史、現状、未来を整理し、現時点での理論と方法論を網羅」したもの。
 丸太(フォームローラー、後のストレッチポール開発につながるもの)を使ったエクササイズを見た日暮清氏と、それに着目してセルフケアへの応用を考えた岩崎由純氏。2人の試行錯誤でコアコンディショニングが生まれた。さらに、医療資格者が実施する“治療”をコアセラピーと呼ぶ。
 用語解説や、実際のエクササイズの紹介、注意点などがまとめられている。臨床的な経験とともに理論的な根拠も重視しながら、対象者の年齢や問題点に応じたエクササイズが紹介されているのが特徴である。巻末にはトレーナーおよび医療従事者のリストも掲載されている。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:講談社

(掲載日:2008-12-10)

タグ:コアコンディショニング 
カテゴリ スポーツ医科学
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Post Isometric Relaxation 等尺性収縮後の筋伸張法
伊藤 俊一

 Post isometric relaxation (PIR)とは、筋収縮をさせた後に、ストレッチングを行うもので、タイミングとしては筋の弛緩期にストレッチングが入る。このため、PIRは静的ストレッチングと動的ストレッチングの架け橋的治療とも呼ばれているそうだ。PIRは、PNFやマッスルエナジーと共通の起源を持つ徒手療法であるが、文献的な資料が乏しい現状だという。本書は、PIRの有効性と実際について整理したもの。
 等尺性収縮も、最大努力ではなく穏やかな収縮から始めること、そして関節可動域の2分の1以下の筋短縮域内で開始するという。これにより、痛みを最小限に留めて、可動域を徐々に回復させていく。また呼吸や視覚との共同運動を意識することが大切となる。最終的には、セルフエクササイズへと移行させることを目標としている。
 各筋へのPIRの方法が、肢位や固定部位、抵抗のかけ方などわかりやすい写真とともに細かく紹介されている。股関節などの大きな関節だけでなく、手指などの小さな筋へのアプローチ方法も収載していることが特長である。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:三輪書店

(掲載日:2009-02-10)

タグ:ストレッチング 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ精神医学
日本スポーツ精神医学会

 スポーツと精神医学。かつては関連づけて考えられることが少なかったように思う。しかし、本書においてはスポーツにおける精神医学という観点から、オーバートレーニング症候群やうつ、摂食障害などの競技を続ける中で起こる精神科領域の問題にスポットを当てている。これが「精神医学のスポーツへの応用」である。
 一方で「スポーツの精神医学への応用」も提唱されている。精神疾患の治療にスポーツの側面を取り入れるというものであり、うつ病、統合失調症、睡眠障害における治療の一環としてスポーツを行っている例が多数紹介されている。ほかに精神障害者スポーツについて、また最近の研究手法についてなど、スポーツ精神医学のさまざまな分野を網羅している。

(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:診断と治療社

(掲載日:2009-11-10)

タグ:スポーツ精神医学 
カテゴリ スポーツ医科学
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「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知科学
諏訪 正樹

身体知の学び
「Don't think! Feel!」。ブルース・リー主演の映画『燃えよドラゴン』(1973)の冒頭で、リーが弟子の少年にカンフーの稽古をつけるシーンでの有名なセリフである。
 本書のキーワードは「身体知」。身体と頭(言葉)を駆使して体得する、身体に根差した知と定義されている。コオーディネーション、アフォーダンス、暗黙知、自動化、オノマトペなどの様々な知見を織り交ぜ、身体知の学びについて探求している。
 熟練とは、膨大な反復練習によって身体が勝手に動く境地に達している状態であり、思考や言葉は不要であるというのが大方のイメージだろう。だが、本書では言葉の重要性を説いている。身体の細部にわたって「ああでもない、こうでもない」と言葉を駆使して模索する時期を経て、それらが収束し包 括的な言葉にすべてが含意されるようになり、さらに上達を目指してこの二つが交互に出現する動的プロセスが学びである、というわけだ。

