運動科学 アスリートのサイエンス
小田 伸午
普通、運動学の教科書というのは、幾何学・力学・解剖学・生理学というものをベースに書かれている。その全てをしっかり理解してこその運動学であるから、どうしてもかなりの情報量になってしまう。この書籍の特徴を一言でいうならば、そんな多くの情報から「面白いっ!」というような情報を抽出して書かれたものになっている。「筋が生み出す力について」「運動時に使うエネルギーの“実は…”」「二軸動作の正体」「なぜ日本人が速く走れていないのか」など、興味を引くトピックばかりで構成されているのだ。
著者は京都大学大学院人間・環境学研究科助教授(執筆当時)。つまり京大の講義が体験できるのである。これだけでも、一読の価値がある。もちろんわかりやすく説明されているが、きちんとしたエビデンスと、面白く、知的な文章で書かれてある。私も人間の動きについての本をいくつも読んできたが、「そうだったのか」と気づかされるような情報が多く載っていた。人の身体についてよく勉強されている方にも読んでみていただきたい。
(宮崎 喬平)
出版元:丸善
(掲載日:2012-02-15)
タグ:スポーツ科学 二軸動作
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:運動科学 アスリートのサイエンス
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
運動科学 アスリートのサイエンス
e-hon
ブロッキング技術トレーニング
籾山 隆裕
陸上競技のみならず、あらゆるスポーツ動作が滑らかに、効率よい動作になる加重のライン「ブロッキング・アクシス(軸)」について、CD-ROM付きで、具体的に解説(動画)。すぐに試してみたくなる理論!
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:陸上競技社
(掲載日:2002-10-10)
タグ:動作
カテゴリ 運動実践
CiNii Booksで検索:ブロッキング技術トレーニング
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
ブロッキング技術トレーニング
e-hon
匠の技 五感の世界を訊く
田中 聡
幻の三代目豆腐職人
豆腐屋の長男として産まれた私は、いずれ「板井豆腐店」の三代目として豆腐職人になるはずだった。
うちの豆腐は「大豆の風味がよく生きていて旨い」と評判だったようだ。ところが時代とともに近代的機械を使った量産化の波が押し寄せ、しかしそれに乗らずに一家の手作業だけでつくった豆腐を細々と売るだけではやがて立ち行かなくなってしまったらしい。私が4歳の頃、父親が豆腐職人からサラリーマンに身を替えて家計を支えることとなり、豆腐屋は廃業するに至った。そのため豆腐屋の三代目を名乗ることはできなくなったが、逆に家業に縛られることもなくなった。お陰で好き勝手な進路へ進ませてもらうことができ、現在のような立場に身を置いて好きな棒高跳びも(たしなむ程度ですが)続けたり、学生の練習指導を(冷やかし程度ですが)することができているのである。
独特の動きとリズム
おぼろげだが、豆腐をつくっている祖父や両親の姿を、祖母に背負われてワクワクしながら眺めていたのを覚えている。大豆を茹でて擂ったものを入れた麻袋を搾ると、後にはオカラが白い固まりとなって残されている。白く濁った液体しかないと思っていた袋の中から固体が取り出される瞬間が手品のようで面白く、せがんでやらせてもらうのだが、ほんのちょっとしか搾れず麻袋はまだ水っぽくてブヨブヨしている。代わって父がやると信じられないほどたくさんの搾り汁が取れ、カラッカラのオカラが出現するのだ。また、できたばかりの豆腐が、水を一杯に張ったフネと呼ばれる容器に放たれ、ゆったりと水の中で横たわっている姿は、何か巨大な生き物が水槽で泳いでいるようで幻想的だった。そして、そのとてつもなく大きな豆腐を祖父は左手1つで自在に操り、右手に持った包丁でスイスイと所定の大きさに切り分けてしまうのである。
うちのほかにも近所には建具屋、鍛冶屋、銅板屋、のこぎり屋、床屋があって、職人のオジちゃんたちが独特の動きとリズムを持って働いている姿はいつまで見ても飽きることはなかった。
また不思議だったのは、彼らにどんな質問を投げかけても、その都度子ども心にもストンと腑に落ちる答が返ってきたことだ。この人達は皆、今している作業の行程全体での位置づけがすべてわかっていて、作業の細部を見つめたり全体を俯瞰したり、意識を自在に行き来させることができていたのに違いない。つまり、基礎を踏まえているからこそ、どんな質問がきても相手の力量に応じた言葉で答を探し出してくることができたのだと思う。
一流アスリートとの共通点
