スポーツ障害予防のための最新トレーニング
福林 徹 今井 純子
本書は、今までのアメリカ流のスポーツトレーニングやスポーツリハビリテーションとは異なり、バランスや人と人とのコンタクトを重要視するドイツ的な障害予防のためのトレーニング本である。ドイツのリハビリテーショントレーニングと聞くとアウフバウトレーニングを思い浮かべるが、アウフバウトレーニングを行うにあたり本書を理解しておくと、より深く処方・実践できると思う。
内容は大きく2部構成されていて、前半は解剖・予防措置・リハビリなどの理論的内容と、後半は多数の写真と図表を用いて運動指導者にもわかりやすく解説した実践内容となっている。障害の頻度に応じ、重点を下肢・体幹においているが、上肢・その他にも応用ができるものである。
前半では基礎解剖や予防措置、主な障害と問題を説明しているが、わかりやすいように逐一実際の例も掲載されていてイメージしやすい。実践の手引きとして障害後の総合的トレーニングプランとして段階を踏んだプロトコルも掲載されており、後半の実践編から目的のトレーニングをピックアップできる。
後半は実践編となり、トレーニングとストレッチが写真と図表を用いて説明されている。目的が明確に示されており、また一つ一つの動きについて繊細で指先までに注意が払われているところはドイツらしい感じがする。特殊な手技や高価な器具を使う必要がなく、どんな現場でも行えるものとなっており、障害予防やリハビリに携わる方は一読されることを勧める。
(安本 啓剛)
出版元:文光堂
(掲載日:2011-12-13)
タグ:トレーニング 傷害予防 リハビリテーション スポーツ医学
カテゴリ トレーニング
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知っておきたいスポーツ傷害の医学
シルヴィア ラックマン 石河 利寛
本書はイギリスのスポーツ障害研究所で9年間、6000人もの患者を診てきた筆者の経験を持って執筆されたものである。
第1部では、骨や筋、靱帯や神経の機能解剖や創傷治癒の過程に始まり、そのような過程に対する理学療法や薬物の適応方法について説明してある。さらに、各組織(皮膚・筋・骨など)に対する一般的な処置方法が載っている。ところどころにボールペンで書いたような図が出てきて分かりやすい。
第2部では、診断や検査の方法から始まり、足から頭までの障害について部位別に皮膚・筋・腱・靱帯・滑液包・関節・骨・神経の順で述べてある。これを読んでいたとき、目の前で応援していた選手が鼻を骨折した。本書では「患者に腫脹が起こる前に耳鼻咽喉科医を訪れると鼻骨折を直ちに処置することができます。…遅れて骨が定着し始めると、処置が困難になったり、処置不能となります」とある。おかげで何科に行くべきなのか、どのような救急対応が必要で選手にどう説明するべきなのか判断することができた。
スポーツを行っていると、どうしても避けられない外傷・障害はあるだろう。しかし、ある程度減らすことはできると思う。そのためには選手、そしてコーチ・医師・トレーナー・理学療法士を含めたスポーツに関わる我々が、根拠に基づいた医療(Evidence-based medicine、EBM)を理解し、適応できるかが、ことを大事に至らせないために大切である。本書はそのような外傷や障害を予防し、また適切な治療を行うための根拠がわかりやすく解説してある。自分の身体を理解し、スポーツをより多くの人に長く楽しんでほしいという筆者の思い、この本とともに広めたい。
(服部 紗都子)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:2012-01-18)
タグ:スポーツ医学 傷害予防 理学療法
カテゴリ スポーツ医学
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図解 最先端テーピング術
岩崎 由純
表紙を見たときは、タイトル通り確かに今までにないテーピングだと思った。
ただ内容的には、この手の伸縮性のあるテーピングの書籍と基本内容は同じように感じた。筋肉の走行に沿ってテーピングし、筋肉を支持、補強、姿勢・動作矯正、疼痛抑制作用などを目的にテープを貼る。
表紙でみた背部に貼った巨大なテーピングは著者が開発した150㎜幅のもので、この超幅広のものは見たことがない。体幹などの大きな筋肉に対して有効のようだ。
私の勉強不足か最先端という言葉には疑問が残るが、内容的にはとてもわかりやすいものである。なるべくシンプルに貼れるようになっていて、オールカラーでほぼすべての写真に解説つきである。初心者には知っていると役に立つ豆知識などが点在していて伸縮性テープの他書籍と比べても良書と思う。
シンプルで誰でもできるようになっているのでテーピングは苦手という方もこれを読んでケガの予防、パフォーマンスアップにつなげてみては。
(安本 啓剛)
出版元:東邦出版
(掲載日:2012-02-07)
タグ:テーピング 傷害予防
カテゴリ アスレティックトレーニング
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スポーツ現場の傷害調査 ケガの予防につなげるための取り組み
砂川 憲彦
スポーツにケガはつきものです。ケガを恐れたぬるい練習では強くなりません。また、プロスポーツにおいて、ケガを恐れた中途半端なプレーで人を感動させることはできないでしょう。
だからといってケガをする状況を放置しておいてよいはずもありません。
無事これ名馬、との言葉どおり、優秀な選手はケガが少ないと言えます。しかし、ケガの原因を個人の資質のみに求めるのは無理があります。選手が安全に、安心できる環境があってこそ自身の限界に挑めるのであり、スポーツ選手に関わる人々は、そのような環境を常に構築、保持していかなければなりません。個人の感想ですが、選手が安全安心と感じる環境を提供できている現場はケガが少なく、たとえケガをしたとしても治癒が早い印象を持っています。
本書は、選手が安全に、安心を感じるための環境づくりの礎として、自分の関わる場においてどのような傷害がどのように起きているのかを、科学的に把握する方法を解説したものです。 他の解説書と一線を画すのは、著者の取り組みにおける悩みや、試行錯誤が語られており、これから傷害予防に関わろうとする者の心情に沿ったものになっている点であると言えます。
チームで起こっているケガを把握するための第一歩として最良の一冊であると言えます。
(永田 将行)
出版元:ブックハウス・エイチディ
(掲載日:2018-05-17)
タグ:傷害調査 傷害予防
カテゴリ スポーツ医科学
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