年齢に応じた運動のすすめ
宮下 充正
「生活習慣病、骨折・転倒予防に運動が必要不可欠であることは多くの人が周知している事実である。問題はいかに運動実践を促すかということ」と主張する筆者。医療費、介護費負担の対策があらゆる場で議論されているが、根本的な解決は「自立した生活が営める健康な体を有す人の割合を増やすこと」であり、それが長期的に見たときに医療費等の削減につながるのではないか。
その有効な手段として運動の実践が挙げられるが、筆者が一番の問題と感じているのは「『本人の自覚』がなければ運動を実践することもなければ、成果を得られることもできない」ということだ。逆に言えば自覚が芽生えることが、健康への第一歩である。
本書では「なぜ運動を行うのか?」「どういった成果を得ることができるか?」という根本的なテーマに沿った内容であるため、今までより運動への意欲がわいてくるはずである。
また「プログラムの紹介が仕事ではない、いかに相手の意識を変え前向きなイメージを与え、運動を実践してもらうか」という指導者の役割・意義を再確認させてくれる一冊である。
(磯谷 貴之)
出版元:杏林書院
(掲載日:2012-06-04)
タグ:高齢者 運動指導
カテゴリ 運動実践
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年齢に応じた運動のすすめ
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すぐ役に立つ介護予防フィットネス ロコモティブシンドロームに対応したQOL向上運動・実践ガイド
石井 千惠 竹尾 吉枝 小谷 さおり 芝崎 美幸
主に高齢者を対象とした、椅子を使ったり唱歌に合わせたエクササイズがまとめられている。介護現場ですぐ実践できるのはもちろん、スポーツ指導者にとっても学ぶ点は多い。たとえば動機づけの仕方や、筋力や柔軟性に応じたエクササイズのマッピングなど、普段はアスリートを対象とすることが多い立場の人が、もし高齢者を対象とする際には心強い参考書と言える。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:誠文堂新光社
(掲載日:2012-10-10)
タグ:ロコモティブシンドローム 介護予防 高齢者
カテゴリ トレーニング
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高齢者の転倒とその対策
眞野 行生
やや刊行年度が古いが、前号(月刊スポーツメディスン34号)で若干引用しただけなので、改めて紹介しておきたい。
著者は北海道大学医学部リハビリテーション医学講座の教授で、従ってリハビリテーションの立場から転倒についてまとめられている。高齢者の転倒と特徴、高齢者の転倒と骨折、高齢者の転倒への対策、障害(疾患)別にみる転倒とその対策の4章に、「高齢者の転倒とその対策」に関する基礎研究という付章が加えられている。
編者は、転倒の要因として、1)高齢に伴う立位能、歩行能の低下、2)各種疾患に伴う立位能、歩行能の低下、 3)廃用性症候群を引き起こす状態におかれた場合、4)転倒しやすい環境による影響などを挙げている。
前号を読まれた方にはおわかりだろうが、これら要因およびその表現に編者の立場や視点がよく表れている。編者を含め33人による執筆で、整形外科、内科、リハビリテーション医学、神経内科、看護学、理学療法学など各方面からの記述で構成されている。高齢者の転倒について知るのに欠かせない1冊である。
B5判 274頁 1999年12月15日刊 5600円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
出版元:医歯薬出版
(掲載日:2001-11-15)
タグ:高齢者 転倒予防
カテゴリ 医学
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高齢者さわやか体操
石井 紀夫 石井 千恵
高齢者の健康づくりに携わる人向けの、指導を行ううえで知っておきたい基礎知識と体操の実技をまとめたもの。基礎知識編では、高齢者の性格の変化や、痴呆高齢者への対処、介護保険制度について分かりやすく書かれている。コミュニケーションの取り方のコツや心構えがきめ細かく記述され、著者らの高齢者に寄り添う様子がうかがえる。
実技編では、用具の呼び方が非常に面白いのだが、「お団子ボール」(ハンドエクササイザー)や「なると棒」(フレックスバー)を利用した低負荷で楽しめる範囲のエクササイズを紹介している。他にも、顔や手、足指の体操、さらに月刊スポーツメディスン連載でもおなじみのチェアエクササイズ、水中運動にフラダンスを取り入れたアクアフラダンスが紹介されている。
また青竹やフィットネストビナワ、うちわを利用した体操や、盆踊りとパラパラを融合した盆パラビクスなど、読んでいるだけでも楽しそうなエクササイズの実例が示されている。
どの実技においても、言葉がけのポイントなどに参加者にとって精神的負担にならないような考慮が感じられる。また、それぞれの担当者による示唆に富んだコラムも掲載。指導経験豊富な執筆者たちらしい1冊。
(清家 輝文)
出版元:金原出版
(掲載日:2012-10-08)
タグ:体操 高齢者
カテゴリ 運動実践
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老人自立宣言!
