はだかの小錦
小錦 八十吉
相手に有無を言わせない押し相撲で、出世街道まっしぐらだった現役時代を思い浮かべると、実力で周囲を黙らせてきたと思っていた。しかし、小錦氏は「生き抜く秘訣は自分を大相撲界流に合わせること」と語る。言葉の問題を乗り越え、兄弟子からの「かわいがり」に耐える。相撲界の理不尽なしきたりに耐え、人知れず体重管理やケガに苦しめられた。そんなつらい日々を乗り越える支えは、両親に楽をさせたい一心だったという。その苦労は並大抵のものではなかったと思う。
語り掛けてくるような、柔らかい文章で綴られているので、苦しみや成功の軌跡がダイレクトに心に響く。異国の地で異文化を自分に適合させる。それを実践してきた言葉には重みがあり、多くの人が感銘を覚えるものであるだろう。
(水田 陽)
出版元:読売新聞社
(掲載日:2012-06-04)
タグ:相撲 エッセー
カテゴリ 人生
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力士はなぜ四股を踏むのか?
工藤 隆一
副題は、大相撲の「なぜ?」がすべてわかる本。
タイトルにもあるように、力士はなぜ四股を踏むのかについては本書を読んでいただきたい。工藤隆一氏はフォーミュラ・ワン(以下F1)での担当記者を務めていたときに、その競技の仕組みが大相撲と似ていると感じるようになったそうだ。F1は一つのチームが一座を組んで世界を興行している点がサーカスを連想させる。一座の巡業のことを英語で言うと「サーキット」、ゴルフ、テニスでも試合で世界を周ることをサーキットと呼ぶ。このようにヨーロッパのF1や日本の相撲は、トップスターから縁の下で働くものまでの“一座”で動くという特徴があるのだ。この他にも『からだのやわらかさこそ大成のカギ』、『大きさよりも「瞬発力」と「敏捷性」』、など相撲界で勝っていく条件や、『なぜ塩をまくのか』、『相撲・芝居・落語に共通する大衆文化』など歴史的な視点でもまとめられている。
2007年5月10日刊
(三橋 智広)
出版元:日東書院
(掲載日:2012-10-12)
タグ:相撲
カテゴリ その他
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お相撲さんの“腰割り”トレーニングに隠されたすごい秘密
元・一ノ矢
腰割りとは、相撲の基本動作の1つで、ハーフスクワットのように腰を落としていく動きのこと。いわゆる「股割」とは異なる。ポイントは、つま先と膝の向きが同じで、上体を真っ直ぐにしたまま下ろしていくことである。これにより股関節のスムーズな動きができるようになるそうだ。日常生活の中で気軽にできるエクササイズである。安田登、有吉与志恵、白木仁の各氏とのインタビューも収録。腰割りについて多面的に議論している。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:実業之日本社
(掲載日:2010-08-10)
タグ:腰割り 相撲
カテゴリ トレーニング
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お相撲さんの“腰割り”トレーニングに隠されたすごい秘密
元・一ノ矢
四股(しこ)、股割(またわり)は良く耳にする言葉ではあるが、腰割りとはどのようなものなのだろうか?
