積極的マイナス思考のすすめ
友末 亮三
著者はテニスプレーヤーとして全日本選手権4回出場の経験を持つ大学教授。テニスの指導や大会のディレクターをしたり、執筆活動や研究をするなどマルチタスクをこなす。
この書籍は、あくまで心理学的なアドバイスを基盤においた本である。しかし、それだけではなく日本人と外国人の考え方を比較したり、社会文化、時代背景、男女差がどのように精神に影響するかなどを紹介。その中で、ポジティブ思考にばかり目を向ける心理的アドバイスを一蹴し、日本人や、男女それぞれにフィットした「心の持ち方」を指導している。
とくに面白いのは、「心身相関」の考えをベースに、身体の姿勢や動かし方で精神状態に大きく影響するというアイデアだ。解剖学の知識を用いてはいるが、一般にもわかりやすい表現で、よい精神状態をつくるためのさまざまなテクニックを披露している。しかも、スポーツだけではなく、さまざまな場面でも応用できるものばかりである。自分のためだけでなく、誰かに指導する立場にあるような人には、そのまま現場で使える“実力派”な本だ。
(宮崎 喬平)
出版元:スキージャーナル
(掲載日:2012-02-17)
タグ:テニス メンタル
カテゴリ 人生
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日本テニススウィング革命
中野 薫
著者は、日本人がテニスで不振である理由として、「体幹を支持する足使いと腕使いでスクエア・スタンス打法のテニスを指導しているから」と主張する。海外のトッププレーヤーでは「オープン・スタンス打法」であり、「骨盤を土台とし、体軸を中心にして肩にトルクを与え、体幹の弾性体(腹腔と肋軟骨)をねじって」スイングしているという。また、「前腕を回内する外捻りのトルクの腕使い」「肩甲骨を外転し、胸郭に張りつけて前鋸筋を使う内捻りのトルクの腕使い」など「新しい発見による独創的な運動科学の理論」(41ページ)を著者は「ニュー・パワー理論」としている。
でんでん太鼓などの例を用いながらまとめている。その記述はシンプルながら難解であり、バイオメカニクス的な用語なども独自の解釈が見受けられるようだが、感覚的な部分においてはヒントが得られるかもしれない。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:幻冬舎ルネッサンス
(掲載日:2009-05-10)
タグ:テニス
カテゴリ 指導
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DVDでよくわかる テニスダブルスの必勝術
佐藤 政大 黒田 貴臣
語り合って寝不足に
新入生たちはそろそろ学校に慣れたような気がしてくる時期である。毎朝、皆一様に大学生らしい(眠たそうな)顔をして通学している。
私の勤める自治医科大学は、全国でも珍しい全寮制の医学部である。“医療の谷間に灯をともす(校歌より)”気概を持った若者が全国47都道府県から2~3名ずつ選抜され、いずれは僻地や離島を含めた各地の地域医療を担っていく医者として巣立っていくのである。
寮は個室だが、およそ10人で1つのラウンジを囲んだ部屋配置で生活しており、1年生のみ同じ学年だけでラウンジ単位を構成することになっている。全国各地から来ていることに加え、今年はとくに多浪の末に合格した者やすでに大学を卒業してきた者、さらには社会の空気を吸ってから入学してきた者までいて、ホヤホヤの18歳から30歳までの新入生が絶妙のグラデーションを成して入学してきた。
さまざまな背景を持った学生たちが10人集まって生活単位を構成しているのだから面白くないわけがない。毎夜遅くまで語り合い、コミュニケーションを図っては寝不足になっているのである。
いずれは収まるのだが、このような言葉による濃密なコミュニケーションは出会って間もない者同士にとって重要である。話す内容はもちろんだが、表情や声の質あるいは大きさや話すテンポなど、あらゆる類の情報を感受しあい、互いの理解に努めようとしているのである。
少ない文章で伝授
今回紹介する書籍は、言葉によるコミュニケーションの対極にあるような方法で情報を発信しようと試みられたものだ。監修者の佐藤政大と黒田貴臣は、日本テニス協会のベテランオフィシャルポイントランキング(ベテランJOP)シングルスおよびダブルス両部門で1位にランキングされていたこともある「草トーナメント」テニス界の雄である。この2人が編み出したダブルス必勝に関するさまざまなノウハウやテニスプレーヤーとしてのメッセージを、極限まで文章を少なくした形で伝授しようとしているのである。
本文の中では各種攻撃パターンの展開方法が、分解写真を用いて淡々と進められていく。付属DVDの動画ではさらに言葉が少なくなり、ところどころプレーの要点をさらうためのテロップが出現するだけ。声による説明などいっさい入らないのである。