そう考えてみると、昨今の日本の一流アスリートには、上記のような職人的雰囲気を漂わせている人が多いように感じられる。競技へ取り組む態度というか、行為の認識の仕方が非常に似ていると思うのだ。 動作はどれも簡単で自動的にやっているように見えるのだが、実は一つひとつに長い年月をかけて培われた基礎があるからこそのものである。それらは、容易に真似などできっこない動きであり、淀みなく美しい立ち居振る舞いでもあるのだ。
本書は、職人的仕事を生業とする人たちはどんな身体感覚を持っているのか、「五感のいずれかが鍛え抜かれているプロフェッショナル」な超人たちの話を訊き集めたものだ。
「生業のなかで特殊なまでに鍛えられた鋭敏な」感覚を持った人たちの話がテンコ盛りに盛り込まれ、ワクワク感に満ちた一冊となっている。
(板井 美浩)
出版元:徳間書店
(掲載日:2007-08-10)
タグ:身体感覚 職人 動作
カテゴリ 指導
CiNii Booksで検索:匠の技 五感の世界を訊く
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
匠の技 五感の世界を訊く
e-hon
動く骨・コツ 野球編
栢野 忠夫
スポーツを指導する際に一番難しいのは動きのコツ。指導者が競技経験を有していても、それをじょうずに伝えることが困難なときがある。たとえば野球における動きのコツとは何か。本書の副題は「骨格操作で〈走・打・投〉が劇的に変わる!」。ここで使われる体幹内操法という言葉は、骨格のじょうずな動かし方。また体幹部を源として骨格を操る感覚で動くメソッドとつけ加えることができる。身体操作の基本動作には屈曲、伸展、側屈の動作を融合したものがあり、それらを融合し進展させたものが2種類の釣り合い歩行。
詳しいことは本書を参考にしていただくとして、ここで紹介されるエクササイズには日常動作からスポーツ領域における動きの要素が集約されている。DVD(50分)も付録し、写真、イラストで紹介しているのでわかりやすい。“野球を何年も続けていても上達しない”、“もっと動きの世界を広げてみたい”という方に読んでほしい一冊だが、指導者にこそ読んでほしい野球の動きの骨・コツ。ぜひ一読願いたい。
2007年6月16日刊
(三橋 智広)
出版元:スキージャーナル
(掲載日:2012-10-12)
タグ:動作 コツ 野球
カテゴリ 身体
CiNii Booksで検索:動く骨・コツ 野球編
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
動く骨・コツ 野球編
e-hon
誰でもわかる動作分析 私もこれで理解できました
小島 正義
この本の著者である小島氏の職業は作業療法士。小島氏は「まえがき」で、地球上の生物は、「ある法則」に基づいて動いており、生物の動きはその「ある法則」で説明できると言う。ただ、物理学や運動学、人間工学の用語を用いると、とたんに難解になる。
そこで簡単に「よりわかりやすく」理解できるようにまとめられたのがこの本である。たしかに読み進めていくと、頁を専門用語が埋めることもなく、実にわかりやすく、イラストを豊富に使い、身近な事柄を例にあげて説明されている。たとえば、ハンマー投げと砲丸投げの動作からわかった「反対の法則」など、思わず、「なるほど」とうなずいてしまう。
序章と最終章を含め、全11章でまとめられ、各章の最後には、まとめが記されている。さらに「実習」の頁があり、読むだけでなく、実際にその法則や動作を体感することもできる。スポーツの動作解析というよりも、小島氏が作業療法士という立場から、人間の動作という点に重点を置いているため、介護やリハビリ、高齢者の動きといった面から説明されている。
動作分析を読み解く「法則」を理解すると、日常の動きだけでなく、もちろんスポーツ動作も理解できる。スポーツの指導にも活かせる。「動作分析は、むずかしそうで……」という方。「私もこれで理解できました!」
2008年9月10日刊
(田口 久美子)
出版元:南江堂
(掲載日:2012-10-13)
タグ:動作分析
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:誰でもわかる動作分析 私もこれで理解できました
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
誰でもわかる動作分析 私もこれで理解できました
e-hon
天才キッカー 岩本輝雄のサッカーキックバイブル
岩本 輝雄
サッカーの本場ヨーロッパで「うまい・賢い」と呼ばれる選手は日本のそれとは少し異なる。日本の場合はいわゆる足技に着目するが、ヨーロッパでは、どのような状況でもしっかりボールを止めて、蹴ることのできる選手を指すことが多い。この著書は、世界レベルを実体験として持っておられる岩本輝雄氏ならではの構成となっている。
岩本氏と言えば、日本代表に選出された94年以降、キック・シュート力の素晴らしさが群を抜いていた。今の若い世代の選手にはわからないかもしれないが、現在のJリーグの選手と比較しても、そのシュート力には目を見張るものがあった。
