バイオメカニクス 人体運動の力学と制御
David A. Winter 長野 明紀 吉岡 伸輔
人間の動きをバイオメカニクス的に解析する場合に必須となる基本知識がまとめられているのが本書である。信号処理の方法から、順動力学解析、筋電図のデータ処理の方法など、かなり専門的ではあるが簡潔な記述により、深い理解を得ることができるだろう。
読みこなすには数学的な理解と人体や運動に関する知識が必要となる。なお、訳者序文において原著の紹介がなされている。「初学者に通読できるほどわかりやすく丁寧で、それでいてバイオメカニクス分野の奥深さを感じさせる内容に深く感銘を受けた」「バイオメカニクスの専門書として初めて読んだ本が本書であり、習得のしやすさを実際に体験している」。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2011-07-10)
タグ:バイオメカニクス 入門
カテゴリ スポーツ医科学
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歩き始めと歩行の分析
江原 義弘 山本 澄子
“二足歩行”という移動手段は、非常に特徴的で複雑なものである。もちろん人間にはその他さまざまな動きが可能であるが、基本的動作能力(寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がり・立位保持・歩行)にも含まれる通り、歩行は人体がつくり出す動作の基本である。そして、これが正しく行えるかどうかで、その他の動作・活動に大きく影響が及ぶのである。高度な身体運動を必要とするスポーツ活動において、「正しい歩行が行えるかどうか」が大きく関わってくるのも当然である。
本書では、“歩き始め”を含め、歩行に関する人体のメカニズムを力学的見地から説明している。一般的に行なわれている動作観察では、身体の部位の位置変化を眼で見ることはできる。しかしそれ以前に、各部位へどのような力が加わり、重心がどう動き、どこの筋肉が収縮することによってその動きが起こっているのかは目に見えない。そこを力学的にわかりやすく説明してくれているのである。歩行というものをしっかりと理解したいとき、大変役に立つはずである。
(宮崎 喬平)
出版元:医歯薬出版
(掲載日:2012-06-04)
タグ:歩行 バイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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強くなる近道 力学でひもとく格闘技
谷本 道哉 荒川 裕志
著者の1人、谷本氏は空手の選手として稽古に取り組んでいた。現在ではスポーツバイオメカニクスや筋生理学の研究者である。また、もう1人の荒川氏はプロの格闘技の現役選手であり、研究者でもある。この2人が『格闘技通信』で連載した内容に加筆・修正を加えたものが本書である。
より効果的な突きや蹴りが、どのようなメカニズムで生まれているか、また現場で使われるさまざまな表現を力学的な観点から解説していく。
著名な選手、伝説的な格闘家の動きについても多くの記述があるが、著者らの「強くなるためにどうすればよいか」という執念に基づくものではないかと感じられた。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:2009-06-10)
タグ:力学 トレーニング スポーツバイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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跳ぶ科学
宮下 充正 深代 千之
理想的に「跳ぶ」ことを分析した数々の結果が掲載されている。
またページ数は少ないが、当時のIT環境を考えると時代を先取りした指導の提案もされている。
経験や勘もきちんと検証され、トレーニング科学で分析された結果と合わせて、上手に利用することができれば、指導力や効率がさらに上がり、世界に通じる競技者を育てることができるのではないか。
研究者だけでなく、指導者にも科学的思考が必要である。
(澤野 博)
出版元:大修館書店
(掲載日:2012-10-13)
タグ:トレーニング科学 バイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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バイオメカニクスで読み解くスポーツ動作の科学
深代 千之 川本 竜史 石毛 勇介 若山 章信
最初に身近な例を用いた問題を示し、それに対する答え、さらに解説という形で構成。スポーツ動作や人体について、バイオメカニクスの立場で読み解いていくが、扱っている内容は広いが理解しやすい。
