武藤教授の転ばぬ教室 寝たきりにならないために
武藤 芳照
「お年寄りは、転ぶと骨折、それっきり寝たきり」というストーリーが一般に広く流布している。実際、そういう例も確かに見聞き、あるいは身近に経験する。
だが、著者は言う。「老人の骨折が治らないのではなく、『治らない』という思いが、治らないような方法を選択しているのです」。
老人でも手術など、きちんと対応すれば、骨折は治る。「手術はかわいそう」と、結局「治らない」方法をとり、それが寝たきりにつながっていく。
そのきっかけが転倒。では、人が転ぶとはどういうことか、どういう人が転びやすいのか、転ばないためにはどうすればよいか、転んでも起きればいい、これがこの本の主旨である。転倒予防教室を実践してきた著者らが、「暮しの手帖」の世界で、わかりやすく、それを語る。スポーツ医学は人をハッピーにするものである。
「人が転ぶ」という事実に目を向け、転ばない教室にまで育て上げた。
本誌の主旨でもあるが、社会に貢献できるスポーツ医学がここにもある。だが、そうなると「スポーツ医学」という言い方もそろそろ変えたほうがよいのか、そういうものがスポーツ医学だと認知されるか、どちらか。
いずれにせよ、「転ぶ」「転ばぬ」とスポーツ医学は大いに関係がある。
A5判 192頁 2001年6月21日刊 1619円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:暮しの手帖社
(掲載日:2002-10-03)
タグ:転倒予防 スポーツ医学
カテゴリ 運動実践
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高齢者の転倒とその対策
眞野 行生
やや刊行年度が古いが、前号(月刊スポーツメディスン34号)で若干引用しただけなので、改めて紹介しておきたい。
著者は北海道大学医学部リハビリテーション医学講座の教授で、従ってリハビリテーションの立場から転倒についてまとめられている。高齢者の転倒と特徴、高齢者の転倒と骨折、高齢者の転倒への対策、障害(疾患)別にみる転倒とその対策の4章に、「高齢者の転倒とその対策」に関する基礎研究という付章が加えられている。
編者は、転倒の要因として、1)高齢に伴う立位能、歩行能の低下、2)各種疾患に伴う立位能、歩行能の低下、 3)廃用性症候群を引き起こす状態におかれた場合、4)転倒しやすい環境による影響などを挙げている。
前号を読まれた方にはおわかりだろうが、これら要因およびその表現に編者の立場や視点がよく表れている。編者を含め33人による執筆で、整形外科、内科、リハビリテーション医学、神経内科、看護学、理学療法学など各方面からの記述で構成されている。高齢者の転倒について知るのに欠かせない1冊である。
B5判 274頁 1999年12月15日刊 5600円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:医歯薬出版
(掲載日:2001-11-15)
タグ:高齢者 転倒予防
カテゴリ 医学
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高齢者の転倒
レイン ティディクサー 林 泰史
副題は「病院や施設での予防と看護・介護」。この副題が本書の特徴をずばり表現している。
月刊スポーツメディスン34号の特集でも示した通り、各方面で転倒予防教室が展開されている。監訳者は、介護予防、老人保健事業では健康教育と機能訓練項目として組み込まれているが、残されているのは病院にいる約63万人の高齢患者、介護施設にいる約63万人の虚弱高齢入所者から要介護高齢入所者に対する転倒予防策だと言う。また、多くの病院での事故の3割以上が転倒で占められるのではないかと言う。
本書は、そのために書かれたティディクサーの名著を日本語として読みやすく理解しやすく翻訳したものとのこと。
確かにその通りで、本文は適所にイラストがあり、文章も平易に書かれている。また、付録として、「行為・状況別動作遂行能力検査」「歩行補助具の高さ設定法」「歩行補助具の使用法」「転倒・骨折防止」「ケーススタディ」などがあり、とても実践的な内容になっている。
B5判 174頁 2001年12月7日刊 3000円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:メディカル出版
(掲載日:2002-01-15)