村山 孚
70歳代末に『明るくボケよう』という本を書いた著者の最新刊書。「介護制度が整えば整うほど、老人自身がそれに見合った『自立の心』を鍛えておかないと、心身ともにひ弱な老人になってしまう」という著者は今80歳代半ばで、中国研究家でもあり、至るところに中国での経験や古典の話が出てくる。何十冊もの本を書いてきたなかで、この本が一番楽しかったとか。
「心身の衰えとともに、残念ながら身も心も他者の支えを必要としてくる。…だが、その現実のままに流されていたら『老い』のつらさは増すばかりだ。ここは人生の最後のふんばり、痩せ我慢の抵抗精神で『自立』をめざそう」(本書より抜粋)
そして、「やはり、老い方には五十代の準備体操、六十代の助走がものをいうようである」という。著者はこうして「老人自立宣言全文」を記すことになる。全6項目。一、感謝はするが甘えず、心の自立を忘れまい。二、身も心もシャキッとしよう。三、自分の体、自分が責任を持とう。四、好奇心を持ち続けよう。五、自信を持て! 自分にしかできないことがある。六、「死」に馴染んでおこう。
誰でも歳をとり、やがて死ぬ。できればこういう本を読むか書くかしてから旅立ちたいものです。
(清家 輝文)
出版元:草思社
(掲載日:2012-10-09)
タグ:高齢者
カテゴリ その他
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高齢者の機能アップ運動マニュアル
Elizabeth Best-Martini Kim A.Botenhagen-DiGenova 小室 史恵
Elizabeth Best-Martini、Kim A. Botenhagen-DiGenovaが著した「Exercise For Frail Elders」の日本語版。虚弱高齢者および特別なニーズを持つ人のためのエクササイズプログラムの計画・実施方法が紹介されている。副題は『疾病・障害のある高齢者にも安全なエクササイズ』。
計画をテーマとした第1部では、参加者、エクササイズプログラム、フィットネスリーダーについて、実施をテーマとした第2部では、初めにウォームアップを、心血管系持久力のためのエアロビックエクササイズ、筋力と筋持久力を鍛えるレジスタンスエクササイズ、クールダウン、エクササイズプログラムの作成についてそれぞれ解説している。
とくに第2部は高齢者がモデルとなった写真でエクササイズが示され、詳しく書かれた安全に行うためのヒントは参考になる点も多い。
Elizabeth Best-Martini、Kim A.Botenhagen-DiGenova著、小室史恵監訳
2005年8月8月刊
(長谷川 智憲)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-10)
タグ:運動指導 高齢者 トレーニング
カテゴリ スポーツ医科学
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中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
愛知医科大学運動療育センター 丹羽 滋郎 野口 昌良
中高齢者の生活習慣病、各種疾病予防に視点を置き、運動の実際について疾患別に疾患の概要、目的、評価、方法、期待できる効果、注意すべき点を紹介しているのが本書である。循環器疾患、代謝系疾患、運動器疾患、運動器系疾患、小児科疾患、産婦人科系、その他として関節リウマチを取り上げている。監修を担当しているのは、月刊スポーツメディスン76号の特集「機能向上エクササイズ」に登場していただいた丹羽先生。
本書では、健康づくりのキーワードとして(1)己を知る(自分の健康状態を知る)、(2)自分の目標は何か(目標のためにどんな体力が必要か)、(3)適正な運動処方(目標に適した運動強度、量、時間)、(4)継続性(健康づくりは一朝一夕では成し得ない)の4点を挙げ、十分な動機づけをしたうえで障害の発生を予防しながら指導していくことが不可欠であると指摘する。
付録として愛知医科大学運動療育センターで実際に行っているメディカルチェックの各項目の説明、結果表も掲載されており、健康づくりの実際の現場で役立つ内容となっている。
