スポーツ心理学からみたサッカーの理論 増補版
麓 信義
サッカーを楽しむ個人の問題に絞り「どうしたらうまくなるのか」という観点から、サッカーの本質と練習メニューを解説。中・高校生でも気軽に読めるように語りかける文体。初版に訂正・加筆説明を巻末に加えた増補版。
新書判 318頁 950円+税
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:三一書房
(掲載日:2002-03-15)
タグ:サッカー メンタル 心理学
カテゴリ 運動実践
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コーチングの心理学 こんなコーチをしていませんか
武田 建 柳 敏晴
優れた監督やコーチの指導をみていると、人間の心理をよく心得ているな、と感心することが度々ある。どんなに素晴らしい技術を教えようとしても、心理面を無視してはうまく伝わらないものだ。
本書は、関西学院大学および関西学院高校のアメリカン・フットボール部の監督を長年務めてきた武田建氏(同大学の心理学の教授でもある)と神戸YMCA総合体育館体育主事、柳敏晴氏の共著である。
内容は、心理学の基礎的な理論を、“現場”の言葉でわかりやすく解き明かしている。「若い頃の私は、母校の後輩のチームをコーチしながらも、心理学の勉強とスポーツの指導とはまったく別の次元のものであり、それぞれの領域でお互いに無関係で努力していたという状態であった」ところが、「良いコーチ、上手なコーチと言われる人の教え方を観察していると、行動理論の原理と多くの点で合致していることがわかってきた。そして、自分なりに実践してみると、その効果は絶大であった」(武田氏)
長年のコーチングの経験に裏付けられた説得力ある書である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日本YMCA同盟出版部
(掲載日:1984-06-10)
タグ:コーチング 心理学
カテゴリ 指導
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スポーツトレーニングの心理学
R.N.シンガー 松田 岩男
昔、レオナルド・ダビンチという偉人がいた。今でいえば、美術も科学も医学も、彼は広範囲において天才を発揮した。各分野が専門分化していく今日、彼の偉業を再現することは一個人、いかなる大天才にとっても不可能であろう。世にいうマルチ人間でも、その水準で事をなしていくのは困難なはずだ。
スポーツ心理学も例外ではない。「他の書物を分析した結果、私はこの領域に関する最も包括的な本を書こうと思いたった」(序文より)と記されている通り、スポーツと心理学について、1968年初版、1975年改訂第2版、そして1980年にその第3版が出されたものの翻訳本が『スポーツトレーニングの心理学』(R.N.シンガー著、松田岩男監訳、大修館書店)である。
日本語版への序文から察するところ、これは初版翻訳の次の翻訳となり、その改訂の意味は極めて大だろう。著者が「話題は興味深く、エキサイティングですらある──少なくとも私には」と記されている通り、そもそも学問はエキサイティングなところがあるべきなのだ。スポーツ心理学の体系を知るために、この1冊はありがたい1冊といえる。なお、原題は“Motor Learning and Human Performance”であり、著者はアメリカ・フロリダ州立大学教授、国際スポーツ心理学会会長である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:大修館書店
(掲載日:1986-10-10)
タグ:スポーツ心理学
カテゴリ スポーツ医科学
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らいなー チームと親子で読む幸福野球
井上 光成 スポーツGEAR
「説明」「実例」「コーチへ」「スポーツ心理入門」という形式で、26項目が並ぶ。野球を楽しくプレーするために役立つ心構えや具体的な動き方などがわかりやすく書かれている。これらのアドバイスは、スポーツ心理学会などで発表されたものをベースに、より噛み砕いた言葉で伝わるように工夫されているが、非常に短くまとまっていて、読みやすい。
各章のタイトルを紹介すると、「楽しく野球をやりたい」に始まり、「死ぬほど走れ」「長嶋語のすすめ」など、ユニークな考え方を紹介。そして「軸を感じる」「軸の修正」「フォームを習うと体をこわす」など、動作習得についても紹介し、「割算野球」「戦略通りにならない」など、戦術・戦略面へのアドバイスもある。締めくくるのは「生きること」。このように、内容は多岐にわたっているが、いずれもサブタイトルにあるように「幸福野球」を実現していくためのものである。随所に見られる、柔らかなタッチのイラストにはユーモアが盛り込まれ、理解を助けるものとなっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:せいうん
