小・中学生のための足がグングン速くなる本
伊東 浩司
走り方のコツや心の持ちようなどは、小学校の授業を振り返ってみると意外にもあまり取り上げられなかった印象がある。100mの日本記録保持者でもある著者は、「走ることを楽しいと思ってほしい」という願いをベースに、わかりやすくトレーニングのポイントをまとめた。紹介されるのはどれも今日から実践できるようなドリルばかりだが、表題のように「グングン」速くなるには、保護者をはじめとした周囲の大人の振る舞いがポイントになると説く。子どもたちが「できた!」「楽しい」「走りたい」と思えるようにすれば、自ら練習に取り組み自然とタイムは伸びていく。短距離走に限らず、スポーツがうまくなるコツ、選手との接し方に応用できる話が散りばめられている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:カンゼン
(掲載日:2012-08-03)
タグ:トレーニング 陸上 ジュニア 走り方
カテゴリ 運動実践
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スポーツ子育て論 わが子の潜在力を開花させる
遠山 健太
著者は全日本フリースタイルスキーのモーグルチームにトレーナーとして強化を担当している。日本におけるトップ選手の育成やスポーツそのもののあり方をふまえて、子どもが育っていく環境をどのようにすべきかを示している。教育という観点、子どもを持つ父親としての観点も含まれている。
本書のメッセージは、最初から型にはめるのではなく、子どもと一緒に遊び、いろいろな動きをさせること。これが子どもの潜在的に持っているものを開花させるために重要であるというもの。話題は多岐に渡るが、指導者や親の立場で、判断に迷ったときに視点を提供してくれるだろう。トレーナーがどのような仕事をしているかについて、あるいは地域おこしという視点でスポーツと関連づけている部分もあって興味深い。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:アスキ-・メディアワ-クス
(掲載日:2012-10-10)
タグ:教育 ジュニア 成長 子育て
カテゴリ 指導
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キンタのサッカーで遊ぼう 日本サッカーの夜明け
金田 喜稔
タイトルの奥に潜む熱き心
筆者の「キンタ」こと金田喜稔氏は、サッカー通なら誰もが知っている名選手、元日本代表選手だ。現在、彼はTVのサッカー解説者としても活躍中だ。
そんなキンタ君が日本サッカーを熱く、熱く語ったのがこの一冊。
「キンタのサッカーで遊ぼう」なんてタイトルに、皆さん騙されてはいけません。
自身がサッカー界のトップにいた経験を十二分に生かして、日本サッカー界の現状や問題点、果ては日本のスポーツ界全体に至るまでの提言をこの一冊にコンパクトにまとめてある。サッカー関係者のみならず、スポーツ指導に携わる人たちには是非一読をお勧めしたい。
キンタの「教えすぎない」指導法
キンタ君がもうひとつ熱っぽく語るのは、ジュニア育成法だ。彼自身、親善大使として海外でサッカースクールを開講したり、ボランティアとして日本の子どもたちに教えている経験をもとに、「キンタ」のジュニア指導論を展開している。
「教えすぎない」指導法もそのひとつ。よい指導者となるためには、どこまで教えるかを見極めることが必須条件。しかし、これがなかなか難しい。キンタ流「教えすぎない」指導法とは? このほかにも、彼のサッカー観に基づくジュニア育成観が多く語られていて、果ては地域スポーツクラブ設立まで話が及ぶ。これも興味深い。
W杯がやってくる
さて、今年最大のスポーツイベントといったら、なんと言っても日韓W杯開催。今世紀初、アジア初、初の共催と初めてづくしの大会開催まで、あと少しだ。
キンタ君はこの大会を、世界のサッカーファミリーの祭典と考えている。そして、彼はホストとして、どうやってファミリーを日本に迎えようか真剣に考えている。彼は、決勝が予定されている横浜国際競技場の近くに在住しているそうで、そんなことから、決勝当日はスタジアムに入れないみんなと、行きつけの店でTV観戦なんてことも考えている。もしかしたら、キンタ君の名解説つき決勝観戦なんてことも……。行きつけの店ってどこかって? それは、読んでのお楽しみ!