言葉による認識
『はい、泳げません』(高橋秀実・新潮社)は、前代未聞のスイミング・ルポ、と銘打った不思議で抜群に面白い本である。泳げない著者が美人鬼コーチの指導のもと、言葉を駆使した指導によって泳げるようになっていく。著者がどうにも及び腰なのがたまらなくおかしいし、言葉によって着眼点がはっきりしたり、やっぱりなんだかわからなくなってしまう様子も面白い。
 私もスポーツ指導者の端くれであり、体感を言葉にすることの大切さは痛感している。この美しき鬼コーチはすごい人だ、と感心する。
 本書では、言葉によって気づかなかったものが意識されるようになる例として、ダルメシアンの画像というものが示されている。単なる白黒のまだら模様が「これは犬の写真です」という説明でダルメシアンが見えてくるのだ。
 逆に解釈すると、よくわからないものを言葉で表すことは意味を固定することだとも言える。輪郭がは っきりする代わりに、その周辺のぼんやりした部分を切り捨てているのではないだろうか。よくわからないものをあえてそのままにしておくことで、逆に認識されることもあるのではないか。言葉は曖昧なものにアクセスするための入口ではある。しかし、言語化することで、かえって不自由さが増してしまうこともあるのかもしれない。

トップ選手の動き
 私の手元に「陸上競技マガジン 7 月増刊‘91東京・世界選手権に見るトップアスリートの技術」(ベースボール・マガジン社)という資料がある。当時大学生だった私は住んでいたアパートの部屋で手に汗握ってこの大イベントをテレビ観戦していた。長嶋茂雄さんの「ヘイ! カール!」の記憶もいまだ鮮明である(若い人には何のことやらわからないだろうな)。
 この資料には、東京世界陸上におけるトップ選手の技術を測定・分析した貴重なデータが載っている。男子100m決勝のデータを分析した結果、そこで提唱 されているのが「脚全体を1本の棒のようにしたキック」。分析では、カール・ルイス( 1 位、9 秒86、当時世界記録)とリロイ・バレル( 2 位、9秒88)と大学男子短距離選手29名(ベスト記録10秒60 ~ 11秒50)とを比較している。比較している要素は、膝関節・股関節・足関節の伸展速度など。分析の結果、大学選手と大きく違うのは股関節の最大伸展速度(大腿の後方へのスイング速度)が高いこと、膝関節と足関節の伸展速度が低いことであった。そして、次のように結論づけている。
「ルイスは大腿の後方スイング速度を、膝を固定する(膝全体を 1 本の棒のようにする)ことで、効率的に足先のスイング速度に変えている。(中略)これまでの我々の常識を打ち破るキック法であることは間違いない」
 しかし果たして、ルイスやバレルは「膝を固定」する意識だったのか。それとも、何か別の意識の結果なのか。
 この世界陸上から25年。リオ五輪陸上男子 4 ×100mリレー決勝。日本チーム銀メダル。ライブでテレビ中継を見ていた。絶叫した。「うおー! スゲェスゲェスゲェ !」。感動なんていう澄ました言葉では言い表せない歓喜。まさか日本がアメリカの前を走るなんて。
 これは「常識を打ち破るキック法」を日本人選手が体得した成果なのか。それとも、もっと違う感覚や技術の賜物なのか。そしてそれは、どんな感覚なのだろうか。
(尾原 陽介)

出版元:講談社

(掲載日:2016-12-10)

タグ:こつ スランプ 
カテゴリ スポーツ医科学
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ハイパフォーマンスの科学 トップアスリートをめざすトレーニングガイド
David Joyce Daniel Lewindon 野坂 和則 沼澤 秀雄

 著者・訳者ともに、日頃よりトップアスリートを指導する専門家が顔を揃えた。PART Iはアスリートとしてのベースを形成するための柔軟性やコアスタビリティといった基礎的な内容、PART IIはウォーミングアップやクールダウンを含めた競技能力の効率的な伸ばし方、そしてPART IIIはそれらをどう組み合わせるかに着目したプログラムデザインというように整理されている。トレーニングガイドという副題の通り、選手やチームの状況によって知りたい部分にアクセスし、明日からの練習に活用することができる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2017-01-10)

タグ:トレーニング 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:ハイパフォーマンスの科学 トップアスリートをめざすトレーニングガイド
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イップス スポーツ選手を悩ます謎の症状に挑む
石原 心 内田 直

 イップスはよく聞かれる症状であり、著者も高校球児時代イップスに悩まされた経験があるという。にもかかわらず、治療法はまだ確立されていない。皆がほぼ同じように感じる痛みと違い、個々の感覚によるものだからかもしれない。メンタルの問題と捉えられがちだが、本書はタイトル通り、そんな症状にスポーツ科学を使って「挑む」。例を出しながら、まず症状を定義し、それが起こる仕組みを理論的に解いていく。そして具体的な治療法を紹介する。著者が研究してきた中で有効性が見られ、メニュー化したものだそうだ。もちろん他の種目にも応用可能である。イップスに悩む人はぜひ試してみてほしい。




(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:2017-05-10)

