乳幼児期の健康
前橋 明 田中 光
西日本法規出版発行による健康福祉シリーズの第2弾。身体、こころ、運動機能の発達から、歯科保健、安全対策、生活習慣まで、乳幼児期の子どもの健康について様々な角度から考察されている。早稲田大学教授の前橋明氏が監修、洗足学園短期大学幼児教育科専任講師の田中光氏が編著した一冊。
「最近の子どもは……」と不満を言うことが口癖になっている方もいると思うが、著しく変化しているのは子ども自身ではなく、置かれている環境であると言えるだろう。乳幼児期であっても、両親が共働きであるなどの家庭事情があれば、「食卓にレトルト食品が並ぶ」「夜型の生活を強いられる」など健康に育つとは言いがたい環境を受け入れざるを得ない。
子どもの都合に合わないことが増えていて、その結果が身体とこころに現れているのは事実である。しかし、誰が、何が悪いと考える前に、子どもに何が起きているかをまず知る必要がある。本書では、問題点を指摘するだけでなく、子どもを健康に育てるために必要な情報を数多く紹介している。
前橋明監修、田中光編著
(長谷川 智憲)
出版元:西日本法規出版
(掲載日:2012-10-09)
タグ:健康 発達
カテゴリ その他
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運動も勉強もできる脳を育てる「運脳神経」のつくり方
深代 千之
帯に「運動ができる子どもは勉強もできる」「文武両道」とあるように、著者の深代氏は運動ができることと勉強ができることは深く関連しているという。そのうえで著者は、運動を基本動作から鍛えようと提唱する。走り方、跳び方、投げ方などについて、スポーツバイオメカニクスなどの研究から得られた知識を話題として織り交ぜながら解説している。
そして、スポーツ万能になるために大切な「動きの素」は、体幹によるとして、反動動作、反射、捻り、ムチ動作をどのように感じ、利用するかについても解説している。
イラストを用いた「運脳神経」を鍛えるための身体を楽しく動かすワークや、身体のことをより深く知るための問題も掲載されている。簡単な言葉を用いているものの、実際には専門的な内容が多いと感じる。しかし、理解できないというのではなく、わかりやすく伝えるための工夫が感じられる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2009-07-10)
タグ:脳 発育発達
カテゴリ 身体
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運動も勉強もできる脳を育てる「運脳神経」のつくり方
深代 千之
「運脳神経」ってなに? そんな疑問をもつ読者も多いのではないだろうか。
まず、この運脳神経というのは、もちろん造語。著者は運動神経という言葉が意味する誤解や誤った考えを避けたいということから「運脳神経」と言う。この「運脳神経」とはなにか、その運脳神経を鍛えるためのワークがこの一冊にまとめられている。
第1章では「運動が好きな子は勉強も得意! 東大合格を目指すなら運動から」というタイトルがつけられ、子どもをもつ親は思わず手にとってみたくなる。ちなみに東大大学院教授の著者は「東大入試に体育を導入しよう」と本書で主張する。
勉強も運動も「頭」つまり「脳でする」ものであるから、脳を鍛えれば勉強も運動もできるようになる。そのためには、運動だけでも勉強だけでも運脳神経は育たないので、運動も勉強もできる脳を育てよう! ということである。スポーツ科学界の第一人者が語る、文武両道の子どもを育てるためのノウハウ。豊富なイラストとわかりやすい文章で書かれている。運動と学習能力は切り離せないという大事なことを教える一冊。
2009年5月25日刊
(田口 久美子)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2012-10-13)
タグ:脳 発育発達
カテゴリ 身体
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跳び箱ができる!自転車に乗れる!