愛知医科大学運動療育センター編集、丹羽滋郎、野口昌良監修
2005年10月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:全日本病院出版会
(掲載日:2012-10-10)
タグ:運動処方 トレーニング 高齢者 メディカルチェック
カテゴリ スポーツ医科学
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寝たきりにならないための転倒骨折予防術
林 泰史
月刊スポーツメディスン69号の特集『骨を鍛える』に登場いただいた東京都老人医療センターの林院長が監修した本。第1章「転ばぬ先の知識と生活」では骨折危険度チェックシートを始め転倒の要因と予防法を、第2章「骨もからだも元気になる食生活」では骨を強くする食材やレシピを、第3章「骨折予防ワーク」では誰でも簡単にできる骨を鍛えるためのエクササイズがそれぞれ解説されている。
高齢者の骨粗鬆症は増え続け、寝たきりになる原因として70歳以上で3位、90歳以上の女性では1位が骨折となっている。林院長は「生涯骨元気のススメ」の項にて、「『骨抜き』では命が成り立たない」と述べ、骨を丈夫にするポイントとして(1)不摂生をしないでよく歩く、(2)乳製品、小魚、大豆加工品と野菜をよく摂る、(3)日光にほどよく当たるの3点を挙げる。骨折→動けない→気力が失せる→寝たきりの悪循環にならないよう、骨を意識した食事・運動を取り入れていきたいものだ。
2005年7月1日刊
(長谷川 智憲)
出版元:家の光協会
(掲載日:2012-10-10)
タグ:高齢者 転倒予防
カテゴリ スポーツ医科学
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中高年・疾病予防のための運動の実際
愛知医科大学運動療育センター 丹波 滋郎 野口 昌良
本書では循環器系、代謝系、運動器系の各疾患で代表的なものの病態生理とそれに基づく運動処方が紹介されている。運動器系については整形外科的なものと加齢によるものと項目を別にして紹介されている。
中高年とタイトルにあるが、小児科や産婦人科に関する内容も盛り込まれている。とくに医学的見地に基づく妊婦の運動に関する記述は、目にする機会も少ないため、非常に興味深い。
疾患治療のための運動処方だけではなく、一般的な運動処方においても、人体の基本的な機能を把握することは非常に大切なことになる。
そのうえで疾患治療の運動処方は、疾患の病態をきちんと理解しなければ、症状を悪化を引き起こしかねない。表面的な理解だけではなく、人体に対してさまざまな角度での深い理解が必要となってくる。
もちろん疾病からの回復を目指すことも大切だが、疾病を予防することも大切だ。しかし生活習慣病予防は明確な目的を設定しにくいため、疾患にかかりたいと思っている人はいないにもかかわらず、継続することが難しい。
いかに継続させるか、それは指導する側の知識や技量に大きく関わってくるのではないだろうか。
(澤野 博)
出版元:全日本病院出版会
(掲載日:2012-10-12)
タグ:高齢者 中高年 疾病予防
カテゴリ トレーニング
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1日5分だけ! らく楽エクササイズ
梅田 陽子
本書はNHK教育テレビまる得マガジンにて、高齢者・低体力者向け運動プログラム「ココから体操」の理論と動きを取り入れた“らく楽エクササイズ”の番組テキストになっている。放送日時は以下の通り、2007年11月5日~11月23日(月~木の午後9:55~10:00)、12月17日~1月11日(火~金の午後2:55~3:00)。講師には梅田陽子氏・健康運動指導士・トータルフィット主宰。
タイトルにあるように、1日5分だけでよい簡単なエクササイズが網羅されている。その内容もからだの各部位に着目したアプローチ方法や、左右・重心移動、前後・重心移動などのバランス感覚を磨く方法、また家事や、着替え、外出時、入浴時など日常生活動作のなかで行える筋トレを、計80ページにわたりカラーで紹介している。