本書はバイオメカニクスの考え方をわかりやすく伝えている。序章でスポーツバイオメカニクスの魅力について4項目が挙げられているように、謎が解けたり、意外な発見があったりすることが実感でき、より身近に感じられるようになるだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東京大学出版会
(掲載日:2012-10-15)
タグ:スポーツバイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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Japanese Journal of Sports Sciences誌
日本バイオメカニクス学会
一般には、科学雑誌の創刊が相次いでいるが、スポーツの分野で新たに2誌が創刊された。ひとつは「Japanese Journal of Sports Sciences」である(日本バイオメカニクス学会編集、ソニー企業株式会社発行、月刊、A4判、77頁、800円)。
内容は、特集(創刊号は「脳は身体行動をどのようにコントロールしているか」)のほか、国内スポーツ情報、海外情報、学会報告、Case Study、原著論文、海外文献情報、Athletic Training誌からの転載記事、Book Reviewなどがある。「創刊に当たって」で宮下充正氏が「バイオメカニクスが学際的学問であり、応用科学であるということを考え合わせるならば、このJournalの内容は学術的水準を保ちながら、しかも学問的背景の異なる多くの人々に理解できるものであるべきだということになる」と述べている通り、これからいろいろな人たちがこのJournalに参加し、文字通りSports Sciencesの世界が広がることが期待される。誰もが気軽に読めるというものではないが、スポーツ科学に関心を抱く若い人たちには刺激にもなるだろうし、活動の場にもなるだろう。
(もう1つの雑誌については、別の項目に移した)
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日本バイオメカニクス学会
(掲載日:1982-10-10)
タグ:バイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ・バイオメカニクス入門 絵でみる講義ノート
金子 公宥
最近はスポーツ科学の分野において「バイオメカニクス」という言葉がよく聞かれるようになり、日本バイオメカニクス学会編集の「Japanese Journal of Sports Sciences」という月刊誌も発行されている。しかし、バイオメカニクスといわれてもまだピンとこない人も多いのではないだろうか。
本書は「絵でみる講義ノート」という副題が示す通り、筆者が大阪体育大学で用いたプリント資料に若干の手を加えたもので、それだけにとても簡明に書かれている。
「図表を多くして説明を添え書きていどにとどめたのは、これまでの指導経験を通して、その方が学生諸君に歓迎されることを知ったからである。ほとんどの体育専攻学生は、厳しいスポーツ活動を通じて相当に高度な、そして専門的な知識を身につけている。それだけに、遅々とした理詰めの講義よりも、図によって結論的な事柄を提示し、多少理論の飛躍はあっても、自由奔放な解説によって感覚に訴え、共に考えるような講義の方を好むようである。指導者にとっても、“絵”をめぐって自由な話の展開ができるという点で好都合かと思われる」(はじめにより)とその背景が述べられているが、首肯される人は多いだろう。
序章で述べられている「スポーツ・バイオメカニクスは『Why』の疑問に挑戦することが目的であるが、その結果は、どう指導するかの『How』に役立つことが多い」の言葉通り、スポーツ・バイオメカニクスはこれからのコーチングその他の指導に不可欠である。しかし、内容がかなり高度なので、ある程度の素養が求められる。このようなわかりやすい、視覚的に捉えられる書がどんどん出てくることが望まれる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:杏林書院
(掲載日:1983-09-10)
タグ:スポーツバイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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格闘技「奥義」の科学
吉福 康郎
私は今、ボクサーのトレーニング指導をさせてもらっています。「いかに効率よく相手にダメージを与えられるか?」ボクシングという複雑な競技特性を踏まえ、身体づくりを行っています。
「思いっきり殴ればいいやん!」以前、言われたことがあります。相手が止まっていて、反撃してこないのであれば可能でしょう。しかし、現実は相手も攻撃をしてきますし、こちからの攻撃に対して防御をしてきます。当然こちらも相手の攻撃に対し、防御をしないといけません。まさに攻防一体です。