しかし、いくら文章が少ないとはいえ、細心の注意を払いながら確信に満ちた解説が1つ1つのプレーになされていることが、じっくり読んでみるとわかる。それは歴戦の中で培われ、体験に裏付けられて練られたのであろう戦術が、肌で感じたそのままの言葉でもって表現されているからに違いない。また、動画からは“能書きを並べている暇はない。オレたちの背中(プレー)を見てくれ!”と言わんばかり、全身からさらに多くのメッセージが伝わってくるような気がするのである。
どう読み解くか
さて、ではどのように本書を読み解いていったらよいのだろう。内容を丸覚えするのではあまり意味がないように思える。 「単純な決めの動きではなく、動き出す直前の気配や視線といったところに注目してください。そこにダブルスの本当の醍醐味があります」と佐藤の言うように、個々のプレーそのものよりも全体のつながりや「気配」を彼らの背中から読み取ることを心がける必要が読み手にはあるのではないか。
言葉によるコミュニケーションが重要なことは無論のこと、感覚を研ぎ澄まし、言葉や文字の向こう側にある何かを読み取ることが重要であることが本書の語ろうとするところである。彼らがどんな気配をキャッチし、どう処理して動いているのか、どうやって息を合わせているのか、五感を駆使してつかみ取っていこうとするのが本書の読み方として正しいように思われる。
ともあれ、好きこそものの上手なれとは良く言ったもので、“テニスが好きでたまらない”という雄たけびが、最も強いメッセージとして2人の背中から伝わってくるのである。
(板井 美浩)
出版元:実業之日本社
(掲載日:2010-06-10)
タグ:テニス
カテゴリ 運動実践
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DVDでよくわかる テニスダブルスの必勝術
佐藤 政大 黒田 貴臣
練習とは基本的に試合で勝つために行うものである。本書は草テニスの試合に勝つために必要な手順の教科書である。
冒頭からサービスゲームをいかにキープするかという実践解説から始まる。サービスのコースをイン・ボディー・ワイドに分け、左右それぞれの局面でのパターンを丁寧に解説している。サービスブレークの局面においても同様に解説。
サービスから数本のラリーを制し、勝つための手順を説いているので中級者以上にはすぐに役立つと思われる。DVDも付属されているので、実際の動きをイメージしやすい。
しかし、ここではあえて初心者や初級者にも大いに薦めたい。本書で紹介している内容を実践出来れば、勝つためのテニスをより楽しめるようになるだろう。そして、作中で紹介されている内容を実践するためには、安定した動きやコントロールなどの基本が必要であることを痛感できると思う。基本のための基本、練習のための練習の先の目的が見え、普段の練習へのモチベーションが変わってくるだろう。
(渡邉 秀幹)
出版元:実業之日本社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:テニス
カテゴリ 運動実践
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積極的マイナス思考のすすめ スポーツ指導の現場から発信する日本人のストレス耐性を高める新発想
友末 亮三
積極的という言葉と、マイナス思考という言葉。互いに矛盾しているようにも思える。「積極的マイナス思考」とは、どん底まで落ちてしまった状態であるが、きっかけをつかめば積極的プラス思考に持っていけるというのである。さらに、日本人に合ったストレス耐性を高める方法であるとも。
また、心身のうち「身」から入ったほうがよい、という「自然体」へと導く方法論が面白い。これが本書を特徴づけている部分であり、題名からは心の問題を扱っていると考えてしまうが、実際には身体のことについても多く扱っている。
テニスのコーチング経験に基づいた男女の違い、体育会と同好会の気質の違いなど、20章にわたる身体感覚とメンタルの話題が集められており、興味深い。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:スキージャーナル
(掲載日:2010-10-10)
タグ:テニス 指導
カテゴリ メンタル
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プレイ・ザ・ボルグ
ビヨン・ボルグ 後藤 新弥
プロ・テニス界のスーパー・スター、ボルグがこれまでの技術書の説かれてきた理論にぶつけ、自己流テニスの真髄をフランクに述べた書。自分の個性を見つけ、自分に合ったテニスをしよう、そして何よりも楽しむことと、テニスというゲームへ誘う。傑出した人は単純明快に物を語れるが、このボルグもその例といえる。テニス関係者のみならず、誰もがスポーツに心を開けるその糸口を与えてくれる書である。
ビヨン・ボルグ著 後藤新弥訳
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:講談社
(掲載日:1982-01-10)
タグ:テニス
カテゴリ 運動実践
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エアロビック・テニス
ビル・ライト 水野 忠和 友末 亮三 宮下 充正
