腰痛はアタマで治す
伊藤 和磨
著者は元プロサッカー選手であったが腰痛により選手を引退し、自身が体験した経験から腰痛を専門とするパーソナルトレーナーになった方である。
最初に、なぜ病院で腰痛が治らないかということを細かく説明している。そこには保険診療の点数制度の影響が大きく、またリハビリも事務的にならざるを得ない環境も関係していることが書かれている。ただし出版された時期も関係するだろうが、すべてがそうでもないと思うのと、引用文献が『脊椎のリハビリテーション』ばかりというのが気になる。タイトルから治療やトレーニングを行わないのか? と思うが、続いてトリガーポイントの説明とケアの方法が書かれている。
さらに痛みやトリガーポイントを引き起こさない姿勢についての説明となる。ここではインナーコルセットとニュートラルポジションというキーワードが出てくるが、やはり現代のクリニックやパーソナルトレーニングなどでは浸透している話である。
ここまでできて次のフィードフォワードという動作についての話になるが、ここから日常動作などで腰痛を引き起こさないようにするために頭を使うということが、予防につながるという話である。付記としてぎっくり腰の治し方が書かれているがアイシングというもっともポピュラーな方法。
トリガーポイントの圧迫がメインであることに少し残念な感じがあるが、セルフケアの方法を知ることができると自分で治せると思えるので、そこはよい点だと思う。腰痛の予防やセルフケアの方法を知るには良書であるが、アタマで治すということだけを考えて読むと少々がっかりする。日常動作の指導が他の書籍と違っていろんな場面を想定して細かく記載されていることが親切である。
(安本 啓剛)
出版元:集英社
(掲載日:2015-06-18)
タグ:腰痛 トリガーポイント
カテゴリ 身体
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患者とできるフォームローラーパーソナルセラピー
福辻 鋭記 市川 繁之 伊藤 和憲 石原 新菜 長谷川 洋介 杉山 ちなみ
物置でほこりをかぶっていたストレッチポールを引っ張り出してきて、本書を読みながら実践しました。我が家の物置にはバランスボールやケトルベルなどのトレーニング器具がいくつかあるのですが、そのときの興味だけで買ってきて適当にやって飽きたら日の目を見ずにほこりをかぶる、というパターンがどうも多いのです。
フォームローラーにもさまざまな目的があり、そのメソッドも多様であることを知りました。本書ではフォームローラーという商品名のものが使用されています。三種類の硬さがあり、目的や方法に応じて使い分けられています。
デスクワークでなまった身体をよみがえらせる。高齢者向けのエクササイズ。鍼治療の効果を高めるトリガーポイント療法。東洋医学の見地から見た血流改善のトリートメント。マインドフルネスの瞑想との組み合わせで精神に作用させるムーブメント。スポーツ医学に基づいた美しい姿勢をつくるトレーニング。実に多種多様の目的とそれぞれの方法論が、それぞれのジャンルの専門家によって解説されています。だから単にストレッチを目的とするエクササイズとはかなり違いがあります。
1つずつ実践してみると、6つのコンテンツの目的が見えてきます。ただ買ってきたからなんとなくやっていたときと身体の中で感じるものの違いが明白です。きっとほかのトレーニング器具でも同じなんでしょうが、目的をしっかり持つことの重要性を改めて感じた一冊です。器具に新たな命が吹き込まれたような気がしました。
(辻田 浩志)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2018-05-26)
タグ:運動指導 トリガーポイント 姿勢 マインドフルネス
カテゴリ 運動実践
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「動き」のトリガーポイント
マーティー 松本
筋肉や関節の痛みといった、日常生活や運動に支障をきたす症状に悩まされている人々がいます。その症状を改善するため、もしくは症状はないがこれからも健康でいるために、中高年の方々が運動やスポーツを始めることも増えてきました。運動が健康に効果的な一番の理由は、運動することによって筋の機能が維持・改善されるためです。つまり、筋の機能を高く保つことで長く健康でいられるということです。しかし、一般の人より筋の機能が高いはずのプロスポーツ選手であっても、筋肉や関節の痛みに悩まされることがあります。そういった症状に悩まされるのはなぜなのでしょうか? 筋の機能のレベルが関係ないのであれば、症状を引き起こす原因は何なのでしょうか?
本書ではアメリカの研究文献をもとに、筋肉や関節の痛みなどの症状を引き起こす原因は、様々な動きの中で筋肉を酷使することによって筋肉内に形成された硬結(特定の部位に負担がかかり続けたことで形成される、短縮した筋節が集まったコブのような状態)にあるとし、それが引き金となって痛みを発生させるため「トリガーポイント」と呼称し、これを解消することが必要だとしています。また、「トリガーポイント」を解消しない限り、何度も同じ症状が再発する可能性が高く、身体に動きの制限がかかり続け、いずれは日常生活や運動だけでなく仕事にも影響が出てくるともしています。そして、「トリガーポイント」を解消するために必要なことを解剖学や生理学、圧迫や施術・マッサージの基本から説明しつつ、実際に解消するための方法について、図や写真を交えて詳細に述べています。
本書は同じ著者による『すぐわかる! すぐ使える! トリガーポイント療法』の続編的な存在として刊行されており、上記書籍ではカバーしきれなかった内容・症状を扱っているようです。上記の書籍を併せて読むことで、より理解が進むでしょう。
(濱野 光太)
出版元:BABジャパン
(掲載日:2019-08-16)
タグ:トリガーポイント
カテゴリ 身体
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症状から治療点をさぐる トリガーポイント
齋藤 昭彦
全身の筋別に見開き2ページで完結していて、オールカラーのため、たいへん見やすい。使い方としては、冒頭の「痛みから探すトリガーポイント」で、痛みが出ている部位と、その部位に痛みを起こす可能性のある筋を確認する。その後、個別の筋のページを開くと、まず、見開き左手ページの小見出しに、その筋のポイントが3点書かれている。たとえば腸腰筋だとこんな具合。
・大腰筋と腸骨筋で構成される筋肉の総称
・腰椎と大腿骨を結び、深部で体幹の屈曲や伸展に作用
・股関節の屈曲を過度に行うとTP(トリガーポイント)が発生しやすい
次に、解剖・生理・運動学的な説明が続き、その筋肉にTPを作ってしまうような原因、傾向、さらには注意点が記載されている。腸腰筋の注意点は「腰仙部の機能障害や虫垂炎などほかの疾患と誤診しないよう注意を要します。腰方形筋、梨状筋、中殿筋、大殿筋、縫工筋など、ほかの部位のTPの関連痛パターンとの区別も必要です。」とある。
左手のページ右側にはメモ、キーワード、などがあり、用語の確認などの役に立ち、その筋にまつわる豆知識が得られる。右手のページにはカラーのわかりやすい図と、丁寧に手技の方法まで書いてある筋もある。とくに周りの筋との関係がわかるように他の筋が透かしになっている点が個人的にはありがたい。ただ個別のページにその筋の関連痛の図示などがあればもっとありがたかった。
通読するというより、気になったときに辞典のように参照するのがいいと思う。P25には「症状から予測されるトリガーポイントの部位」と題し、息切れ・咳・下痢・顎関節症・歯痛、etc. さまざまな症状が列挙されていて参考になる。もちろんTPだけで全て説明できるものではないが(この本でも注意点として、他疾患と鑑別することを促している)、軟部組織のトラブルをみる上で、優れたパターニング方法であることは間違いない。
(塩﨑 由規)
出版元:マイナビ出版
(掲載日:2022-04-04)
タグ:トリガーポイント
カテゴリ 身体
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