その岩本選手が現役時代、とくに重要視してきたキックとトラップのバイブルがこの著書である。本の最初に「止める、蹴るができなくては話にならない」と強調するほどこだわってきたキックとトラップ。そのトレーニング方法、各キックにおけるポイントとアドバイスが細かく説明されている。たとえば2種類のインステップキックに関しては、どの場面で用いるのか、という使い分けについても説明されており、キックと動作をうまく行うだけでなく、試合の中でそのキックをどのように活かして行くのか、という点まで考慮されている。この点は、選手のみならずサッカーを根本から理解したいと思っているトレーナー、トレーニングコーチの方にもお勧めである。
また、DVDによって文中の説明を動作として見ることもできるため、とくにサッカーを始めたばかりの選手には教本ともなり得る1冊である。
(太田 徹)
出版元:カンゼン
(掲載日:2012-10-13)
タグ:サッカー キック動作
カテゴリ 運動実践
CiNii Booksで検索:天才キッカー 岩本輝雄のサッカーキックバイブル
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
天才キッカー 岩本輝雄のサッカーキックバイブル
e-hon
誰でもわかる動作分析
小島 正義
難しいことをやさしく教えるには、相当な知識が必要である。人にものを教えたことがある人ならわかるはずである。
私は理系の人間ではない。したがって、「物理学」「運動学」「人間工学」などは苦手中の苦手である。しかしである、ほんとうに驚くべきほどスムーズにこの本は読み進むことができたのである。
「生物の動きは『ある法則』で説明できる」という。「ある法則」とは「重力」のことだ。「重力」と言っても難しく考える必要はなく、その力はいつも同じ方向に向かっているということ。つまり、重力の方向は必ず下向き(地面方向)であるということを覚えておけばよい。そこさえ頭にいれておけば、あとは「フーン、なるほど」「ああ、そういうことだったのか」のかの連発。そして、「動くことっていろいろと理にかなってるんだなぁ」という著者の思いと同じものを感じるのである。
著者は作業療法士であるので介護に携わる者はもちろん、スポーツに携わるコーチ、選手、トレーナー、トレーニングコーチ、はたまた力仕事に関わる人たち、とにかく「人間の動き」について興味のある方ならどなたでもお勧めしたい本である。とくに、私のように理系はどうも苦手という方にはありがたい。
(森下 茂)
出版元:南江堂
(掲載日:2012-10-16)
タグ:動作分析
カテゴリ 身体
CiNii Booksで検索:誰でもわかる動作分析
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
誰でもわかる動作分析
e-hon
じょうずになろう とぶこと
宮下充正 加古 里子 武藤 芳照 深代 千之
じょうずになろう とぶこと宮下充正 加古 里子 武藤 芳照 深代 千之「はえば立て、立てば歩めの親心」という。歩き始めた子どもは、やがて、とぶことに興味を持つようになる。ほんの数mの距離でも走ろうとする子どもは、さらに「とぶ」ことに一層の楽しみを見出すのである。
そんな経験をどの大人も持っているはずだが、悲しいことにいつか忘れてしまう。あるいは、小学校のときの跳び箱や走り高跳びなどで、うまくいかなかった思い出をいつまでの抱えている人もいる。
そもそもとぶとはどういうことか。「じょうずにとぶ」にはいつ、どんなことをしていけばよいのか。これは、子どもとその親のためにかかえれた「じょうずにとぶ」ための読み物の要素をたっぷり含んだ絵本である。
「とぶ」という動作がきちんとできるようになると、スポーツにおいても、また生活においても動きが美しく、ダイナミックになる。だが、私たちは「運動神経」という言葉で、そういう動きができる人とできない人を区別するが、子どものときに、できるだけ多くの動作をしておくことを抜きにしていわゆる「運動神経」で片づけるわけにはいかない。たかをくくらず、あきらめず、子どもの成長に応じた運動を考える意味でも、この本は親や先生、また子ども自身にも読んでいただきたい。
監修宮下充正、え加古里子、ぶん武藤芳照、深代千之
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:評論社
(掲載日:1983-02-10)
タグ:跳躍 基本的動作 発育発達
カテゴリ 運動実践
CiNii Booksで検索:じょうずになろう とぶこと
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
じょうずになろう とぶこと
e-hon
誰でもわかる動作分析II
小島 正義
