SPAT 超短時間骨盤矯正法
鹿島田 忠史
現代では10時間座りながらパソコン作業や、通勤通学は重い荷物を肩に抱えて働いている人は少なくない。それと同時に自分のからだが思い通りに動かない、痛みがあるなど疑問を感じている方もいるだろう。
骨盤の歪みも人間の生活習慣の歪みから引き起るもので、本書は、誠快醫院院長・鹿島田忠史氏がまとめた豪華版で付録DVDとともに骨盤の矯正とその重要性について触れている。副題は「歪み診断から矯正完了まで5分でできる!」とあり、その内容も専門書のように濃いが、写真や絵を使いわかりやすく説明。著者が故・橋本敬三氏より学んだ操体原理に基づいて開発した簡敏なもので、その成果は現場でも素早く確実な効果が挙がっている。手技療法を専門とする方々はもとより、これからトレーナーを目指す方々の、幅広い知識の獲得また実践の応用にも活かされるのではないだろうか。
(三橋 智広)
出版元:源草社
(掲載日:2012-10-11)
タグ:骨盤矯正
カテゴリ 身体
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骨盤力 アスリートボディの取扱い説明書
手塚 一志
臍下丹田という言葉はトレーニング専門家の中でも馴染みがあるだろう。私も「肥田式強健術」についての書物の中で出会った。もう20年ほど前の話だ。創始者である肥田春充氏の、にわかには信じがたい超人伝説に鼻白み、深く追求する気にはなれなかったことを覚えている。しかし氏の唱える「腰腹同量正中心の鍛錬」には、身体の中心を意識し、全身をつなげるトレーニングのヒントが隠されていた。科学的な方法かといわれれば答えに窮するが、それ以降トレーニングの際には腹のあり方を意識するようになった。これは自分のトレーニングのみならず、トレーナーとして指導を行うときにも根幹にあり、工夫を重ねた要素である。
そもそも腹を練るということは武術の世界のみならず、日本人の所作の中に古くから存在していたのだろう。体幹トレーニング、コアトレーニング、スタビライゼーションなどアプローチ法は変わっても、同じところを求めているようにも思える。
さて、本書は野球界で有名な手塚一志氏の著書である。アスリート技能調整技師(パフォーマンスコーディネーター)という肩書きを持つそうだ。著者はアスリートの身体を操作するレバーは骨盤の弓状線だということを説いている。それにしても、「W-スピン」「フローティング・アクシス・スピニング」「クオ・メソッド」など独創的な言葉が飛び交い、面食らってしまった。著者は創造力とユーモアのセンスにあふれているようだ。
ただ気をつけなければならないのは、本書で述べられる解剖学や運動生理学的表現をそのまま理解しないこと。専門的な基礎をつくるためには、他書が必要だ。本書は、あくまでも身体を動かすイメージを、アスリートが理解しやすくするために解剖学的、生理学的表現で伝えていると考えたほうがいい。
うまくいっているアスリートは著者の理論に当てはまり、そうでない者はそこから外れていると捉えられる用例が多い。動作解析やボールの流体解析など共同研究者との科学的研究も行われているようだが、これが万人に共通するとの強引な断定はその結果から飛躍している。読者としては賛否両論がはっきり分かれるだろう。ただ、プロ野球選手から少年野球選手、そして他競技と、数多くのアスリートを指導する中で培われた指導法をアスリートがイメージしやすいように体系化し、指導実績を挙げていることは素晴らしいことである。アスリートが高いコンディションをケガのない状態で獲得し、自らの持てる力を最大限発揮することがコーチやトレーナーの役割なのだから、多くのアスリートがその恩恵を受けているのであれば言うことはないのだ。
それにしても、少し前はうねらない、ためない、ひねらない動きの古武術身体操法がもてはやされ、またこちらではためてうねる動きを説いている。幼いアスリートたちは氾濫する情報に混乱するかもしれない。
あえてアドバイスを送るなら、1つの理論を盲信せず、さまざまな理論から「いいとこ取り」をするくらいのつもりで学ぶこと。多様な考え方を仕入れた後に最も大切なことは、自分自身と向き合い、自分で感じ、考え、追求する姿勢だ。たとえば巷で騒がれているジャイロボールを投げることが名投手の条件ではないように、骨盤の使い方は重要な要素ではあるけれど、全てではない。ほかにもやるべきことはたくさんあるのだ。本書で著者も述べている。「選ぶのは君である」。
(山根 太治)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:2009-03-10)
タグ:骨盤
カテゴリ 身体
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骨の健康学
林 泰史
一般社会で「骨」というものに対してどういう認識を持っているかを考えてみると、体格の基本をなし、身体の形を形成するもの、あるいは身体を守るためのもの、その程度の感覚で捉えられているのではないかと想像します。ところが本書ではもっと多くの役割を持ち、骨以外の存在に対しても深く関わる、そんな骨の知られざる正体に迫ります。多少は骨のことを知っているつもりだった私も、実際は知らないことだらけだったというのが本当のところ。