タグ:イップス 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:イップス スポーツ選手を悩ます謎の症状に挑む
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スポーツ医学検定 公式テキスト スポーツを愛するすべての人に
日本スポーツ医学検定機構

 2017年5月に第1回の開催を予定しているスポーツ医学検定。本書はその3級(ベーシック)と2級(アドバンス)に対応しており、巻末には練習問題もあるが、受検予定でなくとも入門書として読める。前書きにもあるように、スポーツのやり方は学校の授業などでも習うが、身体やケガの知識を学ぶ機会は意外に少ない。本書では身体の各部位の名称と機能、起こりやすいケガの診断や予防、そしてアスリハについてコンパクトながらも詳しくまとめられている。帯同できる日が限られている現場では本書を選手・スタッフに読んでおいてもらうのもよいかもしれない。




(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:東洋館出版社

(掲載日:2017-06-10)

タグ:検定 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:スポーツ医学検定 公式テキスト スポーツを愛するすべての人に
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筋膜クレンジングテクニック メルトメソッド
Sue Hitzmann 中村 格子

「MELT」というセルフケアメソッドは、硬くなってしまったものを溶かす、痛みを溶かすという意味と、「Myofascial(筋膜)」「Energetic(エネルギー)」「Length(伸張)」「Technique(テクニック)」の頭文字から命名された。結合組織である筋膜内を十分に水分で満たし、人体を安定させるという役割を果たせるよう持っていく。一般の人には馴染みのないだろう上記の理論を丁寧に説明したのち、リコネクト・リバランス・リハイドレート・リリースの4つを原則としたエクササイズを紹介する。道具を用意する必要はあるが、方法はシンプルで評価ポイントも詳しく書かれているため、気軽に、かつ正しく取り組めそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:医道の日本社

(掲載日:2017-07-10)

タグ:筋膜 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:筋膜クレンジングテクニック メルトメソッド
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スポーツ傷害のリハビリテーション 第2版 Science and Practice
山下 敏彦 武藤 芳照

 2008年発行の初版から内容がアップデートされた。後半の各論に「股関節・鼠蹊部」の章が加わったほか、内容の改訂や執筆者の追加もあるが、各部位のケガについて医師が病態と治療方針を、それを受けて理学療法士がリハビリテーションの実際を解説する形式は変わっていない。科学的根拠のある知識と、ストレッチや物理療法などの基本プログラムが土台にあるからこそ、さまざまなスポーツ傷害への対応が可能になる。現場で起こりやすい傷害は網羅されており、すべての例が教科書通りにはいかないかもしれないが、頼れる相談役のような一冊であることは間違いない。




(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:金原出版

(掲載日:2017-07-10)

タグ:リハビリテーション 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:スポーツ傷害のリハビリテーション 第2版 Science and Practice
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バスケットボール用語事典
小野 秀二 小谷 究

 2014年にバスケットボール学会が発足し、競技研究が活発化している。また2020年東京五輪に向け競技力の向上が望まれる中、研究者および現場の指導者・選手の取り組みがスムーズに進むよう、用語の「交通整理」がなされた。アメリカで生まれた競技のため、用語1つとってもチームによってニュアンスが異なることも多い。全体的なレベルアップにはまず用語の共通認識が欠かせない。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:廣済堂出版

(掲載日:2017-08-10)

タグ:バスケットボール 用語 
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:バスケットボール用語事典
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サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」
David Sumpter 千葉 敏生

 運動が特別に得意というわけではないロンドン生まれの数学者が大好きなサッカーに貢献すべく、パスワークなどチーム戦術をモデリングし、先を読む力を始めこれまでは漠然と「センス」と呼ばれていた選手の能力を数学的に読み解いた。確率や動きのパターンに留まらず、ピッチ内外のさまざまな事象が「集団行動」をキーワードとして数学的に説明できることに驚かされる。強いチーム、優れた選手はやはり数学的にも美しい。もちろんすべてが理論通りにいくわけではないのがスポーツの面白さであるが、視点を変えることで新鮮な気づきがある。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:光文社

(掲載日:2017-08-10)

タグ:サッカー 
カテゴリ スポーツ医科学
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medicina 2020年 6月号 特集 運動・スポーツ×内科 内科医に求められるスポーツ医学とは
田中 祐貴