らく楽エクササイズの5つのポイントは、1. 呼吸には気をつける、2. 自分ができる範囲で筋肉を動かす、3. 動かす部位を必ず意識すること、4. 正しい動作で行い、姿勢を崩さない、5. 運動回数は自分のペースで行うこと、としている。からだを動かす時間がないのではなく、正しい方法を知っていればどこでもエクササイズはできるのだと実感できる内容だ。
2007年11月1日刊
(三橋 智広)
出版元:日本放送出版協会
(掲載日:2012-10-12)
タグ:エクササイズ 高齢者
カテゴリ 運動実践
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高齢者さわやか体操
石井 紀夫
まず、高齢者の特徴を知るところから始まる。そして介護保険制度を学び、健康づくりの推進としてリハビリテーションへと進む。
実技編では、この道の第一人者、石井千恵さん、竹尾吉枝さん、岡本正一さん、鈴木孝一さんが、それぞれの得意分野でさまざまなエクササイズを紹介している。写真もあって、指導のイメージがつかみやすい。この4人の先生方は、もっといろいろな手法を持っているので、これを機に調べてみても面白いだろう。
少々高額だが、内容が濃い。これから先、ますますニーズが高まるであろう高齢者指導の幅が広がること間違いなし。
(平山 美由紀)
出版元:金原出版
(掲載日:2012-10-13)
タグ:高齢者 運動指導
カテゴリ 指導
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アンチエイジングフィットネス 40歳からはじめる加齢に負けないからだづくり
Marilyn Moffat Carole B. Lewis 福井 勉
理学療法の立場から書かれたアンチエイジングのためのエクササイズ集である。特徴としては姿勢、筋力、バランス、柔軟性、持久力の要素別に身体の測定・評価ができるように用意されていることが挙げられる。
これにより自分で自身のフィットネス要素を評価し、エクササイズメニューを選択して実施し、再度評価をすることができる。日常生活の中で気をつけるべき動作のポイントについても助言があり、長く健康的な人生を楽しむための運動を実践するうえで有用なガイドブックである。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2012-10-15)
タグ:アンチエイジング 中高齢 運動指導
カテゴリ 運動実践
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高齢者の機能アップ運動マニュアル
Elizabeth Best-Martini Kim A. Botenhagen-DiGenova 小室 史恵
本書は高齢者への運動指導や身体活動に対して関わりのあるすべての方に対してのトレーニングマニュアルである。
本書は2部構成に大きく分けられており、第1部では参加者のニーズ、プログラム作成の指針、指導者に対しての心構え、などが取り上げられており、第2部では具体的なプログラムが写真つきでわかりやすく取り上げられている。
そして本書の最大の特徴は「特別なニーズを必要とする高齢者」に対しての対応、エクササイズプログラムが本当に細かく書かれていることである。
特別なニーズとは、アルツハイマー病、認知症、うつなどから、脳梗塞、COPD、糖尿病などの病気、骨粗しょう症、頭部外傷、股関節骨折といったものまで幅広い。
すでにこのようなニーズを持つ方々と関わっている方はもちろん、今後高齢者指導、介護事業などに関わろうと考えている方は本書から大きなヒントを与えてもらえると思う。 本書の中で「機能を失うことは自立を失うこと」というフレーズがある。
我々の仕事が身体の機能を改善するだけでなく、その人の人生にさえ少なからず影響をもたらすことができるということが、長年現場でやってきた筆者だからこそ感じたことであり、この言葉に非常に考えさせられた。どんな厳しい状況になっても必ずやれることはある。そしてその小さな積み重ねがクライアントが前向きで活動的な生活ができることにつながっていく。本書はそんなことを感じさせてくれる一冊である。
(磯谷 貴之)
出版元:ナップ
(掲載日:2012-10-16)
タグ:高齢者 運動処方
カテゴリ 運動実践
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高齢者の転倒とその対策