タグ:転倒予防
カテゴリ 医学
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転倒予防教室 第2版
武藤 芳照
副題は「転倒予防への医学的対応」。東京厚生年金病院で開催されている転倒予防教室の5年間の集大成である。初版は1999年。丸3年で第2版が出た。
転倒についての定義、骨粗鬆症との関連など、転倒の原因や特徴、医学・科学的側面を述べ、転倒によって生じる医療経済面での影響を調査。そのうえで、転倒予防に向けてどのようなアプローチをつみ重ねてきたのか、転倒予防教室における実際の活動の中で得られた、貴重な具体的事例に沿った形で述べられている。
いかにして事故の危険を回避しながら、最大の効果を生み出していくかについて、数々の失敗例が挙げられているのを読むと、スタッフの試行錯誤してきた様子がよくわかる。また、転倒予防教室という場を、よりよいものに育てていこうとするには、内科医、整形外科医のみならず、 運動指導士や看護師、理学療法士など、多岐にわたる専門家の多角的なサポートが必要不可欠であったことも読み取れる。
これを反映して、本書も医師のみならず、看護師、理学療法士、健康運動指導士、教育関係者、事務関係者など幅広く、実に約40人の執筆・執筆協力者の手によってまとめられている。
この教室については、月刊スポーツメディスン34号で紹介したので、そちらも参照していただきたいが、スポーツ医療が高齢社会に大きく貢献できる分野としてこの転倒予防が挙げられる。ますます、この分野の研究や実践は盛んになるだろうが、転倒予防教室の最終的な目標は転倒予防を越えたところにあると思わざるを得ない。
(清家 輝文)
出版元:日本医事新報社
(掲載日:2003-03-15)
タグ:転倒予防
カテゴリ 医学
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寝たきりにならないための転倒骨折予防術
林 泰史
月刊スポーツメディスン69号の特集『骨を鍛える』に登場いただいた東京都老人医療センターの林院長が監修した本。第1章「転ばぬ先の知識と生活」では骨折危険度チェックシートを始め転倒の要因と予防法を、第2章「骨もからだも元気になる食生活」では骨を強くする食材やレシピを、第3章「骨折予防ワーク」では誰でも簡単にできる骨を鍛えるためのエクササイズがそれぞれ解説されている。
高齢者の骨粗鬆症は増え続け、寝たきりになる原因として70歳以上で3位、90歳以上の女性では1位が骨折となっている。林院長は「生涯骨元気のススメ」の項にて、「『骨抜き』では命が成り立たない」と述べ、骨を丈夫にするポイントとして(1)不摂生をしないでよく歩く、(2)乳製品、小魚、大豆加工品と野菜をよく摂る、(3)日光にほどよく当たるの3点を挙げる。骨折→動けない→気力が失せる→寝たきりの悪循環にならないよう、骨を意識した食事・運動を取り入れていきたいものだ。
2005年7月1日刊
(長谷川 智憲)
出版元:家の光協会
(掲載日:2012-10-10)
タグ:高齢者 転倒予防
カテゴリ スポーツ医科学
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高齢者の転倒 病院や施設での予防と看護・介護
Rein Tideiksaar 林 泰史
「転倒が高齢者の幸せを奪う病気の中心的なものの一つである」。高齢者のなかには、転倒によって人生(生活)の質の低下を余儀なくされている人が多くいます。現在、病院や介護施設だけでなく地域社会においても多くの転倒予防対策が講じられています。本書はRein Tideiksaarによる『Falls in Older Persons Prevention & Management』を日本の各施設が転倒予防対策を行う上での参考図書にと訳されたものです。
第1章では、転倒の影響について、転倒した本人に関すること、その家族からの視点、施設側からの視点に分けて述べられています。家族がどのように感じているのかという部分について書いているものは少なく、とても参考になりました。また施設のスタッフがどのように感じているのかと点については共感できる部分が多くありました。
第2章では転倒の原因と危険性について内的要因と外的要因に分け、詳しく説明されています。そのため、リハビリテーションを学ぶ学生にとっても転倒ということを知る上で参考になると思います。