骨の代謝のメカニズムが実に詳しく解説されています。また骨といえばカルシウムを思い出しますが、カルシウムが骨以外の身体の部分で大活躍するという事実と、そのカルシウムの量をコントロールするのに骨が関わるという重大な機能は世間ではあまり知られていません。
また近年積極的にカルシウムを摂取するという呼びかけもありますが、カルシウムという材料だけでは骨はつくられず、せっせと取りこんだカルシウムも場合によっては排泄されてしまうということは私たちも覚えておかなければなりません。正しい知識で骨をつくる方法を習慣化しなければならないわけです。偏った情報もあり、カルシウムを取り入れることだけに踊らされた方も少なくないように思いますが、骨をつくるためには「カルシウム・ビタミンD・運動」という3つの要素を備えなければいけないことも書かれています。
その上で、骨粗鬆症を予防法や骨の病気などの具体的な骨の問題を紹介してあり、面白そうなトピックスを抜粋して紹介した本というよりも、「骨の基本書」としての性格があります。あるいは豊かな骨を形成し健康に過ごすための指導書といってもいいかもしれません。
私はいつも本を読むとき、重要な個所にはアンダーラインを引き、目印に付箋を貼る習慣があります。本書を読み終えたときの付箋の多さには驚きました。250ページ足らずの本書はあまりにも内容が濃かったようです。今後も骨のことを調べるときにはこの本を開くことから始まりそうです。
(辻田 浩志)
出版元:岩波書店
(掲載日:2012-10-16)
タグ:骨 骨粗鬆症
カテゴリ 身体
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ポキポキ折れる子どもの骨
杉浦 保夫
ショッキングなタイトル。この書名を見て、ウサギ跳びによる集団骨折とか、人の頭を叩いた子どもの手のほうが折れた話とかを思い起こされた方もあるだろう。
「まえがき」で筆者は語る。
「私たちのような専門の整形外科医からみていますと“ゾッ”とするような、さまざまな骨の故障が多発しており、今や、少年スポーツには危機が訪れているといえましょう。本書では、始めに現在起こっている事例を取り上げて皆さんの注意をうながし、さらに健康な子どもに育てあげるには何が必要で、何が不必要なのか、をわかりやすく説明していきます」
そこで、「プロローグ」においては骨に関する基礎知識を述べ、第1章では、最近の子どもはすぐに骨折するといわれるが、果たして真実かどうかを論じている。著者らの研究では、客観的証拠はなく、むしろ検査の精密化と運動する機会の減少により、そういう感じを抱くのではないかということだ。
第2章は「まちがいだらけの子どものスポーツ」とし、リトルリーグ、少年サッカーなど、スポーツ活動における誤った考えを指摘している。やはり、一番の問題は使い過ぎということになるようだ。骨肉腫と疑われた少女の足の疲労骨折などは、耐寒マラソンがもたらした例である。疲労骨折から生じる変形や運動障害についても述べられている。
以下第3章「子どものケガと病気」、第4章「子どもを守るこれだけの常識」と続くが、いずれも親や指導者には欠かせない内容である。食事や「健康器具」に関する指摘は大人にも通じることである。
スポーツの低年齢化が進み、才能ある子どもは小さいときから厳しくトレーニングさせれば、やがては世界的選手にという考えがある。しかし、本書でも述べられている通り「巨人の星」の方法ではいずれその子をつぶすことになろう。子どもにとってスポーツとは何なのか、そこから考えねばならない。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:講談社
(掲載日:1982-10-10)
タグ:骨
カテゴリ 医学
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見るみるわかる肩甲ナビ
竹内 京子 宮崎 尚子
本書は、肩関節の解剖をとてもわかりやすく紹介している。とくに筋肉を説明している図が立体的であり見やすいため、起始・停止部の理解にもつながりやすい。また、関節の動きも詳細について説明している。
健康ブームということもあり、専門家のみならず一般の人も身体について興味がある現在、一般の人が見てもわかりやすい内容となっている。
内容としては肩関節の解剖だけに留まらず、肩の動き、よくある肩の悩みや不調、肩のタイプとチェック方法、タイプ別エクササイズ、肩の機能改善エクササイズがあり、評価とトレーニングも網羅している。
肩のことを知りたい方、肩に悩みのある方、肩を酷使する方にはお勧めの一冊です。
(鈴木 健大)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2016-04-22)
タグ:肩甲骨 エクササイズ
カテゴリ スポーツ医科学
