変形性膝関節症の運動・生活ガイド 第3版
杉岡 洋一 黒澤 尚 武藤 芳照 伊藤 晴夫
副題は『運動療法と日常生活動作の手引き』。第3版には黒澤尚・順天堂大学教授が編者に加わり、97年に出版された第1版、99年に出版された第2版の内容を骨格としながら、最新の研究成果で得られた科学的根拠に基づく運動療法プログラムや健康情報への対応の仕方などをQ&A形式で解説している。
「日常生活の中で治していけますか」という問いについては、関節軟骨が磨り減っていくという原因を直接治す根本的治療法がまだないこと、変形性膝関節症が高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の1つであることに触れ、「自分でやれることは自分でやっていく」という心構えが必要であるとしている。そのやれること、注意点を示しているのが本書であり、痛みの出ない階段昇降や杖の選び方・使い方、日常様式の工夫など日常生活にすぐに活かせる事柄も取り上げている。
変形性膝関節症は適切な運動によって改善や進行を予防することにもつながるが、それぞれの人に適した方法で運動を行わなければ逆に症状を悪化させることにもなる。やれることをやる前に、まず本書を一読しておくとよいだろう。
杉岡洋一監修、黒澤尚、武藤芳照、伊藤晴夫編集
2005年11月1日刊
(長谷川 智憲)
出版元:日本医事新報社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:変形性膝関節症
カテゴリ 医学
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やさしい変形性膝関節症の自己管理
鳥巣 岳彦
私が勤務する治療院には、膝の痛みを抱える高齢者が多く通院されている。そのほとんどが、「変形性膝関節症」と診断され、手術をするべきか悩んでいる方も多い。
本書は、実際に多くの方が悩んでいる変形性膝関節症について、発症のメカニズムから対処法まで、一般の方や高齢者の方にもわかりやすく書かれている。カラーのイラストを多く使い、文章は簡潔にわかりやすく、難しい専門用語は使われていないなど、一般の方にも読みやすい読者思いの書籍である。
変形性膝関節症に対するアプローチとして膝周辺の筋力強化があり、私も患者さんに膝周囲の運動を指導しているが、その重要性や有効性をなかなか伝えきれないのが悩みであった。そのため、自宅での継続した運動が行えず、運動の成果も表れにくかったのだが、患者さんに本書を読んでもらった上で話をすると運動に対する理解が変わり、積極的に運動に取り組んでもらえる方が増えた。
一般の方への変形性膝関節症に対する理解や、運動の必要性を説くには適した書籍だと思う。
医療費の節約や、介護予防が積極的に謳われている昨今。本書のような書籍とわれわれ専門家の説明で、予防の必要性を理解させて取り組んでもらうことが、これからの高齢社会での重要な役割になる。1人でも多くの方に理解してもらえるように、本書を活用したい。
(山村 聡)
出版元:医薬ジャ-ナル社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:変形性膝関節症 運動療法
カテゴリ 医学
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