スポーツ外傷学
黒澤 尚 星川 吉光 高尾 良英 坂西 英夫 川野 哲英
スポーツ外傷学黒澤 尚 星川 吉光 高尾 良英 坂西 英夫 川野 哲英スポーツ外傷学
この「スポーツ外傷学」全4巻で約1300頁になるが、現在の我が国におけるスポーツ医学の書籍で最も充実したものと言えるだろう。
第28号でも記したが、主として日本体育協会スポーツ診療所に関わってきた整形外科医、理学療法士をはじめ、トレーナー、トレーニング指導者などが執筆、医師のみならず、スポーツ医療全般に関わる人にとってまさに「座右の書」となっている。
『概論」の序で黒澤氏はこのシリース独自の目的についてこう記している。
「まず、スポーツによる外傷を専門に研究する学問を『スポーツ外傷学』と命名し、従来整形外科、腹部外科、胸部外科、内科、形成外科、眼科、泌尿器科、婦人科、リハビリテーション等々の専門にとらわれない命名とした・・・・・・従来あいまいに使われていた外傷、障害(はたまた傷害)という言葉に代わって、 1回の外力で生じる病態を急性外傷、軽微な度重なる外力によって徐々に引き起こされる病態を慢性外傷とできるだけ呼ぶことにした。第2に、スポーツ外傷治療のゴールはスポーツヘの復帰と定めて、そのために必要な事項は全て記載しようと意図した。・・・・・・第3には、スポーツ外傷の予防という内容をできるだけ盛り込むようにしている。・・・・・・」
全体は2色刷りで、多数コラム的な内容も収録されている。
この全4巻を手にすると、日本の「スポーツ外傷学」はこのシリーズで1つの頂点を極めたという気がする。
それだけの成果であり文句なくおすすめしたい。
黒澤尚、星川吉光、高尾良英、坂西英夫、川野哲英編
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:医歯薬出版
(掲載日:2001-11-25)
タグ:外傷
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツトラブルの初期治療ガイド
アメリカ医師会 American Medical Association 名越 茂彦
著書は、アメリカ医師会によって編集されたもので、スポーツ障害の知識や応急処置・治療について書かれてある。正直に申し上げると、治療者向けとは言えない作品である。しかし、一般の方にはとてもわかりやすく書かれているので、アスリート本人、コーチ、そして今からスポーツ医療を勉強しようとしている人にとって適した著書であると言える。
ケガとその治療について書いてあるだけではなく、そのケガが起こりやすい身体の部位についても述べられているところが面白い。たとえば脱臼が起こりやすい「肩関節」はどんな関節で、どんな特徴や役割を持った部位なのかまでが載っている。とても小さいポケットサイズなのに、なかなかの情報量だ。編集に関わったドクターが本当に必要と思うものを選択し、コンパクトにわかりやすく書いたのがよくわかる。
(宮崎 喬平)
出版元:診断と治療社
(掲載日:2011-12-13)
タグ:スポーツ医学 入門 外傷 救急処置
カテゴリ スポーツ医学
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スポーツ外傷・障害の理学診断・理学療法ガイド
臨床スポーツ医学編集委員会
臨床スポーツ医学の第18巻臨時増刊号。序文で、身体各部位の機能解剖と理学的診断法での共通認識が必要であるのに、専門の解剖書や手術書は多くあっても、「スポーツでの動きやスポーツ外傷・障害を考慮した機能解剖や理学的診断に関する書籍を見いだすことは容易ではない」と記されている。この点を考慮してまとめられたのが本書である。
3部構成で、I部は「機能解剖」、II部は「診断・評価のための基本テクニック」、III部は「事例解説」である。整合性を持たせるため、I部とII部は同一の著者が担当している。III部は数年にわたり連載された外傷・障害別のアスレティックリハビリテーションを一部手直しし、具体的疾患に対してのリハビリテーションメニューが理解できるようにしたとのこと。
現場復帰に至るまでのアスレティックリハビリテーションが重要と長く指摘されてきて、多くの人が研究、臨床、教育に携わってきたが、この1冊はその1つのまとめになっている。
注文をつけるなら、機能解剖が60頁足らずのボリュームでやや物足らない。多分、それだけで膨大な1冊になり、かつ映像も不可欠なものなのかもしれない。これについては、今後の成果に期待したい。
B5判 436頁 2001年11月30日刊 7000円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:文光堂
(掲載日:2002-03-15)
タグ:理学診断 スポーツ外傷 スポーツ傷害
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ外傷・障害評価ハンドブック
Chad Starkey Jeff Ryan 中里 伸也
StarkeyとRyanの両氏の執筆による“Evaluation of Orthopedic and Athletic Injuries”の手引書として出版された“Orthopedic and Athletic Injury Evaluation Handbook”を翻訳したのが本書である。携帯に便利なハンドサイズで作成されている。