(久米 秀作)
出版元:朝日ソノラマ
(掲載日:2002-05-10)
タグ:サッカー ジュニア
カテゴリ 指導
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ジュニアアスリートが最初に行いたい筋力&パワートレーニング
永友 憲治
スポーツを安全に、高いレベルで行うには、競技特性に合わせた筋力が必要である。しかし、正しい姿勢とフォームを習得したうえでなければ安全で効果的な筋力トレーニングは行えない。このDVDは、成長期にあるジュニア選手の指導者に向けて、正しい姿勢とフォームで効果的な筋力トレーニングが指導できるようになるためのDVDである。
まずは基本となるステップアップ、腕立て伏せ、腹筋、懸垂の4種目の基礎的な筋力トレーニングの指導法から始まる。スポーツ動作場面と照らし合わせながら、どこの筋力を鍛えるかをCGで紹介し、永友氏の解説とともに、よいフォームと悪いフォームが一目で映像で理解できるようになっている。さらにバーベルを使ったトレーニングやパワー強化トレーニングなど8種目を紹介。
ジュニアの指導者のみならず選手自身にイメージさせるにも最適である。商品紹介VTRがラウンドフラットのHPからみることができる。
(田口 久美子)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2012-10-13)
タグ:ジュニア
カテゴリ トレーニング
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スポーツ少年のメンタルサポート 精神科医のカウンセリングノートから
永島 正紀
まず、著者は序章で自分の立ち位置をこう規定している。
「スポーツをすることそのものより、スポーツとの取り組み方により、さまざまな精神的問題や心理社会的問題が生まれることを示し、とくに現代の子どものスポーツのあり方や現状について精神科医の目を通して考えてみたいと思います」。
精神科医である著者が、少年スポーツの現場にいる指導者とは違った視点で、スポーツについて語っている。
現場の指導者やプレーヤーの家族の方々にもぜひ読んでいただきたい本である。おそらく、本書で語られていることにはなかなか同意しづらいという人も大勢いることと思う。とくに、勝ち負けの価値観については、そうだろう。だが、だからこそ読む価値もあるのだといえる。
スポーツは、そのとらえ方により、さまざまな顔を持つ。身体運動を通した人間教育、人と人とのコミュニケーション・ツール、健康・体力づくりの手段、レクリエーションの場、自己実現の舞台…。これらの共通項は「スポーツは遊び」だということである。「たかがスポーツ」なのである。プレーヤー本人も指導者も保護者も、それくらいのスタンスがちょうどいいんじゃないの、と著者は主張している。
本書を読んで、私のような一般社会人のボランティア指導者の役割について、ふと思ったことがあるそれは、「たかがスポーツ」という価値観を子どもたちに示すことではないだろうか、ということである。「スポーツができるからといって、それが何か世の中の役に立つのか?」。時にはそう言って、プレーヤーにスポーツとの関わり方について、疑問を抱かせることも必要かもしれない。子どもたちがさまざまな職種のコーチたちとの交流を通じて、多様な価値観に触れることにより、スポーツとの距離感や自分の立ち位置を確認するのだ。
数年前に90歳で他界した私の祖母の面白いエピソードがある。彼女がまだ働き盛りのころ、近所の高校の校庭で学生たちがバスケットボールをしているのを見て、こう言ったそうだ。「あんな穴のあいたカゴに何回球を入れたって、落ちるに決まってる。高校生にもなって、あの子ら大丈夫だろうか…」
スポーツなんて、所詮そんなもの。「たかがスポーツ」であり、「遊び」であり、「世の中の役に立たないこと」なのである。だからこそ、おもしろいのだ。だからこそ、熱く、真剣に、夢中になれるのだ。
(尾原 陽介)
出版元:講談社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:スポーツ精神医学 メンタル 部活動 ジュニア
カテゴリ メンタル
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子どもにスポーツをさせるな
小林 信也
かつて、ラグビーの日本代表監督を務めた宿沢広朗さんが、言った言葉がある。「これほどの努力を人は運と言う」。楕円形のラグビーボールが、最後に自分たちに弾んで勝利につながった。素人がやったなら「ラッキーバウンド」である。しかし、何百、何千回と繰り返し練習している者からすればそれは、「ラッキーバウンド」ではない。勝利のための「準備」があったからこその結果なのである。勝利至上主義ではいけない、しかし競技スポーツは勝つことが目的である。勝つことを目指すからこそ、「準備」が大事になってくる。
「準備不足」ではなかったかと、WBCの4番バッターがケガをして帰国したことを著者はこう語る。今、茶髪やモヒカンが悪いと言えば、「考え方が古い」「それと打撃は関係ない」と言われそうだが、真っ直ぐな姿勢は何に取り組むにも基本中の基本だ。普段の姿勢は、スポーツのパフォーマンスにも直接影響する。頭や理屈で言い訳できる分野ならともかく、スポーツは身体でやるものだ。だから、ごまかせない。謙虚さを失い、ひたむきさをなくしたらそれが身体の甘さ、隙につながる。だからこそ、スポーツは貴いのではないか。スポーツ界はいま、もっとこうした原点を見直し、改めて共有すべき時期にきている。