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見るみるわかる骨盤ナビ
竹内 京子 岡橋 優子
「見るみる」というタイトル通り、1〜3章では大きな図を使って骨盤を構成する骨および動きに関わる筋肉、動き方が紹介されている。それを踏まえて、5章では骨盤の状態を改善するセルフエクササイズが多数紹介される。このときわかりやすいよう1〜3章で取り上げた筋名を使ったり、「ゆがみ」や「ゆるみ」と表現する一方、本当に骨がゆがんでいるわけではないことにもしっかり言及されている。6章では、先のエクササイズを肩こりなど自覚症状に応じたセット例が紹介されていて、日常生活にも取り入れやすい。
また、トレーニング指導の際、とくに日ごろからスポーツをやってきた経験のない人には、骨盤の動きや感覚を意識することは難しい。そういったときこの本の図を見せながら説明すれば、イメージをつかんでもらいやすそうだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2012-12-10)
タグ:解剖 骨盤
カテゴリ スポーツ医科学
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骨盤おこしエクササイズ
中村 考宏
骨盤に焦点を当て、日常の不調やパフォーマンスの改善を狙った一冊だ。
まず自分の股関節の位置の確認から入っていく構成は運動の苦手な人もスムーズに取り組めそうだ。骨盤を正しい位置に置き、それを保つには身体全体のバランスがポイントとなることがわかる。上級者向けとして著者が取り入れている「割」メソッドも紹介されている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:カンゼン
(掲載日:2013-05-10)
タグ:骨盤おこし コンディショニング
カテゴリ 運動実践
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全解剖 体を動かす「骨と筋肉」のしくみ 知ればスポーツがうまくなる!
山口 典孝
豊富なイラストで身体のしくみの基本が理解できる。1章で、野球などよく目にする種目においてよく使う筋肉などを解説し、2章では逆上がりやマット運動を行う際のコツ、身体がどのように使われているかをレクチャーする。3章では筋線維の働きやATP、トレーニングの原理・原則、成長曲線についても触れられており、子ども向けと侮れない。
スポーツを科学的にとらえるための入門書と言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:誠文堂新光社
(掲載日:2013-07-10)
タグ:解剖 筋 骨
カテゴリ スポーツ医科学
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骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治療の科学的基礎
福林 徹 蒲田 和芳 永野 康治 山内 弘喜 吉田 昌弘 鈴川 仁人
SPTS(Sportsphysicaltherapyseminarseries)シリーズの第8巻。勉強会の内容をまとめたもので、本書では近年スポーツ疾患として注目される骨盤・股関節・鼠径部にフォーカスを当てている。
グローバルスタンダードを身につけられるよう、執筆時最新の文献をもとに知見がコンパクトに整理されている。
さらに最終章では臨床現場においてどのような評価・治療が行われているかも紹介され、判断の助けとなる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ナップ
(掲載日:2014-02-10)
タグ:骨盤 股関節 鼠径部
カテゴリ スポーツ医科学
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「天使の翼」が上手さ・強さの謎を解く!
田中 直史
「天使の翼」とは、ヒトの「肩甲骨」のこと。理想的な動きはケガの予防だけでなくパフォーマンス向上にもつながる。ただ、自覚的に動かすのは難しく、外傷もほとんどが自然治癒するため肩甲骨と周辺筋はあまり着目されてこなかったという。
長く整形外科医として従事した著者は、上手さ・強さに通じるメカニズムを検討し、基本編「力の抜きどころ」と応用編「腕のしならせ方」を紹介する。ゴルフスイングを例に、力で飛ばすのではなくリズム・タイミングを意識すること、グリップを固め過ぎないほうが動きが出ることを説明する。肩甲骨ひとつでパフォーマンスが大きく変わることがわかる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:文芸社
(掲載日:2021-01-10)
タグ:肩甲骨
カテゴリ 身体
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