著者(カリフォルニア大学バークレー、テニス・コーチ)は、長年の経験と観察から、常によいショットを打てる選手には次のような共通点があることを見出した。
(1)ボールを打つ前も打った後も、からだ全体を大きく動かしている。
(2)打球の方向に一歩踏み込んで打てるように、いったんボールから遠ざかっている。
(3)小手先の技術にこだわっていない。
(4)「ラケットをもっと後方に引くように」「ネットに対して横向きになるように」などといった注意にわずらわされていない。
(5)ラケットはまるで腕の延長したもののように見える。
(6)ストロークは流れるようにしかもリズミカルに行われている。
(7)コート内を走り回ってボールを打つことを心から楽しんでいるように見える。
これらの共通点から著者は、エアロビック・テニスを3つの特徴で説明する。つまり、1.フォームは各自の個性を生かしたうえで決めていかねばならない。2.テニスは「分かる」というより「感じる」、感じをつかむことで上達する、3.肘や膝などからだの一部分に注意を払わず、からだ全体で打つこと、の3点である。
解説のうまさ、例の挙げ方の巧みさ、エピソードの妙など、技術指導書として、多くのヒントを含んだ書である。2色刷りでイラストも豊富に収められている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ソニー企業
(掲載日:1984-10-10)
タグ:テニス
カテゴリ 指導
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非常識なテニス上達法則
田中 信弥
プロ選手として活躍後、多くの指導現場に立ってきた著者が、「ウィークエンドプレーヤー」のために独自の上達法をまとめた。
上達とはつまり自己改革であり、自分を変えていくポイントとなるのは「現場感覚」だという。理論やトップ選手のパフォーマンス、さらには自分はこう動いているつもり、という状態と、実際の動きとの齟齬を埋めるべく、とにかく行動する。ただ指導するのではなくその選手を動かす方法論でもある。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2013-03-10)
タグ:テニス
カテゴリ 運動実践
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テニスパフォーマンスのための実践トレーニングガイド
Carl Petersen Nina Nittinger 別府 諸兄
この本の軸となっているもの、それは「体系化」である。本書は、各項目を実に多くの専門家たちが分担して訳している。しかし、その中で一貫して「体系的に行う」というテーマがぶれることなく掲げられているのだ。
本書の冒頭に記されているように、理想のモデルとは個々の諸要素を単独で捉えるのではなく一つ一つの歯車と考え、それらをうまくかみ合わせ連動させることにより、その歯車たちの中心にある“パフォーマンスのギア”をスムーズかつ効率よく回すことである。
何か一つ欠けても歯車はうまく回ってはくれない、何か一つだけよく回っても歯車はバランスを崩す。いろんな要素が作用し、それらが相乗効果を成し、パフォーマンスはつくられていくのだ。
トレーニング、ケア、環境、メンタル。多すぎても少なすぎてもうまくいかない。微妙なバランスを保ったときこそ最高のパフォーマンスが生まれる。そう教えてくれる一冊である。
(藤井 歩)
出版元:ナップ
(掲載日:2014-03-20)
タグ:テニス
カテゴリ トレーニング
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松岡修造さんと考えてみたテニスへの本気
坂井 利彰
2014年、錦織圭選手が全米オープンで準優勝という快挙を成し遂げて以降、テニスに熱い視線が注がれている。テニススクールに行けば、錦織選手に続かんとばかりに多くの子どもたちがコートで練習に励んでいる。そんな彼らの口からは、将来の夢として「世界ナンバーワンになること」や「ウインブルドンで優勝する」などといった発言が普通に飛び交う。これが錦織以前の時代であれば、ただの世迷言としか捉えられなかったであろう。錦織選手の活躍が、子どもたちの意識の中に「もしかしたら自分も」という現実味を高めているのは確かかもしれない。しかし現実はそう甘くない。プロ選手になったとして、納得いく成績を残して現役生活を全うすることがいかに難しいことか。
著者によれば、錦織選手やいわゆるビッグ4の選手などはみな早熟型だという。幼くして才能を開花させた彼らは、海外に渡るなどして練習環境に恵まれ、エージェントやスポンサーと契約することで活動資金においても不安はない。しかし現実を見れば、プロを目指すすべての子どもたちがこれに当てはまることはない。テニスの人気が上がりより身近になることが、自ら目標のハードルを身の丈以上に上げてしまっているようだ。よって、錦織選手と同じレールをたどっていけないと見るや、プロ選手になる夢を簡単にあきらめてしまう傾向があるとのことである。