 1人のアスリートが訴える悩みが1つとは限らない。スポーツ現場では、骨折・脱臼・脳振盪など外科的なものだけでなく、貧血・喘息・月経不良など内科領域まで幅広い対応力が求められる。
 本書はスポーツ内科の総論にはじまり、上記のような内科的疾患はもちろん、「息切れがします」「疲れが抜けません」など、悩み別の検査・治療方法、疾患を持つアスリートへの運動指導やドーピング予防まで詳細に解説されている。診療科どうしの連携についても述べているが、その範囲は皮膚科・耳鼻科・精神科・口腔外科まで及ぶ。「内科医に求められる」スポーツ医学とは、内科領域だけではないのだ。
 さらに巻末にはトレーニングとして確認問題まであり、「読んで終わり」にさせない親切設計。月刊誌であるがスポーツ内科の入門書としておすすめできる一冊だ。
(川浪 洋平)

出版元:医学書院

(掲載日:2022-01-17)

タグ:スポーツ内科 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ医学の立場からみた小学校の体育 100年耐用性のある運動器を育てるために
中嶋 寛之

 スポーツ整形外科のドクターとしてオリンピックの日本選手団本部やチームに帯同してきた中嶋氏。21世紀以降の超高齢社会において、中高年への運動指導は行われ始めているが、小学校の体育の時間をもっと活用すべきではないかと指摘する。東京オリンピック代表選手を追跡して筋・骨の持ち越し効果があるとわかったのはもちろん、運動器の疾患に苦しむ人を多く見てきた著者だからこそ、ベースとなる子ども時代が重要だというのは説得力がある。とはいえ専門的なことをしようというのではなく、まずは身体を動かすことを楽しみ、スポーツを好きになってもらおうという視点にハッとする。運動のしなさ過ぎはよくないが、し過ぎもよくない。そのために小学校の先生への講習にも触れており、次世代への温かな眼差しが感じられる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:ナップ

(掲載日:2017-10-10)

タグ:体育 ロコモティブシンドローム 
カテゴリ スポーツ医科学
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基礎から学ぶスポーツリテラシー(改訂版)
高橋 健夫 大築 立志 本村 清人 寒川 恒夫 友添 秀則 菊 幸一 岡出 美則

 2012年に発行されたものの改訂版。スポーツに関する情報を科学的根拠に基づいて記述した教科書的な一冊だ。スポーツの歴史や文化、振興政策、競技力向上のためのトレーニング計画や代表的な種目のトレーニングメニューを各分野の第一人者が執筆している。さらに、スポーツ障害と救急処置、栄養、スポーツキャリア、スタッフ体制や情報戦略についても触れ、スポーツのさまざまな側面が網羅されている。巻末には最新情報の調べ方も載っており、適切な情報収集と活用の訓練にもなりそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)

出版元:大修館書店

(掲載日:2017-10-10)

タグ:スポーツ医科学 リテラシー 
カテゴリ スポーツ医科学
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好きになる睡眠医学
内田 直

 理解して好きになってほしい、という「好きになる」シリーズの睡眠医学編。
 主訴でなくても睡眠障害を抱えている方も多く来院されるので睡眠について、また睡眠障害の治療についての知識が欲しくて手に取りました。

・睡眠とは
・睡眠障害クリニック
・睡眠障害
・睡眠薬

についてと睡眠全般について臨床面での解説まで充実しています。
 表紙のデザインのやわらかい雰囲気とは違って診断基準や統計などもそれぞれしっかり掲載されているので、睡眠医学への入り口にそして知識を深めるために持っておきたい一冊です。
 また、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などだけでなく、睡眠関連こむらがえりや歯ぎしりなど、鍼灸の臨床でよく聞く細かな症状についての解説や、薬の種類や作用機序や特徴など、鍼灸師としても知っておきたい知識が網羅されています。会話の中で知らなかったことをすぐに調べることもできるので重宝しています。本来であれば当たり前の「眠ること」を当たり前にできるための基礎的な知識を得ることができます。確かに理解すると面白くなり、好きになるシリーズでした。
(山口 玲奈)

出版元:講談社

(掲載日:2022-02-07)

タグ:睡眠 
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ現場で知っておきたい薬の話
原田 知子

 アスレティックトレーナーに向けて薬について知っておきたい知識が満遍なく書かれている一冊です。

・薬の基礎知識
・症状別に薬剤について作用やメカニズム、注意事項について
・サプリメントやドーピングについてなど

のように、薬をテーマに様々な角度から解説してあります。
 とくに症状別のところでは、それぞれの疾患について身体の構造から疾患発症の仕組みなどから詳しく書かれているため、薬がどのように作用しているのかが分かりやすい内容になっています。
 内科疾患についてあまり学んでいない方々にとっては、テーマは薬ですが、この一冊で様々な疾患について発症から治療までの流れをつかむことができるので、その都度調べてみるのも面白いと思います。
 薬を服用している人はどこにでもいるので、スポーツに関わる方だけでなく、一般の方やスポーツ以外の医療に関わっている方も読みやすく書かれており、いつでも手に取れるようにそばに置いておくと便利です。
 個人的には、薬の詳しい知識を得るためと疾患についての復習に使える一冊です。
(山口 玲奈)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2022-02-10)