動作分析というと、画像を撮り比較分析する手法が多く、設備や機材がないと難しいイメージがある。実際の動作分析で最も大切なことは、「動作をみる」ということだ。動作を見るポイントは、なかなかわかりづらく職人的な気がする。この本はそういった考えを払拭する「動作を見るポイント」が誰でも理解できるように書いてある。
著者である小島氏は作業療法士で、千葉・柏リハビリテーション学院の先生であり、ホームヘルパーの養成課程の講師でもある。前著『誰でもわかる動作分析 ―私もこれで理解できました―』の著者でもある。その続編としてこの本が刊行された。
氏が学生を指導する中で伝えにくい「クラインフォーゲルバッハの概念」をわかりやすく説明するために考えだした「やじろべえの法則」「反対の法則」などさまざまな法則が書かれている。これらの法則を理解すると、動きの本質を理解することができ、調整力、バランス、スタビライゼーションなどをより深く理解することができる。また、介護技術にも利用することができる。
前半部分で、知っておくとよい身体の構造、解剖学用語の説明、動きの法則が書いてある。動作分析をする前の座学といったところである。後半部分で、椅子からの立ちあがり動作を例に、チェック表を用いての記入方法や動作の見方など、動作分析の手法が書かれている。前半の座学に対して、後半は実技に相当する内容が書かれている。本書を読み終えると、動作分析ができるようになっている。
スポーツのスキル指導は、言いかえれば動作指導である。スポーツ障害の予防・治療も動作指導が多く含まれるようになってきた。さまざまな分野で動作についてのより深い理解が必要とされる。今までに、一見して動きの良し悪しを見抜き、適切なアドバイスを送る一流のコーチや指導者、医療関係者に会ったことがある人も多いだろう。そんな人たちに見えている世界がここに書かれている。病院の現場のみならず、動作に関わるスポーツの世界や介護技術に関わる人など、幅広く読んでもらいたい本である。
(服部 哲也)
出版元:南江堂
(掲載日:2012-11-15)
タグ:動作分析
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:誰でもわかる動作分析II
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
誰でもわかる動作分析II
e-hon
一流選手の動きはなぜ美しいのか からだの動きを科学する
小田 伸午
久しぶりに良書に出会えた気がする。
目次を読み進め、さらに、はしがきに入るとこの本のエッセンスをしっかり詰め込んだ文章が非常にわかりやすく記載されており、ここだけで期待が高まる本である。本の内容自体は、このはしがきにも背表紙の要約文からもすぐにわかるので、少し違った目線で紹介をしておきたい。
この本のテーマは“一流選手の動きの美しさの秘密は何か”というものだ。一流選手の動きというのは、たとえそれが、バレエやダンス、フィギュアスケートのような芸術系スポーツでなくても美しいと思える場面がある。そこには洗練された動きというものがあるが、その洗練された動きは現代のスポーツ科学が寄与していることは間違いない。“より速く”“より強く”というのは科学に支えられている一面もあるが、その裏には美しさというものも備えている。その表裏は、科学と選手の実践感覚という対極から生まれることを知らしめてくれる。その両方が生かされたときに美しさが生まれる。「科学と実践の往復の景色はすばらしく科学を無視するのではなく感覚で活かす。そんな素敵な哲学を一流選手の動作がそっと教えてくれる」と著者も表現している。
第一章では科学の主観と実践での客観のずれに焦点を合わせている。どちらが正しいという話ではなく、両方を行き来していくことで選手自身は成長をしていく。その成長こそがスポーツの持つ価値であることにも気づかされ、またこれが内面の美しさにもつながっていくというもの。
第二章に移ると、実際の選手の動き、外面からの動作の美しさに触れている。選手は自分の持つ力以外に地球環境というものを利用して美しさを形成していることが示される。自分の力と地球環境の持つ力という、考えてもみたことがないような対極の力を膝抜きという実践で紹介され、読み進めるとまさに腑に落ちる感覚を覚えた。
最終章は、スポーツと日常生活という、これまた対極の関係での身体の使い方に焦点を当てている。関節の正反対の動き、右と左、内と外のようにこれもどちらが正しい動きという見方ではなく、それぞれの持つ性質をみること、そこに主観と客観を組み合わせることで動作に美しさが伴ってくることがわかる。またその美しさはなにも選手という特別な人に与えられるのではなく、ごくごく日常の動作の中にもあるもので、身体の姿勢や、心の姿勢、つまりは生きる姿勢ということにつながる。生きるということの中にある美しさに気づく。一流選手の動きの美しさの根源は実際には日常の中にある。美しさはスポーツ選手だけの特権でもなく、「美き(よき)人生に重なっていく」という著者の言葉に、一流選手の美しさに魅了される理由がわかった気がした。
