こころと体に効く漢方学
三浦 於菟
東邦大学附属大森病院・東洋医学科教授の三浦氏が、漢方学の基本と実際を紹介した本。第1章「漢方外来へようこそ」では便秘、下痢、風邪、更年期障害、花粉症など症状別に患者との問診のやりとりを再現し漢方の処方例を挙げ、第2章「東洋医学の生命観」ではその考え方を、第3章「Q&Aあなたの悩みに漢方学が答えます」ではさまざまな患者の悩みと、東洋医学的なアドバイス方法を記している。
現代はストレスの多い時代と言われているが、こころの問題がからだに影響を及ぼしていることは多くの人が実感しているだろう。漢方を始めとする東洋医学では、年齢や生活習慣、季節、住環境などの要因から、こころの問題を含めてひとりひとりの体質・症状に合わせた治療を施し、症状を起こさない、つまり「未病」のうちに「養生」して健康を維持する手助けをしてくれる。
からだの不調はあるけど、病院に行くほどではない。しかし、気になる。漠然とした不安やつらさを持っている人には、まず手にとってほしい本である。
2005年5月25日刊
(長谷川 智憲)
出版元:新潮社
(掲載日:2012-10-09)
タグ:東洋医学 漢方
カテゴリ 身体
CiNii Booksで検索:こころと体に効く漢方学
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
こころと体に効く漢方学
e-hon
漢方方剤大法口訣
張 明澄 桑木 崇秀
神保町でふらっと入った古書店で、手に入れた本書。極めて簡潔に書かれているのが目を引いた。学生時代、ある疑問が生じたときに、東洋医学の教科書を繰ってみると、古典のどこそこに記載あり、などとあるだけで混迷を極めた結果理解を諦めて、試験用に丸暗記してしまったという、苦い記憶がある。
本書は「透派」と呼ばれる家学を公にしたもの、らしい。こうした家学から入ると、学習期間を6年間ぐらい短縮できる、と中国ではいわれているとも、序文にある。
本文は、証候篇、診断篇、治則篇、本草篇、方剤篇に分かれ、それぞれ原文、訳文、句解、訳解、註釈、補註となる。
訳はこなれていて、読みやすく、なによりコンパクトだ。それは、本書が組織的系統的にまとまっていることを示している。しかも、なんと原文は、詩の形をとっていて韻を踏んでいるので、中国語話者にとってはとても身につけやすいのだという。
本書の内容についての正否は、半可な鍼灸師である自分には判断がつかないが、どちらかといえば近寄り難い本が多い分野で、複雑さよりも単純さに重きをおくことで、理解しやすいようにしてくれている親切さが嬉しかった。
また、神保町をぶらついてみようと思う。
(塩﨑 由規)
出版元:香草社
(掲載日:2022-09-26)
タグ:漢方
カテゴリ 東洋医学
CiNii Booksで検索:漢方方剤大法口訣
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:
漢方方剤大法口訣
e-hon