人間は遺伝か環境か? 遺伝的プログラム論
日高 敏隆
遺伝子の研究が急速に進み、遺伝子でだいたいのことは決まっていると思いがちだが、もちろん環境要素も大きい。だから、「遺伝か環境か」と問われる。だが、著者はこう言う。「そもそも遺伝子とか遺伝とか言うけれど、何のことを言っているのだろう?(中略)遺伝と環境の両方といったらどういうことなのだ?」
これについて、生物学、とくに現代動物行動学の認識に立って、根本的に考えてみたのが本書である。「遺伝子と『持って生まれた性質』としての遺伝との関係がどうなっているのかは、じつはまだほとんどわかっていない。『遺伝』とは、そういう漠然とした状況の中で使われている言葉なのである」そこで出てくるキーワードが「遺伝的プログラム」である。これについて著者はわかりやすくこうたとえている。
「遺伝的プログラムとは、入学式などの式次第とよく似たものである」。つまり開会の辞だの、校長あいさつだの、「順番」は決まっているが、どんなふうに行われるかは書かれていない。しかし、こうして順番どおり具体化されることがプログラムにとって大切なことである。遺伝的プログラムも同じで、種にとって共通で一般的なのだが、具体化していくのは、ひとつひとつの個体である。個体(個人)が覚えたこと、経験したこと、癖、気分、それらを含めて発育が進んでいく。つまり「人生とは遺伝的プログラムの具体化だ」ということになる。「遺伝か環境か」、この問いに対する考え方が変わる本である。
2006年1月20日刊
(清家 輝文)
出版元:文藝春秋
(掲載日:2012-10-10)
タグ:遺伝子 環境要因
カテゴリ 生命科学
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20歳のときに知っておきたかったこと
ティナ・シ-リグ 高遠 裕子
スタンフォード大学で行われた集中授業の内容を紹介したものである。
常識にとらわれずに常に異なる側面から物事を考え行動する。スポーツにおいても金銭やトレーニング環境など満足のいく環境を得ることは非常に難しい。ただ文句を言っていてもその環境は変わらない。ではどのようにしたらそれを変えることができるのか。
考え方を変え、行動を変えることによって満足のいく環境を得られるのではないだろうか。その考え方を変えるヒントが書かれている。
(澤野 博)
出版元:阪急コミュニケーションズ
(掲載日:2012-10-16)
タグ:環境
カテゴリ メンタル
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高温環境とスポーツ・運動 熱中症の発生と予防対策
森本 武利 中井 誠一 寄本 明 芳田 哲也
熱中症に関する研究成果がコンパクトにまとめられている一冊。高温環境と生体機能、運動衛生に関して、生理学的な見地から解説が加えられ、熱中症に関しては歴史および分類から予防対策まで述べられている。どういった条件下で熱中症が起こるか、また多種目にわたるスポーツにおける研究もレビューされ、豊富なグラフ・図表とともに理解を深めることができる。
高温環境下での運動時に起こる脱水によって体温調節や運動能力にどのような影響があるかを検討したり、ユニフォームや防具による体温上昇がどの程度あるかについてまとめられており、興味深い。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:篠原出版新社
(掲載日:2008-10-10)
タグ:暑熱環境 熱中症
カテゴリ スポーツ医科学
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