本書はボクシングだけでなく、格闘技の要素、殴る、蹴る、投げる、受けなど幅広い要素を科学的な目でみた内容が書かれています。派手なデモンストレーションの裏ワザ的なことも…。バイオメカニクスの部分と合わせて書かれていますので、より効率的な動きづくりを考えていく上で内容の濃い一冊になっています。
(大洞 裕和)
出版元:講談社
(掲載日:2014-03-18)
タグ:格闘技 バイオメカニクス
カテゴリ 運動実践
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骨格筋のバイオメカニクス 筋線維から運動協調性まで
Vladimir M. Zatsiorsky Boris I.Prilutsky 関屋 昇 宮川 哲夫 高橋 正明
同じ著者の「身体動作の運動学」に続いて邦訳が出版された(原書では3部作の3巻目に当たる)。基礎を理解している人向けに、筋の生体力学的機能にフォーカスして、理論と実験的事実を体系化している。1章前半にて筋の構造、腱の特性などを理解した上で、筋収縮、遠心性筋活動、緊張力の関節トルクへの変換、二関節筋や筋協調性のバイオメカニクスについて学べる構成となっている。
教育背景にかかわらず、最先端の研究論文を1人で読み解けるように、という著者の狙いのもと、さまざまな工夫がなされている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2015-08-10)
タグ:バイオメカニクス 筋 腱
カテゴリ スポーツ医科学
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武道vs.物理学
保江 邦夫
バイオメカニクスは人の動作の仕組みを物理学の手法を使って解明しようとする営みである。我々トレーナーにとっては運動指導をする上で避けては通れない重要な分野であるが、トレーナーを目指す学生はもとより、資格を取得済みの現役トレーナーにとっても非常に難解な分野である。
本書では、武道の技を物理学とバイオメカニクスによって分析していく。が、武道という伝統を重んじる領域で、話が突拍子もないところへ飛ぶ。飛びまくる。
たとえば柔道の投げ技をロボット工学で分析し、ブラジリアン柔術とフィギュアスケートの共通点を指摘し、果ては空手の突きを宇宙物理学で論じる始末である。最終章では筋電図まで出てくる。物理の範疇を越えているではないか。
ところが驚いたことに、そのような目まぐるしい展開も、筆者の軽妙な語り口(本なので文章なのだが)のおかげでストレスなく読み進めることができた。読み終わった感想は「なんだ、物理学ってそんなに難しいものじゃないんだな」である。
私自身、学生時代は教科書とにらめっこしてただ唸るしかなく、試験はほぼ丸暗記で耐えていた側の人間なのだが、本書を読んで「あのときのあれは、こういうことだったのか」と理解することができた。
あなたがバイオメカニクス分野に苦手意識をお持ちなら、手に取ってみてはいかがだろうか。
(川浪 洋平)
出版元:講談社
(掲載日:2021-06-03)
タグ:スポーツバイオメカニクス 武道 物理学
カテゴリ スポーツ医科学
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姿勢と運動の力学がやさしくわかる本
勝平 純司 山本 敬三 江原 義弘
この書籍は、バイオメカニクスの基本を、イラストを使いイメージしやすく初心者が理解するために書かれた一冊です。全6章のパートに分かれており、1章から順を追って語句が解説されており、物理学をおさらいするにも適した書籍です。
第1章は「力と重心」として重心位置の解説や、ベクトル・力のつり合い・作用反作用の法則といった、重さが働くとどのように変化するか解説されています。第2章は「床反力と身体運動」として床反力や床反力ベクトルといった床から受ける重心位置の移動について、第3章は「並進運動と運動の法則」として、速度と加速度や慣性の法則・並進運動といった移動に伴う速さについて解説されます。第4章「回転運動とモーメント」では、テコの原理をモーメントやレバーアームといった力のつり合いについて、第5章「エネルギーとパワー」ではパワーや仕事率、力学的エネルギーといった物体を動かす働きについて、最後の第6章「運動量と力積」は、運動量とは何かについて、ジャンプ動作と力積が解説されています。
中学校時代に習った物理学の単語も数多く使われていることがわかります。表紙にも医療従事者や介護関係・スポーツトレーナーなどにお勧めと書かれており、イラストの豊富さが振り返りの学びによく合います。本書を手に取っていただき、物理学の視点から現場に活用していただきたいと思います。
(中地 圭太)
出版元:ナツメ社
(掲載日:2021-12-20)
タグ:バイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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