タイ式マッサージ タイ式伝統医療の理論とテクニック
Richard Gold 医道の日本社編集部
本書はタイの伝統医学のうち、身体的療法(ヌアッド・ボラーン)を取り上げている。
タイ式マッサージの特徴は、手技に足・膝・肘・前腕など術者自らの体の各部位を使う、マッサージオイルなどは皮膚に塗らない、ベッドではなく、床や低い台の上で行う、時間をかけてゆっくりと施術する、身体の治療を通じて肉体・精神・魂のバランスと調和をもたらす、などが挙げられる。
Section 1 ではタイ式マッサージの歴史や施術法に触れ、Section 2 では各部位・各体位・各手技を写真と禁忌の説明付きで詳しく解説し、治療への適用を学ぶことができる。Section 1 は割かれているページ数こそ少ないが、タイ伝統医学による患者へのアプローチ法やその思想について知ることができる。仏教の影響を受けたタイ式マッサージでは「愛に満ちた親切心」「慈悲」「人の身になって感じる喜び」「平静」の4つの神聖な心の境地を表現し、マッサージテクニックの多くは、瞑想やヨーガの実践を容易にするために開発されたという。
Section 2 は実際の手技やストレッチについて触れているが、解剖学などの説明はほとんどないので、全くの初学者が本書のみでマッサージをマスターすることは難しいと思われる。しかし、中級者以上が副読本としての位置づけで、施術の幅を拡げるためには大いに役立つだろう。
(西澤 隆)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2013-10-25)
タグ:マッサージ タイ式マッサージ マッサージ 伝統医療
カテゴリ スポーツ医学
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メディカル・タイマッサージ入門
大槻 一博
いわゆる現代医学が世界中を席捲するわけですが、その昔はそれぞれの国でさまざまな医療がありました。もちろん今もなお続いているものも多くありますが、かつては主役として人々を救っていたものも、今では代替医療という脇役の位置づけになっているのが実情のようです。
現代医学・西洋医学の功績は今さら語るまでもありませんが、何でも治せるということでもありません。そして世界中の伝統的医療の価値が下がったのかといえば必ずしもそうではありません。現在もアジアにおいては、漢方やアーユルヴェーダなどが多くの人に支持され、その存在価値は十分に感じます。
本書はタイのホリスティック療法としてのタイマッサージが紹介されています。たいていこの手の本には手技が中心に紹介されているのですが、この本の特徴は解剖生理学や病理学的な記述が多くを占め、古典的なタイマッサージ技術というよりも現代医学の要素を取り込んで発展したものだと感じました。もちろん伝統的な思想は基本として残っていますが、新しい知見も包括した懐の広さがあります。
面白いと感じたのは漢方の経絡や経穴も取り入れられていることで、やはり大陸続きということもあり、情報や文化は伝わるということが見えてきます。アーユルヴェーダやヨガと類似のメソッドも多々あります。どちらが起源であるかなんて些末な問題であり、効果の高い技術は自然と広がるのが当然ですので、アジア全体の医療という捉え方でもいいんじゃないかと思います。
きめが細かく根拠を感じる解説は読みごたえありです。ところどころにスポット的に登場するコラムも「オキシトシンとタイマッサージ」や「セロトニンとタイマッサージ」など、今の時代に対応しようとするタイマッサージの可能性に期待したいところです。
(辻田 浩志)
出版元:BABジャパン
(掲載日:2018-08-07)
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