オーストリア方式のアルペンスキー トレーニング・マニュアル
ウドー アルブル 岡野 五郎 菅原 誠 加藤 満 乗安 整而
スキーはとても素敵なスポーツで人気も高いが、競技となる世界レベルにおける日本人の活躍は稀である。これまでスキーの技術書はたくさん書かれているが、それ以前のトレーニングに関する本というのは少ない。『オーストリア方式のアルペンスキー トレーニング・マニュアル』(ウドー・アルブル、加藤満、岡野五郎、菅原誠、乗安整而著、富士書院)は、「スキー選手の体力トレーニングを展開していくうえで必要とされるトレーニング学の基礎についてまとめたもの」であり、「できるだけ実例をあげてわかりやすく」なっている。運動生理学、解剖学、栄養学、スポーツ医学など諸分野からアプローチされていて、スキーを専門としていなくとも、スポーツ・トレーニングを知るうえで大いに参考になる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:富士書院
(掲載日:1986-08-10)
タグ:スキー アルペンスキー
カテゴリ トレーニング
CiNii Booksで検索:オーストリア方式のアルペンスキー トレーニング・マニュアル
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:オーストリア方式のアルペンスキー トレーニング・マニュアル
e-hon
不屈の翼 カミカゼ葛西紀明のジャンプ人生
岡崎 敏
著者は北海道出身。国内での葛西紀明選手の実力に対する評価の低さ、ひいては五輪時以外のジャンプ競技への注目度の低さを少しでも変えるべく、フィンランドなど海外にも足を伸ばして丹念な取材を行った。まとめられているのはソチ五輪の直前までだが、五輪で個人・団体ともメダルを獲得した葛西選手の活躍をまるで予言するかのようだ。往年のトップジャンパーとの戦いや交流の記録は、ジャンプ競技そのものの歴史の振り返りにもなっている。
葛西選手は高校1年で札幌大会に初出場してから、ほぼ毎年W杯に出場。転戦しながら、毎年変わるルールやコーチの入れ替わり、各国のジャンプ台に対応しているという。その研究熱心さは、悔しさから来ている。現役期間が長いということは、それだけ不本意な大会や状況もあったということ。それを力に変える姿に圧倒される。
また、北海道・下川町での少年時代のエピソードも豊富だ。最初は危険だと反対の声もあったそうだが、周囲の指導者たちが葛西選手の才能、そして誰よりも努力する姿を見て、「若いから」と高を括らず支援したことが、現在の葛西選手の土台となっているのではないだろうか。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2014-04-10)
タグ:人生 スキージャンプ
カテゴリ スポーツライティング
CiNii Booksで検索:不屈の翼 カミカゼ葛西紀明のジャンプ人生
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:不屈の翼 カミカゼ葛西紀明のジャンプ人生
e-hon
スキー技術の真実 理想的なターンを科学する
鈴木 聡一郎
本書はそのタイトルの通り技術解説ではありますが、科学的な観点から技術の意味や必要性を分析したものです。私は三十数年前にレジャーとして何度か行ったことがある程度のスキー初心者でした。そんな私が読んでも本書の解説は難しい理論ではなく、ごく初歩の物理学的な解説なので驚くほど理解しやすい内容でした。
本書を読んで思ったのは、他のスポーツと比較して決定的な違いは、スキーは初めから持っている位置エネルギーを利用して高いところから低いところに移動する際、いかにして位置エネルギーのロスを少なくするかというスポーツであることです。他のスポーツは0から出力を上げていくのが普通なんですが、まるで正反対の性質が浮き彫りになります。その上で技術や力はエネルギーのロスを防ぐためのものである点が理解できました。
本書を読むとスキーの技術が物理学的な効率のよさを追求しているのがわかり、読めば読むほど他のスポーツからの特殊性が印象に残ります。しかし読み終えてみればエネルギー伝達の効率の問題はなにもスキーに限ったことではないと考えるようになりました。一つ一つの技術の解説ではスキーが他のスポーツとは違うイメージがありましたが、全体を通じて言えばエネルギー効率の大切さは他のスポーツも同じであり、本書のような視点でスキー以外のスポーツを考察してみても面白いと感じました。
スキーヤーにとって必読書の一冊といいたいのですが、むしろ他のスポーツに関わる人たちが本書をお読みになったら、また違った視点で見られるのではないでしょうか。
(辻田 浩志)
出版元:合同出版
(掲載日:2023-02-08)
タグ:スキー
カテゴリ 運動実践
CiNii Booksで検索:スキー技術の真実 理想的なターンを科学する
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:スキー技術の真実 理想的なターンを科学する
e-hon