真野 行生
高齢者の転倒防止が重要視される要因として、さまざまな臨床的課題に発展する可能性が高いことが挙げられる。転倒それ自体で大きな障害を起こさなかったとしても、リスクが大きく広がってしまう。
本書では転倒が起こる原因、対策、復帰までの運動訓練などさまざまな角度から高齢者の転倒について記述されている。
筆者は「活発な生活をしていると転倒する確率は高く、逆に不活発な生活をしていると転倒する確率は少ない。しかし目標は活発にしていても転倒する確率の少ない生活である」と唱える。
転倒が起こらないように環境設備を整えるバリアフリーも1つの手段だが、自分自身を転倒から守るセルフコンディショニングを普段からしておくこともバリアフリーと言えると思う。
高齢者の指導に関わる方だけでなく、若い世代の方に読んでもらえたら「今自分がやれること」のヒントが見つかるかもしれない。
(磯谷 貴之)
出版元:医歯薬出版
(掲載日:2012-10-16)
タグ:転倒予防 高齢者
カテゴリ スポーツ医科学
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アンチエイジングフィットネス
Marilyn Moffat Carole B. Lewis 福井 勉
トレーニングをするということはスポーツをするため。そんなイメージを持ってしまいがちですが、トレーニングをする目的は多岐にわたります。本書はアンチエイジング(抗加齢)を目的とした身体づくりの指南書といっていいでしょう。
サブタイトルが「40歳からはじめる加齢に負けないからだづくり」とあります。あまりトレーニングに縁がない人たちにとってハードな運動は敬遠されがちですが、アンチエイジングを目的としたフィットネスなので敷居は高くなく入りやすいのではないでしょうか。
加齢によって起きる身体の変化とは何かを明確にしたうえで、それらに対する具体的な方法論が写真つきで説明されていますので、どちらかというと実践しながら読み進めるというのが正しい読み方ではないかと考えます。そういう意味では単に知識を得るための本ではないと申し上げておきます。「姿勢」「筋力」「バランス」「柔軟性」「持久力」と加齢による身体の変化を5つの要素に分類してあります。私の周りでもアンチエイジングのためフィットネスクラブに通う人たちはたくさんいますが、やっていることといえばほとんど筋力トレーニング。おそらく本書に書かれているような情報が不足しているのでしょう。残念なことではありますが、一般的な私と同じ世代の知識や情報ってこんなもんだろうと思います。アスリートではなくごく一般の中年と呼ばれる人たちにとって偏った運動に陥らないための、正しい身体づくりの道しるべとなる一冊になりそうです。
この本を読みながらできる限りのエクササイズをやってみました。いたるところに筋肉痛が出たのはご愛嬌。しかしこれは私の身体が加齢により使えなくなりかけていた部位がたくさんあるという証拠でもあります。それでも「身体の評価」という項目ではなんとなく実年齢よりも若いのではないかと喜んでいます。汗をかいて体験したい本です。
(辻田 浩志)
出版元:ラウンドフラット
(掲載日:2012-11-21)
タグ:高齢者
カテゴリ 運動実践
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人口の心理学へ 少子高齢社会の命と心
柏木 惠子 高橋 惠子
少子は、確かに問題ではあるが、実はそれは解決方法でもあった、というのが本書を読んでの率直な感想である。 問題として提示されているものが、なにかしらの結果であるというのはよくあることで、少子化に限らず何かの課題、問題を理解するのに有用な視点であると言える。
医療をはじめとした科学技術の進歩は、不慮の死を人類から遠ざけ、生活の糧を得る、子どもを育て上げるといった、旧来の価値からの解放をもたらした。現代的に言えば、自分らしく生きる、という時代になった。とくに、女性においての変化は大きく、かつてない価値観の変化がもたらされている。