(藤田 のぞみ)
出版元:角川学芸出版
(掲載日:2014-11-18)
タグ:一流選手 動作 美しさ
カテゴリ 身体
CiNii Booksで検索:一流選手の動きはなぜ美しいのか からだの動きを科学する
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
一流選手の動きはなぜ美しいのか からだの動きを科学する
e-hon
動きを直せば心は変わる メンタルトレーニングの新しいアプローチ
徳永 幹雄
心と動きは相互に作用し合う。結果が求められるスポーツにおいては、パフォーマンスを変えるべくメンタルを変えることに重点を置くアプローチが多いが、本書は「動き」を直すことに着目している。
メンタルは実力発揮に関係するが、発揮すべき実力が磨かれている必要がある。動きといっても単なる技術練習ではなく、生活習慣なども含まれる。また、実体のメンタルについても具体的な5因子・12尺度に定義した上で、それぞれの評価とトレーニングの方法を紹介していく。
方法は多岐にわたり、著者を始めメンタルトレーニング研究に尽力した先人の存在を感じられ、それ自体にも勇気づけられる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:大修館書店
(掲載日:2016-05-10)
タグ:メンタル 動作
カテゴリ メンタル
CiNii Booksで検索:動きを直せば心は変わる メンタルトレーニングの新しいアプローチ
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
動きを直せば心は変わる メンタルトレーニングの新しいアプローチ
e-hon
アスレティック・ムーブメント・スキル スポーツパフォーマンスのためのトレーニング
Clive Brewer 広瀬 統一 岡本 香織 干場 拓真 福田 崇 吉田 早織 安藤 豪章 馬越 博久 飯田 聡 大西 史晃 越田 専太郎 倉持 梨恵子
「動作」という言葉をここまで詳細に、多角的・多面的に、そして俯瞰して解説したものは本書をおいてほかにないと言える。
競技動作全般、中でもムーブメント=「移動」スキルに関する解説とトレーニング方法が紹介されている。ムーブメントとは動きという意味以外に、「流れ」という意味もあるようだ。ラン、方向転換、ジャンプはスポーツのパフォーマンスを支える非常に重要な基礎能力だ。それらを向上させる手段を解剖学・運動生理学・バイオメカニクスにおける根拠を示しながら解説されている。
動作が年齢によりどのように発達するのかについても多くのページを割いて説明されている。これは指導者にとっても、その指導を受けるアスリートにとっても有益である。自分が指導しているアスリートの成長段階を知ることで、最適なトレーニングの種目や負荷量を自信をもって決断できる。
トレーニングにおける「動作」という言葉は、すでに広く普及している。ファンクショナルトレーニングやピラティスなど「動作を鍛える」トレーニングメソッドはいまや限られたトップアスリートが受けられるサービスではなく、スポーツ愛好家からスポーツ習慣はなくとも健康に関心の高い一般の方にも容易に体験できる時代となった。それゆえ、動作という言葉が一人歩きをしている感は否めない。本書を読むことで動作の解釈はより明確になり、応用力・運用力は確実に向上するだろう。私自身、動作という単語の定義が曖昧だったのだが、かなり明確になったと感じる。
さまざまなトレーニング方法を点とするなら、本書はそれらをつなぎ合わせ、より高い成果を生み出す線の役割を果たす。ややアドバンスな内容であるが、学びを続ける指導者にぜひ読んでいただきたい。
(川浪 洋平)
出版元:ナップ
(掲載日:2019-02-01)
タグ:動作 トレーニング
カテゴリ 指導
CiNii Booksで検索:アスレティック・ムーブメント・スキル スポーツパフォーマンスのためのトレーニング
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
アスレティック・ムーブメント・スキル スポーツパフォーマンスのためのトレーニング
e-hon
スポーツの達人になる方法
小林 一敏
バイオメカニクスの研究を長きにわたって続けてきた著者ならではのタイトル。スポーツ動作の解説に加えて終始語られているのが、「教えない指導法」の重要性で、著者はこれをコーチングの要諦であるとも述べる。力学を表現する数式が苦手という人でも“達人”への興味が湧いてくる本。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:オーム社
(掲載日:2000-01-10)
タグ:動作 コーチング