著者や松岡修造氏に言わせれば、世界ランキングトップ100に入るだけでもどれだけすごいことか。ましてや早熟型のように子どものうちから海外に出ることだけがプロへの道ではないのだ。日本では幼い頃から競技一筋でやってきたジュニア選手が、大学進学が契機となってプロになることを諦めてしまうのをよく見聞きするが、大学はプロになることの対極にあるものではないだろう。現に米国では、全米大学体育協会(NCAA)が主催するカレッジスポーツが、プロスポーツに負けない人気と商業的成功を収めている。著者が提唱するように、大学がジュニアとプロとのハブ機能を持ち、選手のセカンドキャリアも含めた計画的なマネジメントができれば、プロ選手として晩成型のキャリア形成を確立する一助になるだろう。
この本はテニスに留まらず、プロを目指しているジュニア選手とその指導者にうってつけである。今後のキャリア形成を考える上でぜひ参考にして頂きたい。
(水浜 雅浩)
出版元:東邦出版
(掲載日:2016-04-12)
タグ:テニス
カテゴリ 指導
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松岡修造さんと考えてみた テニスへの本気
坂井 利彰
坂井氏自身、大学卒業後にプロ転向という道を歩み、現在は大学という場を活かした日本人プレイヤー育成に取り組む。
松岡修造氏との対談では、まず錦織圭選手は10代の時点で特別であり「生まれてくるもの」、それをつくるのは難しいと口を揃える。だが、錦織選手ほどの圧倒的な才能がなくともステップを踏めば世界で戦えるという点でも一致する。実際、アメリカでも大学卒のプロ選手が増えているそうだ。
20歳前後は自分の限界が見え「心の密度が下がる」ときだという。そこで諦めず、夢見た世界へ羽ばたくためのバックアップが頼もしい。逆に言えば指導者やスタッフが本気であれば、有望な選手も育つに違いない。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2016-02-10)
タグ:育成 テニス
カテゴリ 指導
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なぜテニスは練習しても上手くならないのか
児玉 光雄
練習しなくても上手くなる、わけではない。練習は必要だが戦略を持ち、取捨選択していくべきだと著者は言う。潜在能力の発揮をキーに、そのために必要な要素を技術面、メンタル面ともに細かく分け、その1つ1つのメカニズムと実戦方法を丁寧に解説していく。
ショット成功の可否を決めるのはインパクト(ラケットがボールに当たる瞬間)であり、自身の身体とスイングに合ったコントロールを身につけるにはどうしたらよいか。
また、ゲームでは相手にうまくインパクトさせない駆け引きについて、鹿屋体育大にてテニス指導とともに長くスポーツ心理学を研究してきた著者が導く。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2016-04-10)
タグ:テニス 上達
カテゴリ 運動実践
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日本人のテニスは25歳過ぎから一番強くなる
坂井 利彰
男子テニスと言えば錦織圭選手が浮かぶが、添田豪、伊藤竜馬選手もランキングトップ100入りを同時に果たした。100位以内への到達は松岡修造氏以来とのこと。著書は添田・伊藤選手のように21歳以上でトップ100入りした選手を「晩成型」と定義し、さまざまなデータを駆使しながら成功要因を分析した。錦織選手のような「早熟型」の選手相手には不利な点も併記した上で、じっくりと心身を鍛える選手育成を提言する。
どの競技でも日本では早期育成の面で世界に遅れをとっていると言われがちだが、大学スポーツというフィールドを逆に生かそうというアイディアだ。著者自身が大学庭球部監督ということもあるかもしれないが、各国の育成システムとも比較されており説得力がある。
何を目指し、どのように導いていくかを整理・発信することは、目標の現実化の後押しになると思わされる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2014-03-10)
タグ:テニス 育成
カテゴリ 指導
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テニス世界トップ10も実践する最新の打ち方・戦い方
坂井 利彰
精力的にテニス指導に携わる著者が、2014年の錦織圭選手の活躍を受けて筆を取った。まず世界のトップレベルの選手の特徴やゲームの流れを紹介。その中で、体格に劣る錦織選手が何を武器に勝ち上がったか解説する。
タイトルに「打ち方・戦い方」とあるように、正確な技術と、武器を発揮する戦術とがポイントになる。現在テニスをプレーしている人には技術書として参考になる。それだけでなく、観戦の上でどこに着目するとより楽しめるかもわかる。そして、錦織選手をきっかけに集まった注目をブームで終わらせず、競技力の底上げにつなげるためには、その種目に関わる一員として何をすべきかという観点でもヒントが散りばめられているとも言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2015-04-10)