子どもを産むということが、授かるものではなく、選択するものになり、ある種のリスクとして捉えられるようになった。現代社会の課題とされていることの多くが、そこに至る背景やそこからもたらされる人々の心理を抜きには考えられないことが示されている。人類史上、だれも経験したことのないこの少子高齢化という事態に、しかもそれが、かつてあったどのような変化よりも短期間に起こっているということに、どのように適応していくかの答えは誰も持ち合わせていないのが現実である。ならば、まずは本書のように、目の前の世界の実際をつぶさに観察し理解することから始めなければならないと思う。
本書の内容を、受け入れがたい人も大勢いるであろうが、少子高齢化を問題として捉えそれを解消しようとするのは、臭いものに蓋をするだけであろう。抗いがたいこの大きな流れの中で生きていくためには、これまでにない柔軟な思考や行動が求められる。それは、自分自身で考えていかなければならない、困難な時代であると言えるが、自分に見合った世界が見つけられるかもしれない機会に恵まれた時代でもある。
意外と、生きやすい時代かもしれない。
(永田 将行)
出版元:ちとせプレス
(掲載日:2018-09-03)
タグ:少子化 少子高齢社会
カテゴリ その他
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高齢者の運動ハンドブック
米国国立老化研究所 東京都老人総合研究所運動機能部門 青柳 幸利
健康の維持・増進のためにウォーキングが注目されているが、実践者の歩行速度と筋力や平衡機能、持久力など一般的な体力指標に加え、日常生活の活動性などは高齢者にとって極めて重要な事項として検討されるべきである。これらを踏まえ、高齢者の運動というものを丁寧に扱ったというのがこの本の特徴である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:大修館書店
(掲載日:2001-12-10)
タグ:高齢者 運動
カテゴリ スポーツ医科学
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定年筋トレ
森谷 敏夫 吉田 直人
私自身これを書いている時点で61歳になります。同級生の多くは会社を定年し、新たな人生を歩んでいます。以前から気になっているのは同年代が集まると身体の話題、とくに病気の話が増えてきました。私はそういうのに反発していたのですが、ここ数年体調がすぐれないこともあり、反発どころか率先して病気の話をしてしまいがちです。まだまだそんなに衰えてはいないと思いつつも、健康不安がよぎることもしばしば。それが60代のジレンマなのかもしれません。
本書は「衰えに抗う」というのがテーマになっています。「アンチエイジング」といえば格好よく聞こえるのですが、現実は極めて切実です。「若返る」というポジティブな感覚ではなく、現実にある「不安を打ち消したい」という感覚の方がピッタリのような気がします。
本書の解説は私らの年代にとって「あるある」ばかり。そのせいか、乾いた土に水が染み込むように書かれた内容が入ってきました。そしてどうすれば不安が解消できるのかについて明確な答えがありました。運動を始める前から高揚感がわいてくるようです。
しかし実際に何をどうすればいいのか、現実問題としてそこがもっとも高いハードルなのかもしれません。この年になって学生時代のクラブ活動のような運動をするわけにもいきません。具体的な方法論もそれぞれの人に可能な選択肢が用意されていました。ジムに通ってのトレーニングもあれば自宅で一人でやれる運動もあります。そこからさらに踏み込んだところまで解説されているのはありがたいことです。
さらにトレーニングに付随する話題も豊富。活性酸素・糖尿病・食生活などの問題点にも持論を展開されています。もちろん世の中には様々な意見もありますので、何が正解なのかは判断しかねますが、少なくとも筋トレをめぐる問題点を知るという意味では意義があると思います。
実際にその年代になって経験してみないとわからないセンシティブな部分まで丁寧に書かれているのは、同じ目線を意識されているからだと思います。
(辻田 浩志)
出版元:ワニブックス
(掲載日:2022-09-21)
タグ:高齢 トレーニング
カテゴリ トレーニング
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