DANCE Anatomy
Jacqui Greene Haas
著者のJacqui Greene Haas氏はピラティスインストラクターであり、アスレティックトレーナー。著書は9つの章から成り立っています。
1 ダンサーの動き
2 脊柱
3 肋骨と呼吸
4 コア
5 肩甲帯と腕
6 骨盤と股関節
7 脚部
8 足首と足部
9 ダンスのためのカラダ全体のトレーニング
1章は骨や関節の動き、骨格筋(主働筋、拮抗筋、共働筋、固定筋)の説明の他に動きの基本面(矢状面、前額面、水平面)やメンタル面、コンディショニングにおける原則(オーバーロードの原則、特異性の原則、ウォーミングアップ&クールダウンの重要性など)などが記載されていてトレーナーの方にとってはよい復習になりそうな内容になっています。 2章から9章に関しては、各章ごとの筋肉の名前や関節の動きの説明と一つのエクササイズに対して見開き1ページでじっくり説明がされています。
左側のページはエクササイズのイラスト(主働筋が色分けされている)で右側のページが実際にそのエクササイズはダンスのどの動きで使われるのかというのがイラストつきでの解説。そのほかに、エクササイズの注意点やエクササイズのバリエーションの説明がされています。
著者は前書きで以下の言葉を残している。「筋肉がつくりだす動きをわからないままで、あなたはどうやって効率的なコンビネーションをやるんですか?」「間違った筋肉の使い方を続けることは、オーバーユースによるケガの原因になりますよ」
この言葉を聴くと、著書が少し専門的で難しいと(ひょっとしたら)思っているダンサーは身が引き締まるのでないでしょうか。
そして、トレーナーの方は著者のこの力強い言葉に共感を覚えるのではないでしょうか?
(編注:本書は英語で書かれています)
(大塚 健吾)
出版元:Human Kinetics
(掲載日:2012-10-16)
タグ:医学 解剖 ダンス
カテゴリ 身体
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知性はどこに生まれるか ダーウィンとアフォーダンス
佐々木 正人
「語る前に見よ」。
行為に何らかの意図を読み取ろうとしてはいけない。行為は「はじまり」があって、「まわり」に出会い「変化」するのだ。そして「変化」には目的も方向もない。「変化」の「結果」が残るだけである。その「結果」から行為に意図や目的をくっつけて説明するというのは、大きな誤りなのだ。
本書には、かなりのページ数を割いて、ダーウィンが観察したミミズだとかキャベツの子葉だとかモグラだとかのことが書いてある。そこだけでもかなり面白かった。
「ミミズは地球の表面を変えるために生きているのではなく、ミミズの生の結果が大地を変えただけだ」とか、「モグラはトンネルを探しているわけではなく掘りながら土の中にあるやわらかさのつながりを発見しているのだ」という言葉が本書に書かれているが、それらが私の心の中で次第に存在感を増している。
ただ「まわり」に出会って「変化」する。私も「まわり」に出会って変化するし、私自身が誰かを何かを変化させる「まわり」でもあるのだ。ミミズが耕した大地のように、モグラが掘ったトンネルのように、変化した歴史と痕跡をひっくるめて「生きている」ということなのかもしれない。
私とはなんとちっぽけなものなのだろうと思う。それは決して不快な気持ではなく、むしろ、清々しい。
(尾原 陽介)
出版元:講談社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:アフォーダンス
カテゴリ その他
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ダンス・コンディショニング 感じてとらえるからだの仕組みと使い方
岸田 明子
本書で紹介されるコンディショニング法「シン・ソマティクス」の「shin」は、禅における「中心/芯/心/身/精神」に由来しているとのこと。心身の無駄な力を抜き、呼吸を深め、基本的な動作を無理なく行うことで、通常のダンスレッスンでの自分の身体に対する思い込みを取り去り、今現在の状態を感じ取る。その後、構造や仕組みを学びつつ、合理的な動かし方ができるよう神経と筋肉のつながりを再構築していくというもの。実際には施術やグループレッスンなども行われるようだが、ここでは主に一人で可能な部分について、本と付属のDVDを交互に見ながら取り組めるようになっている。オールカラーで写真や図解が多用され、どのページを開いても美しい。この種の本が苦手な人でも抵抗なく手に取ることができそうだ。
実際のダンサーの生活はレッスンとリハーサルに明け暮れ、身体を落ち着いて休める余裕を持つことは難しい。また、ダンサー自身が身体の構造や仕組みに対して無知ならば、鏡や教師の言葉が、必ずしも自分の癖に気づかせてくれるとは限らず、逆に癖を強くしてしまうこともある。そういったことにあまり危機感を持てずにテクニックの追求に終始し、疲労とケガを繰り返すダンサーは多い。「身体の状態を良し悪しで決めない」「矯正しようとしない」などの言葉や、鏡を見ないで力を抜き、自分で感じ取るという手法は、そんなダンサーにとっては新鮮に感じられることと思う。本書には、「体の力を抜いて、楽に踊る」ためのさまざまなイメージが丁寧に提示されている。ダンサーの身体感覚を具体的に知りたいトレーナーの方々にも参考となるかもしれない。
ただし、文中でも述べられているように、筋力や筋持久力の向上のためのエクササイズではなく、あくまでもほぐすこと、リセットすることに重点を置いたワークなので、長年強い癖を修正できなかったダンサー、あるいは強靭な(極端な)筋運動を要求されるダンサーの場合、パフォーマンスの向上につなげるためには、かなり時間を割き、日常的に実践する必要がありそう。まずは、ハードな一日の終わりに筋肉をほぐす目的で試してみるのがいいかもしれない。
(河野 涼子)
出版元:スキージャーナル
(掲載日:2012-10-16)
タグ:コンディショニング ダンス
カテゴリ 運動実践
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