メジャー野球の経営学
大坪 正則
千葉ロッテマリーンズの優勝で幕を閉じた2010年のプロ野球。先日、優勝パレードの様子がテレビで流れていた。シーズン終了後はファン感謝祭や選手のトークショーなど球団独自の取り組みが行われる。それと同時に選手の契約改正が行われるシーズンでもある。今年も新聞ですでに目にした「保留」の文字は毎年のこと。選手にとっての収入は球団の支出なのだから、スムーズにいかないのがひょっとしたら“普通”なのかもしれない。
球団経営のための収入をどうやって増やし、球団を運営していくのか。コミッショナーや球団、選手会、そしてその他の機関のそれぞれの「仕事」とその仕事の関係性をメジャーから学ぼうという姿勢。そのために、「本書は読者が監督や選手の立場でプロ野球を観たり、勝ち負けで球団を応援するだけではなく、たまにはコミッショナーや球団オーナーの立場からリーグ全体を俯瞰し、球団社長になったつもりで球団経営を楽しむポイントを示唆している」と著者。
年棒やドラフト、フリーエージェントなどプロスポーツではない限り、少し離れた話になるかもしれない。しかし、施設内のサービスやファン向けの活動などといったプロモーションやマーケティングの話は学生スポーツやアマチュアスポーツの団体も学ぶことは多くある。そして、“感動や興奮や驚きを与える選手”のパフォーマンスの一部を担っているトレーナーの方たちにとっても「お金のはなし」は知っておいて損はないと思う。
(大塚 健吾)
出版元:集英社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:野球 経営 メジャーリーグ
カテゴリ その他
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フィットネスクラブエイムの思考軸
古屋 武範
石川県にある「フィットネスクラブエイム」が、この本の舞台となっている。
創業者である吉田正弘氏を中心に、エイムがベンチャー企業として成長していく軌跡をたどる内容となっている。フィットネスクラブにとどまらず、成功者としての思考軸を読み取ることができる一冊である。こう説明すると本書は吉田氏が書き綴ったように感じてしまうが、そうではない。この本をつくり上げたのは、吉田氏を含む10名以上のプロフェッショナルたちであり、エイムに対する思いや考え、エピソードを纏めたものである。
それらのエピソードを読んでみると、共通した吉田氏の印象を伺うことができると同時に、エイムをつくり上げる上で何に力を注ごうとしているのかを感じ取れる。また、それぞれの分野のプロフェッショナルな方々が吉田氏をリーダーの資質があると語っている。そんな吉田氏の行動や思いに触れることにより、フィットネス業界にとどまらず、経営者や野心があるものにとって、指南書になり得るだろうと思える一冊であった。
(橋本 紘希)
出版元:クラブビジネスジャパン
(掲載日:2015-04-21)
タグ:経営 フィットネスクラブ
カテゴリ 人生
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低予算でもなぜ強い? 湘南ベルマーレと日本サッカーの現在地
戸塚 啓
日本のスポーツチームは、大企業にバックについてもらうか、それ以外は低予算でやりくりせねばならないとよく言われる。Jリーグ参加6年目にメインスポンサーが撤退、市民チームとなった湘南ベルマーレは後者だが、「今ある予算で何ができるか」という考え方はしていない。それを、J1昇格を決めた2014年前後に限らず、市民チームとなってからの約15年にわたって追ったのが本書だ。チームの会長、社長、監督、テクニカルディレクター、営業本部長、事業部長は、プロとして地域に何を与えられるかを出発点に湘南らしいサッカーを貫き、それを可能にするべく市場を広げてきた。低予算だからこそ甘えずに理念を極めた結果、成績もついてきつつあるのがわかる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:光文社
(掲載日:2016-03-10)
タグ:サッカー マネジメント 経営
カテゴリ その他
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スピードに生きる
本田 宗一郎
本田宗一郎は本田技研工業の創始者で言わずと知れたカリスマ経営者。以前京セラの稲盛和夫氏に心酔し懇話会に通ったりしたものですが、名だたる経営者に共通するのは哲学をお持ちだということ。ハウ・トゥーの経営方法はあまり聞いたことがありません。時代や業種などバックグラウンドが違えば、方法論はいくらでも変化するからでしょう。だからこそそのときそのときの最善策を生み出すための人としての生き方みたいなものが必要になるのだろうと思いました。
企業は多くの人の集まりであるがゆえに、経営者の哲学が全体に伝わりそれに基づいて動いてこそ、企業が有機体として運営されるのでしょう。
本田宗一郎という人は子供のころからの夢を、強い信念により現実のものとし、本田技研を大企業にまで成長せしめ、さらにその夢が次の時代に受け継がれていきました。折れることも曲がることもなかった子供のころの夢が本田技研という形になったという点で、多くの人の憧れや尊敬を集めたことには違いないのですが、よくありがちな苦労話というよりも、むしろ楽しそうに活き活きと仕事に取り組まれたという印象が強く残りました。