(掲載日:2008-05-10)
タグ:スポーツ心理学 野球
カテゴリ スポーツ医科学
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勝負を決する! スポーツ心理の法則
高畑 好秀
私が現在最も勉強したい部類の本であり、なおかつ読んでみたかった著者の本であったことが何より個人的に読む意欲をそそった。著者の高畑氏は現場でコーチの方々とのお話でも、コーチングについて名前が出てくるほど現場での実践力があると以前から聞いていたので、この本は非常に参考になり、また読みやすさもこの本の魅力である。
その読みやすさとは、まず理論編としてスポーツ心理学を現場にたとえながら解説している点が1つ。2つ目に実践編として事象に対して例をいくつか具体的に述べている点。3つ目に、その段落に関わるチェックシートが用意されていて自身のフィードバックができる点。これこそが現場での実践力につながる部分であり、まさにコーチングのための実用書といっても過言ではないだろう。
指導者はもちろん、選手も読んでもらいたい1冊である。
(河田 大輔)
出版元:体育とスポーツ出版社
(掲載日:2013-10-29)
タグ:心理学 コーチング
カテゴリ スポーツ医科学
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なぜナイスショットは練習場でしか出ないのか 本番に強いゴルフの心理学
市村 操一
ゴルフを上達させるためのメンタルトレーニングを、トッププロ選手の事例や様々な論文をもとにして描いている。「集中力の妨害には『ルーティン化した準備運動』で対処せよ」の章では、ゴルフだけに限らず、私たちの日常生活やビジネスの場面でも同じことが言える。一日の中で集中力阻害要因は山のようにある。選択肢が多くなり、さまざまなことが便利になった分、集中して物事に取り組むのが非常に難しくなってきた。一流選手が試合に臨む過程で、決まったルーティンを持つように、私たちも日常生活やビジネスの場面でハイパフォーマンスを発揮していくためには、ある程度の決まったルーティンを持つ必要があると常々考えている。
ゴルフの上級者と初心者の違いに関しての考察も示唆に富んでおり、プロゴルファーやゴルフの心理学者の多くが指摘する上級者と初心者の違いには、「注意の向け方の違い」があるようである。上級者の注意の向け方は、目標を狭く絞っている。それに対して、初心者の注意はスイングのメカニズムや、力を入れて打つこと、そして池、立ち木、ブッシュやバンカーなどのハザードなどなど多方面に広がっている。もう1つの違いは、上級者の注意がこれから実行することに向けられるのに対して、初心者の注意は避けようとすることに向けられる。1つのことに集中して物事に取り組むこと、さらにその集中する状態や環境をつくることがゴルフのパフォーマンスアップのために必要なことなのであろう。
戦う人はいい顔をしなさい、心を平静に保つための「姿勢や表情」も練習せよ、変化を嫌う人は進歩しないなど、ゴルフのパフォーマンスを上げることと、日常生活をよりよいものにしていくことは共通項が非常に多いのではないか、と本書を通じて思ったところである。
(浦中 宏典)
出版元:幻冬舎
(掲載日:2013-12-20)
タグ:心理学 ゴルフ
カテゴリ スポーツ医科学
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運動と健康の心理学
海保 博之 竹中 晃二
「実践」心理学講座シリーズの1つであることから、運動が健康を導くとわかっていてもなかなか始められない、続けられない人へのアプローチを中心としている。
動機づけや行動変容などの理論にとどまらず、対象ごとにどのような介入方法を行ったかやその考察について多くページを割いているのが特色だ。まさに実践のための心理学の書と言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:朝倉書店
(掲載日:2012-09-10)
タグ:健康心理学 運動 行動変容
カテゴリ 指導
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体育・スポーツの心理尺度
徳永 幹雄