タグ:薬学 ドーピング  
カテゴリ スポーツ医科学
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ロコモティブシンドローム ビジュアルテキスト
大江 隆史 ロコモチャレンジ!推進協議会

「移動する能力に不具合が生じた状態全体」に日本整形外科学会がロコモティブシンドロームという名前を付けたのが2007年。それから15年を経てできた、コメディカル向けロコモについての本格的なテキスト。
 ロコモティブシンドロームの定義、概念、疫学、構成因子から評価方法、予防法・治療法、栄養管理に至るまでまんべんなく解説してあります。
 私の学生時代はまだ確立されていなかった分野なので、一から学習するのに非常に適したテキストであると感じました。また数々のデータを元に構成されているので、より専門的に学習できました。
 高齢者に向けてだけではなく、中年層、さらには将来起こる可能性についても知っておく必要があるジャンルです。一冊でロコモティブシンドロームの全てを網羅できるテキストなので、医療や身体に関係した仕事に携わる者は一読しておきたい本です。
(山口 玲奈)

出版元:学研プラス

(掲載日:2022-03-10)

タグ:ロコモティブシンドローム  
カテゴリ スポーツ医科学
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投球障害からの復帰と再受傷予防のために
牛島 詳力

 MLBのトレーナーから中学硬式野球チームのコンディショニングコーチ兼アスレティックトレーナーまで務めたATCおよび柔道整復師の著者が、投球障害に限定し、受傷後にどのように復帰させていくか、また再受傷しないためにどのようなことが必要なのかを詳しく解説してある一冊。
 鍼灸の臨床ではちょくちょく学生の投球障害をみることがあります。著者が述べているように、チーム所属のトレーナーなどではなく地域の治療家に多くが委ねられていますが、専門の教育がなされていない分、任せられるところがないとのことで、我々臨床家もこのくらいの知識は持ち合わせておくべきかと感じました。
 治療法については医学書などに詳しく解説がありますが、復帰するまで各段階での評価や訓練方法、さらには再受傷予防という重要なポイントまでをとくに詳しく書かれているものはなかなか目にすることがありませんでした。地域医療を支えたいと考えている方に、こちらの本をお勧めします。
 エクササイズの種類が豊富で、現場に密着した内容なので、さっそく実践していきたいと思いました。
(山口 玲奈)

出版元:ブックハウス・エイチディ

(掲載日:2022-03-17)

タグ:投球 野球 予防 
カテゴリ スポーツ医科学
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自分で治せる! 腰痛改善マニュアル 
ロビン・マッケンジー  銅冶 英雄 岩貞 吉寛

 1956年、ニュージーランドの理学療法士、ロビン・マッケンジーは、ある出来事をきっかけに、これまでの治療法とは一線を画すメソッドを生み出した。さらにそれは世界中に広がり、リハビリテーションの世界で実践・研究の蓄積によってブラッシュアップされ続けている。マッケンジー法(Mechanical Diagnosis and Therapy: MDT)である。
 スミスさんは右の腰〜殿部、大腿部にかけての痛みを訴えていた。その当時、患部を温め、超音波をあてるという治療法が一般的だったが、スミスさんの症状は、この治療で変化がないまま3週間経過していた。
 その日、クリニックは忙しく、来院したスミスさんに「うつ伏せになって寝て待っていて」と指示したロビン。少し経って治療室に入ると、びっくり仰天。前の患者さんが使ったまま、ベッドの頭側が上がった状態、スミスさんは、えび反りの形でうつ伏せになって寝ていたのだ。当時その姿勢は腰痛にもっともよくないとされている姿勢だった。焦るロビン。しかし、次にスミスさんが言った言葉にさらに驚くことになる。「この3週間で今が一番いい」なんと殿部〜太ももの痛みが消え、腰の真ん中に痛みが移っていた。これはのちに「中枢化現象 centralization」と名づけられ、予後良好のサインとして整理される。
 この出来事を見逃さず、省察したところに、ロビン・マッケンジーの臨床家としての炯眼があると思う。伸展の印象が強いマッケンジー法だが、実際には屈曲、側方のエクササイズもあれば、脊柱だけでなく、四肢の関節の適応もある。マッケンジー法の特筆すべき点は、「自分の健康は自分でつくる」という患者ないしクライアントが、主体性を獲得することを目標にしていることだと思う。その人のゴールに向かって、セラピストは伴走するという協力関係を築くことを理想としたい。
(塩﨑 由規)

