測定と評価
山本 利春
月刊スポーツメディスンに連載中の山本氏の著書。著者は勤務する国際武道大学で新入生約550人を対象に測定と評価を実施している。測定のみならず、即座にフィードバック、その後もそのデータを活用している。その経験が本書のベースである。
それだけに、単に頭でのみ考えたことではなく、現場ではどうなのかが語られていて参考になるところが多い。例えば、東大式の7項目にわたる関節弛緩性テストは、「できた!」と喜ぶ学生もいるといった笑い話のようなことも、現場では重要な話となる。
もちろん、科学的データの取り方、活かし方がメインであって、それらは「サイドストーリー」であるが、「言われていること」「語られていること」と現場での実際とのギャップは意外に大きい。「現場を知る」意味でも参考になる。
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:ブックハウス・エイチディ
(掲載日:2001-11-25)
タグ:測定 評価
カテゴリ アスレティックトレーニング
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スポーツ測定評価学 からだの形と働きを測る
角田 直也 須藤 明治
測定と評価に関して、多岐にわたる方法と基本となる考え方を網羅した教科書である。全身持久力や伸長、体重、新体力テストに始まり、BIODEXによる筋力測定、自転車エルゴメータによる無酸素性パワー測定、動作解析、超音波、骨密度、バランス能力、筋電図、全身反応速度など、必要と考えられる測定方法の意義や手順、応用例が紹介されている。
興味深いのが終章のスポーツ測定評価実践にまとめられた項目である。これは学生向けの課題として使えるようになっており、記入欄に書き込んで提出できるよう、切り取り線が入っている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:文化書房博文社
(掲載日:2010-01-10)
タグ:教科書 測定 評価
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツのライフサイエンス スポーツと体力のほんとうの常識
太田 次郎 栗本 閲夫
「ライフサイエンスノート」と題されたシリーズの第2巻。細胞生物学専攻のお茶の水女子大学教授・太田次郎、体力学・成長発達専攻の順天堂大学体育学部教授・栗本閲夫の両氏による書である。
この本は、ある雑誌の座談会で日頃、運動・体力・健康にさまざまな疑問を抱いていた太田氏が、その疑問を栗本氏に話してみたところ、明解な回答を得たことをきっかけに、その後の充実した対談の内容を独占しておくのはもったいないと、改めてまとめたものである。したがって、書かれている内容は、平明で読みやすく、普段なんとなく疑問に感じたことがいくつも挙げられていて興味深い。
たとえばIQに関し、アシモフとボイドによる『人種とは』という書から次の引用を行っている。
「都会で育てられた五才児は、ウシについての質問に答えられないであろう。彼は、ウシが何本足か、どこから牛乳が出てくるかに答えられないかもしれない。田舎で育った五才児は、エレベーターが必要なのは高いビルか低いビルかがわからないであろう。彼はエレベーターが上下に動くのか、前後に動くのかも知らないかもしれない。どちらの子も、相手がまごついた質問によく答えられるであろう。そういうわけで二人の子どもが真に同じ知能であっても、それぞれのテストでまったく違うことがありうる。これが、オーストラリアの原住民のグループとアメリカ人グループに簡単にテストし、一つの人種が、他の人種より知能がすぐれているということができない理由である」
そして、これと同じことが体力テストにも当てはまるとしているのは考えさせられる。ごく一部しか紹介できないが、「体力をめぐる問題」「スポーツをめぐる問題」「誤ったトレーニング」「ゴルフをめぐる話題」「学校と社会をめぐる問題」の大きく5つの章に分けられ豊富な話題が語られている。気軽に読み進め、それでいて何か考えのヒントを得られるハンディな書である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日本工業新聞社
(掲載日:1983-11-10)
タグ:ライフサイエンス 測定 発育発達 体力
カテゴリ スポーツ医科学
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ROMナビ 増補改訂第2版
青木 主税 根本 悟子 大熊 敦子
自身にいつも言い聞かせていることの1つに、トレーニング指導員などという職業は、乱暴に言ってしまえば「バーベルの担ぎ方を教えるだけの仕事」だということがある。医師のように直接病気やケガを治療することもできなければ、理学療法士のようにリハビリを通じてその人の命や生活により密接にコミットすることもできない。
むしろ、そうした心身を“治す”人たちの世話になる機会を極力減らせるよう、強い身体を“つくる”サポートをさせてもらうのが、我々トレーナーやトレーニングコーチと呼ばれる専門職であるから、ある意味彼らとは対極の存在であるとも言えるだろう。
が、だからこそ我々はそうした人たちともできるだけ「通訳なし」でやり取りせねばならない。たとえば、自分の担当するアスリートの膝を診てもらった理学療法士から「腹臥位での屈曲を測ったら、軟部組織性のエンドフィールによる可動域制限は少しありましたが、まあ問題ないでしょう」と報告を受けた際に、可動域測定の様子やエンドフィールといった単語を知っているかいないかで大きな差があることは言うまでもない。
トレーニングコーチはメディカルスタッフと同じ仕事はできないし、するべきでもない。だが、同じ言葉で同じ目標に向かう必要があるのだ。