他人の二倍も三倍も働いてとくれば、今のご時世「ブラック企業」のそしりも受けそうですが、遊びも大事だとか、うまく休息をとってリフレッシュなんてエピソードがありました。やみくもな努力よりも効率的な仕事のあり方を奨励されています。あの時代に人並外れた努力で出世し、国民の鑑として扱われた二宮尊徳を古いといって切り捨てることはなかなかできることではありません。
ただしサラリーと引き換えに時間の切り売りという発想ではなく、仕事のときはアイデアを生み出すことに力を注いでおられたようです。そういう考えを会社全体に浸透させることでユニークなアイデアや新しい時代を切り開くための商品開発の土壌をつくることに苦心されたのがわかります。
本書のタイトル『スピードに生きる』というのはオートバイのスピードかと思いきや、経営のスピードであり、アイデアのスピードであり、流行りのスピードであったり、本田宗一郎の経営観の独自性が疾走感にあることが伝わってきました。
発想を変えてみたいときに読んでみると面白い本です。
(辻田 浩志)
出版元:実業之日本社
(掲載日:2017-05-13)
タグ:経営
カテゴリ 人生
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スポーツMBA
広瀬 一郎
スポーツ産業の特質、スポーツ経営戦略論、マーケティング・コミュニケーションとITの活用、顧客志向施設整備、法務のケース・スタディー、スポーツチームの人事実務などの章を設け、スポーツビジネスを図やグラフを用いてわかりやすく解説。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:創文企画
(掲載日:2006-09-10)
タグ:経営 スポーツ産業
カテゴリ その他
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「お客様をやめさせない」スクール&教室運営の仕組み
水藤 英司
フィットネスクラブやヨガ教室、ダンススクールなどのスクールビジネスにおいて、会員の継続率は成功の鍵となる。スクールの講師の視点と経営者の視点を持って、解説していく。まず会員心理を把握した後、顧客満足度を高める要素をプライス・サービス・クオリティ・クレンリネス・アトモスフィアの5つの面から分析。それを踏まえ、やめさせない仕掛けを6つに整理して提示した。それを実現すべく、スタッフのやる気のマネジメントにも言及している。トレーニング指導者にとってはスクール経営者の考えを垣間見ることもできる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:同文舘出版
(掲載日:2017-04-10)
タグ:経営 運営
カテゴリ その他
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社会を変えるスポーツイノベーション 2つのプロリーグ経営と100 のクラブに足を運んでつかんだこれからのスポーツビジネスの真髄
大河 正明 大阪成蹊大学スポーツイノベーション研究所
現代においてはスポーツビジネスも組織的に成り立つ業態として認知されていますが、数十年前はまず「興行」ありきで、組織的というよりも中心的人物の個々の力によるところが大きかった印象があります。しかも得られる利益は純粋な興行収入だけではなく、相撲界でいう「谷町」のような贔屓衆やスポンサー的な企業に依存することも少なくなく、およそ「ビジネス」とか「経営」という雰囲気とは縁遠い感じでした。日本においてスポーツビジネスといえばプロ野球が筆頭格でしたが、それも親会社の宣伝広告という形式の上に成り立つもので、スポーツそのもので利潤を上げるまでに至ったのは最近になってからのことだと思います。運営と経営が分離せず経営のノウハウを持たない人が、出資者とのつながりでやっているビジネスというのが、過去のスポーツビジネスの実態であり、その時代からの変革が本書に記されています。
本書の印象として、「経営」の対象が「スポーツ」であることを明確にした「経営学」の本という受け止め方をしました。スポーツに限らずとも経営のあり方はすべての業態において様々です。その中でも成功により近づくためには論理的な方法論が必要になります。問題点の抽出、整理、解決法など良くも悪くも様々な状況に耐えうるものが構築されることでその確率が上がるのでしょう。筆者はそれを個人の才覚として運営するのではなく、経営者が変わっても運営のあり方が継続する枠組みの構築をされたところに意義を感じました。
スポーツ界の内在的な問題点と今という時代における周囲の環境下でどう立ち回るかという問題点に、きめの細かい分析をしたうえでひな型をつくられたというのは、今後のスポーツ界における大きな財産になりそうな予感がします。変化の激しい時代ですので、その都度アジャストする必要性も出てきそうですが、少なくとも何をどう考えるのかという根っこの部分として今後も本書のアプローチは必要になりそうです。
私個人としては経営哲学みたいなことには触れたこともありましたが、本書は人文科学としての経営学だと思います。スポーツビジネスに限らず経営者目線からの分析の仕方やシステムの構築など、あらゆるジャンルの経営にも役立つお話がいっぱいありました。
(辻田 浩志)
出版元:晃洋書房
(掲載日:2023-06-16)
タグ:スポーツビジネス スポーツマネジメント 経営
カテゴリ スポーツビジネス
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