400頁を超える本書では、広範囲にわたる臨床整形外科とスポーツ傷害の検査を実施するうえで必要とされる適切な知識と技術の説明に加え、評価課程にある問診、視診、触診、関節可動域テスト、靱帯の(ストレス)テスト、スペシャルテスト、神経学的テストを系統的に、かつ詳細に解説している。各節では、各部位ごとにこれらのテストの実施方法や一般的なテスト変法、テスト陽性の意味に触れているほか、頭部傷害、熱中症、心肺の状態、皮膚病も網羅しており、付録として上肢と下肢の反射テスト、筋長の評価、下肢の機能テストも紹介されている。持ち運びが容易なうえ、充実した内容の一冊である。
Chad Starkey・Jeff Ryan著、中里伸也監訳
2005年5月20日刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-09)
タグ:評価 スポーツ外傷 テスト
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツ外傷と障害
中嶋 寛之
今さら紹介するまでもない、本誌ではお馴染みの中嶋寛之氏による編著の書。まず全体の構成と執筆者を挙げよう。
I. スポーツ医学序論(黒田善雄)
II. 運動生理学(石河利寛)
III. 部位別外傷と障害
1. 頭部(馬杉則彦)
2. 脊柱(頸部)(有馬亨)
3. 脊柱(腰部)(有馬亨)
4. 骨盤(中嶋寛之)
5. 大腿(中嶋寛之)
6. 膝(中嶋寛之)
7. 下腿・アキレス腱(横江清司)
8. 足(横江清司)
9. 足関節(横江清司)
10. 肩・鎖骨(萬納寺毅智)
11. 上腕(萬納寺毅智)
12. 肘関節(萬納寺毅智)
13. 前腕(萬納寺毅智)
14. 手・手関節(山内裕雄、井上久)
15. 顔面(眼・鼻・耳)(大畠襄)
IV. スポーツ別外傷と障害
1. ランニング障害(横江清司)
2. 水泳障害(武藤芳照)
3. 野球障害(渡会公治)
4. サッカー障害(星川吉光)
5. テニス肘(渡会公治)
6. スキー外傷(藤巻悦夫)
7. ラグビー外傷(増島篤)
V. 年齢・性別による障害
1. 年齢による障害(高沢晴夫)
2. 女性とスポーツ(中嶋寛之)
VI. スポーツ外傷・障害の予防(黄川昭雄)
VII. スポーツに関するテーピングの実際(その例)(山本郁榮)
VIII. アスレチック・リハビリテーション(鹿倉二郎)
IX. スポーツ・マッサージ(村井貞夫)
X. スポーツと応急処置(近藤稔)
上記から分かる通り、スポーツ外傷・障害をスポーツ整形外科の範疇に限らず、運動生理学やマッサージ、テーピングなどについてもわかりやすく、しかも専門的に編集されている。写真・図も多い。
執筆陣、頁数とも充実したこの大著は医師のみならず、指導者やトレーナー的立場の人など広く読まれるべきだろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:文光堂
(掲載日:1984-01-10)
タグ:スポーツ医学 外傷 障害
カテゴリ スポーツ医科学
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新 スポーツ外傷・障害とリハビリテーション
魚住 廣信
ベースは1987年に始まった雑誌連載。改訂を重ね、障害予防とリハビリテーションの入門書となるよう構成されている。
冒頭に身体のつくりやRICEを始めとする基本処置、リハビリテーションの流れなどがわかりやすくまとめられている。続いて、足部や肩など身体を12カ所に分け、各部位の構造、起こりやすい外傷・障害、リハビリテーション方法を紹介。ケガが起こった後の対応だけでなく、予防のため暑熱環境時の対応などにも触れ、さらにリハビリの解説にはイラストが添えられケガの悪化や再受傷を防ぐ意図が見える。
現場で起こりうる主な外傷・障害について網羅されており、これから勉強を始める人や復習の際に最適な一冊だ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2014-07-10)
タグ:リハビリテーション ケガ 外傷 障害
カテゴリ スポーツ医科学
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レベルアップ! スポーツ外傷の診かた
齋田 良知
これは良書だ。何度も見返すことになると、まだ通読していないながら思う。
さまざまなスポーツの外傷30症例が記載される本書。患者と現場ドクターとコンサルト医の対話形式が、まず読みやすい。患者の訴えもリアルで、イメージしやすい。
医師同士の会話では、画像診断で注意すべき点や、保存療法と観血療法それぞれの予後、各種分類やリハビリのプロトコルなどが、参考文献つきで示される。かといって、無味乾燥とした情報の羅列になっていないのがよい。患者、現場医師、指導医の間で、実際にケガをした時点から時系列で、診断プロセスの過程が見える。
どうしても専門書は、かたくて、実感を伴わない、時に机上の空論に思えてしまうこともあるが、この本にはそれがない。対話形式でないと書けないような臨床的なポイント、経験的にはこういえる、という点も含め描かれているのが他書にはない本書の特徴だろう。
知識を現場でどう運用するか、というHow to本として優れている、と感じた。電子版付きなのも嬉しい。
(塩﨑 由規)
出版元:日本医事新報社
(掲載日:2022-06-24)
タグ:外傷
カテゴリ スポーツ医学
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