アレクサンダー・テクニーク完全読本 体がよみがえる姿勢と動作
Richard Brennan 青木 紀和
アレクサンダー・テクニークとは100年以上前に、俳優が自身の発声の不調原因を探る中で構築されたメソッド。過剰な筋緊張を解消することで、リラックスした状態とスムーズな動きを取り戻し、腰痛・肩凝りなどの痛みも緩和するというものだ。表現者やスポーツ選手に留まらず、現代社会を生きる人の悩みに広く対応できる。
特徴は自分自身でどの部分に無駄な力が入っているか認識した上で、改善に持っていくところ。紹介されている理論、エクササイズともシンプルだが、その分奥が深い。本書では患者と指導者双方が知っておきたい内容が網羅されている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2016-06-10)
タグ:アレクサンダー・テクニーク ボディーワーク
カテゴリ 身体
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アレクサンダー・テクニーク完全読本
リチャード ブレナン 青木 紀和
アレクサンダー・テクニークというものを初めて知ったのは10年ほど前。当時何冊か読んだのですが、アレクサンダー・テクニークについて音楽家や舞踏家のためのボディーワークであると認識していました。それを人に言ったらお叱りを受け、アレクサンダー・テクニークはもっと哲学的で精神的でいろんな要素を含んでいるといわれました。
そのころ読んでいた本は、確かにアレクサンダー・テクニークの部分的な要素を取り上げたものであったとは思いましたが、哲学的とか精神的なと言われても想像もつかず、つかみどころのないイメージが私の頭の中に残りました。
タイトルの通り本書は「完全読本」。つかみどころのないものがつかめるかもしれないという期待で読んでみました。
期待通りに私の中でのアレクサンダー・テクニークで欠落していた要素がしっかりと書かれていました。逆に見えてきた分だけアレクサンダー・テクニークが目的とすることの難しさや奥行きの深さを感じました。
身体面・感情面・心理面・精神面と、まさに心と身体における様々な要素に作用するワークだと認識を新たにしました。
だから方法論も正しい身体の使い方という面に対するアプローチではなく、メンタルとフィジカルを不可分一体と捉えた上のワークになっているようです。どちらかといえば瞑想に近い感じもしました。近年、マインドフルネスやヴィパサナなどの心理や精神世界のワークも多く見かけるようになりましたが、そこに解剖学や運動学の要素がミックスされたような印象を持ちました。
多くの人が自分の思う通りに身体を使えていると信じて疑わないでしょう。ところがその中に不必要であったり不適切な要素があることには気づいておられないでしょう。そして習慣の中に組み入れられることで心身の不調を引き起こしたり、理想とする動きを阻害したりします。
よく「気づき」という言葉が使われますが、アレクサンダー・テクニークにおいて気づくべきは不適切な身体活動と精神活動であり、そこからの修正を試みることだと思います。正直なところ、従来のボディーワークのイメージでとらえてしまうと違和感を覚えてしまうでしょう。まずはアレクサンダー・テクニークの目的をきちんと理解することから始めるべきだと感じました。
(辻田 浩志)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2018-06-07)
タグ:アレクサンダー・テクニーク ボディーワーク
カテゴリ ボディーワーク
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アレクサンダー・テクニーク やりたいことを実現できる〈自分〉になる10のレッスン
小野 ひとみ
心身を整える方法、アレクサンダー・テクニークの入門書である。
フレデリック・マサイアス・アレクサンダーは、オーストラリアの舞台役者で、舞台上で自分の声がかすれたり、出なくなったりしたことをきっかけに、自己観察をはじめた。すると、舞台上ではいつも不自然な姿勢で声を出している(頭を後ろに引いて、首に力が入り、ノドを押し下げている)ことに気づいた。よかれと思ってしていた姿勢によって、苦しんでいたのだ。そのことから、からだの誤用(ミスユース)に至るまでの過程(プロセス)に着目し、いくつかの概念(キーワード)によって「自分自身の使い方」を整理していく。
・プライマリー・コントロール
動き出しにはまず頭が動く。これは意識(マインド)・からだ(ボディ)、双方の意味において。これをヘッド・リードという。動きで言えば、幼児の対称性・非対称性緊張性頸反射を思い浮かべるとわかりやすい。はじめに頭が動く・働くことが、からだ全体の動きの「スイッチ」のような役割を果たして、より自然な動きにつながる。
個人的な経験だが、友達とスキーに行ったときに、「行きたい方向に目を向ける」というアドバイスをもらって、より自分の思い通りに滑れるようになったことを、思い出した。
・インヒビジョン
日本語では「抑制」という意味になるが、ネガティブなイメージもあるため、筆者はあえてカタカナで表現している。すぐ反応してパッとからだを動かすのではなくて、グッとこらえて内省・観察する。こういった手順(ミーンズ・ウェアバイ)を意識せずに、結果・目的にすぐ飛びつく(動く)さまをエンド・ゲイニングと表現し、戒めている。
まるで、太極拳のように動作を噛みしめながら、体重をゆっくり移していくようなイメージだろうか。先を予測するのではなく「いま、ここ」に意識を向けるという意味で、マインドフルネスに通じるかと思う。
・ダイレクション
意識・マインドにおける用語である「インヒビジョン」に対して、からだ・ボディにおける用語である。4つの方向性の原則を示す。
①首は楽に
②頭は前に、上に(脊椎との関係において)
③脊椎は長く、背中を広く
④膝は前に、お互いに離れている
ケンダルの分類でいう「軍人姿勢」の場合の、頭は後ろで、胸は前、腰は前弯が強く、骨盤前傾により背中が短くなり、膝は後ろで、かつニーイン、というイメージに対する警告のようにも見えたので、全員に当てはまる原則かなぁ、と正直言ってよくわからない。筆者は、あくまで方向性を意識するということであって、姿勢そのものを指すわけではない、と釘を刺す(この4つの原則を意識しすぎて変な姿勢になるヒトのことを、「アレクサンドロイド」と揶揄するらしい)。
また、アレクサンダーは「正しい動き」にとらわれると余分な力が入り、不自然な動きになってしまうともいう。あくまで、過程の感覚を、心身の気づきを、大切にするのだ。なんだか、わかるような、わからないような。
筆者は、「知っている:I know」と「理解している:I understand 」と「できる:I can do it」との間に、それぞれ大きな隔たりがあるという。知っていることで、わかった気になってしまうことが、よくある。わかっているのにできないことは、やってみて初めてわかる。
さっそくやってみよう。
(塩﨑 由規)
出版元:春秋社
(掲載日:2022-03-07)
タグ:アレクサンダー・テクニーク
カテゴリ ボディーワーク
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