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:スポーツの達人になる方法
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
スポーツの達人になる方法
e-hon
スポーツ動作学入門
新宅 幸憲
走る・跳ぶ・投げるなどの基本動作をもとにしたヒトの動きの見方、捉え方が豊富な図やグラフを使用し、わかりやすく解説されている。スポーツ指導者、スポーツ選手にも役立つ内容。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:市村出版
(掲載日:2003-03-10)
タグ:動作
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:スポーツ動作学入門
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
スポーツ動作学入門
e-hon
スポーツ選手なら知っておきたいからだのこと
小田 伸午
“言葉”が選手を変える
「からだの力抜いていけよ!」「リラックスしていけよ!」。これは、よくスポーツ場面で聞かれる言葉である。選手のパフォーマンス向上を願って発せられる言葉だと思うが、実はよく考えてみるとこの言葉はおかしい。なぜなら、スポーツの場面でからだの力を完全に抜く場面は皆無に等しいし、第一それではスポーツという活動が成り立たないからである。単なる応援のつもりならば、こんなあいまいな言葉でも許されるだろうが、こと指導者ともなれば、この場合は「余計なところに力をいれるなよ。余分な力もいれるなよ」が正しいであろう。さらに続けるならば「そのためには、具体的にはこうするといい」とアドバイスしたいところだ。
このように、スポーツの指導場面においては、当然のことながら多くの“言葉”が用いられている。本来なら、適切な言葉でその競技スキルに見合った“力の入れ所”と“抜き所”を指導できてこそよい指導者ということになるところだが、実際には動作を見た目で言葉にして指導に使っていることも多々ある。たとえば、本 書 に は 次 の よ う な 文 章 が で て く る 。(競泳クロールの手のかき動作について)「プル(引く)という表現も要注意です。外から見るとプル動作のように見えますが、動作感覚としてはプッシュ(押す)です。水泳のかき動作は、水の中で手を後方に動かす動作であると勘違いしやすいですが、手の位置が後方に移動するのではなく、からだが前に進むのです。」とすると、たとえ選手が一流の素材を持つ選手であったとしても、指導者の観察眼が二流ならば、選手には「水をキャッチしたら自分のほうへ引っ張るんだ」と指導してしまうだろうし、トレーニングは“引く”に力点が置かれてしまうであろう。本当は、“押す”感覚が正しいはずなのに、コーチには正反対の感覚を指導された......。指導者の責任は重い。
“常歩”と“押し”
“なみあし”と読むそうである。世界陸上の200mで並み居る強敵を押しのけて堂々 3 位に入賞した末次慎吾選手が取り入れたとして有名になった“なんば”走りを本書ではこう呼んでいる。理由は「なんばというと、多くの人が(歩行などの)遊脚期の足と手が(同時に)前に出るというふうに勘違いしています。また、なんばでは、左右軸のいずれか片方に軸を固定して使う場合が多くありますが、スポーツの走動作では、左右の軸をたくみに切り替えていく動きになります。そこで、私たちの研究グループは、スポーツ向きの二軸走動作をなんばと言わずに『常歩』という言い方であらわすことにしました。」この二軸動作の詳細については本書に譲るが、ここでも前述した水泳同様に感覚の誤解を指摘しており、走動作においては“蹴る”という感覚ではなく、振り出し脚に腰を乗せていく感覚を強調すべきであると言っている。こうすると、自然に身体の軸は左右二軸となり、からだが前に出る運動量が格段と増すという。また、このときの足裏の感覚も“蹴る”ではなく“押す”、振り出した脚の膝は“突っ張る”のではなく“抜く”というのである。このような新感覚の指導言語は、正しい身体動作の理解から生まれたものである。
「コーチは選手とよいコミュニケーションを図れ」は当然のことだが、必ずしも問題の中心を指摘することがよいとは限らない。ときには、選手がうまくできない部分から意識をはずしてやり、違う言葉で正しい感覚を教授してやることも必要だ。自分の使った言葉によって、選手に新たなパラダイムシフトが起これば、指導者冥利に尽きるというものである。
(久米 秀作)
出版元:大修館書店
(掲載日:2005-07-10)
タグ:身体 動作
カテゴリ 身体
CiNii Booksで検索:スポーツ選手なら知っておきたいからだのこと
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
スポーツ選手なら知っておきたいからだのこと
e-hon