やさしい変形性膝関節症の自己管理
鳥巣 岳彦
私が勤務する治療院には、膝の痛みを抱える高齢者が多く通院されている。そのほとんどが、「変形性膝関節症」と診断され、手術をするべきか悩んでいる方も多い。
本書は、実際に多くの方が悩んでいる変形性膝関節症について、発症のメカニズムから対処法まで、一般の方や高齢者の方にもわかりやすく書かれている。カラーのイラストを多く使い、文章は簡潔にわかりやすく、難しい専門用語は使われていないなど、一般の方にも読みやすい読者思いの書籍である。
変形性膝関節症に対するアプローチとして膝周辺の筋力強化があり、私も患者さんに膝周囲の運動を指導しているが、その重要性や有効性をなかなか伝えきれないのが悩みであった。そのため、自宅での継続した運動が行えず、運動の成果も表れにくかったのだが、患者さんに本書を読んでもらった上で話をすると運動に対する理解が変わり、積極的に運動に取り組んでもらえる方が増えた。
一般の方への変形性膝関節症に対する理解や、運動の必要性を説くには適した書籍だと思う。
医療費の節約や、介護予防が積極的に謳われている昨今。本書のような書籍とわれわれ専門家の説明で、予防の必要性を理解させて取り組んでもらうことが、これからの高齢社会での重要な役割になる。1人でも多くの方に理解してもらえるように、本書を活用したい。
(山村 聡)
出版元:医薬ジャ-ナル社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:変形性膝関節症 運動療法
カテゴリ 医学
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専門医が治す! 腰痛
三木 英之 蒲田 和芳
スポーツ選手や一般の人と老若男女と多くの人が腰痛に悩まされ、その症状もいろいろである。本書は一見一般の人に向けてつくられた本に見えるが、前半は腰痛のしくみや診断、治療など多くの症例について解説され、それらをイラストだけですませずにレントゲン、MRI検査、CT検査、造影による画像を用いて詳しく説明している。他に医師の診察手順やテスト方法も詳しく掲載されているので、スポーツトレーナーだけではなく医療関係者が読んでも勉強になるのではないだろうか。本書に掲載されている腰痛対策のチェックシートや腰痛が起きたときの対処法のシートは現場で利用できるものになっている。
後半は家庭でできる腰痛対策や運動療法を一般の人が読んでもわかるように丁寧に説明をしている。立ち姿勢での注意事項や事務仕事、洗面、車の運転など普段の生活からの症例は一般の腰痛に悩まされている人だけではなく、専門家が読んでクライアントの普段の生活を創造するために、頭の中の引き出しに入れ現場で活用してもらいたい。
注意として、本書は腰痛の予防と痛みの軽減に少しでも役に立てるように書かれたものであり、腰痛の中には手術や投薬が必要な場合もある。自分で判断をせず、必ず医師の適切な指示を仰いでくださいという著者からのメッセージを守って頂きたい。
(長谷川 大輔)
出版元:高橋書店
(掲載日:2012-10-16)
タグ:腰痛 運動療法
カテゴリ 医学
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ケーススタディ運動療法 高血圧・高脂血症・糖尿病に有効な運動
坂本 静男
生活習慣病患者は、脂質代謝異常、糖質代謝異常、尿酸代謝異常、高血圧症などを抱えているケースが多い。そういう人たちに勧めるのは、健康の3本柱、つまり「運動」「栄養」「休養」だ。しかし、それぞれが明確な形で示されているかというと、疑問である。この本は、中でも「運動」に焦点を当てた。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:杏林書院
(掲載日:2000-08-10)
タグ:運動療法
カテゴリ 運動指導
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マッスルインバランス改善の為の機能的運動療法ガイドブック
荒木 茂
動作の修正は難しい
空手にはさまざまな立ち方がある。この立つという動作は思いのほか難しい。安定しすぎても次の動作に移りにくい。外力を受け流したり身体に力を通したりするにもコツがいる。空手のその場突きでは、腰幅に立った姿勢のまま股関節を中心に生み出した力を地面反力も加えながら拳に伝える動きとなるが、この立位で力を一点に集める動作ですら数多くの要因に分解することができる。これが足を前後に開いた前屈立ちや後屈立ち、横に開いた騎馬立ちなどになるとその要素はさらに増えることになる。
立つ、また立った姿勢で技を出すという基本中の基本動作においてすら、非効率で望ましくない動作になったり、最悪の場合は傷害の原因になるような動きのエラーも起こり得る。ここからさまざまな方向に移動しながら技を出すということになれば身体操作の要素はさらに増える。これは武道のみならず各スポーツの特性を表す動作でも同様だ。その中で起こり得るエラーは、口頭で伝えるだけでは解決できないことや頭ではわかっていても思い通りにならないことが多い。