出版元:実業之日本社

(掲載日:2022-03-29)

タグ:マッケンジー法  
カテゴリ スポーツ医科学
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イップス スポーツ選手を悩ます謎の症状に挑む
石原 心 内田 直

 イップス、それは自動化された運動に起こる。器質的な問題はないが、機能に障害がある状態。ハードウェアではなく、ソフトウェアの不具合によって、今まで当たり前にできていた動きができなくなる。
 運動の習得は、認知、習熟、自動化という段階をたどる。動作を自動化することで、状況判断にリソースを割くことができる。たとえば、一挙手一投足を考えながら行っていては、ほかに何も考えられない。スポーツ以前に、日常生活でも私たちは運動の自動化を行っている。スポーツにおいては、緊張・不安などの刺激により、自動化された運動に過剰な運動調節が介入することで、円滑な運動が阻害されるというのが、イップスの病態のよう。
 ボディワークによっては、むしろ動きを分解し、噛みしめるように感覚を味わう、そんな向きのものが多いが、イップスには有効なんじゃないだろうか。
 ともあれ、イップスという事象が広く知られ、対策が講じられて、スポーツを嫌いになったり、辞めてしまったりするひとが減ればいいな、と思った。
(塩﨑 由規)

出版元:大修館書店

(掲載日:2022-06-25)

タグ:イップス 投球 
カテゴリ スポーツ医科学
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インソールマニュアル 第2版 姿勢と歩行を快適にする運動連鎖アプローチ
安倍 浩之 中川 法一

 インソール(足底板)は足の操作に変化をもたらすことで姿勢を制御することが知られています。本書は題名の通り「インソールのマニュアル」として様々なポイントから解説されています。本書のスゴイところはインソールの宣伝ではなく学術的な観点から効果を示すだけにとどまらず、インソールに関する学術論文の紹介や、足底部から股関節までの機能解剖学などかなり踏み込んだところまで解説されています。その点で宣伝本とは一線を画します。足全体の構造や機能に関しても、具体的かつきめの細かい説明があり、インソールの前提部分だけでも読みごたえがあります。
 実際の事例にも幅広く言及されているので理論に対する裏付けも万全です。インソールでも熱可塑性インソールが本書の中心となるのですが、従来のインソールとヒートプラスティックを使用した熱可塑性インソールとの違いとそのメリットも詳しく解説。
 インソールを利用することで動的な姿勢制御を可能にすることに関するエビデンスもしっかりしています。足底に変化をつけることで足のみならず身体機能が向上するという機序を学ぶにはうってつけなのはいうまでもありませんが、足底に絡む身体機能の問題点を学びたい方にもお読みいただきたい一冊です。
(辻田 浩志)

出版元:三輪書店

(掲載日:2022-08-31)

タグ:インソール 
カテゴリ スポーツ医科学
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初めて携わるメディカルスタッフのための障がい者スポーツ レクリエーションレベルから競技レベルまでのケアとサポートの実践術
青木 隆明

 ドイツ人医師ルートヴィッヒ・グットマンが、ロンドン郊外のストーク・マンデビル病院に赴任し、リハビリテーションの一環としてスポーツを取り入れたのが、現在のパラリンピックにつながっている。グットマンは1943年に当地に赴任し、1948年のロンドンオリンピックにあわせて入院患者を対象に、ストーク・マンデビル大会を開催した。映画『ベスト・オブ・メン』では、褥瘡予防に励み、患者の環境改善のために奮闘するグットマン医師が描かれている。時には患者とともに車いすに乗ってスポーツに興じたりもする。なにかと激昂しがちな医師ではあるが、その熱意は患者や看護師に伝播し、次第にひとびとは変わっていく。
 この本は、水泳やパラ陸上、ボッチャ、CPサッカー、車いすテニス、車いすバスケットボール、車いすラグビー、ゴルフ、卓球、フライングディスク、パラパワーリフティングという競技別に、ルールや各競技参加者のタイプ、クラス分類、外傷の発症機序とメカニズム、その予防法に至るまで、網羅的に記載されている。タイトルに銘打ってある通り、障がい者スポーツに初めて携わる方におすすめできる。
 自分は普段、障がい者スポーツに関わっているわけではないが、東京パラリンピックでは、車いすバスケットの日本代表選手たちの活躍に熱くなった。また、口にラケットをくわえて、足でトスを上げる卓球のエジプト代表イブラヒム・ハマト選手には脱帽した。スポーツでもリハビリテーションでも、自分の持っている力の限界にチャレンジするという姿勢は変わらない。その姿勢に感化され、勇気づけられるひとは多い。
 ともあれ、わずか80年ほどで、ここまで障がい者スポーツは進化した。もしグットマン医師が今のパラリンピックを見たら、歓喜するに違いない。
(塩﨑 由規)