運動やスポーツ行動を予測するための方法として質問紙を用いた心理尺度化法がある。本書はこれまでに紹介された質問紙を掘り起こし、心理尺度について研究論文などで掲載されていない質問紙の部分を歴史的背景と方法とともに紹介。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:不昧堂出版
(掲載日:2004-12-10)
タグ:スポーツ心理学 質問紙
カテゴリ メンタル
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体育・スポーツのサイコロジー
豊田 一成
「体育心理学」「スポーツ心理学」「健康運動心理学」に大別される心理学分野。本書は10名の執筆者により、オールラウンド的見地に立ち、体育・スポーツ・運動に関する心理学について紹介。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:アイオーエム
(掲載日:2005-01-10)
タグ:スポーツ心理学
カテゴリ メンタル
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体育教師のための心理学
Y. ヴァンデン‐オウェール S. ビドル R. ザイラー F. バッカー M. デュラン Yves Vanden Auweele Stuart Biddle Roland Seiler Frank Bakker Marc Durand スポーツ社会心理学研究会
体育教師が身につけておきたい心理学的知識と実践へのガイドラインを紹介するとともに、子どもの体育・スポーツ活動の重要性やその実践におよぼす心理的要因の影響も解説。子どもの体育・スポーツ指導にかかわる方におすすめの一冊。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:大修館書店
(掲載日:2006-07-10)
タグ:体育 心理学 子ども
カテゴリ メンタル
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心理療法入門
河合 隼雄
心理療法は、医学モデルによる「治療」とは異なるものである。医学の場合は、病気の原因を明確にし、それに対して薬や手術によって、原因を除去するという方法がとられる。これに対して、心理療法の場合は、根本的にはクライアントの潜在的可能性に頼るというところがあり、「病気を治す」というイメージよりも、その人の本来的な生きる道筋に沿ってゆく、というイメージの方が強いという。
著者は、西洋近代の医学は、こころと身体、医者と患者の区別を明確にすることによって成立したが、実際の医療の場面においては、それらの区別をむしろ明確にせず、「関係性」に注目すべきで、そこに、ホリスティック医学や東洋医学などの有効性が考えられるようになったとし、医療の実際においては、心理療法的な接近法が、身体医学と共に重要である、と語る。
人間存在は「意識」「言語」によって、自然に反する本性を持っている。
こんな例を挙げている。人間が一本の糸杉を見る、という体験。他の動物、たとえば、その木にとまっている鳥や、登ろうとしている猫には、その木は、生きるという体験に組み込まれた、多様で多彩なものになるのではないか。他方、人間にとっては「糸杉」として認識され、自分の体験が一義的に限定されてしまう。
池上嘉彦は「言語は人間の表現、伝達の手段どころか、むしろ知らないうちに人間を支配している君主であるかもしれないのです。この認識は深層心理学における『無意識』の発見にも比することができるでしょう」と述べる。
言語化し、記憶して、ものごとを判断する主体としての自我が強固につくられてくる。このことこそが反自然の元凶だという。人間は、科学技術を使って、自然を制御、または利用し便利な生活を実現させてきた。自然を対象としコントロールすることで、現実は成り立っている。他方で、人間自身も自然の一部である。自然と人間の自我が著しく乖離したとき、補償作用として、神経症、心身症が生じるともいうことができると、著者はいう。
本書で説明される心理療法は、無意識、夢、イメージ、物語などを解釈して、気づきを促し、意識の変容を目指すというのが、おおまかな方針だ。物事を「きり」わけて、発展してきた科学とは、逆方向に思われる「つなぐ」ことによって可能性を探る心理療法。
現代において、医学の大枠は科学によって設計されるべきだが、個別具体的な臨床の現場においては、本書のような内容が、患者さんに資するところが多いように思う。
(塩﨑 由規)
出版元:岩波書店
(掲載日:2022-05-24)
タグ:臨床心理学
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野の医者は笑う 心の治療とは何か?
