スポーツニュースは恐い
森田 浩之
著者の森田氏は“スポーツマンニュース”にたびたび見られる日本人のイメージ作りが、ときに不自然に感じるという。たとえばシーズンオフに日本からMLBに移籍する選手に対して、「日本食が食べられるか」という食事の心配や、「言葉は大丈夫なのか」と、日本人だからこその心配をする。それをメディアは毎回のように取り上げ、情報を受け取る側の人間に対して私たちが日本人であることを確認させる。だが実際、MLBに移籍をすれば日本食に困るということはあまりないし、英語を話せない他外国の選手はいくらでもいるし、それはもう特別なことではない。だがそうした小さな心配をきっかけに、メディアは物語をつくり過剰に日本人を意識させ、イメージさせる。
著者が何を言いたいのかというと、スポーツに関するニュースをきっかけにメディアリテラシーを養っていくことが大事ということだそうで、楽しいスポーツニュースだけに限らず多くの情報の中には、ステレオタイプに、またサブリミナル的に「日本人」が供給されているという。だからこそ情報をうのみにせず、批判的に見ていく姿勢も必要となる。メディアリテラシーはもはや、学校教育に限定されたものではない。
2007年9月10日刊
(三橋 智広)
出版元:日本放送出版協会
(掲載日:2012-10-12)
タグ:メディア リテラシー 日本人
カテゴリ その他
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スポーツニュースは恐い
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日本人が知らない松坂メジャー革命
アンドリュー・ゴードン 篠原一郎
2006年4月カンザスシティロイヤルズの本拠地カウフマン・スタジアムにいた。興奮と緊張さめやらぬスタジアムは…寒い。観客のほとんどはニット帽、手袋、ジャンパー、さらには毛布を持参してかけている人たちもいた。
とてつもなく寒い中、お目当ての選手があらわれた。
日本時代の青と白のユニフォームからグレーと赤色に変わったユニフォームに袖を通した、背番号「18」が登場。大きな歓声とは対照的に、静かに落ち着いて見える一人の日本人ピッチャーがマウンドに姿を現した。松坂大輔投手(ボストンレッドソックス)である。松坂投手は、マウンドに向かうとき、3塁線を片足(右足でとび、左足で着地する)で飛び越える動作を必ずすることに気づいた。彼にとってこの動作には一種の願掛けの意味を持つのだろうかという思いで彼の行動ひとつひとつを観察していた。
試合終了後にESPNを偶然目にして、彼は試合中に笑っていた。この笑みが意味するのは本人にしかわからないだろうが、余裕があったのか? 心の底からベースボールを楽しんでいるのか? 相手のレベルの高さにゾクゾクするというような意味での笑みだったのか?
実際にスタジアムに行くことによって感じること、連日放送されるスポーツニュースを見ることでしかわからないこと、そして、書籍を読むことで知ることができること。
ボストンレッドソックス松坂大輔の一挙手一投足、それをとり囲む日米のメディアと日米ファン。レッドソックスの試合の全米ネットワークや日本での放映権、選手たちの番組出演の際の収入はどうなっているのか。文化や地域にとらわれないスポーツのある生活の大切さと意味。まだ「知らない」ことを知るきっかけになるのでは。
(大塚 健吾)
出版元:朝日新聞社
(掲載日:2012-10-15)
タグ:メディア スポーツビジネス
カテゴリ スポーツライティング
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