下山 真二
この本は、前作「かけっこが速くなる!逆上がりができる!」に続く第2作目と して出版されている。
今回のテーマは「あそび運動」をテーマとしており、私たち大人も身に覚えのある、“昔遊び”がいくつも紹介されている。しかし、昔懐かしい遊びが単純に紹介されている本ではなく、「あそび」を手法として子どもたちの発育発達に役立つ運動プログラムを分かりやすく説明してくれている。
とくに興味深いのは、子どもたちに気づきを与えるための「コツ」が整理されていること。私たちが子どものころにつかんだ「動きの感覚」を「理解しやすいフレーズ」で言い直し、さらに段階的に学習できるよう組み立てて紹介されている点はとても興味深い。
スポーツや人体の仕組みについて知識の少ない、お父さん、お母さんたちが子どもと一緒になって読むことのできる「体育の自習本」として十分活用できる内容である。
その一方で、スポーツに携わる専門家にとっても参考になる部分が多い。それは、指導をする側のわれわれが「ついついやってしまう失敗」を紹介していることである。子どもの「気づきを待てるかどうか?」は、専門家だからこそ振り返っておきたい点だと感じている。
「一つの動きを5個の言い方で説明する(できる)」というフレーズも紹介されている。日頃から、伝えるための工夫について試行錯誤をするのだが、単純な表現ながら子どもの心に届く核心をついている。子どもに興味を持たせ続けることは実に難しい。 子どもたちが自分から望んで身体を動かそうとする場面をつくり、タイミングよくアイコンタクトを行うことが(文中では、「指摘せずに、ほほ笑む」と表現されている)、われわれの指導場面にも重要な要素として再認識させられた。
本書は、子どもの身の丈、子どもの目になって関わりたい、と心から感じさせてくれる一冊として、ぜひ広くお勧めしたい。
(青島 大輔)
出版元:池田書店
(掲載日:2012-10-13)
タグ:遊び 発育発達
カテゴリ 運動実践
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じょうずになろう とぶこと
宮下充正 加古 里子 武藤 芳照 深代 千之
じょうずになろう とぶこと宮下充正 加古 里子 武藤 芳照 深代 千之「はえば立て、立てば歩めの親心」という。歩き始めた子どもは、やがて、とぶことに興味を持つようになる。ほんの数mの距離でも走ろうとする子どもは、さらに「とぶ」ことに一層の楽しみを見出すのである。
そんな経験をどの大人も持っているはずだが、悲しいことにいつか忘れてしまう。あるいは、小学校のときの跳び箱や走り高跳びなどで、うまくいかなかった思い出をいつまでの抱えている人もいる。
そもそもとぶとはどういうことか。「じょうずにとぶ」にはいつ、どんなことをしていけばよいのか。これは、子どもとその親のためにかかえれた「じょうずにとぶ」ための読み物の要素をたっぷり含んだ絵本である。
「とぶ」という動作がきちんとできるようになると、スポーツにおいても、また生活においても動きが美しく、ダイナミックになる。だが、私たちは「運動神経」という言葉で、そういう動きができる人とできない人を区別するが、子どものときに、できるだけ多くの動作をしておくことを抜きにしていわゆる「運動神経」で片づけるわけにはいかない。たかをくくらず、あきらめず、子どもの成長に応じた運動を考える意味でも、この本は親や先生、また子ども自身にも読んでいただきたい。
監修宮下充正、え加古里子、ぶん武藤芳照、深代千之
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:評論社
(掲載日:1983-02-10)
タグ:跳躍 基本的動作 発育発達
カテゴリ 運動実践
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足のはたらきと子どもの成長
近藤 四郎
「みんなの保育大学シリーズ」の第4巻。全部で6巻で、どれも子どもと接している親や指導者には一気に読める好著である。ほかには『ひとの先祖と子どものおいたち』『子どもの発達とヒトの進化』『手のうごきと脳のはたらき』『脳の発達と子どものからだ』『内臓のはたらきと子どものこころ』がある。紙幅の都合上詳しくは紹介できないが、お母さんを前にしてわかりやすく講義したものをうまく整理しまとめたもので、斎藤公子氏のまえがき+付言が一層読後感を引き締めている。