相撲で四股を踏むときの基本姿勢――まっすぐ立った姿勢から股関節を開いて腰を下ろしていく運動――のことを指し、イメージとしては、ハーフスクワットのような動作と捉えてよさそうである。ポイントは上体を前傾させずに、膝とつま先の向きをそろえて脛骨は地面に対しまっすぐのまま行うということである。
実際に行ってみると、なるほど、重さがかかっていない分、股関節の動きを意識しやすい。アスリートに行う場合は、トレーニングというよりコンディショニングとしての要素が強いかもしれないが、股関節動作の意識づけとしては導入しやすいと思われる。
白木仁氏、有吉与志恵氏、安田登氏という各専門家へのインタビューもふんだんに盛り込まれ、そちらも読み応えがある。
(石郷岡 真巳)
出版元:実業之日本社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:相撲 四股
カテゴリ トレーニング
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シコふんじゃおう
元・一ノ矢
「シコは羽目板の前でふめ」。昔の力士のシコは、上体がほぼ垂直に立っていたそうだ。取組の姿勢もそうで、戦前までは、あまり頭を下げずに上体はわりと起き上がっている力士が多かった。したがって、お互いの腰と腰の距離が近い。腰で相撲をとるから、うっちゃりや吊り出しが今よりも多かったそうだ。確かに、曙は引き落としに弱かったが、貴乃花は腰の位置が相手に近かったように思う。
「腰を割る」、これがシコの基本である。しかし、新弟子の多くは股関節が硬く、「腰を割る」シコができないと言う。「腰を割る」というのは、膝を開いて踏ん張り、腰を低くして強い外力に堪えられる構えをとることである。
もちろん尻は自然と締まった姿勢になる。正しい腰割りは、股関節まわりの筋肉を強化してくれる。昨今流行りのコアトレーニングが、日本伝統のスポーツでは、とっくの昔に実践されていた。そのことが、なんだか妙に嬉しい。
(森下 茂)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:四股 相撲 トレーニング
カテゴリ 運動実践
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力士100年の診断書(カルテ)
林 盈六
日本の国技、相撲。日本の少年は必ずと言ってよいほど遊びや競技で相撲を経験している。大相撲の人気は多少の波はあっても、決して衰えるものではない。しかし、他の競技に比べ、包帯姿の故障者が目立ったり、力士生命も、また人生そのものも短かったりする。そして、それを「そりゃあそうだろう」と思い込んでしまう。だが明治時代、力士は一般人よりはるかに丈夫で長寿だった。
相撲ドクターとしてあまりにも著名な著者が一般の人によくわかり、しかもどんどん引きつけられるような文章で書き記した本書は、そのままスポーツ医学入門の書ともなっている。力士たちへの警鐘であり、力士の健康から真の健康を考える内容は、したがって日本人すべてに通じるものといえよう。とにかく面白く、またよくわかる。極めて医学的、科学的記述であるのに、学問的困難を感じることなく読み進める。相撲は関係ないと簡単に決めつけず、ぜひ手に取ってみていただきたい。
胸を患い5年間の養生経験を持つ著者の文章からは相撲や力士への愛情のみならず、深い人間への愛情が自ずと読み取れることも記しておきたい。
そもそもスポーツ医学あるいは科学とはあくまで人間を対象とするものであるから、必ず人間への愛情や人生への洞察が根底になくてはならない。単に勝利や記録のためのものであるべきではない。だからこそ、スポーツ医科学は人間性のすべてに関わってくるのだといえないだろうか。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:1984-05-10)
タグ:相撲
カテゴリ スポーツ医科学
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スポーツとしての相撲論 力士の体重はなぜ30キロ増えたのか
西尾 克洋
相撲ライターの著者が、最新の大相撲事情をQ & A 方式で解説する。大相撲はテレビ中継などで目にする機会こそあるが、暗黙の了解と思えるものも多い。「横綱の品格」とは? 新人力士をどのようにスカウトするのか? といった素朴な疑問に答えていく。巻末には2021年時点の幕内力士42人の紹介もあり、格式張らず楽しく観てほしいという「相撲愛」が感じられる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:光文社
(掲載日:2021-08-10)
タグ:相撲
カテゴリ その他
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スポーツとしての相撲論 力士の体重はなぜ30キロ増えたのか
西尾 克洋
昭和から平成にかけて激変した相撲。スポーツ誌やビジネス誌などで相撲ライターをしている筆者が、大相撲を「決まり手」「体格」「ケガ」「指導」「学歴」「国際化」「人気低迷」の7つのキーワードで読み解いた一冊。相撲に対する様々な疑問に答える形式で書かれており、力士の入門から引退まで、一日の生活、相撲界独特の風習など、満遍なく解説してあります。
そして相撲に関する問題が起こるたびに「神事」なのか「スポーツ」なのかが議論されていますが、これはあくまでも2021年現在の大相撲を「スポーツ」としてみた場合なので、ストレートでわかりやすく「あれはそういうことだったのか」と相撲への理解が深まりました。
(山口 玲奈)
出版元:光文社
(掲載日:2022-04-07)
タグ:相撲
カテゴリ その他
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