東畑 開人
臨床心理士である著者が「野の医者」と呼ぶのは、スピリチュアルや宗教に関わるもの、たとえば占い師やヒーラーなどの、世間一般的にはちょっと怪しいと思われる人たちだ。
研究助成金を得た著者は、ありとあらゆる「治療」を受けまくる。そのなかで、自身が取り組む仕事、扱っている「こころ」のことを考える。治癒を巡って、あるヒーラーとの対話のなかで出てきたスタンスの違いは興味深い。劇的に良くなる、というヒーラーの主張する対象者の状態は、臨床心理学から見れば、躁状態であるに過ぎず根本から良くなっているとは言い難い。
それが悪いわけではない。ひとまず、避難先を確保することは大切なことだ、とした上で、しかし対象者が自身の内面を直視し、受け入れていく過程で、振り子の揺れが少しずつ収まるように治っていく、というのが順当なゴール設定ではないか、という主張には、腹落ちするところがあった。「こころ」という、捉えどころのないものに、魔法のような治療法はないらしい。
翻って、補完代替医療のことを考えてみると、それぞれの立場によって病めるひとに対し、物語を構成する「ストーリーテラー」としての側面がある。
ただやはり、最後は自分と向き合い、主体性を回復する、というゴールまで、そのひとに伴走するというのが、セラピストの正しい姿勢だと思う。そこに越えてはいけない一線があると思った。
(塩﨑 由規)
出版元:誠信書房
(掲載日:2023-01-05)
タグ:心理学
カテゴリ メンタル
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ことわざから出会う心理学
今田 寛
大学で心理学を履修しました。様々な履修科目の中でもっとも興味があった学問でした。「人の心理がわかる」というすごく単純な興味は幻想に近いものだったというのが、実際に授業を受けた感想です。私が授業で学んだ心理学は実に淡々とした研究結果の集積みたいなものがほとんどで、私が期待していた「人の心が読める」的なHow to本によくある人の興味をそそるものとはかけ離れていたのです。
本書を手にしたときには、ことわざに表現される状況の心理描写を書いたものだと思ったのですが、予想に反してしっかりした学術的な理論が紹介されているのに驚きました。普段よく使われることわざを、学術的な心理学の研究と結びつけるというギャップは、あたかも水と油を結びつける界面活性剤にたとえても面白いかもしれません。
さらに本書を読むにしたがって、ことわざが主役ではなさそうなことに気が付きました。むしろ様々な研究を結びつける役割をことわざが担っているに過ぎないという感じすらしました。ひょっとしたら筆者の意図はそれぞれ異なる心理学の研究をことわざというワードで関連性を持たせているのかもしれません。ことわざを読み解くツールとして心理学を引っ張り出してきているんだと思い込んで読み始めた私は、筆者に一本取られたのでしょうか。
私が学生のころ学んだ心理学はあくまで基礎中の基礎であり、単品の研究を教わっただけで、それらの関連性がなかったがために面白みもなく興味が薄れていった記憶があります。ところが本書のように馴染みのあることわざに絡ませて小難しい心理学の知識を展開することで、身近なものとするばかりかそれぞれ単品の研究がことわざを介して関連性を持たせようという筆者の思惑を意識せずにはいられませんでした。さらには一つのことわざに関連して数多くの研究が登場するところは、筆者の懐の深さを垣間見た気がします。
私が感じたことが的を得たものなのかも疑問ではありますが、ひょっとしたら私が感じ取れなかったもっと別の何かがあるのかもしれません。
プラシーボ効果や血液型と性格など興味を引く題材が多かったので読み始めとは別の角度からの興味がわいてきました。学問も切り口を変えるだけでこんなに面白いものであることが証明されたのではないでしょうか。「活きた学問の断片」を見たような気がしました。
(辻田 浩志)
出版元:ミネルヴァ書房
(掲載日:2023-01-31)
タグ:心理学 ことわざ
カテゴリ その他
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