我が子を思わぬ親はいないが、こういう本を読むと子どもの成長をみる目もうんと違ってくることだろう。気軽に読み進め、それでいて考えさせられるところが大のシリーズである。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:築地書館
(掲載日:1983-03-10)
タグ:足 発育発達
カテゴリ 身体
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スポーツ障害 発育期を中心に
高沢 晴夫 中嶋 寛之 秋本 毅
『小児のメディカル・ケア・シリーズ』の1冊。共著者である三氏は本誌(月刊トレーニング・ジャーナル)で何度もご登場いただいているので改めて紹介するまでもないだろう。
「発育期のスポーツ障害を理解するには、発育期のからだの特徴を知らなければなりません。骨、関節には特に発育期特有なものがあります。(中略)発育期のスポーツは全身的な発育・発達を促すようなものが理想的です。目先の勝負にとらわれて無理をしないよう注意すべきであり、将来に目を向けて指導することが根本的な目的と思われます」(はじめにより)
本書は上の観点より書かれたものであり、大きく以下の5つの章に分けられている。
第1章「発育期のスポーツ障害の特徴」、第2章「発育期によくみられる障害」、第3章「発育機におけるスポーツに特有な骨折」、第4章「スポーツ外傷、障害の救急(応急)処置」、第5章「発育期スポーツ障害の予防」
子どもが大人のミニチュアでないことは本誌でも何度か述べてきたことだが、「エリート教育」とか「スパルタ教育」として、子どもに小さいうちから、野球、ゴルフ、テニスを学ばさせている例は少なくない。小さいうちから多くのスポーツの基本動作を学ぶのはよいことだが、使いすぎ症候群(overuse syndrome)をきたすまで「特訓」や「ハード・トレーニング」を積むのは親のエゴであり、指導者の無知であろう。本書のような指針というべき書を子どものスポーツ指導・管理に当たる人にはぜひとも読んでいただきたい。三氏とも整形外科医であり、できるだけ平明に書かれた内容は、専門的とはいえ十分一般の理解の範囲内にあるといえる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:医歯薬出版
(掲載日:1983-06-10)
タグ:スポーツ障害 発育発達
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツのライフサイエンス スポーツと体力のほんとうの常識
太田 次郎 栗本 閲夫
「ライフサイエンスノート」と題されたシリーズの第2巻。細胞生物学専攻のお茶の水女子大学教授・太田次郎、体力学・成長発達専攻の順天堂大学体育学部教授・栗本閲夫の両氏による書である。
この本は、ある雑誌の座談会で日頃、運動・体力・健康にさまざまな疑問を抱いていた太田氏が、その疑問を栗本氏に話してみたところ、明解な回答を得たことをきっかけに、その後の充実した対談の内容を独占しておくのはもったいないと、改めてまとめたものである。したがって、書かれている内容は、平明で読みやすく、普段なんとなく疑問に感じたことがいくつも挙げられていて興味深い。
たとえばIQに関し、アシモフとボイドによる『人種とは』という書から次の引用を行っている。
「都会で育てられた五才児は、ウシについての質問に答えられないであろう。彼は、ウシが何本足か、どこから牛乳が出てくるかに答えられないかもしれない。田舎で育った五才児は、エレベーターが必要なのは高いビルか低いビルかがわからないであろう。彼はエレベーターが上下に動くのか、前後に動くのかも知らないかもしれない。どちらの子も、相手がまごついた質問によく答えられるであろう。そういうわけで二人の子どもが真に同じ知能であっても、それぞれのテストでまったく違うことがありうる。これが、オーストラリアの原住民のグループとアメリカ人グループに簡単にテストし、一つの人種が、他の人種より知能がすぐれているということができない理由である」
そして、これと同じことが体力テストにも当てはまるとしているのは考えさせられる。ごく一部しか紹介できないが、「体力をめぐる問題」「スポーツをめぐる問題」「誤ったトレーニング」「ゴルフをめぐる話題」「学校と社会をめぐる問題」の大きく5つの章に分けられ豊富な話題が語られている。気軽に読み進め、それでいて何か考えのヒントを得られるハンディな書である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日本工業新聞社