出版元:メジカルビュー社

(掲載日:2022-09-09)

タグ:障害者スポーツ   
カテゴリ スポーツ医科学
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Mel Boring American Medical Association C.B. Mordan 島沢 優子 日本スタビライゼーション協会 足利工業大学・健康科学研究室 銅冶 英雄Adrian WealeAlan GoldbergAndrea BatesAndrew BielAnne KeilAviva L.E. Smith UenoBernd FalkenbergBoris I.PrilutskyBrad Alan LewisBrad WalkerCarl PetersenCarole B. LewisCarole B.LewisCaroline Corning CreagerChad StarkeyChampagne,DelightCharland,JeffChartrand,JudyChris JarmeyClive BrewerDaniel LewindonDanish,StevenDavid A. WinterDavid BorgenichtDavid E. MartinDavid EpsteinDavid GrandDavid H. FukudaDavid H. PerrinDavid JoyceDavid SumpterDavies,George J.Digby, MarenaDonald A. ChuDonald T KirkendallEddie JonesElizabeth Best-MartiniEllenbecker,Todd S.Everett AabergF. バッカーFrank BakkerG. Gregory HaffG.D.ReinholtzGeorge BrettGray CookGregory D. MyerH・ミンツバーグIñigo MujikaJ.G.P.WilliamsJ.W.SchraderJWS「女性スポーツ白書」作成プロジェクトJacqui Greene HaasJamJames C. RadcliffeJames StudarusJari YlinenJeanne Marie LaskasJeff BenedictJeff CharlandJeff LibengoodJeff RyanJennifer Mather SaulJerry LynchJiří DvořákJohn GibbonsJonathan PrinceJoseph C. MaroonJoshua PivenJulian E. BailesJ・ウィルモアKahleKarim KhanKarin WiebenKim A. Botenhagen-DiGenovaKim A.Botenhagen-DiGenovaL.P.マトヴェーエフLawrence M.ElsonLeon ChaitowLeonhardtLeslie DendyLorne GoldenbergM. デュランM.J.SmahaMarc DurandMarilyn MoffatMark PerrymanMark R. LovellMark VerstegenMattyMcAtee,Robert E.Megan HineMelvin H. WilliamsMichael GleesonMichael J. AlterMiguel Angel SantosMurphy,ShaneM・ポラックNPO法人日本ライフセービング協会Nadia ComaneciNational Strength and Conditioning AssociationNina NittingerNorm HansonOg MandinoP.V.カルポビッチPOST編集部Pat ManocchiaPaul L. GreenhaffPete WilliamsPeter BruknerPeter N. CoePeter TwistPeter WoodPetitpas,Al.PlatzerR. ザイラーR.H.エプスタインR.J.CareyR.N.シンガーRainer MartensRaymond M. NakamuraRein TideiksaarRene CaillietRichard BrennanRichard GoldRobert C. FarentinosRobert E. McAteeRobert MoorRobert S.BehnkeRoger W.EarleRoland SeilerRon MaughanRuben J. GuzmanS. ビドルS.T.FleckSAGE ROUNTREESander L. GilmanSandy FritzSharon MoalemShephard,Roy J.Soccer clinicSports Graphic NumberStephen KieslingSteven J. FleckStuart BiddleSue HitzmannS・パリッシュS・フォックスTerease, AmandaThomas R.BaechleThomas W. MyersThor GotaasTil LuchauTrevor WestonTudor O. BompaVladimir M. ZatsiorskyVladimir M. ZatsiorskyVáclav DvořákW.E.