タンパク質の生命科学
池内 敏彦
脚光を浴び、ほとんど毎日のように報じられる生命科学だが、専門的で複雑なため、一般には理解しにくいことが多い。だから、勉強したくない、関連書も読んだけれどわかりにくいからもう読まないという人も少なくないだろう。
この本は、書名通りタンパク質を生命科学の視点で述べているのだが、「はじめに」のむすびで著者は「これから、タンパク質の構造と機能を中心にタンパク質のすべてを解説していきたいと思う」と記している。この自信のすごさ。
だが、それは期待を裏切らない。全3章で構成、1章では「タンパク質とはどのようなものか」で、まさにもつれた糸をほどくかのように語っていく(2章は「タンパク質と遺伝子」、3章は「タンパク質と生命」)。文化系の人でも、こう説明されれば容易に理解できるだろう。酸とは何か、酸化とは何か、という昔習ったかもしれないことをちゃんと整理しつつ、解説を進めている。驚く腕前である。
「ある程度知識のある人が読むのだろうから、基礎知識までは触れません」と言わず、難しいことを「これならわかるでしょ」とわかるように説明している。それでいて内容は極めて高度である。
著者は、京都大学ウイルス研究所、大阪大学蛋白質研究所を経て、現在関西大学工学部教授。「説明する」ということのお手本のような1冊である。
新書判 210頁 2001年12月29日刊 800円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:中央公論新社
(掲載日:2002-03-15)
タグ:タンパク質
カテゴリ 生命科学
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タンパク質の一生 生命活動の舞台裏
永田 和宏
遺伝子情報をもとに、アミノ酸を順序どおりに並べる。そして、それを立体的に組み立てていくことで機能を持ったタンパク質をつくっていく。その様子をわかりやすく解説したのが本書である。タンパク質ができあがるまでには、シャペロンと呼ばれる脇役の分子が重要な役割をもっていること、輸送のためのさまざまな工夫、そして分解するための仕組みなどが順を追って紹介されていく。本当に生命の働きはうまくできていることを実感できる。
われわれは、ともすれば筋量を増やすことを目的としてしまいがちだが、身体内部でどのようなことが起こっているか、想像してみるのも面白い。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:岩波書店
(掲載日:2009-06-10)
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