ご存知の方も多いだろうが、coachという語の語源は「(目標に導く)馬車」という意味である。装いも新たになった『ROMナビ』は、医療従事者のみならずスポーツの現場に携わる多くのコーチたちにとって、ますます有用な馬車となってくれるだろう。
(伊藤 謙治)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2013-11-18)
タグ:測定 リハビリテーション 関節可動域
カテゴリ スポーツ医学
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ROMナビ 動画で学ぶ関節可動域測定法
青木 主税 根本 悟子 大熊 敦子
ROMの測定はリハビリを始め医療関連の現場で欠かせないが、どんな対象にも正しく実施する感覚はなかなかつかみにくい。それを190分に渡るDVDで繰り返し学ぼうというものだ。
この第2版では片麻痺患者への測定法が追加収録された。書籍には実施時の留意点やチェックポイントがコンパクトにまとめられており、基本軸・移動軸・参考可動域角度も色分けされている。一目でわかりやすいテキストと言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2013-09-10)
タグ:関節可動域 ROM 測定
カテゴリ スポーツ医科学
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イラストで楽しく学ぶ! 徒手検査インパクト
原田 晃
鍼灸師の養成学校の教員である原田氏が、試験に受かるための暗記としてではなく、本質から徒手検査法の理解を促すべく、メカニズムや流れを整理した。頚部から下肢まで、50以上のテストを取り上げている。
著者自身がイラストも描いているので、どのような姿勢でどこをみるのか、何に注意するのかといった検査の流れが一目瞭然。
B6判とコンパクトであり、手もとに置いておけば、学生に留まらず臨床の現場でも素早く確認できそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:医道の日本社
(掲載日:2015-04-10)
タグ:徒手検査 測定
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツパフォーマンスのアセスメント 競技力評価のための測定と分析
David H. Fukuda 渡部 一郎
情報化社会においては、大量かつさまざまなデータが活用されている。スポーツ現場でも同様だ。本書ではより正確にデータを収集、分析、評価することで、効果的にパフォーマンスを上げるための手法がまとめられている。詳細な解説に加え、各アセスメントの標準データも載っていて比較できるため、データを取って終わりでなくトレーニングの計画につなげられる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2021-02-10)
タグ:測定
カテゴリ スポーツ医科学
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測りすぎ なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
ジェリー・Z・ミュラー 松本 裕
原題は『The Tyranny of Metrics』。直訳すると「数値目標による圧政」となる。現代社会において、さまざまな分野で数値による成果評価が重視されているが、圧政とはどのような意味を持つのだろうか。
『測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』は、数値指標に過度に依存することがもたらす弊害を示し、その危険性を警告している。著者は教育、医療、ビジネス、政治など、数値化された評価基準が広く浸透している領域における問題を取り上げて、その弊害について論じている。特に短期的な成果や容易に測定可能な指標に依存することで、長期的な視点や測定が難しい要素(創造性、倫理、施策)が見落とされがちであると指摘する。数値目標を達成するまでのプロセスやそこから得られる学びが見過ごされる事例には、私自身も共感を覚える。「数値目標による圧政」とはこのような状況を指すのだ。
特に印象深かったのは「数値目標が目的化する」という現象である。本来、目的達成のための手段として数値目標が設定されるべきであるが、いつの間にかその数値の達成が目的となり、手段そのものが歪められてしまう。このような経験を持つ方も多いのではないだろうか。
さらに、著者が指摘するもう一つの重要な問題は、「測定可能なものだけが重視され、測定が難しいが本質的に重要な要素が軽視される」という点である。例えば教育現場では、テストの点数が教師や生徒の能力の指標とされることが多いが、その背後にある成長や学びの過程が評価されることは少ないのが実情である。この傾向は医療、ビジネス、政府など、著者は、こうした実例を豊富に挙げて、問題の深刻さを強調している。
特筆すべきは、数値評価そのものを全否定するのではなく、適切な場面で適切に使用するべきだという主張だ。数値化が有用な場面と、逆にそれが害を及ぼす場面を明確に切り分け、その使い方の重要性を明示している。
本書を通じて、数値評価を適切に扱うための視点を得ることができ、評価のあり方を再考する機会となった。組織や教育現場に携わる方々には必読の書と言えるだろう。
(川浪 洋平)
出版元:みすず書房
(掲載日:2025-01-28)
タグ:測定
カテゴリ その他
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