タグ:テニス
カテゴリ 指導
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戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼
柏井 正樹 島沢 優子
錦織圭選手がジュニア期に指導をされていた柏井正樹さんの著書でした。錦織圭選手のことが実例として書かれることが多かったので、説得力がありました。錦織選手のジュニア期は、相手のプレースタイルに付き合って試合を運び、相手が痺れを切らせてプレースタイルを変えてきたところで一気に切り崩していたそうです。柏井氏は、負けた選手が自分流を続けることができたら錦織選手に勝てる可能性があったかもしれないけど、自分がやっていることを信じきれていないので違うことをしてしまう、と表現しておりました。
自分がやっていることを信じるというのは、簡単なようで難しいことなんですね。トップクラスの試合での出来事というのが、その難しさを物語っていますね。私のサポートチームにも、格上のチームと試合をする際にも、自分たちの方針を揺るがさずに試合を運べるようになってもらいたいものです。
本書の中では心に響く表現がサラッと書かれていて、それがまた面白かったです。「試合で頑張らない人はいないので、それは試合で頑張らなかったのではなく、試合までの準備を頑張っていなかった」という表現には、深く納得しました。参考になるポイントが多々ありましたが、指導で使う声のトーンの使い分けが、実践する上で一番わかりやすかったです。これは心がけていきます。「戦略的な思考は、ゆとりのある自由な空気感から生まれる」という柏井氏の言葉通り、選手の能力を存分に引き出そうとする指導スタイルから、素敵な刺激をいただくことができました。
(塩多 雅矢)
出版元:大修館書店
(掲載日:2017-04-06)
タグ:テニス 戦略
カテゴリ 指導
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戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼
柏井 正樹
錦織圭選手が5歳から12歳まで過ごしたテニススクールのコーチ・柏井氏が、錦織選手の幼少時代のエピソードを交えつつ指導メソッドを紹介する。結論から言えば、勝つために何をするのか考えさせる、そうして考えることを楽しめれば選手は自分の意志で競技を続けるし努力もする、というシンプルなものだが、育てるとはいかに身につけさせるかではなく、いかに引き出せるかではないかとハッとさせられる。柏井氏自身の、進路選択時のエピソードなどはいわゆる「素晴らしい指導者」らしくないが、失敗も「今」をつくる要素の1つという自然体だからこそ、子どもたちは心を開くのかもしれない。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:大修館書店
(掲載日:2017-04-10)
タグ:テニス 指導
カテゴリ 指導
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テニスは「構え」で変わる
町田 真悟
約30年にわたってコーチを務める中で、本番で力を出すために必要な機能を「反応力」「柔軟力」「力加減」の3つに整理した。それを発揮できるようにする「スクワットポジション」を身につけるべく、ストレッチ方法を紹介。身体の使い方のベースを習得して競技動作をスムーズにするとともに、心の余裕も引き出す。「構え」で変わるのはテニスに限らず、他の競技にも応用できる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2017-06-10)
タグ:テニス 指導
カテゴリ 運動実践
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ナダル・ノート すべては訓練次第
トニ・ナダル タカ 大丸
著者はグランドスラム14勝を誇るラファエル・ナダルの叔父にあたり、4歳から一貫して指導してきた。血縁者であれば信頼関係はつくりやすく、幼少時代の微笑ましいエピソードも紹介されるが、その関係が盲信や強制にならないよう一線も引いている。タイトルの「訓練」とは技術や身体づくりではなく人格形成についてであり、テニスとは、スポーツとは人生だと著者は捉えているのだ。トップアスリートともなれば技も身体も互角、心が勝負を分けるのだろう。たとえば学生同士など技と身体が拮抗している場合も同様で、選手とコーチが日々どのような言葉のやり取りを重ね、どのような姿勢で臨むべきかの参考になるはずだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2017-07-10)
タグ:テニス 指導
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