スポーツの源流
佐竹 弘靖
現代におけるニュースをきっかけとして、スポーツ種目のたどった道のりを掘り下げていく。源流を訪ねる旅である。野球、バドミントン、ポロ、柔道など、そしてオリンピックが取り上げられており、数々のエピソードや背負ってきた歴史が当時の社会情勢とともに描写される。
スポーツは、時代によって求められる形に変化することで今まで受け継がれてきたのである。各競技の特徴、あるいは特有の性格のようなものがどこに由来するのか、見えてくる気がする。視野を少し過去のほうへ広げてくれる本である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:文化書房博文社
(掲載日:2009-09-10)
タグ:スポーツの歴史
カテゴリ スポーツ社会学
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スポーツの源流
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近代スポーツの誕生
松井 良明
イギリス発祥のスポーツは数多くありますが、イギリスのスポーツの歴史を紐解くことでスポーツそのものの歴史が見えてくるかもしれません。スポーツといっても近代におけるスポーツとはずいぶんイメージが異なるものであることがわかります。本書においては「闘鶏」と「拳闘」に焦点を当て、近代スポーツとは異質なスポーツの原点を解説し、スポーツの変遷がまとめられています。
本書のカギとなるワードは「ブラッディ・スポーツ」。今の時代なら野蛮だと顔をしかめる方も多いとは思いますが、「流血」こそが人々が熱狂する要素だったようです。18~19世紀とは価値観も異なりますが、大っぴらに言えなくなっただけで人は血なまぐさいことが好きなのかもしれません。また今の時代、動物愛護の精神が社会規範にまで高まりましたが、キツネ狩りや闘牛などが行われてきたヨーロッパにおいてはアニマルスポーツは当然の存在だったようです。本書は単純にスポーツの歴史だけを見るものではなく、当時の社会の中のスポーツとして書かれていますのでスポーツを取り巻く環境がリアルに見えるのが大きな特徴となります。それとスポーツに向けられる興味が娯楽であったり賭博であったりスポーツそのものだけではなく付随する要素がスポーツのあり方に大きな影響を及ぼしているのがわかります。現代においても賭博という要素は法律上で枠組みが決められてはいますが、決してなくなったわけではありませんので現代にも通じる問題となります。
人間の野蛮な一面も、昔の問題として切り捨てることはできません。それでもジェントルマンとして理性を保とうとする社会的なジレンマは今の時代にも共通するのであり、人間の本性と理性が拮抗する中でスポーツが変化を伴いながら存在してきたという歴史。あくまでも過去のイギリスが舞台として書かれていますが、むしろこれからのスポーツのあり方にも関わる歴史なのかもしれません。
価値観は時代とともに変わります。未来のスポーツが現状のままではないことは本書に書かれた歴史を見れば想像できそうです。100年先200年先のスポーツがどのような変化を遂げるか気になってきました。
(辻田 浩志)
出版元:講談社
(掲載日:2021-06-15)
タグ:スポーツの歴史 闘鶏 拳闘
カテゴリ その他
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