メジャーの投球術
丹羽 政善
いまや日本人のメジャーリーガーは珍しいものではなくなっている。それどころか各球団のスカウトが日本野球界に熱い視線を送り続けている。その中で投手に焦点を置いて、メジャーリーグの裏側を紹介している。
科学的と思われている根拠ももとをたどるとそうではなかったり、実際の球筋と球種名の認識の違いだったり、不正投球の歴史だったり、野球にそんなに詳しくない人でも、なるほどと思える内容を中心にまとめられている。
分析をすることではなく、新しいことを考えることが指導者の本来の仕事ではないだろうか。それがどのように評価されるかは別にして。
(澤野 博)
出版元:祥伝社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:野球 投球 メジャーリーグ
カテゴリ 指導
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133キロ怪速球
山本 昌
現役のプロ野球選手、山本昌は、自らの野球人生を「悔いがある」と語る一方で、「1回きり」の心構えで過ごしてきたからこそ成功したともいう。
著者は、若いころ戦力外通告におびえながら選手生活を送ってきた。選手生活を通して、自らの持つすべての力を引き出して日々を過ごし続けてきたことが、やり直しがきかないプロ野球の世界での成功を導いた最大の要因であると語る。
成功するためには、運も必要であり、自分ひとりの力たけでは不可能である。成功を望む人が知りたい、うまくいく人といかない人との差はどこにあるのか。チャンスをつくるための準備には何が必要か。到来したチャンスを逃さないためにはどうしたらよいのか。といった様々な疑問をプロ野球の世界を通して語られている。
決して才能に満ちあふれ、期待された選手ではなかった。その証拠に、一年目に登板すらできなかった史上初の200勝投手でもある。どこにでもいる野球少年が、最年長完投記録をはじめ、様々な最年長記録ホルダーという、息が長い特別の投手になった理由に「鏡」「時間」「好き」「階段」「なじむ」「観察力」「平均点」といったキーワードを挙げる。それらのキーワードを掘り下げ消化することで、読者が生きていく上の知恵、道標となるに違いない本である。
(服部 哲也)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:2014-03-06)
タグ:野球 投球
カテゴリ 人生
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もっと投げたくはないか
権藤 博
「権藤、権藤、雨、権藤」の著者がタイトルのようなことを言うと、スポーツ医科学を無視した懐古論かと思われるかもしれない。だが、指導の立場に回った権藤氏は、自らの経験を踏まえた「投げさせないコーチ」であった。つまり、個々の肩の状態をしっかり見極めた上で、プロ投手としてのあり方を提言している。それが伝わってくる自伝である。
また、冒頭には松山千春氏との対談が掲載されているが、スポーツと関係ないのでは、と飛ばしてしまわないでほしい。松山氏の言う「明日も球場に来てください、と口でお願いするようなプロは嫌いだ」にはハッとさせられる。プロに求められるのは圧倒的なプレー。もっと投げて、シーズン30勝を挙げるような選手ということだ。
もちろんプロ野球選手に限らず、仕事に取り組む人すべてに参考になるのではないだろうか。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2015-01-10)
タグ:野球 投球 指導
カテゴリ 人生
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投球障害からの復帰と再受傷予防のために
牛島 詳力
まず始めに、本書の対象は野球に関わるトレーナーやセラピスト、指導者、学生、そしてその保護者となる。学生については自分自身でも読めることがよいが、どうしても難しい言葉、専門用語も並ぶので高校生や大学生以上の方が対象となりそうだ。
しかし、内容に関しては小学生年代からも知っておいて欲しい内容で、そのためには保護者や指導者には必読であると考えられる。もちろんそこに関わるトレーナー、セラピストも読んで欲しいが、自分が知る限り若年層のチームに帯同するトレーナーは少なく、ケガをしてしまった後に関わることが多いセラピストよりも、未然に防げる立場の方々が率先して読むことをお勧めする。
本書の「はじめに」でも書かれているが、チームにトレーナーがいても全選手のケアを全て行うことは難しく、病院や接骨院との連携が不可欠となる。それには、野球に関わるトレーナーと、スポーツの専門職とは言えないその他のセラピストとの知識のギャップを埋めることが必要となる。さらに、選手、選手に近しい存在の保護者、練習と試合の参加へ強い権限を持ってしまっている指導者らが、本書の情報を理解し実践できることが投球障害を減らすために必要であり、著者が筆をとった理由だと感じた。
筆者は11年間にも及ぶ野球チームでのアスレティックトレーナー経験で、地域の各種セラピストに「お任せできる方が非常に少ない」と感じている。
本書を読んだ私も、正直任せてもらえる立場にないことを感じてしまった。
「一球投げることによる肩、肘への負荷」「外傷・障害発生時の保存療法か手術を選択する時の判断材料」「投球できない選手のリハビリと関わり方」「ブラックバーン6」「Proprioceptive Neuromuscular Facilitation」「投球制限」など、本書に載っている言葉や説明、単語までわからないものが散見され、筆者との共通言語が少なくなってしまっていると気付かされた。もちろん、それを埋めるための本書であり、学習の始まりの機会を得ることができる。
ここでは専門用語の話をしてしまったが、選手が読んで実際のエクササイズができるように解説付きの写真も付いている。
選手、保護者が読むのであれば、「7.『野球人生』に悔いを残さないために」から読むことをおすすめする。この本の意義が分かる。
コラムにはトレーナーとしての失敗談などもあり、最初から最後まで一冊まるまる読み漏らすことなく、度重ねて読み込みたい内容となっている。
野球人口は多く、私の勤める鍼灸院にも草野球をする患者様は何人も来院する。そんな方へのアドバイスに本書から頂いた情報をすぐにアウトプットできる内容となっており、投球障害の入門書として多くのセラピストに役立つ内容になっている。また、先に選手や保護者が本書を手に取った時に、トレーナー、セラピストが本書の内容を知らないと信頼の損失は免れることはできない。
ぜひ、多くの野球関係者、医療関係者の手元に本書が届き、より選手を大切にする野球界になっていくことを期待したい。
(橋本 紘希)
出版元:ブックハウス・エイチディ
(掲載日:2021-02-26)
タグ:野球 投球
カテゴリ スポーツ医科学
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