江戸人の老い
氏家 幹人
また寿命が延びたそうだ。 100歳を超える人は日本に13,000人以上いるとも言われる。1947~51年の「団塊の世代」もすべて50歳代になった。一方で、老人医療費は、国民医療費の約1/3(約10兆円)を占め、しかも年々増加している点が間題にされている。
では江戸時代はどうだったのか。この本、タイトルそのもので、江戸時代の「老人」を描写する。70歳で約7万字の愚痴に満ちた遺言をしたためた老人(実は、極めて著名人)、ひときわ体格に優れ、圧倒的な筋力もあった徳川吉宗の「中風」後のリハビリテーションの模様、そして老後も「不良隠居」などと言い存分に楽しんだ人たち。文献から浮かび上がってくるこれら「老人」の姿は実に興味深い。
いかなる人も老いていく。そして、確実に死ぬ日を迎える。それは誰もが知っていることである。
では、実際に老いていく自らをどう処していくか。あるいは「平成人の老い」と「江戸人の老い」は何が違うのか。この本を読みつつ、つらつら考えるのもよいだろう。
新書判 212頁 2001年3月1日刊 660円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:PHP研究所
(掲載日:2002-10-03)
タグ:加齢 江戸
カテゴリ 身体
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シェパード老年学 加齢・身体活動・健康
Shephard,Roy J. 柴田 博 新開 省二 青柳 幸利
加齢学、老年医学を専門としているトロント大学教授のシェパード博士によって上梓された『Aging, Physical Activity, and Health』の日本語版。人口学、老年社会学、経済学などを含め学際的に広い領域をカバーしている。
本書は3部で構成されている。第1部では高齢者を定義し、生物学的年齢と寿命の個人間における差において性、遺伝、経済的影響および身体活動がどう寄与しているかを考察、第2部では高齢者の定期的な身体活動と健康の相互作用を検討している。また、第3部では高齢化社会の経済的および社会的影響についてまとめている。
「生体機能が低下することに対する魔法の解決策は与えられていない。たとえ身体的に活発な個人であっても老化はしつづけるであろう」とシェパード博士は序文で触れているが、「定期的な身体活動あるいは適度なトレーニングにより、生理的な作業能力を10~20年遅らせることができる」とも言う。本書は高齢者の身体活動にも重点が置かれている。運動指導やリハビリ等の関係者には目を通してほしい内容である。
ロイJ.シェパード著、柴田博・新開省二・青柳幸利監訳
2005年8月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:大修館書店
(掲載日:2012-10-10)
タグ:老年学 加齢 トレーニング 健康
カテゴリ 医学
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老いない体をつくる
湯浅 景元
中京大学体育学部の湯浅教授が、老いない体をつくるためのポイントをまとめている。副題は『人生後半を楽しむための簡単エクササイズ』。体力、持久力、筋力、柔軟性、敏捷性のつけ方を始め、物忘れしない脳やよく見える目、自立できる脚のつくり方について、エクササイズを紹介しながら解説している。
本書で勧められているのが、エンジョイ・エイジング。老いに対抗心を持つことがストレスを強めることもあることから、「老化から完全に解放されることがないのなら、思いきって老化を楽しんでみるのはいかがでしょうか」と提案する。
本書で取り上げられているエクササイズは、日常に無理なく取り入れることができるものばかりである。同氏の老化への捉え方は一貫して前向きであり、一読すれば健康で元気な生活を送るためのヒントが多く得られるはずである。
2005年6月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:平凡社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:加齢 健康
カテゴリ 身体
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骨博士が教える「老いない体」のつくり方 実践編
鄭 雄一
本書は、老化に関して骨・軟骨との関係性に焦点を絞り解説している。
著者は、老化と骨・軟骨への読者の根本的な理解を促し、その上で何が本当に必要なのかを提示する、といった非常に論理的で根拠に基づいた、段階的な説明の仕方をしている。これにより、読者自身がしっかりと納得・理解した上で、安心して読み進めて行けるような流れを作っている。
さまざまな情報が混在する現代社会において、いかに正しい情報を収集し、賢く老化と付き合いながら充実した人生を送るかについて指し示す1冊である。
本書を開くと各項目が見開き1ページに収めてあり、読者が読みやすいよう、また項目ごとにいつでもすばやく開けるように配慮されている。イラストも豊富で、視覚的に理解しやすくなっているのも嬉しい点である。さらに、ほとんどのページにはその項目で述べられた内容がわかりやすく3つにまとめられた“Point”が記載されており、そこを読むだけでもざっくりと内容を振り返れるため、より読者の理解を深めるのに役立っている。
(藤井 歩)
出版元:ワック
(掲載日:2012-09-11)
タグ:加齢 運動
カテゴリ 医学
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