美しく立つ
渡會 公治
副題は「スポーツ医学が教える3つのA」。長年スポーツ医学に携わってきた渡會氏が病院での診断、治療、講義で学生に教える際のキャッチフレーズは、Anatomy(構造と機能)、alignment(アライメント:姿勢肢位の違い)、Awareness(身体を認識する)とある。美しく立ち、じょうずな身体の使い方をするために、まず自分のからだの仕組みや構造を理解し、それから動きについて考えてみようというのが本書の目的である。著者は具体的に、美しく立つためにスクワット、背骨ほぐし、ストレッチングの3つの体操をすすめている。膝や腰を痛める人の多くは足が外側を向き、膝が内側を向くようになっている場合が多いことからも、改善させるための一つの方法として部屋の隅(直角)の壁の角に立って、足を壁に向けて進めていく「かべ体操コーナースクワット」などを挙げている。他にもじょうずに立ち、動作するための軸を、先に挙げた観点3つのAに沿って解説している。
これまでのからだの治療・予防はどうしても受身になりがちであったが、みずから改善していこうとする取り組みが大事であることに気づく。今回は紹介しきれなかったが、他にも身体への捉え方や考え方が凝縮されている一冊。
2007年5月24日刊
(三橋 智広)
出版元:文光堂
(掲載日:2012-10-12)
タグ:立ち方
カテゴリ トレーニング
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からだのメソッド
矢田部 英正
元体操選手で、椅子やカトラリーも製作、からだと動き、からだと道具の関係について詳しい。茶道も嗜み、服飾にも通じる。大学で立ち方や歩き方など、立居振舞いの授業も担当している著者。その幅広い活動から、「からだのメソッド」というわかりやすい本が生まれた。
全体は、立ち方の基礎、歩き方の基礎、坐り方の基礎、食作法の基礎、呼吸法の基礎と基礎編が5つ続き、大学での実習レポート、そして最後に身体と運動の論理でまとめられている。
本書を読み終えての一番の感想は、「優れて実践的」ということである。「姿勢をよくする」と言われると、多くの人はできればそうしたいと思う。では、どうすればよいか。たとえば、背骨の上に頭を乗せようとする。それだけで姿勢は変わる。
「成るはよし、為そうとするは悪し」。著者は、日本の禅での表現を紹介しているが、そのあと「からだの扱い」について、「意識して姿勢を整えようとするのではなく、「おのずから整う」心持ちが大事だということです」と記している。 以上は、本書で述べられている「メソッド」のほんの一端でしかない。やさしく書かれているが、その実践と追求のため、長く愛読書になると思う。
2009年5月26日刊
(清家 輝文)
出版元:バジリコ
(掲載日:2012-10-13)
タグ:立ち方 歩き方 呼吸
カテゴリ 身体
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