「ゼロ成長」幸福論
堀切 和雄
「ゼロ成長」幸福論堀切 和雄帯に「僕たちは『経済化』されすぎた」とある。
著者は言う。
「もうみんな、疲れてきたのかも知れない。『大競争』とか、『グローバル化への対応』とかいった、結局誰のためなのかわからない題目に」
「そうは言っても稼がねばならないのが現実なのだから、低空飛行でもいいから、仕事はしよう。あるいは、真剣に仕事をしよう」
NPO で働く人の話も出てくるが、要は経済のみに支配された「薄い人生」ではない人生を生きようと言う。
そしてこう締めくくる。
「そうやって各自がそれぞれの場所で工夫すること。『経済化』される以前の、自分自身の人生の物語を思い出し、紡いでいくこと。それがこの、長く続く革命の原動力の、すべてなのだ」と。
バブル期は「お金! お金! お金!」で、今のデフレ期は「お金…、お金…、お金…」。
「お金より楽しく野球をしたい」とアメリカに行った“並”の野手、新庄選手の人気が急上昇している。
直接スポーツやスポーツ医学に関係のない本なのだが、実は結構関係あると思い紹介した。
堀切和雄著 B6判 214頁 2001年4月10日刊 571円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:角川書店
(掲載日:2001-11-25)
タグ:経済 成長
カテゴリ 人生
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「ゼロ成長」幸福論
堀切 和雅
この本は筆者が家を35年ローンで購入したところからスタートする。少し前によく言われていた「勝ち組」「負け組」。筆者の考える負け組とは年収がいくらであろうと、「金の問題で、動ける自由を失った人」だそうだ。何十年ものローンを組んでしまえば仕事も辞めるに辞められない。家のローンを払うために生きることは果たして幸せだろうか。
お金があれば確かに生活は潤うかもしれない。テレビ、ゲーム機、DVDプレイヤー、エアコン、今では我々の生活に欠かせないこれらのモノはなくても私たちは生活できていたのである。しかし私たちはお金を稼いでも新しいモノに変えてしまうのだ。周りの人たちが持っているものを持っていないことに対して、私たちは劣等感を感じてしまう。
お金があって自分の納得のいく仕事ができている人もいるだろう。だがそれはほんの一握りなのである。人よりよい家に住むこと、人よりよい車を買うこと、人よりたくさんお金を稼ぐことだけが成功ではない。もちろんお金があるに越したことはないだろう。だが、低賃金でも自分が納得し、関わった人たちを幸せにできることも1つの成功の形である。本書はそういった脱競争主義をテーマにした作品である。
本書ではさまざまな環境に身を置いている人物の話が描かれており、改めて仕事の意味、価値観や自分にとっての成功は何かを考えさせられる。私たちは何のために働いて賃金を得ているのだろうか。人によってその答えは違うだろう。サラリーマンだけが生きる道ではないことを教えてくれるだろう。こんな不景気な時代だからこそ、自分のあり方を改めて考えてみてはいかがだろうか。
(三嶽 大輔)
出版元:角川書店
(掲載日:2011-10-31)
タグ:経済 成長
カテゴリ 人生
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スタバではグランデを買え!
吉本 佳生
本書は経済学者である吉本氏が、生活の裏側から社会のしくみを紐解いている。
とくに私が注目したのは医療費の問題。現在は少子化を受けて、地方自治体で子どもに対する診療費や治療費を無料化にしようとする動きがある。
しかし、医療費が無料となれば小さなことでも診療を受けようと普通の人は考えるはず。また診察を受ければ薬も無料、つまり病院に行けば診察を受けたうえに市販されている薬を買わなくて済むわけだ。こうして単純に症状の小さな患者が増えると、診察時間までの時間が長くなるだけでなく、診察を受けるにあたって長期間を要する場合もある。それに加え日本の医師不足の現状は深刻化をたどっている。病院側も小さな症状を訴える患者が増えるため、あまり収入につながらないというサイクルができてくる。しかもその税金は今の子どもたちに後回しされるだろう。つまり著者が重要視する生活における取引コストは、あまりよくないということだ。
意外とわからないことが多い生活における取引コスト。本書は他にもさまざまな観点で経済を捉えている。私も買い物をする際に、サービスや商品はなぜこの値段なのかと考えるようになった。
2007年9月13日刊
(三橋 智広)
出版元:ダイヤモンド社
(掲載日:2012-10-12)
タグ:経済
カテゴリ その他
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逆システム学 市場と生命のしくみを解き明かす
金子 勝 児玉 龍彦
“フィットネス”という概念が日本にも紹介されてずいぶん経つと思うのだが、その意味がしっかりと浸透していないなぁと思うことがある。フィットネスとは、何だかわからないけどおしゃれなトレーニングのことなのだろう、という程度にしかとらえられていないと感じるのだ。
僕の職場は公共の体育館である。“フィットネスルーム”もある。やれ空調がどうだとかBGMがどうだとか、色々な要望が寄せられる。どうやら、夏涼しく冬温かい快適な空間で体を動かしたいらしい。
エアロビクスのプロのインストラクターでさえ「暑いから空調をもっと強くしろ」と言ってくる始末である。それは“フィットネス”ではないだろうと個人的には思っている。
“フィットネス”とはすなわち環境に適応する力のことであり、トレーニングはそれを高めるために行うものなのだと思う。では、空調のきいた快適な空間でトレーニングすることが果たして“適応する力”を高めることになるのだろうか。 本書は生命科学や経済学の知識に乏しい僕にとってはかなり難しい本であり、正直、理解できない部分も多かった。だが、キーワードである「多重フィードバック」という考え方は大いに参考になると思った。適応するしくみを多様で複雑なものに進化させることで生存できる可能性を増すのだ。
あるコーチが言っていたトップアスリートの条件を思い出した。「なんでも食えて、いつでもどこでも寝られること」。これも「適応する力」ということなのだろうか。ちょっと違うかな?
(尾原 陽介)
出版元:岩波書店
(掲載日:2012-10-16)
タグ:経済 生命
カテゴリ 生命科学
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