このような場合、問題の原因となる動きを見極め、動作や意識を修正する具体的な手法が必要になる。アスレティックトレーナー的な視点で空手に取り組んでいる自分自身の動作修正においても、稽古中の子ども達への指導においてもこれが結構悩ましい。身体のナカミをわかってくれていれば伝えやすいのに、と感じることも多い。いずれにせよ、このように動作を望ましいものにする必要性は、武道やスポーツ動作のみならず、日常生活における何気ない動作にも共通する。
評価と修正のわかりやすい紹介
本書では、そのような動作パターンの問題要素を評価し修正するアイディアがふんだんに紹介されている。正しい動きだけでなく起こりやすいエラー動作も含めた写真を数多く使って解説されているので大変わかりやすくなっている。「標準化され再現性がある」基本的な運動療法の本質理解や再確認、そして新たな気づきを得るためにありがたい存在となるだろう。本書で紹介されている機能的運動療法の到達点は、「筋力の強化というより正しい動作パターンの強化(筋トレよりも脳トレ)」をした上で対象者が自己管理法を身につけることであり、それには「運動療法を適切に行う意欲と理解力がある」ことが求められると指摘されている。ここでも患者側が身体のナカミを理解していれば効果が得やすくなるだろうと感じる部分だ。
種々の体幹の安定化トレーニングも紹介されている。トレーニング関連セミナーでわざわざ体幹トレーニングだけを抜き出して行う必要はないといった発言を聞いたことがある。普通のトレーニングの中で十分使うので、それだけを引き出す必要はないといった立場の発言だったが、私はこれには賛同しかねる。確かに儀式的に行うものでもないし、全ての動きの中で無意識に安定化できていることが望ましいということに異論はない。それができている人にはそれでいい。しかし実際に腰痛を引き起こすような場合には、筋力バランスや動きの中で動員される順序のエラー、それに伴う関節可動性の偏りなどがあるわけで、それを評価し問題を抽出し修正する必要があると考えるからだ。
もちろん要素別に解決できたからといって目的とする動作に反映されなければ意味がないことではある。「標準化され再現性がある」と言っても、本書に掲載されている運動を片っぱしから実施すれば全ての動作がよくなるわけではない。適切に抽出した問題点を修正できるものを的確に選び、時に改変しながら指導する柔軟性も必要なのだ。これには指導する側の身体のナカミの理解度も試される。空手の動作における動力源としての体幹や股関節周りを見直すにつれ、今更ながら気づいた新たな発見に赤面することもなお多い私ではあるが。
これからの可能性
空手の基本稽古や形稽古によって得られる身体感覚は数多い。同時にそこにさまざまな動作修正トレーニングや、日常生活動作や他のスポーツ動作とコネクトするようなトレーニングが加われば、子ども達のカラダの成長への寄与がさらに大きくなると考えている。また子どもの頃から自分たちの身体のナカミ(解剖生理)を知る機会を増やせれば、より健康的な生活の基礎を早い段階でつくることもできるだろう。武道とアスレティックトレーナー領域の融合だ。もちろんどの少年期スポーツにもアスレティックトレーナーの介在がよりよい身体教育につながるはずであるが、私の場合は密かな老後の取り組みとして空手を軸に実践したいと考えている。
(山根 太治)
出版元:運動と医学の出版社
(掲載日:2021-05-10)
タグ:運動療法
カテゴリ スポーツ医科学
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非特異的腰痛の運動療法 病態をフローチャートで鑑別できる
荒木 秀明
腰痛の中で多くを占める非特異的腰痛は、運動療法を中心とする保存療法が優先される。その運動療法について、テスト法などによる分類、筋肉・組織に分け発症期別の運動療法が紹介されています。エビデンスに基づいた内容となっており、実際の運動の仕方については添付のQRを読み込み動画で確認することもできます。
今までの治療にプラスアルファが欲しい治療家、とくに柔道整復師や鍼灸あマ指師には知っておいてもらいたい内容だと思われますので、腰痛を扱う治療家の皆さんにおすすめです。問診が質問形式で紹介されていたり、フローチャートによる鑑別もあるので、自身で考えることが苦手な人もパターンを覚えるためにおすすめできます。
今まで行ってきたことや知識の再確認、足りない知識の補完、さらに運動療法を取り入れることによってより幅広く効果的に非特異的腰痛に対峙することができるようになると感じました。文字や写真だけではなく動画でも同時に学ぶことによって知識がより深まるのではないでしょうか。
(山口 玲奈)
出版元:医学書院
(掲載日:2024-01-10)
タグ:腰痛 運動療法
カテゴリ 医学
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