第3章、第4章では臨床現場での評価や予防策について、転倒歴の記録内容(SPLATT)や行為・状況別動作遂行能力検査(POEMS)などを例にあげながら述べられています。第5章では環境整備について多くのイラストとともに紹介されています。
本書は日々の臨床と照らし合わせながら読むことができるため、新たな気づきを与えてくれる一冊だと思います。
(山際 政弘)
出版元:メディカ出版
(掲載日:2012-10-16)
タグ:転倒予防
カテゴリ 指導
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高齢者の転倒とその対策
真野 行生
高齢者の転倒防止が重要視される要因として、さまざまな臨床的課題に発展する可能性が高いことが挙げられる。転倒それ自体で大きな障害を起こさなかったとしても、リスクが大きく広がってしまう。
本書では転倒が起こる原因、対策、復帰までの運動訓練などさまざまな角度から高齢者の転倒について記述されている。
筆者は「活発な生活をしていると転倒する確率は高く、逆に不活発な生活をしていると転倒する確率は少ない。しかし目標は活発にしていても転倒する確率の少ない生活である」と唱える。
転倒が起こらないように環境設備を整えるバリアフリーも1つの手段だが、自分自身を転倒から守るセルフコンディショニングを普段からしておくこともバリアフリーと言えると思う。
高齢者の指導に関わる方だけでなく、若い世代の方に読んでもらえたら「今自分がやれること」のヒントが見つかるかもしれない。
(磯谷 貴之)
出版元:医歯薬出版
(掲載日:2012-10-16)
タグ:転倒予防 高齢者
カテゴリ スポーツ医科学
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転倒予防教室 転倒予防への医学的対応
武藤 芳照
人は必ず年を取ります。年をとればとるほど、身体は衰えていくものです。健康のために身体を動かしてい人は多いと思います。
「いつまでも元気な身体でいたい」誰しもが思い、願っていることです。
本書は「いつまでも…」というクライアントのニーズに応えるために実際の運動指導だけでなく、転倒のメカニズムや身体の特徴、評価方法やチェック表など多く載せられています。また、多くのデータとともに転倒予防教室での指導の流れやシステムなども紹介されており、より現場で使える一冊です。
(大洞 裕和)
出版元:日本医事新報社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:転倒予防
カテゴリ スポーツ医科学
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寝たきりにならないための転倒骨折予防術
林 泰史
「骨抜き」では命が成り立たない。
それなのに、今、小学生は簡単に骨折してしまい、高齢者の骨粗鬆症も増え続けて、70歳以上の方が寝たきりになる原因の3位を「骨折」が占め、90歳以上の女性では脳卒中より多く1位になっている。骨折→動けない→気力が失せる→寝たきり、は一直線。骨はまめに動いていないとすぐ衰えてしまうが、都会より農村の高齢者のほうが、骨が弱くなっていることも気になる。骨を丈夫にする方法はとてもシンプルで、①不摂生をしないで良く歩く、②乳製品、小魚、大豆加工品と野菜をよく摂る、③日光にほどよく当たる、この3つのポイントを守ると骨密度が上がり寝たきりを防げる。これは生活習慣病を予防する生活と共通している。
第1章で骨に関する知識と生活習慣で気をつけることを分かりやすく記載されている。この第1章を読み実践するだけでも十分骨折を防ぐことができると思う。第2章では骨を強くする食に関する内容。牛乳・小魚だけでカルシウムを補っている人も多いと思うが、骨を強くする食材・食べ方にはいろいろあり、簡単でもっと気楽にカルシウムを補えることに感動するだろう。第3章では骨折予防のワーク。基本的な運動やストレッチングだが、やるのとやらないのではやはり骨には大きな影響があると思う。
これからはもっと予防が大切な時代になってくると思うので、日頃の生活習慣を見直すうえで何をすればいいかわからない人にはこの書籍はお勧めである。
(安本 啓剛)
出版元:家の光協会
(掲載日:2012-10-26)
タグ:転倒予防
カテゴリ スポーツ医科学
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