(掲載日:1983-11-10)
タグ:ライフサイエンス 測定 発育発達 体力
カテゴリ スポーツ医科学
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健康と運動
臼井 永男
本書はもともと放送大学教材として出版されたもので、何かに特化したというよりも、体力を解剖学、生理学、生化学、発育発達論などの面から総論的にまとめてある。おそらく1回の授業で1章という進み方なのであろう。
その一つ一つの章はテーマに即した内容の基本的な部分が非常によくまとめられているだけではなく、なるほどと思う内容や図表も含まれており、一般教養の体育授業としてうまくまとまっており、一般の人でも最後まで興味を持って聴けるのではないかと思う。
勉強や研究は、1つの事象について深く掘り下げてゆくことが一般的ではあるが、総論があっての各論ということを常に考える必要があるのではないかと思う。木を見て森を見ずとならないよう再認識をさせられた書籍である。
(澤野 博)
出版元:放送大学教育振興会
(掲載日:2014-11-12)
タグ:解剖学 生理学 発育発達 健康 運動
カテゴリ スポーツ医科学
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東大フカシロ式 賢い脳をつくるスポーツ子育て術
深代 千之
子どもがスポーツを通じて得られる「脳力」をわかりやすくまとめた。まず1章では身体の基礎「脳」力を引き出すワークとして、おしり歩きやバランス崩しなどを紹介している。バイオメカニクスの第一人者である著者ならではの内容だ。2章以降のメンタルやコミュニケーションの「脳」力についても、スポーツ科学に基づいた簡潔な解説がなされている。
保護者向けに書かれてはいるが、子どもが悩んでいるときの対応を始め、口だけでなく一緒に努力・克服していく重要さは子どもとスポーツに関わる大人全てに共通する。気づきの多い一冊と言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:誠文堂新光社
(掲載日:2013-10-10)
タグ:子育て 発育発達 教育
カテゴリ 運動実践
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スポーツをしない子どもたち
田中 充 森田 景史
本書を執筆したきっかけ、それはスポーツ庁が小学5年生と中学2年生を対象に、年一回実施している体力テストだったという。令和元(2019)年度全国体力テストでは、握力や反復横とびなど、実技8種目を点数化した体力合計点の平均で、小5男子は2008年度の調査開始以降で最低の数値、中2男女いずれも前年度よりも数値が下がっていた(ちなみに、令和2年度は調査を中止、令和3年度の調査では小5、中2の男女ともに令和元年度の調査より体力合計点が低下していた)。
都市部ではとくに、公園でのボール遊びを禁止したり、子どもの遊ぶ声を騒音だ、などとして、子どもが思いっきり遊べる場所が少なくなっている。ほかにもスマホやゲームの影響、スクリーンタイムの増加は、スポーツ庁も指摘している。それに輪をかけて、令和3年度の調査ではコロナ禍の影響がもろに出ていると思われる。東日本の震災後、福島の子どもたちの体力テストの結果も低下した。その後、さまざまな取り組みのなかで調査の結果は改善しつつあるという。しかし、運動発達には適齢期がある。スキャモンの発育曲線などは有名だが、運動神経の応用力がもっとも発達するのは、9〜12歳までの、ゴールデンエイジと呼ばれる時期だ(3〜8歳までのプレゴールデンエイジも大事だとされている)。その時期に、外遊びの機会を奪われた子どもたちのからだへの影響は、中長期的に出てくるのかもしれない。
ちなみに、今の小学生は「公園派」と「ゲーム派」に、はっきり分かれるらしい。公園に集まってゲームをしている子たちは、どっち派なんだろう。
(塩﨑 由規)
出版元:扶桑社
(掲載日:2022-08-24)
タグ:子ども 発育発達
カテゴリ 身体
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