現在、競技スポーツに携わる者の一人として、著者の言う「スポーツの原点」を共有したいと思う。
Chance visits the prepared mind ――幸運は準備した者に味方する。
(森下 茂)
出版元:中央公論新社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:ジュニア
カテゴリ エッセイ
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ジュニアサッカーコーチングメソッド
平野 淳
ゴールデンエイジと呼ばれる年代があり、神経系発達の著しい時期で将来のポテンシャルに大きく影響することは知られている。そんな大事な年代へのコーチングが具体的かつ豊富な経験談から綴られている。
サッカーのコーチングにおいてジュニア期をさらにU-6年代、U-9年代、U-12年代と区切り解説してある。初めにジュニア期の全体を通した特徴やコンセプトについての総論、次に3つの年代の各論へと続き、理論の後に具体的なトレーニングメニューの紹介といった流れになっている。
各年代での特徴や相違点などが、心理面と身体面の双方からはっきりと述べられておりわかりやすい。サッカーの指導はもちろんだが、土台となる人間形成における教育やトレーニングに対して楽しむ(Fun)という気持ちを育む重要性を念頭におき、その他の要素を展開している。
著者の海外での豊富な経験から、日本と各国の違いや多様なトレーニングメニューが記載されている。トレーニングメニューはアレンジ次第で他の競技でも用いることが可能であり、ジュニア期を指導するさまざまな競技の指導者の方々にはぜひ、読みこなしていただきたい1冊である。
(池田 健一)
出版元:ベ-スボ-ル・マガジン社
(掲載日:2012-10-15)
タグ:サッカー ジュニア指導
カテゴリ 指導
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キッズテニス 「好き」を見つける 「楽しい」を育む
伊達 公子
キッズテニスのメニュー例が示されているが、ハウツー本ではない。本書は、なぜキッズテニスなのか、キッズテニスを通じて何をどうしたいのか、という著者の考えが詰まっている。その答えの1つとして「総合型地域スポーツクラブ」が挙げられており、著者はそれを理想としている。
しかし、本書の発行は2004年。末端のスポーツ現場にいる私は、現在、総合スポーツクラブは早くも転換期にきていると感じている。地域に根づいた多種目多世代コミュニティーとしての「総合型地域スポーツクラブ」が提唱され、行政の後押しもあって各地で競うように設立されたが、理念のみが先行し、運営が立ち行かなくなるクラブや矛盾を抱えて立ち往生しているクラブが増えてきている。そして、これからはクラブの淘汰・再編・統合が進むだろうと感じている。
なぜ、そうなってしまったのか? 多くの総合型スポーツクラブはその目的が「総合型スポーツクラブの設立」だったからだと思う。総合型スポーツクラブを通して何をしたいのか、という目的も無くただヨーロッパのシステムを模倣した結果なのだろう。
また、「子どもの頃はいろんなスポーツをやるとよい」と言われ、スポーツクラブを掛け持ちする親子も多い。親も子もヘトヘトだ。さらに指導者も困る。うまいけど他のクラブとの掛け持ちで練習を休みがちな子と、下手だけど毎日真面目に練習にくる子と、さあ、先発メンバーに選ぶとしたらどっち? 確かに「総合型スポーツクラブ」なるものが各地に存在するようにはなった。しかし、どこかで何かを履き違えてしまったような気がする。果たして、著者が見た夢は実現したのだろうか。そんなことを考えながらこの本を読んでみるのもよいと思う。
(尾原 陽介)
出版元:岩波書店
(掲載日:2012-10-15)
タグ:総合型スポーツクラブ ジュニア指導
カテゴリ 指導
CiNii Booksで検索:キッズテニス 「好き」を見つける 「楽しい」を育む
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個性を引き出すスポーツトレーニング
立花 龍司
先日、小学校低学年くらいの子どもが泣きながら野球の練習をしていました。
「なんでできひんねん!!」「あほか!!」
子どもの動きはぎこちなく、びくびくしながらボールを追い、バットを振っていました。すべてを見たわけではないので、この指導方法がすべて悪いとは思いませんが、野球が好きで、野球に長く関わっている私にとってはびくびくしながら野球をしている姿がさみしく感じました。
「野球が楽しい」「もっとうまくなりたい!!」「もっとうまくなるためにはどうしたらいいやろ?」
子どもの気持ちをサポートするのは、私たち指導者、保護者の役目ではないでしょうか。本書は筆者自身の野球経験、日米の違い、子を持つ親として感じたことを書かれています。「悪いプレーを減らす」練習ではなく、「よいプレーを増やす」ための練習、トレーニングをする。発想の転換が、選手や子どもたちに対する見方やアプローチを変えてくれるのではないでしょうか。
(大洞 裕和)
出版元:岩波書店
(掲載日:2013-12-06)
タグ:トレーニング ジュニア 野球
カテゴリ 指導
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