複雑さを生きる
安冨 歩
人間関係、ハラスメント、組織の運営からテロリズム、環境破壊、または職場での苦悩、恋愛、家庭の不和など、現代の諸問題を複雑系科学の立場から読み解いている。副題は「やわらかな制御」。
本書の内容を深めていくためには、まず“知ることとはなにか”を考察し明らかにする必要がある。そのキーワードが1章「知るということ」、2章「関係のダイナミクス」の基礎となる部分。ではその複雑さをどう生きていくのか、それを明らかにしていくのは3章「やわらかな制御」、4章「動的な戦略」になる。正直に言うと、この内容の拡がりは読み解いていくのに大変な作業であった。著者も「めまぐるしい銀河鉄道の夜のような旅」とこの本を振り返る。しかしながら5章の「やわらかな市場」まで読み進めていけば、問題が整理されてくる。
この複雑社会に私たちは生きていて、それを解いていくことが現在必要とされている気がする。それと同じように私たちの身体とは何か、この問いを深めていくことも大きな意味を持つのではないか。
2006年2月22日刊
(三橋 智広)
出版元:岩波書店
(掲載日:2012-10-11)
タグ:複雑系 制御
カテゴリ その他
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