シニングW.J.KraemerWilliam J. KraemerWynn KapitY. ヴァンデン‐オウェールYves Vanden Auweele「運動器の10年」日本委員会いとう やまねかわむら ふゆみけいはんな社会的知能発生学研究会ふくい かなめまつばら けいみづき 水脈みんなのスポーツ全国研究会わたなべ ゆうこアタナシアス テルジスアタナシアス・テルジスアダム フィリッピーアテーナプロジェクトアメリカスポーツ医学会アメリカスポーツ医学協会アメリカ医師会アレックス・ハッチンソンアンゲリカ・シュテフェリング エルマー・T・ポイカー ヨルグ・ケストナーアンドリュー ブレイクアンドリュー・ゴードンアンドリュー・ゾッリアンドリュー・ビエルアンバート・トッシーアン・ケイルアン・マリー・ヒーリーイチロー・カワチイヴ・ジネストウイリアム ウェザリーウサイン・ボルトウドー アルブルエディー・ジョーンズエドワード・フォックスエバレット アーバーグエリザベス ノートン ラズリーカイ・リープヘンカミール・グーリーイェヴ デニス・ブーキンカルロス 矢吹カレン・クリッピンジャーカーチ・キライカール・マクガウンキャロリン・S・スミスキャロル・A.オ-チスクラフト・エヴィング商會クリス カーマイケルクリス ジャ-メイクリストフ・プノーグレン・コードーザケイトリン・リンチケニー マクゴニガルケネス・H・クーパーケリー・スターレットケン ボブサクストンゲルハルト レビンサイモン・ウィクラーサカイクサンキュータツオサンダー・L. ギルマンサンドラ・K・アンダーソンシェリル・ベルクマン・ドゥルーシルヴィア ラックマンジェア・イエイツジェイ マイクスジェイソン・R・カープジェイムズ・カージェフ ライベングッドジェフ・マリージェリー・リンチジェームス・M・フォックスジェームス・T・アラダイスジェームズ アマディオジェームズ・アマディオジェーン・ジョンソンジェ-ン・パタ-ソンジム・E. レーヤージャン=マリ・ルブランジュリエット・スターレットジョセフ・H・ピラティスジョン エンタインジョン・スミスジョン・フィルビンジル・ボルト・テイラースタジオタッククリエイティブスティーヴン・ストロガッツステファン キースリングステファン・メルモンスポーツGEARスポーツインキュベーションシステムスポーツセーフティジャパンスポーツ医・科学研究所スポーツ社会心理学研究会スポ-ツ医科学研究所タカ 大丸ダイヤグラム・グループダニエル・ジェイムズ・ブラウンダニエル・マードンチャモアペット・ハーパランチャーリー・ローティナ・シ-リグデイヴィッド シールズデイヴィッド・シールズデビ・ブラウンデータスタジアムトニ・ナダルトム・シーバートラヴィス・ソーチックトル・ゴタストレーニング科学研究会トーマス・W. マイヤーストーマス・タッコドナルド T. カーケンドールナイキ・ジャパンナディア・コマネチハンス-ウルリッヒ・ヘッカーバイロン・シューマンバド・ウィンターパトリシア・M・ホランドヒュー・ディールハンティービヨン・ボルグビル・ライトビート たけしピート・ウィリアムズフィリッピー・アダムフィル・ジャクソンフランク・ショーターフランク・ショーター フルコムフル・コムフレデリック ドラヴィエフレデリック・ドラヴィエブライアン コールブルース マキューアンブレット コントレラスブレット・コントレラスベント・ロンネスタッドベースボール・マガジン社ボブ・アンダーソンマイケル グンディルマイケル・グンディルマット ジャーヴィスマット リドレーマリオ 宮川マーク ペリマンマーク・バーステーゲンマーティー 松本メアリー・ボンドメディカル・フィットネス協会モリーズ・シューマンライフサポート協会ラエル・イサコウィッツランス アームストロングランナーズ女性ランニングセンターランナーズ編集部リチャード ブレナンリチャード・ブレナンリック・マクガイアリンダ・グラットンルーカ カイオーリレイナー・マートンレイン ティディクサーレッシュ・プロジェクトロコモチャレンジ!推進協議会ロゼット・マレスコッティロナルド・ニアマイヤロバート ムーアロビン・マッケンジーロブ パナリエッロローランド・レイゼンビーヴォルフラム・リントナーヴォルフラム・リントナー七木田 文彦七類 誠一郎三ツ井 慈之三上 太三上 賀代 三井 康浩三井 恵津子三井 悦子三好 春樹三宅 満三宅 義信三木 英之三条 健昌三栖 英揮三森 寧子三浦 孝仁三浦 於菟三浦 武三浦 知良三浦 雄一郎三澤 威士三田 佐代子三田 文英三砂 ちづる上原 善広上松 大輔 笠原 政志上田 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